『エロイカより愛をこめて』(エロイカよりあいをこめて)は、青池保子の漫画作品。1976年から少女漫画雑誌『別冊ビバプリンセス』(秋田書店)に連載。その後、1979年からは少女漫画雑誌『月刊プリンセス』(秋田書店)に掲載誌を移し、長期連載(一時中断あり、後述)。2008年に少女漫画雑誌『プリンセスGOLD』(秋田書店)に移籍し、2009年1月号から新たに連載を開始した。単行本は2012年8月現在で39巻まで刊行されている。2000年6月現在の累計発行部数は800万部に達する。男色の美術品窃盗犯「怪盗エロイカ」ことドリアン・レッド・グローリア伯爵(以下、伯爵)の法をやぶった美術品収集活動が、北大西洋条約機構(NATO)の情報将校「鉄のクラウス」ことクラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐(以下、少佐)の作戦行動と遭遇し騒動を引き起こす、コメディ色を含んだ怪盗&スパイ活劇。少女向け漫画ながら、綿密な考証と細部まで書き込まれた緻密な絵柄や、少女漫画離れしたストーリーから男性ファンも獲得している、『魔弾の射手』や『Z -ツェット-』など、コメディ色を排した外伝・スピンオフ作品も発表されている。連載開始当初は青池の出世作『イブの息子たち』のパターンを踏襲し、主役はそれぞれ異なった個性を持ち、超能力を操る3人の少年少女、猥雑なドタバタギャグに加え、主人公を16歳の少女・プラムから始めるなど、少女漫画らしい手法を展開していた。しかし作品No.2「鉄のクラウス」で登場した少佐の硬派ぶりが受け、主役が交替。東西冷戦の渦中で少佐の活躍を描くスパイ物へと変貌した。以後はソ連国家保安委員会 (KGB) との情報争奪戦、冷戦が終結した1990年代以降は、テロリストを相手にしたロシア対外情報庁(旧KGB)との共同作戦が主要なものとなり、この2つの勢力の間で美術品の窃盗をはたらく伯爵が争いに巻き込まれるというパターンが基本となっている。1986年に展開された作品No.14「皇帝円舞曲」を境として、1995年まで連載が一時中断されている。このような長期の中断があった背景には、当時、青池が中世ヨーロッパを舞台とした作品に傾倒していたこと、東西ドイツの統一、ソ連崩壊が起こり冷戦が終結し、単純な「西側対東側」の対立軸を基本とした物語が構成できなくなり、再開に対し青池が及び腰となっていたことなどが挙げられる。このため、再開時には軍事評論家の岡部いさくを脚本アドバイザーとして迎えている。なお、レギュラー級の主要人物(部下A、情報部長、仔熊のミーシャなど)の本名が明らかになっておらず、一方で一つのエピソードにしか登場しないサブキャラクターにかえってフルネームが設定されていることが多い、という幾分逆説的な現象が特徴として挙げられる。作品とサブタイトルは以下の通りである。本編のNo.1からNo.5まではサブタイトルがなく、文庫版でつけられている/以下〈文〉で記載。番外編は本編から全く独立しているわけではなく、時間的にも内容的にもその前後の本編とつながりのあるエピソードとなっている。ただし、『小銭王ジェイムズI世伝』だけは例外で中世に舞台をとった内容である。(ここまでが最初のシリーズで、これ以降が一時中断後の新生シリーズとなる)『Z-ツェット-』シリーズの中の「ツェットの幸運」は「No.12 笑う枢機卿」と「No.13 第七の封印」の間のエピソードである。なお、中国の情報部は、正しくは「国家安全部」。本作のヒットにより、1970年代後半から1980年代にかけて、大学でドイツ語を履修する学生が急増したといわれる。また、偶然少佐と同じ名前を持っていたドイツ・エーベルバッハ市への日本人観光客が急増し、青池は観光業に対する貢献を認められ、1990年、エーベルバッハ市より名誉賞と市章であるイノシシの彫像を授与された。同市の日本人向け観光パンフレットの表紙には、ジャケットとスラックス姿の少佐が描かれている。2003年にはドイツ連邦軍の広報誌「Y.(イプシロン)」において、2ページを割いて本作が紹介された。現代のドイツの軍人を扱った娯楽作品が少なく、またそれが日本で人気を博しているということで、軍関係者にも非常に好意的に受け止められた。しかし兵士が長髪の少佐を見た時は「langhaarig(髪が長い)」という言葉が非常に多かったという。また、2004年に発表された番外編『心理実験プロジェクトS』の作中にフランクフルト大学が登場したことにより、同編が掲載された『月刊プリンセス』7・8月号が同学日本語学部に寄贈され、フランクフルト工芸博物館において贈呈式も行われた。青池作品では『イブの息子たち』に複数回登場しているほか、『サラディンの日』などでもモブキャラクターとして少佐や部下Aの姿が見られる。手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』へのオマージュとして、他の漫画家達が競作した短編シリーズ『ブラック・ジャック ALIVE』において、青池が担当したエピソード中で少佐と伯爵、ジェイムズくんがブラック・ジャックと共演している。アニメ化などは一切されていない本作だが、1982年に日本コロムビアより水木一郎の主題歌とドラマを収録したレコードが発売されている。
出典:wikipedia
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