エイ(鱏、鱝、鰩、海鷂魚)は板鰓亜綱に属する軟骨魚類のうち、鰓裂が体の下面に開くものの総称。鰓裂が側面に開くサメとは区別される。約530種が知られている。世界中の海洋の暖海域から極域まで広く分布し、一部は淡水にも適応している。一般的に上下に扁平な体型で、細長い尾、5-6対の鰓を持ち、多くは卵胎生である。尾の棘に毒を持つ種類もいる。サメの一部の系統から底生生活に適応して進化した系統のひとつと考えられているが、トビエイのように二次的に遊泳生活に戻ったものもある。多くのエイは、ごく平らな体をしていて長く伸びた鞭状の尾を持つ。そのため、同じ軟骨魚類のサメ類とは全く異なった見かけをしている。しかし、一部には厚みのある体幹部が細長いものもあり、そのようなものではサメに似たようにも見える。サカタザメのようにサメという名を持つものもある。はっきりとした区別点は、サメでは頭部後方側面に開く鰓裂が、エイでは腹面に開くことである。両眼の後ろに水の取り込み口が開く。一般的なエイは頭部から胴部と胸びれが一体になって全体が扁平になり、大きく水平に広がった胸びれの縁の薄い部分を波打たせて遊泳する。肛門はその後端に開き、腹びれ、尻びれはその近くにまとまる。それ以降の尾部は急に細くなり、後端は細長くなって終わり、尾びれはないものも多い。背びれが退化するものも多く、アカエイなどではこれが毒針に変化している。多くのエイで体の外周付近は体盤(たいばん)にあたり、エイの大きさを表す用語として、縦の長さ(吻端から胸鰭の末端までの長さ)は「体盤長(たいばんちょう)」、横幅(両胸鰭間の最大幅)は「体盤幅(たいばんふく)」で表される。ノコギリエイでは体は厚みがあって細長い。ガンギエイなどはエイらしい姿ではあるが、尾びれははっきりとしている。多くはおとなしく、砂底の貝などを食べる。底性の種は砂に潜ることができるものも多い。淡水産のものは淡水エイと呼ばれ、熱帯魚として観賞される。その姿から、海産種は水族館において人気者である。サメと同様に尿素を体液の浸透圧調整に用いているため、その組織には尿素が蓄積されており、鮮度が下がるとこれが加水分解してアンモニアを生じる。そのため、一般の魚と同じような料理には向かないともされる。しかし、地域によっては非常に好まれ、韓国のホンオフェのように発酵させることによりアンモニア臭を強調した加工食品も存在する。アンモニアを生じていないエイの肉は淡白な味わいで、肝は脂肪が多く、こくがある。また、ガンギエイのヒレを乾物にしたものは「エイヒレ」と呼ばれ、酒の肴とされる。エイの皮革は、日本刀の柄や革製品に利用される。珍しいところでは、エイの棘を矢につける鏃にしたものが古墳時代の遺跡から見つかっている。秋田県や山形県、北海道では、ヒレの軟骨部分の干したものを長時間煮て甘辛く煮付けたものを「かすべ」(秋田)や「からかい」(山形)と呼び、郷土料理として振舞われる地域もある。北海道ではほとんどが下処理済みの状態で販売され、通称「カスベ」とも呼ばれる。種類は水カスベ・真カスベ。同様に、ヒレの軟骨部分を長時間煮て甘辛く煮付けたものを「カスベの煮付け」と呼び、一般的に食す。一部のラーメン店では、スープのだし汁用に隠し味として使用する店舗もある。他方、アカエイなどいくつかの種では背びれが毒針に変化しており、刺さると非常に激しく痛むので、扱いに注意を要する。2006年9月4日には、オーストラリアで環境保全主義者のスティーブ・アーウィンが、グレートバリアリーフで撮影中にアカエイに胸を刺されて死亡した。背びれが毒針に変化した種を捕獲する際は、まず毒針のある尾をタモの中に巻きつけて固定してから引き揚げると良いとされる。また、シビレエイは強力な電気を発するため、これも扱いには注意が必要である。近年、ナルトビエイの大発生により、瀬戸内海などでアサリをはじめとする貝類の漁業被害が深刻な問題となっている。エイ類の2014年の上場水揚量Nelson (2006) の分類によれば、エイ類はシビレエイ目、ノコギリエイ目、ガンギエイ目、トビエイ目の4 つの目に分類される。以前のNelson (1994) の分類ではエイ類はエイ目にまとめられ、これら4 つは下位分類で亜目とされていたが、現在ではサメ類の9つの目とエイ類の4つの目が並列される傾向にある。現生エイ類は全てエイ亜区 Batoidea に含まれる。板鰓亜綱における、化石種も含めた分類の全体的な概観を以下に示す。次に下位分類を示す。以下のような系統樹が得られている。シビレエイ目以外の目は単系統群とならない。
出典:wikipedia
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