『パイドン』(パイドーン、、)は、プラトンの中期対話篇。副題は「魂の不死について」。『ファイドン』とも。『メノン』に続いて想起説(アナムネーシス)が取り上げられる他、イデア論が初めて登場する重要な哲学書である。ソクラテス刑死からしばらく経った後のプレイウス(、)にて。パイドンが故郷エーリスへと帰る過程でこの地に滞在中、ピタゴラス派哲学者エケクラテスから、ソクラテスの臨終について尋ねられるところから、話は始まる。パイドンは、デロス島への船による延期の経緯(『クリトン』参照)を挟みつつ、ソクラテスの死刑執行の日の様子を、語り始める。紀元前399年、ソクラテスの死刑執行当日。ソクラテスの仲間たちは、朝一番にソクラテスのいる牢獄へと詰めかける。そして、ソクラテスは、シミアス、ケベスと「魂」についての問答・対話を展開する。日暮れ近くになり、最後に、ソクラテスが毒杯をあおり、臨終するまでが描かれる。師ソクラテス処刑の日に獄中で弟子達が集まり、死について議論を行う舞台設定で、ソクラテスが死をどのように考えていたか、やがて霊魂不滅について話し合われている。パイドンとはエリス学派の創設者である哲学者エリスのパイドンを指し、ソクラテス臨終の場に居合わせなかったピュタゴラス学派の哲学者エケクラテスに、その様子を語っているという設定でもある。上記の通り、本篇は、構成としても、内容としても、ピタゴラス学派の影響がとても色濃い作品になっている。これは、プラトンがソクラテス刑死(紀元前399年)から約10年後、40歳頃の第1回シケリア旅行にて、アルキュタスらピタゴラス学派と交わったことが、中期の思想形成、及び本篇執筆につながったことを伺わせる。アリストテレスも、プラトンのイデア論形成に、ピラゴラス学派が果たした役割に言及している。『哲学は死の練習』という言葉や、『白鳥が死の際に美しい歌を奏でるのは死が苦しみではなく至福の喜びである』といった『白鳥の歌』につながる主張がなされている。また、人間が神の所有物であるがゆえに主である神の意思を無視した自殺を否定し、霊魂が不滅であるがゆえに不遇に死した義者の霊が死後に祝福され、生前裁きを免れた悪人の霊が断罪されるという思想は、欧米のキリスト教的価値観にも影響を与えた。古代ローマ共和政時代の政治家で、ストア派の信奉者であったマルクス・ポルキウス・カト・ウティケンシスはその自刃の直前にこの『パイドン』を読み霊魂と善の不死を確認したとされる。
出典:wikipedia
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