やかん(薬缶・薬罐・薬鑵)は、湯沸かしに用いられる、主に土瓶形の道具である。英語からケトル(Tea "kettle")と呼ばれることもあり、底が丸いものを「やかん」、底の平らなものを「ケトル」と呼ぶこともあるが、両者は明確には分けられないとされる。やかんは鉄、おもにステンレスやアルミニウム、シュウ酸アルマイト、あるいは銅や真鍮等の素材で作られており、琺瑯仕上げのものもある。直接火などの熱源にかけて湯沸しに用いる。形状的には球形ないし円柱の本体側面に注ぎ口が、上部には大きな取っ手がつく。また取っ手の付け根には蓋構造があって、ここから注水し易くなっている製品がほとんどである。取っ手、つまみはプラスチック、ツル巻、ナイロン、フェノール樹脂が使われている。一体化した物やネジ止めの物がある。なおこれをコンロないし裸火に掛けて中の水を加熱するために使う場合もあるが、単に水など液体を運搬するための簡易容器にも用いられる。密閉性はえてして無く、傾けるだけで中の液体が注ぎ口から出るようになっている。大きさは用途によって様々であるが、一般に家庭用として用いられているものは大きくても2~3リットル程度のものが多いようで、このほか独身者や個人用の1リットル未満のものから、工事現場の飯場で使われるような10リットル程度のものまで需要に合わせた製品が販売されている。単に湯沸しの用途のみならず、冬場には水を入れてストーブの上に置くことで沸騰させて中の水分を放出させ、部屋の空気が乾燥するのを防ぐことにも利用されている。また夏場では、これに氷と共に水や麦茶を入れたものが利用される場合もある。なお、日本では「湯沸し」という区分で家庭用品品質表示法の適用対象とされており、雑貨工業品品質表示規程に表面加工や材質などの表示についての定めがある。もともとは中国の注ぎ口と取っ手のある、生薬用の加熱器具「銚子(中国語:ディアオズ()」、別名「藥銚」が時代と共に機能、形状を変化させたものと考えられる。陶器のものは「沙銚」、茶を淹れるものは「茶銚」とも呼ばれた。日本では、鎌倉時代にすでに登場しているが、元々は薬(漢方薬)を煮出すのに利用されていたため薬鑵(やっかん)と呼ばれていた。湯沸かしに使われた時代は明確なことは不明であるが、1603年『日葡辞書』に「今では湯を沸かす、ある種の深鍋の意で用いられている」とあり、中世末には既に湯を沸かす道具として用いられていたようである。また茶道でも用いられる鉄瓶(こちらは茶釜からの発展)のように鋳鉄でできた重い湯沸し用の道具もあった。現代でも日用生活品の一つとして多くの家庭においてよく用いられ、カップ麺などインスタント食品用を調理するとき、あるいは紅茶やコーヒーを淹れるときなど、多めに熱湯が必要になる場合にはしばしば利用されている。また、上に述べたように暖房器具と併用して加湿器に使ったりといった利用方法も見られるため、スーパーマーケットからディスカウントストア、あるいは金物店では定番の商品となっている。業務用途では給食等の配膳で大量のお茶を沸かす必要がある為に、大型のものを使うケースが目立つ。一般的に土瓶型であり、全体を持ち上げ、沸かした湯茶を注ぐための取っ手と、注ぎ口があるのが特徴である。最近は底が平たいものが多いが、日本の伝統的なやかんは丸型で、はげ頭のことを「やかん頭」と表現する俗語が出た。注ぎ口には笛の付いた蓋がついていることもある。これは火にかけたまま放置してしまうことを防止するため、内部の水が沸騰して発生する水蒸気が注ぎ口から噴出することを利用して、笛が鳴ることで沸騰を知らせるためのものである。現在よく見られる笛付きのヤカンのルーツはアメリカのニューヨークにある台所用品メーカーが1921年に発売したものが最初とされる。発売当初はアメリカで全く売れずヨーロッパ(特にドイツ)でよく売れた。その後、徐々にアメリカでも売れるようになりやがて全世界に広まった。なお、それとは別に2000年前のマヤ文明の遺跡から細い穴の付いた土瓶が発見されておりこれは土瓶でお湯を沸かすとヒューヒューと音が出る仕組みである事が判っているが、これが現在の笛付きのヤカンと同じ目的(沸騰した事を使用者に知らせる)を目的として作られたものか、あるいは別の目的で作られたのかは解明されていない。形状が似た道具に急須があるが、直接火に掛けないなど、材質や用途は異なる。ヨーロッパで従来から使われていた電気ケトルが2000年代後半ごろより日本に再上陸している。湯を沸かすという点では従来の電気ポットと変わりがないが、保温機能を省いてより強力な発熱に特化し、マグカップ数杯分程度の小容量の水をすぐに沸騰できるものを称して「電気ケトル」と呼んでいる場合が多い。当初はティファールが市場を独占していたが、2010年ごろよりより象印やパナソニックなどの国内企業も参入したほか、製造コストの低い中国製が多く出回っている。電気ケトルの場合は、円筒形の背の高い本体側面に取っ手と注ぎ口が付き、底面はそのまま電熱器となっている。電気コードは差し込み式のものもあるが、コードを不意に引っ掛けてケトルを転倒させる事故を防ぐために、近年の製品では磁石を使ってコードを保持する製品が主流である。また、一部の海外商品及びその類似商品を子供が誤って転倒させた際に湯がこぼれて熱傷を負う事故が多発しており、問題となっている(日本製品の多くは倒させても湯がこぼれない様になっている)。2.2kWから3kWの商品が主流だが、200Vの電圧が普及しきっていない日本では電圧の関係で大体の家庭では100V15A(1.5kW)の製品を使用するので、2.2kWや3kWの製品と比べるとお湯が沸くまでに時間がかかる。電気ケトルは、その機能を実現させるための(水を熱源に当ててお湯を沸かす)構造そのものは単純だが、700Wから1400Wという高出力(日本国外では2000W以上のものもあり)であり、電化製品の中では、電子レンジや冷暖房機、ヘアドライヤーと並んで容量不足の時にブレーカーを落とす元凶の一つである。
出典:wikipedia
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