マウス (Mouse) とはポインティングデバイスの一種類である。本体を手に持って机などの平面上を移動させ、接触式ないしは非接触式のセンサで移動を検知し、2次元の縦横それぞれの移動をコンピュータへ伝える(加速度センサにより3次元の移動を感知する3Dマウスといったようなものや、絶対座標を指示するタイプのものもあるが、一般的ではない)。マウスという呼称は、形状がネズミに似ていたことから名づけられた。現在のものはもっぱら指先側に電線が付いているが、以前は手首の側に付いているものも多く、そのようなマウスの左右のボタンを耳に、電線を尾に見立てたものである。英語の複数形は生物のネズミと同じmiceとすることが多いがmousesとすることもある。近年は無線による「コードレスマウス」(ワイヤレスマウス、無線マウス)も多い。ワークステーションをはじめ、1980-90年代以降はパーソナルコンピュータのグラフィック性能も強化され、グラフィカルユーザインタフェース (GUI) が一般的になると、GUIにおけるデフォルトのポインティングデバイスとして普及した。家庭用ゲーム機にも、スーパーファミコンには専用マウスがあったし、近年はUSBインタフェースにより市販品を使用可能だが、商品の性質上ゲームパッドで通常の操作は全て可能なようにデザインされていることもあり、対応ゲームはそう多くなく、マウスを必須とするゲームは家庭用ゲーム機にはほとんどない。マウスの移動の単位は「ミッキー」で、1ミッキーはマウスの1/100インチの移動である。GUI操作におけるマウスの感度などとして、マウスの1ミッキーの移動に対しマウスカーソルが何ドット移動するかという値ミッキードット比といったように使う。「ミッキー」の命名者はマイクロソフトのプログラマーだったクリス・ピーターズであり、ミッキーマウスに由来する一種のジョークとされる。彼はマイクロソフトの105人目にあたる社員で、Windowsのマウスドライバなどを開発している。オペレーティングシステムによっては、マウスの移動速度が速い場合や加速度が大きい場合に、ポインタをマウスの移動距離よりも大きく移動させる機能がある。これによって、ポインタの座標とマウスの実際の位置とは対応しなくなるが、より「動かす」感覚に近くポインタを移動できると感じるユーザーもいる。この場合、マウスはポインティングデバイスではなく、『ポインタを移動させるデバイス』として捉えられていると言えよう。また、マウス位置とポインタ座標が対応している方が正確にポイントしやすいと感じるユーザーもいる。マウスのボタンは、Macintoshでは1つまたは4つ、PC/AT互換機では2つから5つ、UNIXマシンでは3つのボタンがついていることが多い。このボタンを押すことをクリック、ボタンを押しっぱなしにすることをプレス、またプレスしながらマウスを動かすことをドラッグという。そうしてドラッグしたものからボタンを離すことをドロップという。ドラッグとドロップでドラッグアンドドロップ(しばしばD&DあるいはDnDと略される)ということがある。Windows向けの場合、Windowsの標準では左ボタンはクリック(項目選択・決定)やドラッグ、右ボタンはコンテキストメニューの表示に主に使われる。1999年に発売されたマイクロソフトのIntelliMouse Explorerにはサイドボタンと呼ばれる2つのボタンが側面に搭載され、それ以降は1つまたは2つのサイドボタンを備える高機能なマウスも普及している。サイドボタンは通常ウェブブラウザ・Windows Explorer等の「戻る」「進む」機能に割り当てられるが、マウスのベンダーから提供されるドライバユーティリティを使用すれば好みの機能にカスタマイズできる場合がある。ゲーム向けの高級機種として、より多くのボタンを備えた製品もある。ボタンだけでは充分な快適性が得られないとして、ホイール(車輪)やトラックボールが表面に付いているものもある(後に詳述)。また、特定のディジタイザ上のみで使用可能なマウス型デバイスといったものも存在する(ワコム製タブレットなど)。1960年代にダグラス・エンゲルバートが作ったマウスはXとYの直交した2個の円板がある方式だったが、1970年代には、内蔵したボールの一部が底面に露出しているボール式が開発され主流となった。ボール式では、マウスの内部でボールに小さな縦方向と横方向の円板ないし円筒が接しており、その回転で縦横の移動を検出する。ボールのころがり(モーメント)による独特の操作感があるが、機械的な構造上ある程度の滑りは避けられず、定期的な分解清掃といったメンテナンスが必要なため、メンテナンスフリーの光学式(次節)が一般的になってからは、そちらが主流となった。LEDなどの光源と光学センサにより、移動を検出するマウス。IC測定器設計技術者:柴田潤がHP社在籍時に発案。80年代から存在したが、当初は専用パッドを必要とし、動きを検出する精度は高いが、比較的高額で、ワークステーション用やCADなど、業務用途主体の限られた分野での使用が主であった。専用パッドの不要なタイプの普及は1999年にマイクロソフトが発売したIntelliMouse Explorer以降である。通常は赤色LEDで可視光を底面に照射しカメラセンサーで動きを検出することで動作する。カメラセンサーにより専用パッドが不要となったが、ガラス板のような透明なもの、白いプラスティック製下敷き、鏡面などの上では全く動作が検出できなかったり、不安定だったりする場合がある。安定した動作を求める向きのために、光学マウスと相性の良いマウスパッドというものも作られ市販されている。2004年にロジクールが初めてレーザー光を使用した高精度なマウス(レーザーマウス)を発売した。数年後には比較的安価に販売されるようになったが、普及度は従来の光学式を置き換えるほどではない。2008年9月にマイクロソフトが青色LEDを使ったBlueTrackマウスを発表した。レーザーマウスと比較しても様々な場所で動作検出性能が高く、かつリフトオフディスタンス(マウスを持ち上げても反応する距離)は短い。ちなみに青色LEDを使用したマウスはこれより以前にも存在し、2000年12月発売のCMS-OP/UP(センチュリー)、2003年11月発売のM-BGUP2RLBU(エレコム)等がある。詳細についてはBlueTrackを参照。2009年8月にロジクールが暗視野顕微鏡の技術を応用したDarkfieldセンサを搭載したマウスを発表した。従来の方式では動作しなかったガラス板(4mm以上の厚さが必要)や、光沢のある漆塗りのような透明なものの上でも動作することが可能になっている。マウスにおけるホイールは、ポインタ移動とクリック・ドラッグによる操作だけでは煩雑な処理を補助するために設けられた機構である。標準的な2ボタンマウスの場合は、通例左ボタンと右ボタンの間に保持され、人さし指、または中指による前後方向の回転移動を行う。1996年にマイクロソフトが発売したIntelliMouseで初めて多くの消費者に認知され((Geniusブランド)の「EasyScroll」が先行製品である)同社がWindows 95やOffice 97などを対応させ普及に弾みをつけた。ホイールは一次元縦方向の回転量を検出し、それを何らかの操作の移動量と結びつける。マウスのポインタ移動と異なり、マウス自体は移動しない。また原理上、動作はいくらでも続けられる。ホイールを下に押して、クリック操作ができるものも多い。多くの場合、それはホイール状態をロックしてポインタ移動と同期するか、または回転のメタファーから状態のトグルを表す操作に対応する。いずれにせよ、ホイールは比較的クリックしにくい構造であり、通常は頻繁に利用する動作が割り当てられることはない。ワークステーションでは、ホイールマウス誕生以前から3ボタンマウスが一般的であったが、ホイールマウスがワークステーションやPC-Unixでも使われるようになった後は、ホイールのクリックに、従来の中ボタンの操作を当てるようになった。このためPC用でも、元がワークステーション用だったりするようなCAD等のソフトでは、元々のワークステーション用の中ボタンの機能をホイール押下に割り当てていることがある。ペースト操作用として多用される場合があるが、ホイールの押下の検出には多用されない前提のスイッチが使われていることがあり、劣化が早いことがある。一般のユーザーにおいては、ブラウザやワープロなどのソフトにおいて画面に入りきらない情報をウインドウ内でスクロールするために用いることが圧倒的に多く、そのためホイール操作は画面スクロールと同期される場合がほとんどである。これはプログラミングあるいはデバイスドライバの設定により挙動を変更できる。中クリックあるいはホイールクリックへのアサインは、タブブラウザが普及してからは新しいタブを開く・タブを閉じるなどの挙動が定着した。その延長上でWindows 7のタスクバーでは、タスクスイッチを中クリック/ホイールクリックすると、そのアプリケーションの新しいウィンドウあるいはタブが開く。コントロールキーを押しながらホイールを回すと、ウィンドウ内の表示倍率を拡大/縮小する挙動が一般的である。Internet Explorerなど一部のアプリケーションでは、シフトキーを押しながら回すと履歴の戻る・進むの機能が行われる。ホイールボタンの定着の弊害として、ホイールマウスで代用が可能であることから、従来のワークステーション用マウスと同様の3ボタンマウスの流通が減少し、ホイールマウスを「3ボタンマウス」と称すようになったため、入手などの際に従来型3ボタンマウスを指名することが難しくなった、ということが挙げられる。あくまでも「代用」であって、ドラッグ操作のしづらさや、前述のようにスイッチの耐久性の問題がある。トラックパッドなどでは、ホイールの機構を待たずそのままではスクロール操作ができずに不便になってしまう。そこで、ホイールを持たずに同等の機能を提供するデバイスもある。PC/AT互換機ではPS/2コネクタ(それ以前は汎用シリアルポート)、MacintoshではApple Desktop Bus (ADB) 端子が長く使われていたが、2000年代に緩やかにUSB接続に置き換わった。2015年現在、PS/2方式は安価なマイコンなどUSB機能を持たないような機器用や、特殊目的などでわずかに残っている。有線接続はコードの扱いがわずらわしいが、接続の確実性や、紛失や充電などの問題が無いという利点もあり広く使われている。無線接続の場合はレシーバーをUSB端子に接続し、レシーバーとマウスを電波で通信するタイプが安価で主流である。Bluetooth接続の製品も、特にUSB端子の数やスペースの都合上ネットブックやタブレット端末向けに徐々に普及しつつある。無線マウスは電源として乾電池を必要とするか、充電池を内蔵する。ダグラス・エンゲルバートが1960年代に開発し、1968年にデモを実施したoN-Line System (NLS) で開発されたものがこんにちのマウスの始祖とされている。類似した装置としてはトラックボールが同様に1960年代には存在している。エンゲルバートによる原形はX軸とY軸それぞれの円板が床と接触するものであったが、1970年代にはボール式マウスが開発された。ノートパソコンにはタッチパッドやポインティング・スティックといったマウスを代替可能なデバイスがキーボードの付近に内蔵されている。慣れが必要でマウスほど快適な操作ができない場合が多いため、別途マウスを接続するユーザーは多い。標準でマウスが同梱されていることもある。ノートPCと一緒に持ち運ぶための小型・軽量マウスがモバイルマウスなどの名称で販売されている。マウスとキーボードは最も一般的なパソコンには欠かせないものだが、アプリケーションやOSには多くのキーボードショートカットが用いられ、マウスに手を伸ばさなくてもキーボードだけで作業が完結できる場合もある。またカーソルキーでマウスポインタを動かせたり、マウスボタン入力を矢印キーで再現できるユーティリティソフトウェアも存在する。製図・イラストなど精細な再現性が必要な作業に向いているが、専門的なデバイスとみなされ、マウスほど大量には普及していない。2010年前後に急速な普及を始めたスマートフォンやタブレット型コンピュータ等では、タッチパネルにより画面を直接タッチ操作するのが事実上の標準となった。タッチパネルはマウスに相当する操作を概ね代替でき、マウスより直感性に優れた操作も可能である。タッチ対応ディスプレイを備えたパソコンでは、タッチとマウスのどちらでも操作が可能である。Windowsは次第にタッチ操作への対応を進め、特にWindows 8ではタッチ操作に最適化したModern UIを搭載するなど更に強化されている。マウスにタッチパネルライクな操作性を融合する試みもある。アップルのMagic Mouseや、それに類似したマイクロソフトのTOUCH MOUSE、ロジクールのタッチマウス M600などの製品では、ボタンやホイールを排除して表面にタッチセンサーを搭載し、クリックなどのボタンの操作をエミュレートするだけでなく、スワイプなどのタッチ操作独特のジェスチャーも利用可能である。
出典:wikipedia
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