富士急行5000形電車(ふじきゅうこう5000がたでんしゃ)は、1975年(昭和50年)に登場した富士急行の電車。3100形の事故廃車補充と将来の増備車の先行試作を兼ねて、2両編成1本が日本車輌製造で製造された。2016年時点において富士急行が自社発注した最後の鉄道車両である。地方私鉄としては意欲的な冷房付き新造車であったことが評価され、1976年(昭和51年)度鉄道友の会ローレル賞を受賞した。形式名の「5000」は、昭和50年に登場したことに由来する。車体は、長さが19,500mm(最大長20,000mm)、幅が2,900mm(最大幅2,950mm)と地方私鉄としては大型で、大型の国鉄車両が乗り入れ可能な規格の富士急行線ならではの仕様である。衝突対策として高運転台構造を採用し、正面下部にはステンレス製のバンパーを装備する。車体裾を絞ったスタイルとしている点も115系などの日本国有鉄道(国鉄)の近郊形電車に類似するが、フロントデザインは機能本意な独自のものとなった。登場時の塗装は客用窓下に幅150mm白帯を配し、それより上部にオーシャングリーン、下部と連結面にサランダブルーというものであった。客用扉は、1,300mmの両開扉を片側につき2か所備えている。座席は、扉付近にロングシート、扉間および車端にボックスシートを備えるセミクロスシートである。クロスシート部分のシートピッチは最大1,520mmと国鉄の急行型である165系よりも快適性を重視したものとなっている。またコストダウンの見地から国鉄電車と同一の部品が一部(灰皿など)に用いられている。空調には富士急行の車両として初めて冷房装置を採用し、冷凍能力10,000kcal (11.6kW) の三菱電機製CU-121分散式冷房装置を屋根上に4基搭載した。車両当たりの定員は128名(座席72名)である。落成当初は車内案内装置は放送装置のみであったが、のちに客室内にLCDを設置し、次駅案内や次駅周辺の観光案内などを表示している。またボックス席を1区画分つぶして清涼飲料水の自動販売機が設けられた。後に類似の車体を採用した国鉄417系電車などが登場しているが、本形式はそれらよりも扉間が窓1つ分長い。モハ5001 (M'c) とモハ5002 (Mc) がユニットを組んでおり、5001号に電動発電機・空気圧縮機といった補機類を、5002号に主制御器とパンタグラフを搭載している。主制御器は三菱電機製ABFM-108-15 MDHAで2両分8基の主電動機を制御し、勾配対策として抑速発電制動を装備する。定員200%の乗車時に河口湖-大月間での抑速運転が可能であり、ブレーキ速度は最高ノッチ時・40‰勾配では約57km/hとなっている。主電動機は営団3000系電車が採用した物と同じ系統に属する三菱電機製MB-3054-Dであり定格出力75kW、駆動装置はWNドライブである。空気ブレーキは電磁直通式のHSC-D形で、他にブレーキ故障時にそなえて直通予備ブレーキ、また手ブレーキを1両あたり2台装備している。寒冷地対策として、扉の自動/半自動切り替え機能、ドアレールヒーターや冬季夜間滞泊時に機器凍結防止用のヒーターを作動させるために外部コンセント (AC100V)と変換装置をM'c車に備える。電動発動機は冷房装置電源を供給するために大容量のMG-111A-S(出力75kV)、空気圧縮機はC-1000形(定格吐出量1000L/min)を採用した。台車はND-112形と称し、国鉄DT21形台車と同型の軸箱支持装置はウィングばね式、枕バネにはコイルばね(オイルダンパ付き)を用いたオールコイルばね台車であり、M'c車の連結面側台車には車輪フランジの摩耗対策として噴射式軌条塗油装置を、各車運転台側台車には排雪器(スノープラウ)を装備する。地方私鉄の新製車としては非常に意欲的な車両であったが、1編成のみの増備に終わり、また他の車両と連結することができないため、運用も限定されている。ただし1980~90年代に富士急行が購入した中古のカルダン駆動車である5700形・1000形はいずれも定格出力75kWの三菱電機製主電動機とWN駆動の組み合わせなどに本形式との共通点が見受けられる。塗装は登場後数度変更されている。車体の項で述べた塗装で登場した後、雨どいから幕板上部にかけてもブルーの帯が入るようになる等軽微な変更がなされた。その後、富士急ハイランドのイベントや新施設開業に合わせて、『ゲゲゲの鬼太郎』や『きかんしゃトーマス』のキャラクターをあしらったデザインに変更され、特定の運用に就くことになった。また、客室の内装も、2007年(平成19年)に『きかんしゃトーマス』をあしらったデザインに変更された。2012年(平成24年)に6000系が登場し、1000形の一部を置き換えるとしている。なお、本形式の処遇については未定。
出典:wikipedia
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