車中泊(しゃちゅうはく)とは、自動車または鉄道列車の車内で宿泊することをいう。車内泊(しゃないはく)とも。車両の持ち主などが停車中の車両に宿泊する場合と、営業に供される車両に乗客として乗車し、移動と宿泊とを兼ねる場合に大別される。またそれ以外では、列車事故等によるダイヤの乱れにより、車両内で泊まらざるを得ない状況の場合を指すこともあるが稀である。一度に数百kmの長距離を走行するバスやトラックなどの職業ドライバーが行程の中途でとる車内での仮眠をさす場合もあるが、一般ドライバーが何らかの理由でこの宿泊形態を選択した場合をさして、特にこのように呼ぶことが多いが、オートキャンプとは別に定義される。一般には、自動車専用道路のサービスエリアや道の駅の駐車場などでよく見受けられる。行程上の都合のほか、トイレが整備されていることや治安が保たれているように見える場合が多いことなどが主な理由とみられる。なお日本国内のサービスエリアや道の駅は比較的安全な場所ではあることが多いが、それでも窓を大きく開けたまま寝たり、ドアをロックせずに寝るのは危険である。車中泊は、「(賃貸住宅などの)固定された生活拠点がある人」が旅行・出張などにおいて車中で泊まるものである。車上生活は主に経済的な理由などで「固定された生活拠点がない」状態で、車が事実上の自宅になっているケースである。アメリカにはトレーラーハウスで生活を続ける人たちがいるが、日本ではそういう人の存在はあまり問題になったことがない。阪神・淡路大震災や新潟県中越地震や熊本地震の際、避難民の中に長期間車中泊をする人が多数見受けられた。これはどちらかというと車上生活のバリエーションととらえるべきであろう。このケースでは避難所の耐震性への不安やプライバシーの問題などから車内での宿泊が選択された例で特殊なケースといえる。ただ長期間車内宿泊を続ける人たちの中に、エコノミークラス症候群が多発し、それに起因するとみられる死亡者まで発生して社会問題とされた。対策としては水分補給と適度な運動、塩分摂取は控えることなどが指摘されている。基本的に大型車を好む人と、小型車な車を好む人がいる。前者の大型車は泊まる時の快適さ優先であり、後者の小型車は旅行における機動力と経済性(燃費)の優先である。大型車好みの人にはワゴン車の中に生活空間を確保するケース、またキャンピングカーを購入・レンタルして、長期の旅行に使用する人もある。関連書籍に挙げられている武内隆などはこの系統である。小型車車を好む人でも軽自動車やオープンカーなどを使う人は稀で、セダン・ハッチバック・SUVなどの小型乗用車が狭い道にも進入しやすく好まれる。軽自動車は車内空間の狭さに加えて馬力・燃料タンクの容量も小さいため。長距離走行に向いていない。シートを倒したとき体を水平にして寝られるだけの寸法があれば車中泊には十分耐えうるし、逆にフラットにならない車でも凸凹を解消する工夫次第で車中泊が可能となることもある。毛布(布団)あるいは寝袋は必要である。シートを倒してフラットなスペースを作り凸凹をクッションなどで埋めて寝るスペースを作るのがポイントで、床面は冷えるため断熱のためのマットも必要である。車中泊においてはアイドリングしないのがマナーとされており、そのためカーラジオや車内灯を使わなくて済むように、ラジカセやポータブルラジオなどの類、懐中電灯なども用意したほうがよい。メインのバッテリー以外にサブバッテリーを装備し、DC-ACインバーターを使うと、家庭で使う電気毛布やポットが使えて大変便利である。ただし、ホームセンターで販売している安価な疑似正弦波と呼ばれるインバーターだと、電気毛布が正常に使えずやけどの恐れがあり、少々高くても正弦波タイプのインバーターを使えば確実に安全に使用が可能である。また、サブバッテリーへの充電は走行充電が可能な充電器があり大変便利である。ただし、充電能力の問題から満充電にするには家庭の電源から別途専用充電器での充電が必要となることが多い。他の電源としては携帯式発電機が考えられるが車外への設置スペースが必要なことや騒音の問題から使用上の制約が多い。郊外で付近に人家がなく周囲に十分なスペースがあり他の人がいない所での使用に留める、使用する時間帯に配慮し就寝時は停止するなどがある。車中泊時、エアコンやヒーターを作動させるためエンジンをかけたまま就寝するドライバーが見受けられるが、エンジンをかけた状態で運転席で就寝すると、気づかないうちにアクセルを踏み込んでいる場合があり、これは過レーシングの状態となり、排気ガスが排気管内を流れ続け、走行風でエンジンも冷やされないため排気管が過熱し、排気管を吊っているOリングや車内カーペットが発火する危険がある。さらに降雪時はマフラーが雪で塞がれ、排気ガスが車内に充満して一酸化炭素中毒事故が発生することがある。この場合では車中泊者が居ること自体が周囲に把握されていないため、発見が遅れる場合が多く、数日後に発見されるなど手遅れとなる場合も多い。凍死しそうな危険性でもない限り、アイドリングはすべきではない。毛布類を多めに用意し低温に備えることが必要である。また、車内での就寝時などにエコノミークラス症候群を防ぐために、車内の凹凸を毛布などで埋め横になって就寝する方がよく、その観点からも毛布や布やクッションの類を多めに用意する方が良い。また、山間部などを長時間走る場合、都市部以外では休日にガソリンスタンドが開いていないことも多いことを考慮して、ガソリン携帯缶の用意をする事が望ましい。また旅慣れた人の中にはカセットガスコンロなどの加熱器具を用意してお湯を沸かしたり、簡単な料理を作ったりする人もあるが、カセットガスボンベの取り扱いには注意したい。特に夏は車内の高温になる所に放置すると爆発の危険性があり大変危険である。防犯、防寒のために窓をふさぎ室内が見えないようにすることも必要だが自殺などと間違われないような配慮も必要である。高速夜行バスの乗客が、座席で宿泊した場合にも、このようにいうことがある。このほか貸切バスでも長距離を移動する際、車中で夜を過ごすことになる場合がある。この場合、就寝時間を移動時間として使える利点がある。夜行列車の乗客が、列車の座席または寝台で宿泊した場合にも、このようにいうことがある。この場合、就寝時間を移動時間として使える利点がある。第二次世界大戦後、1946年から足掛け9年に渡り昭和天皇が日本全国を巡幸しているが、この際天皇は初めて車中泊したと伝えられている。旧国鉄時代「修学旅行集約輸送臨時列車」が設定されていた頃には、運輸省(現・国土交通省)により修学旅行における鉄道利用において「車中泊は一泊に限る」という制約が設けられていたようである。近年では、一般的な国内旅行の形態が新幹線や航空機の普及に伴い、移動は比較的短時間に済ませて宿泊はホテルなどの宿泊施設で行うというように変化したこと、さらに夜行の高速バスやその他の交通機関の発達に伴い競合が生じたことなどから、夜行列車の需要が減少している。そのため以前に較べれば夜行列車の列車数も激減しており、鉄道における車中泊の機会は随分と減ってしまっている。しかしながら、青春18きっぷ、北海道&東日本パス、鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷなどといったトクトクきっぷを活用するために、鉄道旅行においても車中泊を選択しようとする人はいまだに多い。なお、1970年代から1980年代にかけ、日本国内で夜行列車が盛んに運転されていた時代には、学生を中心とした若い鉄道ファンが宿代節約の域を超えて意図的に夜行列車の連続車中泊記録を競うことがあり、当時発売されていた「有効期間が長く、広域で急行列車乗り放題」の周遊券(均一周遊乗車券)を利用して「10連泊、15連泊は当たり前」という過酷な旅を行っていた。その極致と言える最長記録は、当時大阪府豊中市に在住していた男性が、1985年4月5日から同年11月13日までかけて日本各地を周遊して達成した「222連泊」である。周遊きっぷ・周遊券・全線フリーきっぷなど、有効範囲の広い乗り放題乗車券を利用し、夜行列車に乗り、対向の夜行列車とすれ違う直前の停車駅(単線区間で夜行列車同士が停車駅で列車交換する場合はその停車駅)で降りたあと、対向の夜行列車に乗り、最初に夜行列車に乗った駅まで戻るということもよく行われていた。これは、宿泊費を節約しつつ、翌朝にも現在いる都市に居たい場合に用いられる手法であった。北海道周遊券があった頃は、札幌から釧路行きの急行「まりも」・網走行きの急行「大雪」・稚内行きの急行「利尻」が、それぞれ新得駅・上川駅・名寄駅で20分前後の停車時間を伴って上下列車が交換することを利用し、反対方向の列車に乗り換えるかなりの数の乗客同士が駅の跨線橋をすれ違うことが常態化していた。俗にそれぞれ「新得返し」・「上川返し」・「名寄返し」と呼ばれた。周遊券利用者以外は高速バス利用が当たり前になった1980年代以降に流行した。これは深夜に夜行急行列車に乗車しても十分空席が確保できるようになった時期でもある。周遊券の廃止とともに下火となり、周遊きっぷや北海道全線フリーきっぷでの利用者が細々と実行する時期が続いたが、3夜行急行列車を引き継いだ夜行特急列車の廃止に伴い絶滅状態となった。残された夜行急行列車である「はまなす」は札幌側からの利用ができなくもないが、単線でないため列車交換が存在せず、長万部駅で2時間以上の待ち時間が発生するため実行は難しかった。2016年をもって「はまなす」も廃止されたため、道内におけるこのような利用手段の一切が不可能になっている。
出典:wikipedia
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