入玉(にゅうぎょく)とは、将棋で一方の玉将(玉)または王将(王)が敵陣(相手側の3段以内、自分の駒が成れるところ)に入ることを言う。将棋の駒は、玉将・飛車(竜王)・角行(竜馬)以外のほとんどの駒は前方には強いが後方には弱い上、敵陣内では歩兵・香車などを容易に成らせることができるため、相手の玉将が入玉し、後方に陣取られてしまうと、詰めるのが非常に困難になる。このため、両者の玉将が入玉したときは、両者の合意によって対局を中断して点数計算を行う。点数計算は、自分の盤上の駒と持ち駒を、として合計する(駒落ち将棋の場合は、落とした駒が上手にあると仮定して計算する。また駒落ち将棋の場合、相入玉した場合は無条件で上手の勝ちとするルールもある)。この方法で点数を計算し、24点に満たないほうを負けとし、両者とも24点以上の場合は引き分けになる。この引き分けを持将棋(じしょうぎ)と言う。公式戦では、通常は先手と後手を入れ替えて指し直す。ただし、タイトル戦の番勝負においては、独立した1局と数えるため(千日手の場合は、千日手局と指し直し局を合わせて1局と数える)、即日指し直しは行われない。その代わり番勝負の本来の局数を超え、例えば七番勝負で第8局に突入する可能性があり、実際に2015年度の女流王座戦では、第3局が持将棋となった関係で五番勝負が第6局に突入している。千日手と比べると持将棋の頻度は少なく、タイトル戦での持将棋は2014年まで過去11例のみ。直近では1992年度後期の棋聖戦第2局(谷川浩司棋聖対郷田真隆五段)のあと、2014年の王位戦第3局(羽生善治王位対木村一基八段)まで約22年間も間隔が空いている。アマチュアの場合は、時間短縮の目的で引き分けを極力なくすため、27点法を採用することがある(駒の損得が全くない場合、先手・後手とも27点になる)。得点計算は同じであるが、27点未満の方を負けとし、同点の場合を後手の勝ちとする場合が多い。また、宣言法を取り入れることもある。公式なルールではないが、一部の将棋クラブではトライルールを採用するところもある。持将棋は対局者両者の合意によって取り決められるが、まだ敵陣に玉将が入っていない段階でも、入玉が確実であれば入玉したものと見なして合意に至ることもある。2007年2月16日に行われた朝日オープン将棋選手権の久保利明対阿久津主税戦では、久保玉が入玉、阿久津玉が自陣3段目にあり、駒数の点数は久保が大きく足りない状態であったが、阿久津の提案によって持将棋となった。このタイミングでの持将棋の提案は早すぎるのではないかとして話題になったが、対局中は常に局面をリードし、駒数でも有利であった阿久津側からの提案であったことと、持将棋のルールが合意によるものであるため問題にはならなかった。なお、持将棋指し直し局は阿久津が勝利している。宣言しようとする者が、次の各条件を満たしたときに、自分の手番で着手せずに宣言を行うと勝ちとなるルール。宣言をしようとする場合、宣言する旨告げ、対局時計を止める。宣言をして、以上の条件を一つでも満たしていない場合は宣言した者の負けとなる。トライルールとは、初期配置の相手玉の位置(先手なら5一、後手なら5九)に相手の駒が利いていないとき、その位置に自分の玉を進めるとトライとなり、その場で勝ちとなるルールである。トライルールの初出は『近代将棋』1983年11月号でプロ棋士の武者野勝巳が、読者投稿の入玉規定の改善案として2案を紹介した記事のうちの1案であり、「持将棋“トライ”勝利案」という名称がつけられている。また『将棋世界』1996年8月号でプロ棋士の先崎学が、前述の記事とは独立に(あるいは知らず知らずのうちに影響を受けて)自著のコラム上で発表したものであり(後に『世界は右に回る 将棋指しの優雅な日々』に収録)、「トライルール」という名称もそのときに使用された。2013年9月18日に指された第61期王座戦第2局では、後手の中村太地六段の玉が5九に到達した(162手目)が、プロ棋士の将棋ではトライルールは採用されていないためゲームはそのまま続き、その後羽生善治王座が後手玉を押し返し、203手で勝利している。どうぶつしょうぎにおいてはトライルールに近い勝利条件が採用されており、相手のライオン(玉将に相当)を詰めるほかに、自分のライオンを敵陣1段目まで進めても勝利となる(その場所に相手の駒が利いていない場合に限る)。コンピュータ将棋はプロとも互角に戦えるほどに進化したが、評価関数を機械学習させる場合、過去のプロ棋士の対戦棋譜から教師あり学習を採用するのが一般的である。しかしプロ同士の対局でも入玉となったケースはそれほど多くないため、結果として学習が他の戦法と比べて不十分になり入玉模様になると急に棋力が落ちる現象が発生する。これを利用して対コンピュータ将棋の戦法として使われることがある。
出典:wikipedia
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