樽(たる、英語:barrelまたはcask)は、円筒形の容器であり、ヨーロッパで伝統的な樽(洋樽:ようだる)は木の板(樽板)とそれを縛る鉄の輪などの箍(たが)で作られており、胴の側面は中央部が膨らんだ円筒形である。日本で一般的なものは鎌倉時代末から室町時代初期ごろに出現した結樽(ゆいだる)で、たがは竹材を螺旋に捩ったもの。また、形状は洋樽と異なり真っ直ぐで、膨らまない円筒形となる。樽を作る職人は日本では後述のように結樽が桶の系譜を汲むことから桶屋、英語圏ではcooperと呼ばれる。側壁を構成する板材を、箍で結束することで強度を保つ構造物である(アーチの石積みが重力によって結束されているのと同じ原理による)。すぼまっている方に向かって底板をはめ込むことにより、荷重は箍によって支持され、液体を入れるとそれを吸った板が膨張することにより密閉される。釘や接着剤等を使用せず、木材由来の成分を除いて内容物に不純物が溶出することも無いため、水や飲料の容器として重宝されてきた。現代でも、アルミニウム(小樽(keg、ケグ)とも言う)およびプラスチック、FRPなど合成樹脂で一体成型した容器のことを、慣習的に樽と呼ぶことが多い。上記のように洋樽はしばしば中間で膨れており、凸面の形を持っている。このような一定の膨れを作ることで、横にすると摩擦面が小さくなるため比較的容易に方向を変えつつ転がすことができるようになり、容器がより球状に近くなるため材料の中で応力を均等に分散することを助ける。ビールのために使用される樽は、通気孔や蛇口の台座などの開口部を備えている。古代のギリシアやローマのような地中海世界では、油やワインのような液体は、例えばアンフォラの様な陶製の容器に入れ、木栓と松脂で封をして運んだ。3世紀にローマ人は、ガリア人との交易や戦争での接触の結果、樽を使い始めた。ガリア人はローマ人と交渉を始める以前から数世紀に渡って樽を作っていた。2000年近くの間、樽はその高価な値段を支払える者にとっては、船での輸送や貯蔵容器として最も便利な存在だった。船の積載量の単位としても用いられ、トンの語源は、空の樽を叩いた時の音に由来する。また、樽は液体の貯蔵容器としてのみではなく、釘から金貨まで、あらゆるバラ荷を入れるために樽を用いた。こうしたバラ荷の容器として、袋や木箱はより安価だったが、同じ重さの樽ほどには頑丈でなかったし取り回しに不便だった。しかし、20世紀にパレットを用いた物流とコンテナ化が導入されるにつれ、樽はゆっくりと主役の座を失った。20世紀後半に、米国では原子力廃棄物を収納するために、大きな鋼製キャスクが使われ始めた。乾式キャスク貯蔵と呼ばれるこのシステムは、非常に議論のあるところとなったが、ユッカマウンテン貯蔵施設のようなサイトが開設されるまで他に代わりになる選択肢がほとんど無い中では、最も現実的と考えられた。日本では古代から、たがのない主として木製の樽が作られていた。元々は食卓や宴席に供え、酒を注ぐための容器で、漆塗りが多く、小型のものであった。この樽の系譜を汲むのが、指物(さしもの)職人の作る指樽(さしだる)や、結樽の技法を取り入れて作られた兎樽(うさぎだる)、柳樽(やなぎだる)である。洋樽と同じように、液体やバラ荷の貯蔵、運送に使われる結樽が登場したのは、鎌倉時代末から室町時代初期にかけての時代、つまり14世紀ごろであった。長方形の杉材を竹材のたがで円形に結って作った桶(おけ)、つまり結桶(ゆいおけ)の系譜を汲み、この上面に鏡蓋(かがみぶた)を設けて密閉容器としたものである。これによって樽は一気に大型化し、酒、醤油、酢、味噌、油、漆、柿渋といった液体、さらには砂糖、乾物といったバラ荷の貯蔵、または海上運送の容器として台頭することとなった。味噌や清酒などの大規模な貯蔵熟成も、樽の出現に負うところが大きい。特に清酒の熟成は、樽の杉材からの木香が重視されるようになり、樽が不可欠とされる。杉材の中でも吉野杉は香りがよく、節が少ないため、酒樽の適材とされてきた。樽はワイン(特にブランデー、シェリーワイン、ポートワイン)やウイスキーを発酵させ熟成させる目的で、液体を貯蔵するために用いられる。一部のワインは、鉄やコンクリート製のような中性の貯槽と対比して「樽の中で」発酵されることを強調する。ヨーロピアンオーク(欧州)、ホワイトオーク(北米)が中心。日本のサントリーなどでは、ミズナラも併用する。これら素材が入手できない国では、欧州や北米から中古の樽を輸入して再利用する。ウイスキーの熟成用の樽は、後述するバーレル、ホッグスヘッド、パンチョンなどが用いられる。色調や風合いの改善を狙い中古のシェリー樽を使うことがあるが、シェリー酒の樽の大きさは、だいたいパンチョンと同じ容量である。新樽は、内面を焼いてから利用する。軽く焼くと樽素材由来のリグニンの影響で甘く、深く焼くと炭化した炭の影響で深い香りが出るなど、焼き加減はメーカーの製品の特長にも反映する。新樽は熟成が進みやすく、樽の成分が溶出しやすいため、早い段階で樽出しを行い2〜3回利用した樽やシェリー樽に詰め替えて熟成を進めることが多い。スコットランドの一部の蒸留所では、自社のウイスキーの蒸留に使用するために、他国のワインメーカーに樽を預け、その樽でワイン等を熟成させた後に樽を受け入れている。2〜3回使われた樽は、樽の香りが穏やかになるため重宝されるが、4〜5回程度となると溶出成分が少なくなるため、グレーンウイスキーの貯蔵や保存などに利用されるか廃棄される。ドラフトビールは、さまざまなサイズの樽に詰められるのが一般的だが、厳密にはかっきり36ガロン入る樽だけが本物の「ビヤ樽」である。ケグまたはカスク(cask)という用語は、どんなサイズの容器をも指すが、ケグは外部のガスボンベを使ってビールをサーブするために、滅菌ビールを入れるのに使うものを言う。本物のエールとそれに似たビールはカスクと呼ばれる容器の中で発酵工程の一部を行う。カスクにはいくつかのサイズがあるが、カスクと呼ばずに「ファーキン」または「キル(kilderkin)」と呼ぶのが普通である。1タンtun他の単位と同様、米国とワインガロンでは1824年以前の定義である(1707年以来の)液量ガロンについては231立方インチ(固体については穀物ガロン268.8立方インチ)を使い続けた。一方、英国では帝国ガロンに置き換えられた。ティアスは後に石油バーレルになった。タンは、もともとは256ガロンだった。クオーター、すなわち8ブッシェルまたは64ワインガロンはこれに由来している。1ホグズヘッド原油やその他石油製品の標準的なバレル(bblと略す)は42米ガロン、35帝国ガロン、または158.97リットルに等しい。この量は、初期のペンシルベニア油田に由来している。古い英国のワインの単位ティアスに基づき、英国と米国の商人が同じ単位を指すことができるように定めたものである。以前は別なサイズのウイスキー樽が最も共通のサイズだったこともある。これは40米ガロン(151.40リットル)の樽で、5米ブッシェルに等しい体積である。しかし、1866年に油のバレルは42米ガロンに標準化された。オイルタンカー船が登場してからは、石油が樽で運ばれなくなるまでに長くはなかったが、42米ガロンのサイズは計量、価格、課税や規制の単位として使われ続けている。1バレルにつき19ガロン半のガソリンが取れる。英語圏の"over a barrel"(他人に意のままにされるの意。字義は「樽に乗せられる」)という表現は、普通に手に入る木の樽が、私的または法的な背中への笞打ち刑で使う笞打ち台やその他体罰に用いる器具の安価で便利な代用品として使われたことを想起させる。日本の樽は、結樽(縛樽)という種類で木の板とそれを縛る竹の輪でできている。13世紀頃の日宋貿易で中国から輸入されたと推測されている。日本酒の醸造、販売容器として使用され、後に醤油の醸造、販売容器として使用された。また江戸時代には風呂の湯桶、棺桶など各種の日用品として職人により製造販売されていた。江戸時代には、全国各地に数百の業者が存在し、それを支える酒樽職人も数多くが存在していたが、2013年現在、酒樽を扱う業者は全国で9社、樽作りの全ての行程をこなせる職人も10人程度とわずかになった。樽の側面に菰(こも)を巻き付けた菰樽(こもだる)と呼ばれる酒樽は、現代でも祝いの席などで鏡開きの際に用いられる。現在、鏡開き、及び、観賞用の菰樽は、兵庫県尼崎市の岸本吉二商店で製造している。「樽」と「桶」は混同して用いられることもあるが、その違いは大きさや用途によるものではなく、「鏡」と称するふたがあるものが「樽」で、これがないものが「桶」と定義されている。ただし、祝儀桶のように特殊な形状の蓋がついた酒樽もある。日本酒の場合は樽だけでなく、昔から酒の醸造や貯蔵に用いられて来た桶にも杉が用いられており、最も酒樽に向く杉材は、奈良県・吉野地方で産出される「吉野杉」あると言われている。一般的に酒を詰める樽は「甲付」と呼ばれる、表側が赤いものが重宝されると言う。これは杉材でも木の表皮の下に広がる「白太」と、幹の中心部である「赤味」と言う部分の境目を使用するもので、白太は杉特有の爽やかな香気があり、赤味は濃密な味が付き易くなると言われている。それぞれの部分が、樽酒固有の風味を引き出す役割を担っている訳だが、1本の木から取れる樽材の量が限られている為、甲付樽は赤味だけで作られる樽に比べ、コストが高く付くと言う。現在、日本産の西洋樽としてはマルエス洋樽製作所や有明産業が製造している。また、ウィスキーやブランデーと同様の蒸留酒として焼酎があるが、その焼酎を西洋樽に詰めて熟成されることもある。
出典:wikipedia
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