ナイジェリアの手紙(ナイジェリアのてがみ)、ナイジェリアからの手紙又はナイジェリア詐欺 () とは、アフリカ地域(主にナイジェリア)を舞台に多発している国際的詐欺の一種であり、先進国など豊かな国に住む人から、手紙やファクシミリ、電子メールを利用して金を騙し取ろうとする詐欺である。現在では電子メールで行われることが多い。419事件という別名もあるが、これは、この手の詐欺がマネーロンダリングを規制する『ナイジェリア刑法第419条』に抵触することに由来している。この手の詐欺の原型として、16世紀の「スパニッシュ・プリズナー(スペインの囚人)」や日本の「M資金詐欺」などがあるが、1980年代半ばから、ナイジェリアから先進国を狙った手紙・ファックスを使った信用詐欺がおこり、他のアフリカ諸国や欧米に住むナイジェリア人らも巻き込んで世界に広がった。もともと詐欺師たちは、1980年代には企業オーナーや教会指導者ら個人に手紙を送り話を持ちかけていたが、電子メールの発達にともない、低いコストで不特定多数の一般人に対して詐欺を仕掛けることが可能になった。2001年頃から世界中でこの「ナイジェリアからの電子メール」による被害が多発し、日本の個人のメールボックスにも英文で書かれた丁寧な申し出が多数届くようになり、受取人を困惑させている。手紙、FAXあるいは電子メールの差出人は、無差別に送るメール等の中で「大量の資金を持つ人が、その金を安全に持ち出す方法で困っている。あなたの口座を貸してもらえないだろうか?」と丁重に呼びかける。こうして、差出人に同情した者、または「アフリカならそんなこともあるだろう」と汚い金の運搬に少し手を貸して巨額の金をもうけようと考えた者は、自分の口座を教え、さらに指定された口座に送金手数料を振り込むが、予定の期日になっても自分の口座に大金は振り込まれず、それどころか口座が不正アクセスされて一銭残らず引き出され、初めて騙されたと気づくのである。被害者は、マネーロンダリングに飛びついたという後ろめたさから、被害届を出すことが少ない。この詐欺の舞台となる国はほとんどがナイジェリアだが、ほかにもジンバブエ、ガーナ、コートジボワール、南アフリカその他西アフリカ諸国が使われる。また詐欺の発信元は、アムステルダム、ロンドン、マドリード、トロントなどアフリカからの移民が多く住む欧米の都市も多い。莫大な闇資金が某所にあるが、引き出すのに必要な費用を用立てて欲しい、ともちかけるパターンもある。この場合には、弁護士費用、ライセンス料、税金、振替手数料などの名目の架空の費用を前払いで要求して騙し取る。また、警察機関を名乗り、かつて騙した被害者に「あなたを騙したグループが逮捕された。騙された金は全額戻ってくるが、引き出すためには手数料(保険金、保証料)が・・・」と一回目と同じような手口で再び金銭を振り込ませる場合がある。前回騙された時の情報が正確だったり(前回と同じグループなのだから当然なのだが)、以前の損失を取り戻せるという欲望から、再び騙される場合がある。この場合は、締め切り期限付きだったり、前回より少ない額を要求してくる場合が多い。また一部のさらに悪質なパターンでは、取り引きのためとして手紙の受取人を先方国に招き、その際に資金を持参させる。その後、本人を誘拐・監禁して持参した資金を奪い、さらに身代金を要求する。最悪の場合、本人を殺してしまうケースもある。ロシアやルーマニアなど他のインターネット犯罪大国同様、ナイジェリアにも高いコンピューター技術を持った失業者と、政治の混乱という状況がある。ナイジェリアでは豊かな石油資源をめぐり1970年代からクーデターが繰り返されるなど政治の混乱が続いていた。サニ・アバチャ将軍が1990年代前半に政権を握ったが、彼の強圧政治は多くの国内外の反発を買い、クーデターで打倒されるなど政情不安が相次いだ。ナイジェリアでは英語教育がなされ、また電子機器やプログラミングなど高等教育も盛んであるが、高い教育を受けた卒業生たちの多く(4分の1以上)は失業状態にある。そのため、多くの若者が不法移民輸送や麻薬密輸ほか、世界を相手にした詐欺など国際的犯罪にかかわっている状態であるという。最大都市ラゴスのインターネットカフェにはりついて世界中にありとあらゆるストーリーの詐欺メールを送り、たまに引っかかる被害者から騙し取った金で豊かな暮らしができるほか、彼らをサポートするソフトウェア開発業者、メールアドレス販売業者などインターネット犯罪やクラッキングを支える業者が密集した地域がある。もっとも、1999年の選挙で誕生した文民政権のオルシェグン・オバサンジョ大統領は近年詐欺撲滅に力を入れており、インターポールやアメリカほか欧米の捜査機関と経済犯罪・インターネット犯罪などの摘発で協力をしており、多数の詐欺師が逮捕された。また、欧米のインターネット・ユーザーも、詐欺師たちを引っ掛けるべく、釣られたふりをして釣り返す攻防を繰り広げている。こういう詐欺への圧力に対し、詐欺師たちも次々新しい手口を考えて世界に電子メールを配信している。たとえば、欧米の宝くじにあなたが当選したと持ちかけ、その確認のためお金をほんの少し先に送ってほしいというものもある。これも、先にお金を払えば後でもっと手に入ると持ちかける「先払い詐欺」である。また「eBay」や「Yahoo!オークション」で商品を落札し、海外に送らせる詐欺も近年増えている。また、国際交流サイトやデート・サイトなどで、他人の写真を使って英国人やロシア人などになりすまし、ロマンティックなメールのやり取りで恋愛感情を抱かせたうえで、送金を持ちかける詐欺も、ナイジェリア人が多かったことからナイジェリア詐欺と言う場合もある(国際恋愛詐欺、ロマンス詐欺などとも呼ばれる)。なお、ナイジェリア詐欺のグループには、「多彩なキャラクターの登場する波乱万丈の短編集を全世界の読者に配信した」功績で、2005年イグノーベル賞文学賞が授与された。
出典:wikipedia
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