独島級揚陸艦(トクトきゅうようりくかん)は、大韓民国海軍の強襲揚陸艦の艦級。アメリカ海軍協会()ではヘリコプター揚陸艦、ジェーン海軍年鑑ではドック型輸送揚陸艦として種別されている。ネームシップの艦名は、島根県の竹島の韓国名に由来する(詳細は#名称問題を参照)。韓国海軍は2020年の機動艦隊(海上自衛隊の護衛艦隊にあたる)創設を目指し、イージス艦(世宗大王級駆逐艦)、3,500トン級潜水艦 (KSS-III)、独島級大型揚陸艦 (LPX) の開発計画を進めており、LPXについては「大洋海軍(ブルーウォーターネイビー)への足場」と表現し、韓国海軍の遠距離作戦能力の強化を見込んでいる。なお、この機動艦隊創設計画に関しては、韓国が現在も継戦中である北朝鮮に対する軍備としては強大過ぎる上、独島級大型揚陸艦も地理的にも北朝鮮には最も遠い済州島に配備しており、日本全域を射程に収めるとされる韓国の国産長射程巡航ミサイル(天竜)の配備と共に、対北朝鮮用としては疑問符が付くとの意見が多い。日本側の専門家筋の中には、これらのことから対北朝鮮装備としては過大な韓国の海軍力が、秘密裏に日本を仮想敵国としているのではないかとの懸念も聞かれる。建造は韓進重工業が担当。1番艦は2005年7月12日に進水式を行い、2007年7月3日に就役した。本級は上甲板(第1甲板)を全通させた、いわゆる全通甲板型の艦型を採用している。船体は3層の甲板から構成されており、第2甲板はギャラリデッキとして、おおむね司令部区画と居住区画で占められている。その下は第3・4甲板と甲板2層分の高さを確保し、前部から艦尾まで全通した車両甲板兼格納庫とされている。またその最後部は、さらに1甲板低いレベルのウェルドックとされている。主機関としては、SEMT ピルスティク製の16PC2.5STC中速ディーゼルエンジン(斗山重工業によるライセンス生産機)4基を2基ずつ2軸に配したCODAD方式が採用されている。機械室は前後2区画にシフト配置とされていると考えられている。なお電源としては、主発電機4基を搭載している。本級は飛行甲板の見通しがきく全通甲板艦型を採用しており、また船体も大きいことから、韓国海軍軍艦としては最有力の航空運用機能を備えている。上甲板(第1甲板)は、前端のゴールキーパー 30mmCIWS搭載部を除けば、ほぼ全域が航空甲板として用いられており、5つのヘリコプター発着スポットが設けられている。エレベータはインボード式に、前後に2基が設けられている。いずれも上甲板(第1甲板)と第3甲板を連絡しており、前部エレベータ(力量19トン)は格納庫内に、後部エレベータはウェルドック内に降りる。格納庫としては、第3甲板前方に汎用ヘリコプター(CH-60やリンクスなど)2, 3機分のスペースが確保されている。またその後方の車両甲板を格納庫に転用した場合、合計で約10機を搭載できる。また航空管制も考慮して、長距離探知可能な3次元レーダーであるSMART-Lが搭載されている。このSMART-Lレーダーは、欧州諸国のNAAWS/PAAMS搭載の防空艦にも、火器管制を担当する多機能レーダーを補完する目的で搭載されている。ただし航空機の運用は錨泊状態を前提としていることから、フィンスタビライザーは搭載されておらず、航行しながらの機動揚陸戦には対応困難と考えられている。ハリアー II、F-35B等といった垂直離着陸機をも運用しうるほどの甲板スペースと格納庫を持っているため、スキージャンプの設置など所要の改造を施して、STOVL軽空母として転用すること想定しているのではないかとも言われる。しかし韓国政府は独島級をヘリ搭載艦としてのみ使用し、固定翼機を搭載する航空母艦として使用する予定はないと発表した。艦上用ヘリコプターを確保できず、ヘリコプター機動訓練を海ではなく貯水池の上で実施していることが明らかとなっている。国政監査資料によれば、韓国海軍は訓練時、艦上用ヘリコプターの代わりにUH-60ヘリコプターを用いているが、このヘリコプターには防塩処理がされていないため「独島」では機動訓練が出来ず着陸訓練だけが行われている。「独島」が就役して7年が経過したが艦上用ヘリコプターが確保されず戦力化が完了できない状態であり、2018年~2022年になって韓国型機動ヘリコプターKUHの艦上用改造ヘリコプターが搭載される計画なので、「独島」は進水17年が経過した後になって戦力化が完了することになる。居住区とあわせて兵員400名(短期間であれば最大700名)が乗艦でき、また車両甲板にはK1戦車10輌、KAAV7水陸両用装甲兵員車16輌を収容できる。車両甲板兼格納庫の後方には、1甲板下がってウェルドックがあり、LCACなどの上陸用舟艇を収容できる。韓国海軍が従来運用してきたLCAC(LSF-I型)のペイロードは22t程度しかなく、戦車を搭載することができないため、よりペイロードが大きいLSF-II型『ソルゲ("솔개"・鳶)型エアクッション揚陸艇』を、FMS(1998年)と、LCACに関する技術データの提供と支援を受ける約50億USドルの契約(2002年9月)による国内生産によって調達し、2007年より配備している。なお、上記の後部エレベータがウェルドック内に降りることから、LCACの搭載数は1機に限られるものと推測されていたが、実際には後部エレベーターのレールはLCACに干渉しない用に設計されていたことから、後部エレベータを上甲板と面一とした状態であればLCAC運用に支障はないものと考えられている。ただし、LCACを2隻収容した状態では、後部エレベータを第5甲板レベルに下降させることはできない。なお、後部エレベーターが第5甲板レベルまで下降すると、頂板が第4甲板レベルとなり、車両甲板兼格納庫と連絡する構造である。またドックのハッチは上下の分割式である。韓国海軍は、独島級の他にイージス艦である世宗大王級 (KDX-3)、中型潜水艦などから構成される機動部隊として第7機動戦団を編成し、釜山海軍作戦基地に配置している。将来的には済州特別自治道に母港を移転して、済州道 - インドネシアのマラッカ海峡間の海上輸送路を保護し、中国人民解放軍海軍、海上自衛隊に対抗するために活用される。独島級はこの機動艦隊の指揮艦となる予定である。就役前ではあるが、韓国海軍61周年記念に甲板で人文字で「61」と描いたのが最初の活動である。独島艦には3種類のレーダーがあるが、試験評価過程においてレーダーを作動させるとレーダーのビームが甲板に反射してレーダーモニターに反射標的(虚偽標的:ゴースト)が発生するという致命的欠陥が発見された。この問題は4次にわたって修正補完されたが問題を完全には解決できず、その状態のままで2007年7月、海軍に引き渡された。火器管制レーダーの場合、回転時に1 - 3個発生した虚偽標的問題は解決したが、直線走行時、3 - 4個発生したものは、改善後にも相変わらず1 - 2個が発生しており、対空レーダーの場合も回転の時1 - 3個発生した反射標的問題は解決したが、直線走行時の3 - 4個発生したものは改善後にも相変わらず3 - 4個が発生している。対艦ミサイルなどを自動で迎撃・撃墜するゴールキーパー接近防御火器システムが2基装備されているが、「独島」においては艦首側の1番砲はヘリ甲板の最前部に設置したが、艦尾側の2番砲は位置を考慮せずにアイランドの高所に近接火器を配置したため、ゴールキーパーが砲身を下げて俯角を取った場合、射界にヘリコプター甲板の後部が入ってしまい、その範囲に艦載機や装備があった場合は敵機もろとも掃射してしまう欠陥が竣工後に発覚した。2013年9月10日には、発電機室の火災により主発電機1基が故障、その消火用水をかぶったため残る1基も故障し、航行不能になるという事故が発生した。また後の調査で、本来4基あった主発電機のうち2基が4月の浸水事故で故障して陸揚げされており、残った2基のみで運用が継続されてきたことが判明した。2015年、光復70周年の航海行事に向けて島根県竹島(朝鮮名:独島)周辺海上に派遣される予定であったが、プロペラ(スクリュー)故障が発生し修理を施すことになったため、この派遣が中止されていたことがわかった。韓国国会国防常任委員会委員の金寛鎮議員が同年9月20日に明らかにした。同議員は「艦艇管理が不十分だったために独島艦の投入が取り消しになったのは呆れることだ」と述べている。最南端の馬羅島、最西端の白島を艦名とする2番艦以降の構想があるが、予算などの問題があり、未だ着手されていない。李明博政権が実施した国防改革2020によって独島級は2番艦までの建造となることが決定した。合わせて独島級の拡大型の建造計画の破棄、2番艦建造の先送りも決定され、当面は1番艦である「独島」に搭載する汎用ヘリコプターの調達が優先されることとなった。ロシア海軍がミストラル級強襲揚陸艦の購入・建造を決めた際、ロシア総合造船会社は造船設備の新造が必要なために、ミストラル級ではなく独島級の購入を主張してセルジュコフ国防大臣と対立した。同社極東部センター部長は、ミストラル級を運用・整備する設備や護衛部隊が太平洋艦隊には整っていないと述べ、仮に独島級揚陸艦を購入した際、整備修繕も韓国に外注することを暗に示唆している。
出典:wikipedia
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