猪野 健治(いの けんじ、1933年11月7日‐)はフリージャーナリスト。右翼、ヤクザ、マスコミなどをテーマにしている。日本ジャーナリスト専門学校講師を務めた事が有る(編集者専攻科、猪野ゼミ担当)。著書『やくざと日本人』で知られる。本書は松岡正剛をして「日本で唯一の日本人の手によるやくざ通史」と呼ばしめた古典的名著。1973年に三笠書房から発売され、1993年に現代書館で復刊、1999年には筑摩書房から文庫版が発売されている。80年代に米国でベストセラーになったカプランとデュブロ『YAKUZA』に大きな影響を与えた。両書の相違点を指摘すると、以下のようになる。カプランとデュブロがヤクザはその発生当初から被差別身分出身者が多数を占めていたと述べているのに対し、猪野健治は被差別民がヤクザの主流になったのは戦後の事で、古い時代においては「彼等はやくざになることさえ許されなかった」としている。カプランとデュブロがヤクザこそが日本近代史を実質的に動かしてきた黒幕であるとしているのに対し、猪野健治はヤクザは政治家や巨大資本に利用されて動く従属的存在であるとした。両者ともやくざを博徒(ばくち打ち)、テキヤ(露天商)、愚連隊(戦後に誕生した暴力集団)の3つに大別している。カプランとデュブロは、日本ではヤクザ、右翼、建設会社の3つはほぼ同一のものであり区別が付かない、として岸信介、笹川良一、児玉誉士夫なども広義でのヤクザに分類している。一方、猪野は彼らには言及していない。カプランとデュブロがヤクザの暴力性や残忍性を詳しく記述し徹底的に批判しているのに対し、猪野健治はやくざは他に行き場の無い若者の受け皿になっているとし、やくざを盲目的に非難する事は差別に加担する事になるとしている。その具体例として猪野は、大阪府八尾市の未解放部落では、平均寿命が昭和25年にようやく30歳を超えた事、福岡県の劣悪な労働条件の炭鉱では炭鉱夫の半分以上が部落出身者である事、奈良県では部落民の子弟は長期欠席児童となる確率が部落外の児童の12倍にも達している事などを挙げ、日本社会に「やくざとなるか土方になるか」しか、選択肢の無い若者が多く存在する事がやくざの温床であるとする。カプランとデュブロもヤクザ巨大化の背景に出自差別や欠損家庭の問題がある事は認めている。カプランとデュブロはヤクザの日本国外での暗躍にも多く言及している。戦前の日本が頭山満(戦前の福岡の暗黒街に君臨した大物右翼)をはじめとする裏社会の勢力が国政に関与するようになった事により軍国主義化し、海外拡張政策を取るようになった事、GHQ占領期には占領軍右派がヤクザを利用して日本の共産化を防いだ事、戦後は日本の経済発展とともにヤクザが海外進出し東南アジア、ハワイ、カリフォルニア州などで売春や薬物売買などで利益を上げている事などを述べている。一方、猪野健治は海外でのヤクザの活動についてはほとんど述べておらず、代わりにカプランとデュブロが全く述べていない火消人足、秩父困民党事件、柳川組などについても言及し、日本におけるやくざについてより詳しく述べている。
出典:wikipedia
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