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年次有給休暇

年次有給休暇(ねんじゆうきゅうきゅうか)とは、労働者の休暇日のうち、使用者(雇用主)から賃金が支払われる有給の休暇日のことである。「年次」とある通り、1年ごとに毎年一定の日数が与えられる(国により与えられる最低日数は異なる)。有給休暇、年次休暇、年休、有休などといわれることが多い。年次有給休暇は1936年の国際労働機関(ILO)第52号条約によって定められた。第54回総会で1970年6月24日に採択されたILO第132号条約では、労働者の有給休暇は1年勤務につき3労働週(5日制なら15日、6日制なら18日)以上とされている。また、休暇は原則として継続したものでなければならず、事情により分割することができるが、その場合でも分割された一部は連続2労働週以上でなければならない。また、原則として放棄してはならないものとされている。日本で年次有給休暇が導入されたのは戦後の1947年に定められた労働基準法による。制定当初は当時のILO52号条約に定められた最低日数(6日)に倣って労働基準法でも最低日数を6日としていたが、同条約他、国際条約等での日数引き上げに対応して1988年に最低10日に引き上げられた。もっとも日本はILO第52号・第132号条約ほかILOの労働者保護に関する条約のほとんどを批准していない。また権利取得のために一定以上の出勤率を要求することも諸外国には見られない規定である。第39条は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るとともに、ゆとりある生活の実現にも資するという趣旨から、毎年一定日数の有給休暇を与えることを規定している(平成21年5月29日基発0529001号)。年次有給休暇は労働者が休暇の時季指定をし、使用者による有効な時季変更権の行使がないとき(時季変更権の行使を解除条件として)に成立し、年次有給休暇が成立すると、その時季指定された日について労働義務が消滅する。法律上当然に労働者に生ずる権利であり、労働者の請求を待って初めて生ずるものではない。使用者の許可や承認は不要であり、そのような観念を容れる余地そのものがない。労働者が年次有給休暇の取得を請求する際の「請求」とは、休暇の時季の指定であり、この請求があった際に使用者が判断する要素は時季変更権の行使の可否のみである。休暇に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項とされていて(第89条)、使用者は年次有給休暇に関する事項を就業規則に記載しなければならない。また労働条件の絶対的明示事項ともされていて(第15条)、使用者は労働契約締結に際して労働者に対して年次有給休暇に関する事項を書面で明示しなければならない。なお、管理監督者等の、いわゆる第41条該当者においても、年次有給休暇の規定は適用される(昭和22年11月26日基発389号)。世界各国の年次有給休暇の取得率と比較して日本の年次有給休暇の取得率は並外れて低いことが問題視されており、こうしたことが長時間労働や働きすぎを招いており、健康を害したり、精神疾患(うつ病など)や過労死、過労自殺に至る労働者が後を絶たない原因と考えられている。2010年の経済財政白書では3 消費活性化への課題(2)現役世帯の直面する時間と空間の壁をどう克服するか●有給休暇の完全消化で大幅な個人消費の拡大が可能、としており。有給休暇の延べ残日数を1年で約450,000,000日程度と試算、これは1年を約365.25日とすると約12,320年120日になる。これが完全に消化されたと仮定して、雇用者1人につき1日当たり1,000円の追加的な消費が行われた場合。控え目に見てもGDPの約0.1%の個人消費が誘発され。長期の家族旅行などが追加的に行われるならより大きな効果も期待できるとしている。平成18年4月に施行された「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」の第2条では、「事業主はその雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び就業の時刻の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない」、と定めている。使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない(第39条第1項)。さらに1年間、8割以上継続出勤するごとに有給休暇は10労働日に加えて勤続2年6箇月目まで1労働日ずつ加算して付与され、勤続3年6箇月目からは2労働日ずつ加算して付与される。勤続6年6箇月経過時には20労働日に達し、以降は1年間の継続勤務ごとに20日を付与すればよい(第39条第2項)。付与日数は、具体的には、以下の表の通りである。この日数はあくまで法定の最低基準(第1条)であり、これを減ずることはできない。1週間の所定労働日数が4日以下かつ所定労働時間が30時間未満の労働者、または1年間の所定労働日数が48日以上216日以下かつ所定労働時間が30時間未満の労働者については、その労働日数に比例した年次有給休暇が与えられる(第39条第3項、施行規則第24条の3)。これを年次有給休暇の比例付与という。年次有給休暇の比例付与に該当する労働者における年次有給休暇の付与日数は、以下の表の通りである(労働基準法施行規則第24条の3)。比例付与の場合も、あくまで最低基準であるため、上記を超える日数を労使間で協約しているときは、その超過日数分については、第39条によらず労使間で定めるところによって取り扱って差支えない。なお、付与日数は権利発生日の身分によって決定されるので、例えば入社時には比例付与の対象者であったとしても、6箇月経過日(権利発生日)に比例付与の対象者でなくなっていたとすれば、第39条第3項ではなく第1項により10労働日の年次有給休暇を付与しなければならない。また、年度の途中で所定労働日数が変更された場合でも、権利発生日における初めの日数のままとなる(すでに与えられた休暇日数に変更はない)(昭和63年3月14日基発150号)。認定職業訓練を受ける未成年の労働者については、継続勤務年数が6箇月目で12労働日付与され、以降はこの12労働日を基準として、勤続2年6箇月目まで1労働日ずつ加算して付与され、勤続3年6箇月目からは2労働日ずつ加算して付与される。継続勤務5.5年以上では1年ごとに12労働日に加えて8労働日を加算する(第72条)。職業訓練に関する特例の適用を受ける労働者については、ある種の労働条件について一般労働者より不利な取り扱いを受けることになるため、特に未成年者に対しては年次有給休暇について一般労働者より高い水準によって取り扱う趣旨である(昭和22年12月9日基発53号)。特例適用となる未成年労働者であったときに発生し、その年度内に行使されなかった年次有給休暇の請求権は、2年の時効によって消滅するまでは、たとえ労働者が適用未成年者でなくなったとしても、消滅することなく存続する(昭和34年5月4日基収2275号)。2010年4月より施行された改正法により、従来は日単位での取得しか認められていなかった年次有給休暇が、事前に労使協定を締結することにより1年に5日分を限度として時間単位でも取得が可能となった(第39条第4項)。比例付与の対象労働者であっても同様である。ただし、計画的付与として与えることはできない(平成21年5月29日基発0529001号)。労使協定が必要なため、労働者側だけが望んでも、また、使用者側だけが望んでも、この制度の利用はできない。なお、労使協定が成立した場合は、日単位で取得するか時間単位で取得するかについては労働者の意思によるものである(平成21年5月29日基発0529001号)。労使協定には以下の事項を定めなければならない。なお、当該労使協定は、行政官庁に届出る必要はない。使用者は、労使協定により、年次有給休暇の日数のうち5日を超える部分を労働者の請求する時季によらず、労使協定で定めた計画的時季に付与することができる(第39条第6項)。これを年次有給休暇の計画的付与、計画年休などという。計画年休で日付が特定されると、その後に事情が変わったとしても、使用者からも労働者からも、また両者が合意したとしても、その日付を変更することができない(昭和63年3月14日基発150号)。フレックスタイム制の適用を受ける労働者であっても同様である。いいかえれば、毎年度最低5日分の年次有給休暇は純然たる個人的利用に委ねられる。計画的付与は、当該付与日が労働日であることを前提に行われるものであり、退職予定者については退職後を付与日とする計画的付与はできない。請求しうる年次有給休暇日数が5日以下の労働者については、計画的付与の対象とすることはできない。当該労使協定は、行政官庁に届出る必要はない。また、当該協定は、労働基準法違反の罰則の適用を受けない免罰的効力のほか、当該計画的付与部分に対する労働者の時季指定権と使用者の時季変更権を消滅させる効力を有する。なお協定により事業場全体の休業による一斉付与を行った場合、年次有給休暇の権利のない者を休業させればその者に休業手当を支払わなければならない(第26条、昭和63年3月14日基発150号)。労働時間等の設定の改善に関する特別措置法では、事業主等の責務を適切に対処するための指針により、計画的付与制度の活用を図ることを事業主の努力義務としている(同法4条、平成22年12月9日厚労告409号)。使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季(法文上「時期」ではなく「時季」)に与えなければならないのが原則である(第39条第5項)。使用者は、労働者の請求する時季に有給休暇を与えると事業の正常な運営を妨げる場合に限り、例外的に他の時季にこれを与えることができる(第39条第5項但書)。これを時季変更権という。事業の正常な運営を保持するために必要あるときは年度を超えての変更や、労働者の意に反する場合においても時季変更権を行使できる(昭和23年7月27日基収2622号)。時間単位での請求に対する変更もできる。ただし、日単位での請求に対して時間単位に変更したり、時間単位での請求に対して日単位に変更することはできない(平成21年5月29日基発0529001号)。時季変更権の行使要件は「事業の正常な運営を妨げる場合」であり、個別的具体的に客観的に判断される。単に業務多忙という理由では行使はできない。代替勤務者の確保や勤務割を変更するなどの努力せずして時季変更権の行使は許されない(横手統制電話中継所事件、最判昭和62年9月22日)。なお派遣労働者の場合は、「事業の正常な運営」の判断は、派遣元の事業についてなされる(昭和61年6月6日基発333号)。使用者に与えられている時季変更権は、文字通り有給休暇を与える時季を変更することができる権利であって、労働者からの有給休暇の取得請求そのものを拒否できる権利ではない。争議行為の例外を除き、使用者には一切の拒否権がないので、労働者に対する有給休暇の付与を拒否することはできず、労働者の請求により発生した与えるべき有給休暇を後から取り消す余地も当然にない。なお、使用者が時季変更権を行使せず労働者の請求通りに有給休暇を与えることを一旦決した後に時季変更権を行使する場合、時季変更権の行使要件を満たしたうえでの正当な権利行使でない限りは時季変更権を行使することは当然できない(全日本空輸(大阪空港支店)事件、大阪地判平成10年9月30日)。時季変更権の行使時、事由消滅後は可能な限り速やかに休暇を与えなければならないとされる(昭和23年7月27日基収2622号)。この時季変更権の行使によって労働者の指定した日付での使用を認めない場合には、代替の日付を同時に指定する必要はなく、具体性のない先送りでも認められるとする高裁判例がある(JR東日本(高崎車両区・年休)事件、東京高判平成12年8月31日)。この判例では、年休取得時季を変更しても、会社は労働者に別の時季を指定する義務を負わないとされている。時間単位年休の場合、時季変更権の行使のためであっても、あらかじめ労使協定で時間単位年休を取得できない時間帯を定めておくこと、所定労働時間の中途に時間単位年休を取得することを制限すること、一日において取得できる時間数を制限することは認められない(平成21年5月29日基発0529001号)。しかし、時季変更権を使用者が行使した場合、その可否を判断するのは民事的な問題であるため、労働基準監督署では判断する権限はなく、判断を求めるには裁判所での判断が必要になる。このため、実質的に、使用者が時季変更権を行使すると主張した場合、それを否定することは事実上は労働者にとっては困難なものとなる。労働者の年次有給休暇取得の請求目的が労働者の所属する事業所に対する争議行為(ストライキ等)に参加するためであった場合は、使用者はこれを拒否できる(応じてもよい)(昭和27年7月25日 基収第3821号)。既に年次有給休暇を与えることを使用者が承認した後においても、労働者がその日に争議に参加した場合には、使用者はその日を年次有給休暇として取り扱わなくても違法ではない。争議行為当日まで年次有給休暇取得の請求がなく、後日振り替えで申請があった場合も同様である。労働者がその所属の事業場においてその業務の正常な運営の阻害を目的として一斉に休暇を提出して職場を放棄する場合は、年次有給休暇に名を借りたストライキにほかならないから、それは年次有給休暇とはならない。この例外は、あくまで労働者が勤務する事業所に対するストライキに参加する場合に限られる。労働者が他事業主体のストライキへの参加や関与のために年次有給休暇を請求した場合は除外される。また、争議行為が当該労働者の労働義務のない時間帯において行われた場合、年次有給休暇を争議行為に利用したことにならない(昭和42年8月11日基収3932号)。労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合、それが長期のものであればあるほど、代替勤務者を確保することの困難さが増大するなど事業の正常な運営に支障をきたす蓋然性が高くなり、使用者の業務計画、他の労働者の休暇予定等との事前の調整を図る必要性が生ずるのが通常であると解される。労働者がこうした調整を経ることなく長期かつ連続した年次有給休暇の時季指定をした場合、これに対する使用者の時季変更権の行使については、休暇が事業運営にどのような支障をもたらすか、休暇の時期、期間についてどの程度の修正、変更を行うかに関し、使用者にある程度の裁量的判断の余地が認められ、その裁量的判断が不合理なものでなければ適法とされる(時事通信社事件、最判平成4年6月23日)。実際には長期かつ連続した年次有給休暇を労働者が希望する場合には、あらかじめ会社の内部規定で一定日数以上前に上司に申し出ることや、公休日を年次有給休暇所得希望日に振り替える対応を行うことがある旨を定めておくことになる。負傷又は傷病等により長期療養中の労働者が休業期間中年次有給休暇を請求した場合には、年次有給休暇を労働者が病気欠勤等に充用することが許されることから、このような労働者に対して請求があれば年次有給休暇を与えなければならない(昭和24年12月28日基発1456号)。未消化分の年次有給休暇については、退職日までに全て取得が可能であるが、年次有給休暇は労働者と使用者間に労働関係が存在していることを前提としている制度であるため、労働者の退職日を越える時季変更は行えない(昭和49年1月11日基収第5554号)。したがって、退職する労働者につき年次有給休暇の未消化日数が存在し、未消化分の年次有給休暇の一部あるいは全ての消化を請求し退職日までの間に1日も出勤せず退職日を迎える状態になった場合、時季変更による代替日の指定が不可能となるため、使用者は行使要件を満たしていても時季変更権を行使できなくなる。年度途中で労働者が退職することとなったとしても、年度当初から退職日までの日数で按分した休暇日数を付与することはできないし、計画的付与日が退職後の日に設定されているからという理由で、請求を拒否することもできない。解雇予告した労働者が年次有給休暇の権利を有する場合、年次有給休暇の権利は解雇予告期間中に行使しなければ消滅する(昭和23年4月26日基発651号)。なお元労働者の競業避止義務違反を理由に損害賠償を求めた裁判において、解雇時の時季変更権行使であっても有効と判示した例がある(ライドウェーブコンサルティングほか事件、東京高等裁判所判決平成21年10月21日)。この観点では、退職日や解雇日に関わらず、時季変更権を行使しうる状況かあるかどうかのみが問題となる。この判例以降の判例はなく、今後はこの判例が踏襲される可能性が高く、同様の最高裁判決が出ると厚生労働省の通達が変更されることとなる。休暇を消化するのが退職日以降になってしまう場合は、退職日まで有効とし、それ以降は無効となる。ただし、法律で付与されるべき分を超える休暇に相当する分の買取、あるいは残日数に応じた金銭の調整的給付を事後に行うことは、在職時の年次有給休暇の取得を抑制することになるため、行政は消極的な見解ではあるが、否定をしてはいない。年次有給休暇は原則暦日で付与するものであるため、少なくとも当日の午前0時より前には申請する必要があり、午前0時を過ぎた当日に年次有給休暇を申請しても暦日はすでに始まっているため、年次有給休暇として取り扱う必要はない。少なくとも労働基準監督署では暦日による指導しか行われていない。また、会社によってはそれより以前の申請を義務付けている場合もあるが、少なくとも前日の所定終業時刻までに申請がされれば、時季変更権を行使する理由がなければ年次有給休暇を付与しなければならない。ただし、会社の定めた申請期限を過ぎたという会社の規定違反として社内処分を課すことは可能である。労働者の年次有給休暇の請求(時季指定)に対する使用者の時季変更権の行使が、労働者の指定した休暇期間が開始し又は経過した後にされた場合であっても、労働者の休暇の請求自体がその指定した休暇期間の始期にきわめて接近してされたため使用者において時季変更権を行使するか否かを事前に判断する時間的余裕がなかったようなときには、それが事前にされなかったことのゆえに直ちに時季変更権の行使が不適法となるものではなく、客観的に当該時季変更権を行使しうる事由が存し、かつ、その行使が遅滞なくされたものである場合には、適法な時季変更権の行使があったものとしてその効力を認めるのが相当である(此花電報電話局事件、最判昭和57年3月18日)。労働者が年次有給休暇を取得した労働日につき、欠勤として扱い処理することは許されない(昭和22年9月13日基発第17号)。なお、労働者において任意に遅刻その他の事情により就業にさしつかえた日を年次有給休暇に振りかえることはできないものと解すべきである(電気化学工業事件、新潟地方裁判所判決昭和37年3月30日)。欠勤日を労働者の請求により年次有給休暇に振り替える取り扱いが制度として確立している場合には、就業規則に規定することが必要である(昭和23年12月25日基収4281号、昭和63年3月14日基発150号)。年次有給休暇の利用目的は労働基準法の関知するところではなく労働者の自由であることから、労働者は年次有給休暇を取得する旨を事前に使用者に伝える必要はあっても、その理由までを使用者に伝える義務はない。所属する事業所に対するストライキが目的でない限り、有給休暇は「理由なし」も含めて理由の如何にかかわらず取得できるものであり、使用者は労働者に対しその理由をもとに年次有給休暇の取得を制限することはできないし(弘前電報電話局事件、最判昭和62年7月10日)、労働者が述べた理由が虚偽であったとしてもそのことをもって一度取得した年次有給休暇を使用者が取消すことはできない。なお、虚偽の理由による年次有給休暇の取得について、就業規則上の懲戒処分をすることは可能とする高裁判例がある(東京高判昭和55年2月18日)。そして、使用者が労働者に対し年次有給休暇の理由を聞くことを禁止・制限する法律はなく、実際には他の労働者との年次有給休暇取得の優先順位の調整等のために理由を聞くことは多く行われているし、違法なこととはされていない。休職命令により従来所属していた配属を離れ、以後は単に会社に籍があるにとどまり、会社に対して全く労働義務が免除されることとなる場合において、休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は年次有給休暇の請求はできない(昭和24年12月28日基発1456号)。労働組合の専従期間や病気休職期間中、育児休業申出後の育児休業期間等についても同様である。一方、育児休業申出前に年次有給休暇の時季指定をした場合、その後、当該指定した日を含めた期間について育児休業を取得した場合、すでに年次有給休暇が成立しているので、その日は年次有給休暇の日となる。休暇日における賃金は、就業規則等で定めるところにより、取得日における契約内容によって、次のいずれかに基づいて支払わねばならない(第39条第7項)。労働者各人についてその都度使用者の恣意的選択を認めるものではない(昭和27年9月20日基発675号)。時間単位年休の場合は、上記の額をその日の所定労働時間数で除した額となる。また、出来高払制その他の請負制による場合は、その賃金算定期間によって計算された賃金総額を当該総労働時間数で除した金額に、当該期間における1日平均所定労働時間数を乗じた金額が「通常の賃金」となる。変形労働時間制を採用している事業場における時給制労働者については、各日の所定労働時間に応じて算定される(昭和63年3月14日基発150号)。年次有給休暇の賃金は、有給休暇を与えた直後の賃金支払い日に支払わなければならない(第24条、昭和29年6月29日基発355号)。年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えないことは、第39条違反である(昭和30年11月30日基収第4718号)。つまり、法律で付与されるべき年次有給休暇について、事前に買取の予約をすることによってその日数を減じないし与えないことは、禁止されている。法の趣旨はあくまで「現実の休暇の取得」であり、金銭による補償を行ったとしても年次有給休暇を与えたとみなすことはできない。法定日数を超える日数を労使間で協約しているときは、その超過日数分については、第39条によらず労使間で定めるところによって取り扱って差支えない(昭和23年3月31日基発第513号、昭和23年10月15日基収3650号)ため、使用者が買取予約により消滅させることも可能である。なお、法定日数分の年次有給休暇につき、労働者がその権利を行使せず時効や退職等の理由でこれが消滅するような場合、残日数に応じて調整的に金銭の給付をすることは、事前の買取と異なるため、法の趣旨からは外れるが、必ずしも禁止されていない。年次有給休暇の買取をした場合、金銭の如何に係わらず給与所得にあたり、また社会保険料・労働保険料の算定にあたっては、賃金給与として算定の基礎となる。退職時に未消化の日数分を買取る場合は退職所得として計算する。買取額については一般的に労使で任意に定めることとなるが、金額は会社によってさまざまである。年次有給休暇の消滅時効は、年次有給休暇が取得可能となった時点を起算日として2年である(第115条、通達)。労働者が年次有給休暇の取得請求をせずにこの消滅時効にかかった年次有給休暇の未消化分については、全て無効となる。就業規則等で「年次有給休暇は翌年度に繰り越してはならない」と規定しても、年度経過後における年次有給休暇の権利は消滅しない(昭和23年5月5日基発686号)。ただ、できるだけ年度内に有給休暇を取らせる趣旨の規定を設けることは差支えない。第39条各項に違反した使用者(第39条各項は使用者の義務を定めているので、違反した使用者に対する罰則となる)は、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる(第119条第1号)。年次有給休暇を取得した労働者に対して使用者が賃金の減額その他不利益な取扱いをすることは禁じられている(第136条)。ただし、第136条に違反した使用者に対する直接的な罰則は定められておらず、強制力がないと解されている。すなわち、年次有給休暇を取得した労働者に対して使用者が各種の不利益な取扱いをすることは当然に違法であるが、違法であることをもって当該取扱いが無効になるとは限らない。年次有給休暇を取得した労働者に対して使用者が各種の不利益な取扱いをすることは際限なく認められるものではなく、不利益な取扱いの程度によっては認められない。年次有給休暇を取得した労働者に対する不利益な取扱いが第39条で保障されている労働者の年次有給休暇の取得する権利の行使を抑制したり、その権利を保障した法の趣旨を実質的に失わしめる取扱いと認められる場合は、その取扱いは公序良俗に反し無効となる(民法第90条)。年次有給休暇は、年次有給休暇が取得可能となった時点を起算日として2年で消滅時効にかかる(第115条、通達)が、前年度分の有給休暇取得権利を翌年に繰り越した場合の取り扱いについて、就業規則等に記載があればその見解が適用されることになるが、ない場合には争いがある。労働基準法では、有給休暇を取得した際に、前年度分の残日数から消化するのか、今年度付与された分から消化するのかを規定していない。学説では、2つの見解に分かれる。1つは一般的な解釈に基づき「前年よりの繰越分から消化する」とする説で、もう1つは法律的には常識的な民法489条2号を根拠に「当年付与分から消化する」とする説である。前者で推定すべきとする説では、後者については法で取り決めされている労働者の権利である年次有給休暇を付与することが使用者の債務に当たるかについて疑義があり、民法第489条第2号による必然性はないとされ、労使間での合意により取り決めされていない限りは前年度よりの繰越分から年次有給休暇を消化するものと解釈されている。なお、就業規則等で今年度分から消化すると定めてさえしまえば、今年度分からの消化をさせることもできる。後者で推定すべきとする説では、法律上の権利であるのだから当然に法律の一般原則である民法が適用され、「労働者が年休を請求してきた場合、使用者は当該年度のものから使用することを指定でき、使用者がその指定をしなければ、労働者は前年度のものから使用することを指定できる。ただし、労働者の指定に対し使用者が遅滞なく異議を述べた時は法定充当により当該年度のものから使用したことになる(民法第488条)。また、使用者も労働者も何らの指定もしない時は法定充当により使用者にとって弁済の利益の多い当該年度のものから使用したことになる(民法第489条)。」と解釈されている。。厚生労働省の労働法コンメンタールでは前者の説が書かれている一方で後者も書かれている。。日本は最低賃金の低さ、労働時間の長さ、有給休暇・休日の日数のどれをとっても先進国中、最低の部類であり労働水準に関しては未だ発展途上である。厚生労働省の「平成25年就労条件総合調査」によれば、1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除いたもの)は、労働者1人当たり平均18.3日であるが、そのうち実際に労働者が取得した日数は8.6日、取得率は47.1%であり半分にも達していない。取得率を企業規模別にみると、従業員1,000人以上の企業では54.6%取得しているが、100人未満の企業では40.1%となっていて、企業規模が小さいほど取得率は低くなっている。また、内閣府の「平成25年ワーク・ライフ・バランスに関する個人・企業調査」における企業調査により、「自分に与えられた役割を果たし、付与された有給休暇のほとんどを消化すること」が人事評価でどのように考慮されるかについてみると、「人事評価では考慮されていない」が84.5%と極めて高くなっている。これらの要因としては、日本では年次有給休暇の消化を容易にするための人員構成が「経営効率化や人材育成の面で無駄が多い」として、年次有給休暇の消化に消極的な経営者が多いうえ、労働者の側にも労働組合の未組織や年次有給休暇の取得をためらわせる社内風土の存在等様々な事情が絡んでいるためではないか、と言われている。年次有給休暇を時間単位で取得できる制度がある企業割合は「平成25年就労条件総合調査」では11.2%となっている。職場の雰囲気や事業主・経営者など使用者側の意向などの理由により、労働者の権利として法的に認められているはずの年次有給休暇の取得をためらわせたり取得しづらい労働環境などは本来は労使交渉で解決するべきものであるが、労働者が年次有給休暇を申請したときに、取得できる状況であるにもかかわらず使用者側が年次有給休暇の取得を認めない場合は、使用者側の労働基準法違反として所轄労働基準監督署へ相談、申告したり、終局的には裁判所へ提訴する手段もある。厚生労働省は日本の労働者における有給休暇の取得率の低さを問題視し、うつ病や過労死、過労自殺に繋がる大きな要因であると危惧しており、労働時間の短縮や年次有給休暇の完全取得を事業主に促進する取り組みを旧労働省時代から進めている。1990年の「連続休暇取得促進要綱」では 「年次有給休暇の平均20日付与、20日取得」という目標のもとに「意識改革とシステムづくり」等を強調する。1995年の「ゆとり休暇促進要綱」では「まとまった日数の連続した休暇」「個人の希望を活かした休暇」「ライフ・スタイルやワーク・スタイルに合わせた目的別休暇」といったコンセプトを提唱する。2000年「長期休暇の普及に向けて」では「1週間程度を最低単位として2 週間程度の休暇」と期間を明示し、週休2日の週休日と年次有給休暇を組み合わせて実現を図ろうとする。2004年「職業生活活性化のための年単位の長期休暇制度等に関する研究会報告書」では「一定以上のまとまった期間、 少なくとも1年以上の期間を対象」とする休暇を提唱する。2010年4月1日から適用された「労働時間等の見直しガイドライン」では当面の目標として2020年までに年次有給休暇取得率を70%まで上げるよう求めている。ただしこれらはいずれも努力義務のみ定めたもので強制力はない。北海道帯広市にある菓子メーカーの六花亭では1979年から有給消化100%に力を入れており、現在も継続している。労働者が有給休暇を取得した日を欠勤として扱い賞与を減額することは許されない(最三小判平成4年2月18日)。労働者が有給休暇を取得した日や土曜日・祝日といった出勤を要しない日(実質休日)は、第39条のいう全労働日には含まれず、賞与の計算にあたって欠勤として見なすことは許されない。国や行政が労働者の長時間労働によるうつ病などの精神疾患や過労死、過労自殺を防ぐための時短政策の一環として有給休暇取得率の向上を進めているが、皆勤手当の存在は労働者にとって有給休暇の取得をためらわせる原因の1つでもあり、第136条において有給休暇を取得した労働者に対し使用者は賃金の減額や不利益な取り扱いをしないよう定められているため、有給休暇の取得による皆勤手当の不支給または減額は不適切な行為として各県担当課や地方労働局などが警鐘を鳴らしている。ただし、労働基準法上、罰則は設定されていないため、労働基準監督官等へ申告しても、結局は強制力のない行政指導が行なうまでしかできない。罰則がないので、送検のような刑事処分をすることは理論的に不可能である。皆勤手当を定めている事業所において、有給休暇を取得した労働者を欠勤として取り扱い皆勤手当てを支給しないことに対し、賃金の不当な不払いとして違法とする判決が下されている(横浜地判 昭和51年3月4日)一方で、有給休暇の取得による皆勤手当の不支給または減額は第39条の精神に反するとしつつも、皆勤手当の不支給または減額は公序に反するとして無効の主張はできないとする最高裁判例がある(最判平成5年6月25日)。後者の判例では、皆勤手当の金額が支給される給与の月額に対し2%にも満たない小額(最大で1.85%)であったこと、事業内容から日々の業務において欠員が出ることによる収益の悪化が確実視されることから、皆勤手当の不支給または減額は有給休暇の取得を一般的に抑制する趣旨に出たものではないと判断された。つまり、有給休暇取得による皆勤手当の不支給または減額が無効と判断されるか否かはケースバイケースであり、個々の事案の状況から判断される。主な先進国中、法で定められている有給休暇の日数が最も多いのはフランスとフィンランドの30日である。最も少ないのはアメリカの0日である(法律に規定がない)。日本は10日で2番目に少ない。ヨーロッパでは、有給休暇の消化率は90%を超えているが、日本では2000年代では47%近辺で推移している。日本では労働者が有給休暇を取るタイミングを指定できるが、ヨーロッパの有給休暇は強制的な休暇であり、労働者は有給休暇を取るタイミングは指定できない。ヨーロッパでは国によっては、有給休日という制度がある。日本では民間の労働者については法で制定されていないが、事業場で特定した休日、例えば、国民の祝日、会社の創立記念日、メーデー、年末年始等があるが、これらの特定休日に休業した労働者に対しても通常支払われる賃金の全額または一定額(率)が支払われる場合を有給休日と呼んでいる。有給休日が最も多い国はオーストリア・ポルトガル・イタリアの13日である。フィンランドは有給休日が9日のため実に39日も有給休暇・休日がある。イタリア共和国憲法第36条では、労働者は毎週の休息及び年次有給休暇に対する権利を有し、この権利は放棄することができないと定めている。森永卓郎は「ヨーロッパの企業は、残業・休日出勤は無く、有給は完全消化が当たり前であり、夏休みは一カ月取れる」と指摘している。欧州では、総じて最低賃金、有給休暇・休日共に多い。これは、フランス革命、ロシア革命から続く労働者と資本家の階級闘争の結果、労働者が勝ち取った、歴史に裏打ちされた権利であり、当該諸国の国民の間ではそうした権利を享受することが当然であるという価値観が根付いているためである。アメリカ合衆国は、ILO52号・132号条約を批准しておらず、企業に有給休暇を義務付ける法律が存在しない。これは先進国で唯一の事例である。有給の権利は労使の交渉で決すべきとの考えが強く、交渉力の弱い労働者は有給取得がままならないのが実情である。が2013年5月に公表した調査によると、アメリカ人労働者の4人に1人は、有給休暇を全く取っていない。ただ逆に言えば法的制度が完備されていないなかで約4分の3の企業は有給休暇制度を実施しているわけで、これには欧州からの移民国家として発展してきたアメリカの歴史的側面と、経営者の使命として企業会計原則(特に有給休暇・病欠休暇について定めたFAS43の規定)の順守が求められることがあげられる。またアメリカでは未消化の有休を最終的にすべて買い上げることが慣行化されている。2010年8月6日、ロイターが調査会社のと協力し、24か国において有給休暇を使い切る労働者の割合を調査しまとめた結果を公表した。日本は33%で、22位のオーストラリアと南アフリカ共和国の47%に大きく差を開けられたうえでの最下位であった。旅行会社のエクスペディアジャパンが、日本を含めた12カ国における有給休暇の取得状況の調査結果を公表している。2010年の調査において、日本は最下位(平均給付日数と平均取得日数ともに最低)という調査結果が得られている。

出典:wikipedia

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