96式多目的誘導弾システム(きゅうろくしきたもくてきゆうどうだんシステム)、型式名ATM-4は、日本の川崎重工業が開発した対戦車・対上陸用舟艇ミサイルシステム(対戦車ミサイル)である。陸上自衛隊で使用されている。略称はMPMS(Multi-Purpose Missile System エムピーエムエス)、愛称は96マルチ。発射地点の見通し線外目標に対して攻撃が可能な多目的誘導弾。射程は非公開ながら10km以上とされる。光ファイバーTVM赤外線画像誘導方式を採用し、ミサイル先端部のNEC製赤外線シーカーが捜索探知した目標の画像信号を光ファイバー経由で地上誘導装置に送る。射手はミサイルから送られてくる画像をテレビ画像として確認し、追尾の指示を行う。発射機を敵の視線に晒す必要が無いため、敵の反撃を防ぎ、部隊の生存性を高めることができる。開発は1986年(昭和61年)から開始され、1996年(平成8年)度に制式化された。発射機、地上誘導装置、射撃指揮装置、情報処理装置、装填機、観測機材からなるシステムで、情報処理装置及び装填機を3 1/2tトラックに、その他は高機動車に搭載して運用される。そのため、1個射撃分隊につき6両で構成される。発射機に装填された誘導弾コンテナには6発の誘導弾が格納されており、再装填の際は装填機でコンテナごと取り替える。システム一式の価格は約27億円(平成24年度)。誘導弾一発あたりの価格は約5,000万円。ミサイル発射機は6連装で高機動車に搭載されており、発射時にはジャッキで車体を固定し、噴流偏向板を展開し、発射機に仰角をかける。ミサイルは発射されると4枚2組の翼が展開される。目標手前の上空まで急上昇しながら飛行し、目標に向け鋭角に落下、比較的装甲の薄い上面に直撃する飛翔経路を取る。エアクッション艇を含む上陸用舟艇にも対処可能であり、主力戦車を含む全ての車両を撃破する能力を有している。複合装甲のような特殊装甲にも対処可能とされる。目標に応じ信管遅延秒時の変更が可能であり、対舟艇攻撃時には遅延動作する。ミサイルの誘導には地上誘導装置が不可欠であり、発射機と地上誘導装置の光ファイバーでの連結が必要であるなどの準備が必要である。光ファイバー有線誘導式ミサイルはアメリカ合衆国やヨーロッパでも開発が行われているが、2009年までに配備に至ったのは96式のみである。アメリカ合衆国のMGM-157 EFOGMは1990年にキャンセルされ、ヨーロッパで開発されていた多目的誘導ミサイルであるポリフェムは2003年に計画がキャンセルされている。国内の演習場では、実射訓練及び訓練内容に制限があるため、ワシントン州のヤキマトレーニングセンターに持ち込んでの射撃訓練も行っている。当初、この火器は79式対舟艇対戦車誘導弾(重MAT)の後継システムとして開発した経緯があったが、現在では調達数及び予算の関係から後継システムとしてではなく全く新しいカテゴリーでの配備が続けられている。これは 1個射撃分隊分(1個射撃小隊は2個分隊編成)を調達するのにシステム機材及び車両の合計で約27億円(平成24年度)の経費がかかるためであり、そのため79式対舟艇対戦車誘導弾と87式対戦車誘導弾の後継は中距離多目的誘導弾を採用して部隊配備がすすめられている。平成24年度に総計37セットで取得終了となる。1システムは以下の5種+装填機(LDU)の6両(1個射撃分隊)で構成される。
出典:wikipedia
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