207系電車(207けいでんしゃ)は、1991年(平成3年)に登場した西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流通勤形電車。JR西日本が民営化後に初めて設計した通勤形電車で、川崎重工業・近畿車輛・日立製作所・JR西日本後藤総合車両所で製造された。主回路制御にはJR西日本が導入した車両で初めてVVVFインバータ(0番台のみチョッパ制御併用)が採用され、最高速度は登場当時の通勤形では初の 120 km/h対応となった。製造当初から、地下鉄対策(後述)や半自動ドア機能や耐雪ブレーキといった寒冷地対策が施されており、JR西日本アーバンネットワークの直流電化区域全域での使用が可能となっている。2009年まで東日本旅客鉄道(JR東日本)にも同方式で地下鉄対応車の207系900番台が運用されていたが、これとは無関係である。当系列の量産先行車は1から付番されているため、車両番号の重複は発生していない。元々は片町線と福知山線を短絡する片福連絡線(現在のJR東西線)が地下線で新設されたため、その乗り入れを念頭に旧来の通勤型主力車103系を置き換えるために設計・導入された車両であったが、その後各線での共通運用や旧型車の置き換えのため、JR西日本の標準形通勤車両として広く導入・増備された。10年以上にわたって484両が製造され、車体は全車ほぼ共通のものを持つものの、駆動・制御系その他機器類は製造年次によって多くの点で異なっている。また、高速運用時の蛇行を防止する台車のヨーダンパが途中から追加装備されるようになり、当初準備工事だけであった初期車にも拡大装備されて、2003年までに取り付けが完了した。2004年までに強化型スカート(排障器)がすべての編成に設置されている。207系の製造は2003年度で終了し、2005年度からは321系に移行している。JR福知山線脱線事故以降、実際に運用されているのは477両である。本節では登場当時の仕様を基本として記述し、体質改善工事などの大幅な改修については別節で後述する。JRの通勤形電車としては標準的な、片側4箇所に客用ドアを設けた 20 m 車体を有する。構体の材質は1988年に阪和線用として投入された205系1000番台に続いてビード加工軽量オールステンレス構体で前頭部の前面は普通鋼製、側面および屋根面は FRP 製となっている。在来の通勤形電車が車体幅 2,800 mm だったのに対し、本系列は定員増を狙った近郊形電車に見られるような 2,950 mm のワイドボディが国鉄・JRで初めて採用された点が特徴である。前面は中央に非常用貫通扉が設けられた半円筒形状で、中央が膨らんでおり、横から見ると扇型に見える形状で、事故時の衝撃吸収の役割を持たせて厚めに造られている。前照灯と尾灯は四角型のものが横に合計4灯並べられている。妻面には、妻壁外面に設置された消火器を車内に取り込む経路として、また非常時の換気用の開口面積を確保する目的で大型の一枚下降窓が備わっている。このため、車両間同士を繋ぐ客用貫通路が中央からJR神戸線走行時で北寄りにオフセット設置されており、左右非対称になっている。また、妻面壁の上部に通気孔が設けられている。転落防止幌は2002年の2000番台の1次製造分から装備するようになり、2006年より非装備車への追加設置が始まっており、その後 S18 編成をのぞいた全編成に設置された。2003年の2000番台2次製造分から緊急列車停止装置(EB装置)を装備するようになり、2003年より非装備車への追加設置が始まった。側面窓下には、JR西日本のコーポレートカラーと東海道本線・山陽本線(JR神戸線・JR京都線)のラインカラーを表す濃淡ブルーと、境目に白色が入った帯を巻いていたが、2005年度に後継系列の321系と同様の窓周りと窓下に紺色、窓下に上からオレンジ・白・紺の計3本の帯を巻くものに変更された。JRマークはない。なお、これによって優先座席に名称変更後、窓へのステッカー表示になってからシールによって隠してあった戸袋部のシルバーシートマークが完全に撤去されている。種別・行先表示器は221系で採用した方式と同じ回転幕式と発光ダイオード (LED) 式との併用である。回転幕は列車の種別・線区、LED は行き先を表示している。221系にある号車番号表示は省略された。JR西日本初のVVVF制御装置搭載形式である。製造期間が約10年の長期にわたっているため、製造時期により、例えばVVVFインバータの制御素子はゲートターンオフサイリスタ (GTO) 、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ (IGBT) などの差異がある。パンタグラフはJR東西線内の剛体架線区間での離線対策で、下枠交差式の WPS27 形をクモハ207形およびモハ207形1両あたり2基搭載する。JR東西線以外では第1パンタグラフのみを上げて走行し、尼崎駅と京橋駅で第2パンタグラフの昇降を行っている。駆動装置は国鉄・JRを通して在来線電車としては初のWNドライブが採用された。JR西日本の新系列車両にはこの207系以降から一部の例外をのぞいてWNドライブを標準採用するようになった。屋根上機器は221系を踏襲した集約分散式冷房装置2基を全車に搭載している。客用ドアの室内側は化粧板仕上げで、室内照明である蛍光灯にはカバーが設置されているなど、国鉄時代の車輌よりソフトな印象になっている。座席は従来より座面高さ、奥行き、クッションの最適化を図り、座り心地改善が図られている。腰掛表地は従来のナイロンモケット地を使用し風合いと耐久性に配慮している。運転開始当初の座席は青色のモケットを採用していたが、福知山線列車脱線事故の遺族に配慮して、2010年4月19日から緑色の座席へと交換が順次進められている。また、腰掛両サイドには、仕切りを兼ねた肘掛袖パネルを設置、仕切りパイプを高い位置まで伸ばすことで、立ち客への握り棒を兼ねている。国鉄時代にはスタンションポールを設けていたが、関西圏の私鉄の多くが、スタンションポールを設けず、車内見附を重視していたことから、周辺私鉄への対抗のほか、快速運用も考慮して長時間乗車に対応した車内設備としている。一部編成には、7人掛けの励行を促すべくバケットシートが試験導入された。また、1993年3月以降に製造された車両は、座席が片持ち式となっている。そのほか、側扉には半自動ドアスイッチを設け、夏季および冬季での車内温度維持のため閑散区間で使用されている。半自動ドアスイッチは、車内側は開閉可能であるが、車外側は開のみとし、安全性に考慮している。2010年に入り、車内のドア開閉ボタンが取り換えられている。側窓は、空調効率や防音効果、冬季の結露防止のため複層ガラスの固定窓が採用された。その結果、緊急時に必要とされる換気量が側窓から確保出来なくなり、開閉可能な大型妻面窓が設けられた。これにより妻面の貫通扉が偏心している。大型化した妻面窓により、連結車両間の見通しが良くなるとともに、この車両のインテリアの特徴ともなった。またバリアフリーへの対応として、ドア付近へのつり革設置およびドアチャイムが設置されている。ドアチャイムは、ドアの開閉ごとに4打点のチャイムが1回鳴動し、1000番台以前は閉扉時に、2000番台は開閉扉の両方が鳴動する。207系よりも後に製造された223系以降の同社の新型車両にも付けられている。また、ドア上部に LED 式の車内案内表示装置が千鳥配置で1両あたり計4か所設置されている。停車駅の案内のほか、広告媒体としても使用される。車椅子スペースは、2000番台のみ車端部に設置されている。一部の編成では定期的に盲導鈴が鳴動しており、2009年度内をめどに枕木方向につり革を追加している。2011年10月19日から、本系列と321系の吊り手が225系仕様のものに順次交換および増設が行われている。運転台のマスコンは1989年の221系の設計を受け継いだ横軸ツインレバー型である。力行ノッチ6段、常用ブレーキ8段は、後継の321系と共にJR西日本の電車として最大である。2000番台と体質改善車をのぞき、圧力計などの各計器類はデジタル表示となっている。運転台右横に設置された液晶モニタ装置では、車両の様々な状態を一度に監視したり、空調等の各設定を行うことが可能で、運転・車掌業務をサポートしている。JR西日本の新系列車両にはこの207系以降から一部の例外をのぞいてミュージックホーンを標準装備するようになった。1997年3月に開業したJR東西線へ直通するため、既に製造されていた298両については次のような改造が施工された。本形式の中でも最初に投入された0番台は新製から20年以上が経過しているため、接客設備の改善および安全性向上を目的に、2014年から体質改善工事を行っている。なお、7両固定編成と、1000番台・2000番台は体質改善工事の対象外となっていたが、2016年に入り、1000番台であるS22編成に体質改善工事が施工された。2014年9月29日に試運転を行った、網干総合車両所明石支所所属のZ22編成が初めて体質改善工事を施工された。その後11月17日から営業運転に入っている。「ユニット」とは隣り合う電動車同士で別々の機器を搭載し、2両で1組の機構とする方式。それまでの車両は2両は検査などがない限り切り離されなかったが、207系は機器を集約することでモハ207形またはクモハ207形単独での使用も可能な設計にされている。以下の表で「- #xxx」とあるのは、「xxx番台」の意味である(例:「クモハ207 - #1000」→「クモハ207 1000番台」)。また、背景色が黄緑の車両は女性専用車である。制御装置 (WPC1) は、GTOサイリスタの昇降圧チョッパ回路+パワートランジスタ素子(PTr)による3レベルインバータで構成され、台車単位の制御を行っている。3ステップのインバータを搭載するJR東日本209系電車(910番台以外)や701系電車などによく似た音に加え、チョッパ制御特有の音を発する。補助電源装置はトランジスタインバータで構成され、定格容量 122 kVA を備える WSC28 を、空気圧縮機にはレシプロ式の WMH3093-WTC2000A を搭載する。主電動機は出力 155 kW の WMT100 を搭載する。1991年(平成3年)に7両固定編成(当時はC1編成)として近畿車輛で3両、川崎重工業で4両が落成し、淀川電車区に新製配置された。性能は量産車の項で記述する。試作車であるが、国鉄の試作車の多くに付されていた「900番台」とはされておらず、量産先行車と呼ばれることもある。当初は客用両開き扉のガラスにD字形の左右非対称の物が、丸みの無い側が左右で向かい合わせとなるように使用され、両者の間が窓周りが黒く塗装されて2枚が大型一枚窓風に見えるような工夫がなされていた。運転台右横に設置されるモニタ装置がカラー表示ではなく、221系に準じた橙色の単色表示かつ非タッチパネル式で下部に10個のボタンがあった。運転台に南海電気鉄道30000系電車などに似た「デスク型」と呼ばれる独特な形状のマスコン・ブレーキハンドルが採用されたなどの試作編成のみの独特な装備を有していたが、後に同年登場の量産車に合わせた標準化工事が行われ、他の編成と同じ仕様となっている。また、冷房装置は221系と同じ集約分散式の WAU701 が採用された点も異なる。1本だけが在籍し、片町線(学研都市線)は2010年3月12日まで京田辺駅 - 木津駅間は4両対応であったことから、7両固定編成である本編成は東海道本線・山陽本線(JR京都・神戸線)で半ば限定的に運用(毎日同じ運用に充当される)されていた。よってJR東西線・学研都市線に入る運用には原則充当されなかったが、JR東西線開業当初と2005年4月26日 - 2006年3月17日の間の脱線事故による車両不足時には松井山手駅までの運用に限って充当されたことがあった。後継車の321系がある程度出揃った2006年3月18日のダイヤ改正より、321系と共通運用されるようになり、JR京都・神戸線主体の運用に戻ったが、2008年3月15日のダイヤ改正で321系のJR東西線・学研都市線(京橋駅 - 松井山手駅間)での運用が開始されたのに伴い、再度JR東西線・学研都市線でも運用されるようになり、学研都市線内のみの運用も復活している。その後、2011年3月12日のダイヤ改正より、207系と共通運用されている。運用時に他編成を連結することがないので、電気連結器は装備しておらず、電気連結器用ケーブルの干渉が考慮されていないことからスカートの鉄板面積が他編成より大きくなっている。7両固定編成ではあるが弱冷車は1・4号車に設定されていたが、2012年3月ダイヤ改正以降は通常の7両固定編成と同様に1・2号車に設定された。学研都市線の103系の置き換えとして1991年から製造が始まったグループ。このグループからは4両編成および3両編成での製造となり、日立製作所が製造に加わっている。1993年には福知山線(JR宝塚線)にも新造投入され、JR東西線開業後は直通運転により東海道本線・山陽本線(JR京都・神戸線)でも使用されている。試作車が1からの番号を付されているので、2(モハ207形は3)以降の車体番号が与えられている。計140両が製造された。所属車庫は淀川電車区・宮原運転所から吹田工場高槻派出所を経て、2000年までに全列車が網干総合車両所に変更された。現在は編成番号の変更が行われ、4両編成はZ編成、3両編成はS編成と称する。0番台量産車のみで組成された4両編成はZ編成として23編成在籍したが、クハ207-17以下4両のZ16編成(1992年・日立製作所製)はJR福知山線脱線事故で初の廃車となり、2010年時点では22編成が使用されている。製造開始当時、4両編成のクハ206形と、3両編成のクハ207形およびクハ206形は自動解結装置・電気連結器を装備して100番台として区分されていたが、JR東西線開業前に4両編成のクハ207形 (2 - 17) にも同装備が追加されたため、仕様差はなくなった。また、当初3両編成で製造された編成はJR東西線開業前に後述の1500番台組み込み改造が行われ、すべて4両編成となっている。製造当初、JR東西線開業前に同線以外の区間でもパンタグラフを2基使用していたことがあったが、2009年時点では他の番台同様、JR東西線区間のみの使用となっている。冷房装置は集約分散式のWAU702を1両につき2基搭載している。JR東西線の開業を前に東海道本線・山陽本線(JR京都・神戸線)の103系の置き換え、および1997年のJR東西線開業にあわせての車両投入を目的として1994年から製造されたグループで、1994年3月1日から営業運転を開始した。このグループから電動車ユニット方式が廃止され、同時に0番台には存在しなかったクモハ形式が設定され、一部の車両が後藤総合車両所で製造された(S54・S55編成)。0番台では電動車両に走行機器を集中搭載していたが、本番台では、クモハ形式設定による床下機器設置スペースの都合から電動車両(クモハ207形・モハ207形)には、VVVF 制御装置・補助電源装置を搭載し、付随車(サハ207形・クハ206形)の一部に空気圧縮機などの補機類を搭載する。制御装置 (WPC3A) には、パワートランジスタ素子の VVVF インバータ制御装置を搭載した0番台とは異なり、東芝製の GTO サイリスタ素子が採用され、1台のインバータで1基のモーターを駆動する個別制御とした。この制御装置は281系や223系0番台でも採用された。元々耐電圧の高いGTOを高周波スイッチングで使うことにより、2ステップ回路ながら独特な柔らかい音を発するが音自体は0番台より大きくなっている。補助電源装置はGTOチョッパ+IGBTインバータで構成され、定格容量 122 kVA を備える WSC31 を、空気圧縮機には0番台と同様のレシプロ式 WMH3093-WTC2000A を搭載する。急勾配の多いJR東西線に対応するため、主電動機は出力 200 kW の WMT102 、3次車および4次車は出力 220 kW の WMT104 にパワーアップしている。運転台パネルの計器配置も変更された。冷房装置は集約分散式の WAU702B を1両につき2基搭載している。角に丸いカバーが追加された点が外観上の変更点となっている。集電装置は、耐寒・耐雪性能に配慮し、耐雪用カバーと架線追従性向上を目的としたダンパー取り付けが施された WPS27D 下枠交差式パンタグラフを電動車両に1基搭載する。ただし、2基搭載できるように準備工事が施されており、1997年のJR東西線開通に合わせて2基搭載に変更された。JR東西線開業前に組み替えと追加製造が行われ、T編成4両×19編成計76両とS編成3両×55編成計165両となっている。この時、片側(加古川・篠山口側)にしか設置されていなかったパンタグラフが、0番台と同じ2個設置に変更された。その後、0番台同様に全車網干総合車両所に移管されている。クモハ207-1033以下3両のS18編成(1995年・近畿車輛製)は福知山線脱線事故の時に連結されていたことから、兵庫県警が押収し保留車となっているため、2010年時点で1000番台S編成は54編成162両が営業運転に使われている。1996年(平成8年)に改造で誕生した、0番台3両と1000番台1両で混結の4両編成を組成したグループ。JR東西線開業に備えて全編成基本4両+付属3両に統一されることとなり、付属3両編成に1000番台が集中的に起用されたために発生した。制御装置は種車のものがほぼそのまま使われたため、電動車は同一編成でありながら走行音が異なる。機器等については上2項目を参照。1000番台6+2両編成が4+3両編成に組み換えられた際に余ったモハ207形1000番台が、0番台3両編成に挿入されるという方法で登場した。共にパンタグラフを持つモハ207形0番台とモハ207形1000番台が連結されることとなり、保守費用低減のためユニット化されて1500番台のパンタグラフは撤去された。0番台の3両編成に対し、モハの1000番台が2両不足したため、2両(モハ207-1534・1535)が製造時からの1500番台車両として製造された。これら2両は当初からパンタグラフを持たないものの、屋根上にはほかの1500番台と同様のパンタグラフ用の配管が設けられている。車両番号は元番号+500となっている。500番台+1500番台を組み込む4両編成はH編成として16編成が在籍する。片町線(学研都市線)の輸送改善を目的とし、2002年から製造されたグループである。車両外観には大きな変化は見られないが、機器艤装は基本的に223系2000番台をベースとしている。電動車両(クモハ207形・モハ207形)には、車両制御装置を搭載し、付随車(サハ207形・クハ206形)に空気圧縮機などの補機類を搭載する。車両制御装置 (WPC13) は、IGBT 素子を使用した3レベル電圧形 PWM インバータである。1基の装置中にインバータを5基(主回路部4基+補助電源部1基)搭載し、主回路部はインバータ1基で1台の主電動機を制御する 1C1M 制御方式を採用している。補助電源部は三相交流 440 V 、150 kVA の容量を有しており、主回路部と同じく IGBT を用いた2レベル電圧形 PWM インバータを CVCF 制御し、補助電源部が故障した際には主回路用インバータを CVCF 制御することで補助電源のバックアップとしている。主電動機も同車のものと同型の"WMT102B"を搭載している。電動空気圧縮機 (CP) は従来のレシプロ式から除湿装置一体型の低騒音型スクリュー式 (WMH3098-WRC1600) に変更された。のちに登場する225系や287系にも採用されている。台車も軸バネ部が乾式円筒案内式とされたWDT62(電動車両)、WTR239B(付随車)となった。それまでのグループは運転台パネルにデジタル計器が使用されていたが、このグループはコスト削減や、乗務員から日光が当たると表示が見にくくなるという苦情があったために、旧来のアナログ計器が搭載された。また、0番台や1000番台と異なり、ドアが開く際もドアチャイムがなるように改良されている。また、落成時からATS-P保安装置を搭載している。T編成4両×11編成44両とS編成3両×12編成36両が在籍。編成番号は1000番台の続番となっている。2010年12月17日に山陽本線(JR神戸線)舞子駅で旅客が列車の先頭車同士の連結部から転落し、列車にはねられ死亡する事故が発生した。この事故の対策で、一部の車種や他社線に乗り入れる列車をのぞき本系列を含めた全車種で、先頭車同士を連結した部分の前照灯を終日点灯させる取り組みを2011年5月1日から始めたが、ハード面での対策として207系1編成(3両+4両)の先頭車に転落防止カバーを取り付け、試行を行っている。転落防止カバーは前照灯の下に合計4か所取り付けられ、約半年間効果を検証するとしている。転落防止カバーの取り付けに合わせて音声警報装置も取り付けられた。2005年4月25日の午前9時18分頃、福知山線(JR宝塚線)尼崎駅 - 塚口駅間で宝塚発同志社前行上り快速5418M(7両編成)が右カーブで7両中5両が脱線し、うち先頭2両が進行方向左側の線路沿いにあるマンション1階に激突、大破する事故が起きた。事故にあった7両は、Z16編成(4両)とS18編成(3両)である。2編成は、Z16編成を先頭に途中の京田辺駅まで併結して運転した後、京田辺駅でS18編成を切り離し、Z16編成のみの4両が同志社前駅まで向かう予定だった。7両のうち、Z16編成の先頭車がマンション1階の立体駐車場に横転した状態で突っ込み、前から2両目が横転した状態でマンション1階側壁に衝突、この2両は原形が全く残らないほどに大破した。3両目、4両目もすべての台車が脱線し、車体が歪むほどの衝撃を受けている。後方に連結されたS18編成も、クハ206-1033とサハ207-1019の塚口寄りの台車以外の全てが脱線した。脱線した車両のうちZ16編成の4両については事故当日に車籍を抹消され、鉄道線復旧時に事故現場で解体された。S18編成は塚口駅へ人力で回送された後、DD51の牽引で宮原総合運転所に搬入され、4両目がぶつかったため前面が破損していたクモハ207-1033にはブルーシートが掛けられた。この3両は重要証拠として兵庫県警に押収され、県警の施設で前4両の台車などと共に保管された。鉄道書籍によると、これら3両は警察の指示で返却または除籍許可が出るまでは車籍抹消ができないため車籍こそあるものの、車両が破損していること、事故の証拠として今後の裁判に使用される可能性があること、また事故を風化させない目的から、JR西日本では警察から返却され次第廃車とし、大阪府吹田市にある社員研修センター敷地内の鉄道安全考動館に保存する予定とされている。そして、2011年2月2日に神戸地方検察庁は保管していた同編成を同年2月1日付でJR西日本に返還し姫路市内に保管されている。この7両が使用不能となったことにより森ノ宮電車区から103系が貸出され、さらに予備車確保のためにJR東日本から103系8両を購入し、代走車とした。その後は、207系を補充するのではなく、321系を予定より3編成21両多く投入し、湖西線運用に入っていた207系を捻出して車両不足を補った。さらに、「事故を思い起こさせるような色を見たくない」という遺族や被害者の感情に配慮するためか207系全車両の帯色が、当時製造途中だった321系と共に紺色とオレンジ色の帯に変更することとなった。変更は2005年11月25日より始まり、2006年3月15日までに警察に押収され車籍の残る保留車3両以外の全車両が変更された。また2010年4月13日には、座席の色を青色から緑色に変更するという報道があり、順次座席の交換が進められている。そのほか、脱線事故後に207系に搭載されていた非常管(自動空気ブレーキの原理を利用し、ホースが破裂するか乗務員室にある非常管スイッチを入れると非常ブレーキが作動する装置)のホースが交換期限を過ぎても取り替えられていないことが一部で報道された。そのため一斉に207系全車両において非常管の点検作業が行われた。2011年10月1日現在、全車両が網干総合車両所に所属し、明石支所に配置されている。2014年3月15日現在の定期運用は次の通りで、321系と共通運用されている。和歌山県をのぞく近畿5府県で運転されている。かつては朝夕に近江今津駅・近江舞子駅までの運用が存在した。このほか、和田岬線では103系の代走や、2002年8月31日には赤穂線相生駅 - 播州赤穂駅間でも臨時列車として運用されている。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。