工業高等学校(こうぎょうこうとうがっこう、technical high school)とは、主に工業や産業についての専門技術や知識を習得することを目的とする高等学校。ISCEDではレベル3Cに位置づけられる。狭義には「工業に関する学科」(工業科)を中心に学科が構成されている職業高等学校を指し、広義には「工業に関する学科」や「工業の課程」を設置する高等学校全般を指す。狭義の場合には、名称に「工業」が含まれていることが多い。最近は名称を工科高等学校(こうかこうとうがっこう)や総合技術高等学校(そうごうぎじゅつこうとうがっこう)に変えている学校も出てきている。工業高等学校は、地域の産業技術の次世代の担い手になる有為の人材を育成することを主眼にして、工業、産業の技術習得に関する教育課程を編成している。教育活動の対象となる専門分野には、さまざまなものがあり、教育課程は、各地域特有の産業分野の後継者の育成を念頭においたものも見られる。
資格取得や検定取得に熱心な高校が多いのが特徴で、取得した資格や技能は就職活動や将来の生業において大きな糧となる。このため、東北地方などの一部の地域では普通高校(進学校を除く)より入学難易レベルの高い高校も存在する。
また、一部の工業高等学校では、高等専門学校(高専)に不合格になった受験生が多く集まる場合もある。これは高専が工業を中心としたカリキュラムを組むことがほとんどなことから、高専を第一志望、工業高等学校を第二志望にしている受験生が多いことに起因し、その結果、学力レベルが比較的高い工業高等学校ではこのような事態が起こる。工業高等学校や工業科を置いている高校のほとんどが、社団法人「全国工業高等学校長協会」(全工協会、全工協)の会員校となっており、資格取得や各種検定において強い影響力を持っている。各種検定や全国製図コンクール・ロボット競技大会は全工協会が主催となっているものが多い。(※全工協会の項参照)公立の高校では原則男女の制限はないが、実際は男子が多く集まることが多いようである。機械や電気分野では男子が多く集まることが特徴であるが、デザイン系や建築系の学科は女子が多数集まる場合もある。私立高校では男子校として募集している高校も多い。文部科学省の学校基本調査によれば、工業科の学科数(学校数)、工業科で学ぶ生徒数および全高校生に占める比率は次のようになっている(学校基本調査および毎年度刊行される『文部科学統計要覧』より引用)。
生徒数のグラフの色は、は5年ごと、はその他の年のデータを示す。表の見方一学年当たりの生徒数は約10万人(2005年頃)であり、大学理系(工学部および理学部の学生数は約8万人)とほぼ同数で、工業高専のほぼ10倍に当たる。また、工業科併設校を含めた学校当たりの平均規模は、学年当たり生徒数130人となる。多くの工業高等学校で設置されている学科には、次のようなものがある。学科の分類は、現行の『高等学校学習指導要領解説(工業編)』の科目分類を参考にした。このほかにもさまざまな学科があるが、詳しくは「工業 (教科)#工業に関する学科」を参照。特色のある工業科を設置する普通科高校・総合学科のある高等学校職業教育を行う「専門学科」を主体とし、実践的な専門教育が行われていることから、就職希望の生徒も多く、技能職として企業への就職を目指す傾向が強かった。しかし、1990年代からは、大学や専修学校専門課程(専門学校)へ進学する者も多くなっている。現在は半数以上の生徒が進学している工業高等学校も多く存在する。また就職した場合も、大学の夜間課程などへの修学を支援する企業もある。また専門教科に属する科目の授業数が多いことから、普通科に比べて普通教科に属する科目の授業数が少なく、一般入試による大学受験は不利である一方、「工業に関する学科」(工業学科)などからの推薦入学枠を設けている大学も存在する。伝統のある工業高等学校では、地元企業や大手企業(電力会社や自動車関連企業など)との信用関係があり、現業系社員として就職する場合が多い。また中小企業では「工業に関する学科」の卒業者を対象として求人を行う企業も多く、結果として学校が紹介する就職について、就職希望者の内定率については100%であると自負する高校も多い。そのため、各校では就職を昔から重視し、面接指導を多く行ったり、進路指導室を積極的に開放したり、マナーや履歴書の書き方講座、小論文対策や採用試験対策などを実施し、少しでも就職に有利に働くようにとさまざまな対策を行っている。なお、建築業や町工場などの家業を継ぐために特定の資格取得を目的として入学する生徒もいる。そのため家業を継ぐ場合、あるいは家族・親戚が就職している会社や関連会社に生徒が就業する場合、就職(自営)という形でカウントしている場合が多い。通常、各校には指定校推薦(工業推薦)の定員が用意されており、生徒はこの制度を利用して大学へ進学する。高校側は自校に対して定員を設けるよう大学側に依頼するなど、大学との関係を強化している。主に私立の理工系大学、総合大学の理学部・工学部・理工学部に指定校推薦枠が存在する(国公立大学は指定校推薦を原則として行っていないが、工業高等学校推薦枠は存在する)。各校では面接試験対策の指導や小論文対策の指導を重視し、また志望理由書や履歴書の資格アピール欄などの添削を積極的に行い、教科学習で良好な成績を修めること、遅刻早退をしないこと、課外活動をはじめとする校内活動を積極的に取り組むこと、多くの工業関連資格を取得することを奨励し、大学へのアピールを1つでも増やすよう指導している。工業高等学校は、大学の理系分野で必修の英語・数学・化学・物理学の授業が普通科に比べて少なく、そのため推薦入学を希望する場合は、大学入学レベルまでの補完的な勉強を行わねばならない。その一方、日本工業大学のように、工業高校での専門教科(製図など)や基礎教科の履修等で、高校での取得単位を反映させたカリキュラムを組んでいるところがある。1990年代以降、少子化の影響で指定校推薦に変化が生じており、文系大学や文系学部が工業高等学校に対して、指定校推薦の定員を設けるようになってきている。また、公立高校と各大学が連携して進学を支援する高大連携や、全国工業高等学校長協会による特別推薦による募集もある。
出典:wikipedia
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