果実(かじつ)生物学的には、果実とは被子植物の、その中に種子を含む構造のことである。被子植物の種子は子房の中で成熟するから、子房が果実になる部分であり、すべての被子植物の種子は果実に入っている。いわゆる果実という言葉が肉質で食せるものとの印象を与えるのは、そのような果実を形成する種が少なからずあってそれがヒトにとって重要な食料であったことによる。このような果実は、植物の繁殖戦略として、動物の食料になる部分を種子の周りに発達させ、食われることで動物の体内を通じて種子の散布をおこなうという目的のために進化したものであると考えられる。こうした被食用の進化は、被食される対象に応じてそれぞれ進化方向が異なり、それに対応した果実を実らせるようになっている。たとえば鳥類に被食されるために進化したものにおいては樹木の上方に結果し、大きさは小型のものが多い鳥類に合わせ数mm程度であり、視覚に訴えかけるために目立つ色彩をしている。逆に哺乳類は鳥類に対し嗅覚が強いため、香りを強く放つよう進化したものが多い。このほか、目立つ色彩と強い香りを併せ持ち、鳥類・哺乳類双方に捕食されやすいように進化した果実も存在する。人類はこうした果実を食料とするため、畑で果菜を、果樹園で果樹とその果実である果物を栽培するが、これも広義においてはこの流れの中に属するといえる。逆にそのような部分を持たない場合、一般には果実と認識されない例も多い。後述の痩果は、往々にして種子と同一視される。裸子植物は果実を形成しないが、食べられる部分を種子のそばに持つものもある。花床がやわらかく発達して食べられるようになるイヌマキなどの例がある。動物の側から見ると果実は往々にして糖類に富み、消化のよい食物である。そのため葉や茎を食べる草食動物のような消化の難しさはなく、特殊な適応はさほど必要ない。したがって、果実食と草食はかなり異なるものと考えた方がよい。果実食をメインとする食性を持つ動物は果実食動物(果食動物、Frugivore)と呼ばれるが、完全な果実食でなくとも、雑食動物に分類される動物の多くは果実食を行っており、オランウータンのように雑食のうちでも果実食をメインとするものも存在する。人類も雑食動物であり当然果実を食用とするが、菜食主義者の中でも最も急進的な一派は果実食主義(Fruitarianism、果食主義)を取り、果実と種子以外のすべてのものを摂取しない。これは、食肉は動物を殺すために食用としないとして、卵や乳製品や蜂蜜といった動物由来のすべての食品を取らない点においてヴィーガニズムと共通する。しかし果実食主義者は穀物や根菜、葉野菜といった植物の生存に直結する部分、すなわち「植物を殺す」部分を食することすら拒否し、植物の生存に直結しない果実(果菜および果物)と種子のみを摂取する点において、より急進的である。ただし本来雑食生物である人類において果実・種子のみに食生活を頼ることには無理があり、動物や穀物に多く含まれているいくつかの必須栄養素が必然的に不足することとなる。果実の皮(果皮)が乾燥した状態になるものを乾果(かんか)という。これに対して、果皮が柔らかく汁気の多いものを液果(えきか)あるいは多肉果という。実用的には、果実とは、花が咲いた後にできる、食用になるもので、種子を食用にするもの以外のものをさす。種によっては主に発達するのが子房ではなく、花托や果枝などを由来とする組織が果実を構成している。子房からなる果実を真果とよび、子房以外からなる果実を偽果とよぶ。また一般に、その果実の種類が真果か偽果かは、子房の位置から判断することができる。真果であるか偽果であるかは、食用とする場合においてはそれほどかかわりはなく、どちらに属する食用果実も存在する。また、主に樹木になる果実を果物と呼ぶが、「果物」という言葉は一般的には甘みの強い食用果実のことを指すため、スイカやメロン、イチゴなど草本性の果実も果物と分類されることが多い。また、木本性の果実にはアボカドのように甘みの全くないものも少数存在するが、これは果物に分類されるのが一般的である。果物のほか、草本性の果実で甘みの弱い、またはまったくないものは野菜に分類されることがほとんどであり、果菜と呼ばれ、トマトやナスなどがこれに属する。真果に属する果物としてはモモやカキ、ミカンなどの柑橘類、ウメやスモモ、サクランボなどがある。
出典:wikipedia
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