統一原子質量単位(とういつげんししつりょうたんい、記号 u)またはダルトン、ドルトン(、記号 Da)は、微小な質量を表す単位である。かつては原子質量単位(記号 amu)とも言ったが、この名と記号は現在は非公式である。ダルトンと Da はかつて非公式だったが、2006年に国際度量衡局 (BIPM) により承認された。統一原子質量単位とダルトンの定義は全く同じで、静止して基底状態にある自由な炭素12 (C) 原子の質量の1/12と定義されている。国際単位系 (SI) では共に、SI単位ではないがSIと併用できるSI併用単位のうち、「SI単位で表されるその数値が実験的に決定され、したがって不確かさが伴う単位」に位置付けられている。統一原子質量単位と原子質量単位は、厳密には別の単位である。原子質量単位にはかつて複数の定義があり、それらを統一したのが統一原子質量単位である。このような経緯があるため、原子質量単位の使用は推奨されていない。統一原子質量単位の記号 u は「統一 ()」に由来し、amu の3文字目のように「単位 ()」に由来しているわけではない。したがって、原子質量単位の記号を u とするのは誤りである。ダルトンの名は、近代原子論を提唱したジョン・ドルトンに由来する。日本では単位名は「ダルトン」とすることが多いが、英語での発音は「ドルトン」もしくは「ドールトン」である。なお、統一質量単位 () は電子ボルトに対応する質量(eV / "c" ≒ 1.783 kg) であり、統一原子質量単位とは全く異なる。1 u のCODATA推奨値はである。括弧内は拡張不確かさ。定義より、厳密にである。炭素12の質量数(陽子数と中性子数の合計)は12なので、核子(陽子と中性子)の質量はほぼ 1 u である。ただし実際はわずかに重く、である。これは、自由な核子が高い核エネルギーを質量の形で持っているからである。しかしこの程度の差異を誤差として許容するなら、質量数 "A" の原子の質量はおよそ "A" u であるといえる。統一原子質量単位(あるいはダルトン)の定義は、「12 g の炭素12の物質量」とされるモルの定義の裏返しになっており、である。つまり、ある分子等の質量を統一原子質量単位で表した数値は、その分子からなる純物質 1 mol(アボガドロ定数個の分子)の質量をグラムで表した数値に等しい。統一原子質量単位やダルトンは「原子量を表す単位」と誤解されることがある。しかし、u や Da が表すのが質量であるのに対し、原子量は質量ではなく、原子の質量と 1 u との比であり、無次元量である。したがって、原子量を u や Da で表すことはできない。例えば「炭素12の原子量は12」「炭素12の質量は 12 u」「炭素12の質量は 12 Da」は正しいが、「炭素12の原子量は 12 u」「炭素12の原子量は 12 Da」は間違いである。ダルトンにはSI接頭辞を付けることができる。通常使われるのはミリダルトン (mDa)、キロダルトン (kDa)、ギガダルトン (GDa) である。統一原子質量単位にSI接頭辞を付けることは、禁止されている訳ではないが、実際にはほとんどない。ミリマスユニット (, mmu) という非公式の単位もあり、1 mmu = 1/1000 u = 1 mDa とされるが、SI接頭辞のシステムと整合性がなく、使用は推奨されない。20世紀初頭、酸素O原子の質量の1/16が(「統一」のない)原子質量単位と定義されていた。しかし1929年、酸素の同位体 O と O が発見されると、「酸素」と呼ばれているものは各種同位体の混合であり、「酸素原子の質量」とは、各同位体原子の質量の、同位体比に応じた平均であることが明らかになった。そしてまもなく、その同位体比も一定ではないことが明らかになり、原子質量単位の定義は不確実になった。物理学の世界ではこれに対し、酸素16 Oの質量の1/16 定義された新しい原子質量単位 () を使うようになった(これにより、従来の値は変更しなくてはならないという問題も出てきた)。一方、化学の世界では従来の定義の原子質量単位 () を使った。こうして2つの定義が混在することとなった。これらを現在の統一原子質量単位で表すととなり、約 1/3600 の差がある。この混乱を解消するため、国際純粋・応用物理学連合 (IUPAP) と国際純正・応用化学連合 (IUPAC) が協議し、1960年、炭素12 C 原子の質量の1/12である統一原子質量単位が定められた。この定義は、核種を特定することで同位体比の問題をなくしつつ、化学系amuに最も近く従来の数値を変更する必要がないように選ばれた。このとき、単位記号も新しく、統一 (unified) からuと定められた。(「統一」のない)原子質量単位が「炭素12の質量の1/12」と公式に定義されたことはないが、現在ではほぼ常に、統一原子質量単位と同じ「炭素12の質量の1/12」の意味で使われる。ダルトンは古くから使われていた単位で、長らく公式の定義がなかったものの、1960年までは物理学的amuと同じ「酸素16の質量の1/16」、1960年以降は統一原子質量単位と同じ「炭素12の質量の1/12」の意味で使うことが多かった。2006年、国際度量衡局はダルトンを、統一原子質量単位と全く同じ定義の単位としてSI併用単位に採用した。原子、イオン、分子(DNAやタンパク質などの巨大な高分子を含む)の質量を表すのに使われる。大きなものではリボゾームのような複数個の超高分子の複合体にも使われる。ただし、生化学で生体高分子や複合体の質量を表すときには、主にダルトンが使われる。ダルトンがSI併用単位になる前の書籍等では「ダルトンが使われるが正式には統一質量単位を使うべきである」などとされていた。
出典:wikipedia
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