ダッソーブレゲー シュペルエタンダール ()は、フランスのダッソーブレゲー社が開発した遷音速の艦上攻撃機。フランス海軍とアルゼンチン海軍が採用した。1978年より実戦配備され、総生産機数は85機。フランス海軍が1970年代にエタンダールIVの後継機として開発を要求したものである。当初はSEPECAT ジャギュアの採用が予定されたが、性能が要求を満たせず計画は中止となり、ダッソー社から独自に提案されていたエタンダールIV Mの改良発展型の採用を1973年に発表した。対艦ミサイル「エグゾセ」と同時に開発が進められ、原型機は1974年10月28日に初飛行し、量産型初号機は1977年11月24日に初飛行した。1978年6月からフランス海軍への引き渡しが開始され、1983年に生産終了となっている。なお、最高速度が遷音速域(マッハ1.3程度まで)にとどまる本機は、専用の空対空レーダーも備えておらず、空戦能力は限定的であるため機種としては攻撃機に分類される場合が多い。しかし、実際には兵装搭載量が2.1tと純粋な作戦機としては少なく、また航続性能にも難があり増槽の携行を必須とする。そのため、アメリカ海軍の艦上攻撃機に比べても打撃力は非常に小さなものとなっている。導入初期には核兵器の運用能力を有していなかったが、1985年にダッソー社から提案された近代化改修計画によって、核弾頭搭載の巡航ミサイル「ASMP」の運用能力が付与された。現在では、戦略原潜と並んでフランス海軍の核戦力の一つとなっている。なお、フランス海軍では2016年ごろをめどに、マルチロール機ラファールMへの更新により、シュペルエタンダールを退役させる予定である。シュペルエタンダールの機体フレームはエタンダールIVと90%近い共通性が持たされている。主翼前縁は完全に設計変更され、後縁フラップも大型化したため、エタンダールIVと同等の離着艦性能を維持している。エンジンは推力強化型のSNECMA製アター8K-50ターボジェットエンジンに変更され、総重量も増加した。これに伴い、主翼の高揚力装置も大幅に強化されている。各種アビオニクス類も完全にアップグレードされており、機首レーダーにはトムソン-CSF社とダッソー・エレクトロニク社が共同開発したアゲブIバンド・モノパルス・レーダーを搭載し、サジェム/キアフォット社製ETNA航法/攻撃システム、サジェム/キアフォット社製SKN602慣性航法装置なども搭載されている。このほかにも、クローゼ66エア・データ・コンピュータと航法表示装置および兵装管理システム、トムソン-CSF社製VE-120ヘッドアップディスプレイ、戦術航法装置(TACAN)、電波高度計などを装備し、コクピット前方には空中給油用プローブの装着も可能になっている。1985年にダッソー社が発表した改修計画案では、艦載運用以外に不必要な一部器材を撤去し、その空きスペースを利用して最新の高性能攻撃/航法システムを搭載するものとしていたが、フランス海軍からは、それよりもさらに攻撃能力の向上が要求され、1986年から近代化改修が開始された。この近代化改修計画での最大の主眼は、核弾頭を装備可能なASMP巡航ミサイル携行能力の付与で、胴体中心線下に1発が携行できるようになった。また、レーダーもダッソー・エレクトロニク製アネモネ・レーダーが搭載され、対地/対洋上モードやグラウンド・マッピング・モードが強化されている。さらにコクピットにはHOTAS概念が導入され、ヘッドアップディスプレイも22度の広視野型となり、TVあるいは赤外線画像の表示可能なラスター・スキャン型になっている。航法装置ではサジェム/キアフォット社製慣性プラットフォームが追加され、兵装およびエア・データ・コンピュータはUAT90に変更されて演算能力が高められ、レーダー警戒受信装置、VCN65電子戦表示装置の装備などによって自己防御能力も強化された。機体フレームの強化も合わせて実施され、寿命飛行時間が6500時間に延ばされた。この改修型シュペルエタンダール初号機は1990年10月5日に初飛行し、ダッソー社ではさらに2機の試作改修機を製作して実用化への飛行試験を実施し、1993年から量産改修作業が開始された。改修予定機数は当初、40機程度が予定されていたが、ラファールMの実用化が遅れたことから、54機に追加された。なお、2003年には前方監視赤外線(FLIR)、地形参照航法装置を装備し、夜間作戦能力を向上させるスタンダード5仕様へのアップグレードが計画され、一部の機体への改修作業が開始された。アルゼンチン海軍には14機採用されている。1982年に発生したイギリスとのフォークランド紛争では、イギリス艦船に対してエグゾセ空対艦ミサイルを使用し、イギリス海軍の駆逐艦「シェフィールド」やコヴェントリーをはじめとする複数の艦船や傭船を撃沈するなど大きな被害を与え、その結果イギリス海軍に空母機動部隊のフォークランド諸島接近をあきらめさせるなど、戦局を左右するほどの大活躍をし、同機の名前を一躍世界的に有名にさせた。イラン・イラク戦争においてイラクが発注したミラージュF1の納入が遅れたため、つなぎとして5機がイラク空軍に貸与され、主にイラン向けタンカーに対しての通商破壊やイラン艦艇への攻撃に使用された。これらは、失われた1機を除いてミラージュF1納入後にフランスに返還された。詳細はイラン・イラク戦争における航空戦を参照。
出典:wikipedia
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