シンプレクティック幾何学(シンプレクティックきかがく、)とは、シンプレクティック多様体上で展開される幾何学をいう。シンプレクティック幾何学は解析力学を起源とするが、現在では大域解析学の一分野でもあり、可積分系・非可換幾何学・代数幾何学などとも深い繋がりを持つ。また、弦理論や超対称性との関わりも盛んに研究がなされている。シンプレクティック幾何学の歴史は、ハミルトンに始まる。ニュートンから始まる力学は、オイラー、ラグランジュによって変分法をもとにした解析力学へと洗練されていった。すなわち、ニュートンの運動方程式からオイラー=ラグランジュ方程式への移行である。オイラー・ラグランジュ方程式は、数学的には位置座標を変数とする配位空間の接バンドル上の方程式である。それに対して、ハミルトンによる力学の定式化、すなわち、ハミルトン形式は、運動方程式を配位空間の余接バンドル上の方程式と見ることであった。この余接バンドルは位置座標と運動量を変数とする空間である。余接バンドルを物理学では、相空間と呼ぶこともある。速度は位置座標を微分して得られるものであるから、位置座標と速度を用いるラグランジュ方程式は二階の常微分方程式となっている。それに対して、ハミルトン形式では運動量自体を変数として用いるため、方程式は一階の常微分方程式となっている。ここで、速度と運動量は区別されなくてはならないことに注意する。なぜなら、一般化座標を取り替えたときに、一般化速度と一般化運動量の変換則はそれぞれ異なるからである。一般化速度の変換則は接ベクトルの変換則と同じであり、一般化運動量の変換則は余接ベクトルの変換則と同じである。さて、ハミルトンの変分原理によれば、運動は作用積分の停留点、すなわちを満たす相空間上の曲線として与えられ、それは上のハミルトンの正準方程式を満たすというものであった。しかし、シンプレクティック形式を用いれば変分原理を通ることなく、方程式を書き下すことが出来る。をシンプレクティック形式 (正準2形式) とするとハミルトンの正準方程式はと表される。ここで "X" はハミルトニアンHから定まるハミルトンベクトル場である。解析力学の相空間上のシンプレクティック形式 ω による定式化は、さらに一般のシンプレクティック多様体上へと拡張される。 ("M","ω") をシンプレクティック多様体とし、"H" を "M" 上の滑らかな関数とする。このとき、ハミルトンの正準方程式がやはり上と同じ形式で、と定義される。ただし、シンプレクティック多様体まで拡張してしまうと、ハミルトン形式に対応するラグランジュ形式は一般には見付けられない。運動方程式は、ラグランジュ形式においては一般化座標と一般化速度とを用いて、2階の常微分方程式系(オイラー・ラグランジュ方程式)として記述された。それに対して、ハミルトン形式においては、一般化座標と一般化運動量とを用い、1階の常微分方程式系(ハミルトンの正準方程式)により運動が記述された。しかし、ハミルトン形式において最も特徴的なことは、方程式が対称的であり、かつ、一般化座標と一般化運動量の2つが独立に扱われることである。この事実は、系の対称性や可積分性を調べるにはハミルトン系のほうが都合がよいことを意味する。なぜなら、ラグランジュ形式は配位空間上の対称性しか扱わないのに対して、ハミルトン形式は相空間(=配位空間の余接バンドル)上の対称性をも扱うからである。つまり、ハミルトン形式の方がより多くの変換が許容される。運動方程式を求積するには第一積分(保存量)が必要である。(ハミルトニアンとは独立な)第一積分の数だけ方程式の自由度を落とすことができるからである。第一積分を使って、方程式の自由度を削減する方法を一般に簡約化という。第一積分を見つけることは系における対称性を見つけることに等しい。系が対称性をもてば、その対称性に対応する保存量を見付けられるからである。例えば、並進対称性があれば運動量が保存し、回転対称性をもてば角運動量が保存する。このように、系の対称性と第一積分の存在との関係を一般的な状況下で研究したのは、ネーターが最初であるとされる。彼女は現在ネーターの定理と呼ばれる次の定理を示した。という第一積分をもつ。ここでは 1パラメータ変換群 {φ} の無限小変換である。ネーターの定理はハミルトン形式に対しても同様に成り立つ。"T"N" を正準2形式を持つシンプレクティック多様体とし、{φ} を "T"N" 上の完全シンプレクティック変換の 1パラメータ族とする。もし、ハミルトニアン "H" が {φ} の作用で不変ならば、{φ} の無限小変換は "T"N" 上のある関数 "G" のハミルトンベクトル場であり、関数 "G" はハミルトン系の第一積分である。関数 "G" がハミルトン系の第一積分であることと、"G" がハミルトニアン "H" とポアソン可換、つまり {"H
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。