『PLUTO』(プルートウ)は、手塚治虫の『鉄腕アトム』に含まれる「地上最大のロボット」の回を原作としている浦沢直樹の漫画。監修・手塚眞、プロデューサー・長崎尚志、協力手塚プロダクション。『ビッグコミックオリジナル』にて2003年から2009年まで連載。単行本全8巻。第9回手塚治虫文化賞マンガ大賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第41回星雲賞コミック部門受賞。宝島社の「このマンガがすごい!」2006年版オトコ編の1位、フリースタイルの「このマンガを読め!2005」の1位作品。単行本は850万部以上を売り上げている。2010年、映画の制作が発表されている(後述)。作者の浦沢直樹が生まれて初めて漫画で感動した作品が、手塚治虫の『鉄腕アトム』のエピソードのひとつである「地上最大のロボット」であった。熱烈な手塚ファンである浦沢はこのリメイクを切望し、2002年冬、手塚治虫の息子である手塚眞にその許諾を求める。手塚は一度はこれを断るものの、その後の浦沢の熱心なラブコールに心を動かされ、2003年3月28日に「地上最大のロボット」のリメイクを了承する。同年9月より『ビッグコミックオリジナル』にて連載がスタートした。リメイクを了承した席で手塚は浦沢に、単なるオマージュ作品ではなく浦沢作品として本作を描くことを要望した。このため、アトムをはじめとするキャラクターデザインやストーリー設定の一部には浦沢流のアレンジが加えられている。手塚治虫の原作では少年ロボット「アトム」が主人公ではあるが、浦沢直樹版では原作で脇役として登場したドイツの刑事ロボット「ゲジヒト」の視点から物語が描かれている。また、原作『鉄腕アトム』の他の回で登場したキャラクターや、鉄腕アトム以外の手塚作品で登場したキャラクターに似たキャラクターが登場したり、ゲジヒトとアトムが立ち寄った喫茶店の名前が「TOKIWA」であったりする。作中の設定は連載開始当時ニュースをにぎわせていたイラク戦争を反映したものとなっている。人間とロボットが共生するようになった時代。スイス最強のロボット、モンブランが殺された。同じ頃、ドイツのロボット法擁護団体の幹部が殺害された。二人の遺体の頭部には“角”のような物がほどこされていることからユーロポールが誇る高性能刑事ロボット、ゲジヒトは同一人物による犯行と考え捜査を進める。ゲジヒトは犯人の標的が自分を含めた7体の、大量破壊兵器になりうるロボットたちだと考えるが、その裏に隠された陰謀に巻き込まれていく。このロボット達は、大量破壊兵器になるとみなされ、アレキサンダー大統領とDr. ルーズベルトに目をつけられることになる。本作の主人公。世界最高水準のロボットの一人で、第39次中央アジア紛争に平和維持軍として参加、治安警察部隊として市街地に潜伏しているテロリストの殲滅にあたった。現在はユーロ連邦・ドイツのデュッセルドルフで数々の難事件を解決するユーロポール特別捜査官ロボットとして活躍。現在の階級は警部。正体不明の殺人犯を追いかける。2年前に記憶を改竄されており、それが原因となって度々悪夢にうなされたり、フラッシュバックを起こす。殺人犯を追う過程でダリウス14世やアブラー博士に接触し犯人の正体に辿り着くが、捕らえられたホフマン博士の身柄を保障するために見逃す。その後、ペルシャで遭遇したはずの花売りのロボット、モハメド・アリとオランダで再び遭遇。突如、このロボットの放った凶弾の前に倒れた。形態は人間型。相貌は30代後半と思われるヨーロッパ系の男性で、頭髪はやや薄毛。左手は睡眠ガスを噴射できる銃器、右手はSAAW特殊火器“ゼロニウム弾”の射撃が可能。ボディは特殊合金“ゼロニウム”で出来ていて、電磁波、熱線を無効化する。その他にも、毒物が混入されていないか成分をスキャンする機能や、乱れた画質を安定させる「画像安定装置」、相手の発言の中に嘘があるかを判別する認識システムなどが搭載され、ルーズベルト曰く『今迄で一番強力な大量破壊兵器』。頭部の骨格が手塚版の顔を思わせるデザインになっている。ゲジヒト(Gesicht)とは、ドイツ語で「表情」の意味。世界最高水準のロボットの一人で、第39次中央アジア紛争に平和維持軍として参加。本人にとっては不本意ながらアイドルのように受け入れられ、“平和の使者”として世界から歓迎を受けた。現在は日本のトーキョーシティーのある家族と一緒に住み、小学校に通っている。元は天馬博士により交通事故で死亡した息子「トビオ」こと天馬飛雄を模して製造されたが、模範的過ぎたその性格感性が、天馬の意にそぐわなかったため、亡くなった息子の代用品としては務まらず、結果サーカスに売られ玩ばれたという過去を持つ。世界最高水準のロボットの中でも、トップクラスの人工知能を持つ。そのため人間の行動を模倣していく内に、しばしば人間の感情を理解するようになる。ウランを追っていって敵と戦い、死亡が確認された(原作のゲジヒトに代わる4番目の犠牲者)。他の3体と違い体が破壊されていない。手放した後もアトムに屈折した愛情を抱き続けた、生みの親・天馬博士が停止したアトムを解析したが、機能上とは別の理由で再起動しないと言及している。その後、天馬博士から、彼曰く混沌を解決するためのシンプルな手段として「偏った感情」(ヘレナから託されたゲジヒトの記憶チップ)を挿入される。そして、遠く北欧の地で起きたエプシロンの絶命に触発され、昏睡状態から復活する。覚醒後、一時的に制御不能に陥るものの怒りの感情を自分で制御した。その後はゲジヒトの記憶チップにあった捜査に関する情報を照合し、一連のロボット殺害事件の全容を把握。日本の警視庁でそれらを述べ、散っていったロボット6体の眠る地を巡り終えた後、自ら、決戦の地へと飛び立つ。エデン国立公園でプルートウと激突、ゲジヒトの憎悪をもってプルートウを追い詰めるが、止めを刺す直前、ゲジヒトの最期の記憶「憎悪からは何も生まれない」という言葉を思い出し、プルートウを赦免する。そして地球の滅亡を停めるため地下に潜入し、プルートウと協力して反陽子爆弾を持つボラーと対決する。最終的にはプルートウによって彼だけが脱出させられた。お茶の水博士とともにサハドが地球を救う現場を目撃、一部始終を見届けたアトムは、世界から憎しみが消える日を願いながら、7人の冥福を祈るのであった。形態は人間型。相貌は日本系の男の子。頭も頭髪で、オリジナルのようなツノではない(ただし微妙なクセがついており、ツノすなわちトビオの髪型の由来となった手塚治虫のクセ毛に似る)。原作同様の飛行といった戦闘力を持ち合わせている(「七つの威力」が備わっているかは不明)。原作のブーツのようなものは履いていない。世界最高水準のロボットの一人で、第39次中央アジア紛争に平和維持軍として参加。前線でブランドとヘラクレスと共にペルシア軍のロボットを駆逐。その後、スイス林野庁に所属しルツェルン管区森林保護担当官の傍らアルプスの山岳ガイドや遭難者の救助も務める。中央アジア紛争の功績と詩や歌を愛す温厚な性格から誰からも愛されるロボットだったが、一連の事件による最初の被害者となる。7体のロボットの内唯一、見た目は原作のそれとあまり変わらない上、一番出番の少なかったロボット。ブリテン軍の総司令官アンドリュー・ダグラス将軍について、世界最高水準のロボットの一人として第39次中央アジア紛争に参加。その後ユーロ連邦・スコットランドで隠居生活をする音楽家ポール・ダンカンの執事となる。気難しい主人と心を通わせるうち、ピアノを弾きたいという感情が芽生えるが、「敵」との戦闘により死亡。ダンカンの曲を口ずさみながら空中で四散した。形態はマスクを被ったような顔面で、口元だけは人間風。7体中唯一の明確な軍事・戦闘用ロボットであり、全身に様々な兵器を装備している(オリジナルのように複数の腕を持っており、二本を除くそれぞれの先が武器となっている)。そのため、普段は手として使っている二本以外をケープに隠し、全身を覆っている。両脚は無く、足部のジェットエンジンによるホバーで移動する。飛行も可能。世界最高水準のロボットの一人で、第39次中央アジア紛争に平和維持軍として参加。前線でヘラクレスとモンブランと共にペルシア軍のロボットを駆逐。その後はユーロ連邦・トルコのイスタンブールで格闘技ロボットとして民衆を魅了、パンクラチオンスーツでの試合で不敗神話を築きESKKKRトーナメントチャンピオンになる。ロボットでありながら、試合に勝つには「運」が必要と語り、「ラッキーマン」を自称する。同じくロボットの妻と5人の子供を持ち、一家団欒で平穏な生活を送る。しかし、モンブランの仇を取ろうと「敵」の挑戦に応じて敗れ、黒海沿岸で砕かれ死亡。最後の力を振り絞り、アトムたちに「敵」の情報を送ろうとしたが、家族との思い出が、走馬灯の如く電子頭脳にリピートされ、悲しみの中力尽きる。彼の葬儀は大々的に行われ、メディアでも大きく報道された。形態は一般生活用の人型ボディ、ESKKKRトーナメント専用のパンクラチオンスーツ、かつて使っていた軍事用のコンバットスーツと、複数のボディがある。人型ボディの相貌は30代から40代風のヨーロッパ系の男性。体格は少しぽっちゃり。戦闘時は、電子頭脳(頭部)と動力炉(心臓部)のみをパンチクラチオンスーツ(もしくはコンバットスーツ)へ移し、行動する。スーツ装備時が、比較的オリジナルに似た姿となっている。世界最高水準のロボットの一人で、平和維持軍として第39次中央アジア紛争に参加。前線でモンブラン、ブランドと共にペルシア軍のロボットを駆逐。ブランドと同じくパンクラチオンスーツでの試合で負け知らずのユーロ連邦・ギリシアの世界王者。また、親友のブランドはライバル的な存在であり、過去4度の対戦では無効試合と実力が拮抗し合っている。レスリング界では闘神の名で親しまれ、パルテノン神殿の近くには、彼が勝利した際にとる闘神のポーズを模したモニュメントが設置されており、ギリシャの国民的英雄でもある。自らを「機械」「殺人マシン」と言い切るストイックな性格で、「人間の真似事」はしない主義。中央アジア紛争時も他の世界最高水準のロボットのように戦争に疑問や拒否感をあらわすこともなかったが、戦後は試合で相手に止めをさせなくなったことを自覚しており、「憎しみ」や「いたわり」を理解するようになっていた。「敵」との戦いに敗れ黒海上空で四散した親友ブランドの残骸を回収し、同時に「敵」の痕跡を探るべく、私財を投げ打って、その探索作業に当たらせた。そしてブランドの仇を討つため軍事用スーツまで借り出して「敵」との戦闘に臨み、死闘の末「敵」の正体に迫るも隙を突かれ、頭を角で刺され死亡した。形態はブランドと同様、複数のボディがある。ただし、ブランドと違い、移すのは電子頭脳のみ。人型ボディの相貌は30代から40代のヨーロッパ系の男性。体型は筋肉質のアスリートタイプ。ブランド同様スーツのデザインはオリジナルを思わせるが、原作とは違い素手で戦う。世界最高水準のロボットの一人。原作同様、太陽の光を利用した光子エネルギーを動力源にしている。第39次中央アジア紛争への参加を「この戦いに義は無い」と言う理由から拒否し、世論から非難を浴びてしまう。その後、拒否した事に対しての見せしめとしてペルシア王国へ戦後処理の名目で派遣される。そこで戦後の悲惨な光景を目にし、この地で出逢った戦災孤児達を引き取り、オーストラリアで一緒に暮らしている。「ロボット風情が養父を気取っている」と世間から更に厳しい批判を受けたが、子供達や施設の職員からは慕われている。戦災地においては、人工知能を抜き取られた大量のロボットの残骸を、光子エネルギーの破壊力で「処理」した。この体験と、ペルシャから引き取った子供の1人ワシリーが口にする「ボラー」、歌詞にボラーの登場する不吉な歌などから、この戦争の裏にある不穏な何かを察知している。たびたびゲジヒトらの前に現れては、「人間とロボットは近づきつつある。近づきすぎると良くない事が起こる。」等の謎めいた警告を与えている。非戦闘型ロボットながら、今作中で最高の戦闘力を持ったロボットである。オーストラリアの上空に飛来した「敵」の存在を察知し交戦。地上に、その残骸を残すほどのダメージを与えるも、「敵」の左腕を破損したに過ぎなかった。アブラーに囚われたワシリーを救い出すべく、ガードロボットのホーガンと共闘し、「敵」の潜むノルウェーのアジト、ビーゲラン城に突入。またも「敵」と遭遇し、雪の降る悪天候の中、光子エネルギーを満足に発揮できない状況下で再戦を繰り広げる。「敵」の正体やボラーに関する謎を解明し、戦闘でも優位に立つものの、「敵」を説得しようと試みた時突然状況が悪化し、首から上を噛み切られ破壊された。破壊される直前、バリアーを張ることのできる両方の手のみを彼の体から切り離し、「敵」との戦いで生じる衝撃波からワシリーとホーガンを庇い、守り抜いた。そして残留思念で「地球を守ってほしい」と言い残し消滅した。形態は人間型。相貌は20代のヨーロッパ系の男性。長髪で中性的な印象の美男子で、黒のセーター(らしき服)と、同じく黒のスラックスおよびブーツを着用している。数え上げるときりがないが、ここでは一部を紹介する。各巻に通常版と豪華版の2種類が発行される。豪華版は通常版よりも10日程先行して発売。B5判で雑誌掲載時のカラーページも再現し、各巻に必ず付録が付く(第1巻の付録はオリジナルの鉄腕アトム「地上最大のロボット」の原作コミック)。また、いわゆる「限定版」ではないため、通常版と同じく重版も発行されている。2015年1月から2月にBunkamuraシアターコクーンと森ノ宮ピロティホールにて『プルートゥ PLUTO』のタイトルで上演された。演出・振付はシディ・ラルビ・シェルカウイ、上演台本は谷賢一が担当。主演のアトム役は森山未來が務める。5月24日にはNHKEテレ「Eテレシアター」で放送された。主な配役アメリカの映画プロダクションイルミネーション・エンターテインメントは、手塚プロダクションと共同で本作を基にした実写映画を企画・製作中であると発表した。
出典:wikipedia
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