預金通帳(よきんつうちょう)とは、金融機関が預金者に対して、預金者であることを示す証憑(しょうひょう)として、また預金の受入れ・払戻しの証拠書として交付する冊子をいう。農業協同組合、漁業協同組合においては法律上「貯金」であり、「貯金通帳」と呼称する。ゆうちょ銀行においては法律上の規定はないが、前身の郵便貯金(郵便貯金法という法律で規定された「貯金」であった)の流れを受け継いで「貯金通帳」と呼称している。預金通帳は預金証書同様、あくまでそれ自体の譲渡が債権の移動を伴うものではなく、有価証券とは異なる(証拠証券と言う)。なお、預金通帳を発行する代わりに、銀行取引明細書(バンクステートメントなどとも称する)を発行する銀行もある。通常、印紙税が発生する文書(課税文書)であることから、収入印紙を直接貼る通帳を利用する銀行(かつての三菱UFJ信託銀行の信託総合口座通帳(現在は、申告納付に変更)やあおぞら銀行の債権総合口座通帳(勘定系システムリプレース時に廃止)などに見られる)を除き、通帳作成地(通常は本店所在地)と「印紙税申告納付につき○○税務署承認済」の表示が通帳の見開きページ(三井住友銀行など、裏表紙見開きの場合もある)になされる。ただし、信用金庫、JAバンクなどの場合は、印紙税法第5条の規定により、政令が定める通帳の発行主体の対象として印紙税が非課税となる適用がなされることにより、一般の銀行の通帳では見開きページの「印紙税申告納付につき○○税務署承認済」となる部分には、「印紙税法第5条の適用により非課税」、「印紙税法第5条該当通帳」などの表示がなされる。日本以外の国では通帳が存在せず残高はインターネットか月に一度送られてくる明細()で確認するか、通帳の作成・保持が有料の場合が多い。かつては、縦書き、縦開きのものが主流であったが、自動取引装置 (ATM) による機械処理に、より好適な共通規格として、現在の横書き、横開きの様式(NCR2000号通帳)に統一されるようになった。金融機関における預金業務のオンライン化が開始され、取引店以外における預金の払戻しが取扱われ始めて以降、預金通帳内には副印鑑(届出印と同一の印影)が表示され、取引店以外の窓口においても、副印鑑と払戻請求書にある印影とを照合して払戻請求者と預金者の同一性を確認していた。この副印鑑を巡っては、預金通帳を窃取し、副印鑑の印影を電子的に複写して払戻請求書を偽造し、不正な支払いを受ける事件が度々発生した。その際の金融機関の払戻しの過誤を争った預金者の訴訟が提起されるようになるが、1998年(平成10年)前後の事件までは、印影の照合に過失が無いと認められた場合には、民法第478条を適用して金融機関の免責を認める判決が主だった。しかし、副印鑑から印影を偽造する手口が知られる様になり、以後は金融機関の側に厳正な印影照合と本人確認の責任を課して、手続きに過失が認められた場合には預金復元を命じる判決が言い渡されるケースが増えた。判例が預金者保護の方向で定着したことから、金融機関においては各店舗で管理される印鑑票の印影自体をオンライン参照するシステムへの移行を進め(もしくは払戻しの取扱い店舗を取引店に限定し)、通帳への副印鑑の表示は2000年(平成12年)前後から急速に廃止されていった。ただしゆうちょ銀行ではシステムの導入自体は検討されてはいたものの、民間金融機関の店舗数はせいぜい数百程度なのに対しゆうちょ銀行の取扱店舗数は、銀行代理店である郵便局の貯金窓口や日本郵便からの再委託による銀行代理店である簡易郵便局の貯金窓口を含めると、25000店舗以上という店舗数の違いもあり、システムの規模や店舗における照合装置などのコスト面等々の問題から、民営化後も、長年、印影のオンライン参照システムを導入せず、従来同様、通帳の副印鑑表示と目視にて照合する運用を継続していた。しかし、2013年6月3日から、通帳に貼り付けられている副印鑑を廃止すると発表し、ゆうちょ銀行・郵便局の窓口にて印鑑登録を行うことで、これまで通り全国で口座の取引ができるようになった。廃止前は新規申込み時や通帳の再発行時、若しくは、預金者から要望があった場合のみ、副印鑑の印影をスキャナ等で取り込みにくくするための保護シールを貼付することで対応していたが、このシールの実用性はほとんどないので、預金者が通帳を盗まれないようにすることが大切である。この取扱いの廃止に伴って副印鑑を取り外す際には、窓口での印鑑登録の有無を確認する必要があるため、自身で勝手に副印鑑を通帳から剥がしてはいけない。なお、各民間金融機関とも現行の通帳においては通例、副印鑑の表示が廃止されているが、従来発行された通帳に残存した副印鑑や、共通式印鑑票の預金者控などにより印影が第三者に漏洩する可能性があり、従来の副印鑑等についても厳重な管理(または処分)が必要である。また、現行で副印鑑表示のある通帳と、副印鑑を廃止した通帳の両方を持っている場合は、それぞれ別の印章を使用したほうが安全である。同じ印章を使用していた場合、副印鑑表示のある通帳からスキャンした印影で、別の口座の預金まで詐取される恐れがある。企業においては 1日何十件という、あっという間に冊子式通帳を使い切ってしまうほどの取引があり、インターネットや携帯電話が普及する前の1980年代から、冊子式通帳を用いないシステムを金融機関から導入していた。「ファームバンキング」(エレクトリックバンキングの一種)と呼ばれるもので、企業のホストコンピュータと金融機関のホストコンピュータを通信回線で結び専用端末と専用ソフトウェアを使って、送金・振替・残高照会・給与振込・税金納付などの取引や取引情報(入金確認を含む)の照会を行えるものである。このシステムにおいて、通帳の代わりとなる物はプリンタから出力する取引明細(入出金明細)である。個人版もあり「ホームバンキング」と呼ばれる。近年は企業用・個人用ともにインターネットの普及でより手軽なインターネットバンキングへの乗り換えが進んでいる。銀行によっては、普通預金では、入金照合票の発行やリーフ口の名称で通帳を発行しないケース(キャッシュカードは発行する場合もある)や、当座預金についても、窓口で入金の際に用いる帳票である入金帳や、ATMや取引店以外の店舗でも入金可能な当座勘定入金帳あるいは当座預金入金通帳を発行して、入金帳(入金通帳)を用いて入金した部分のみを記帳する形をとるケースもある。預金通帳は預金において重要な役割を担っているが、1960年代の現金自動支払機 (CD) の稼働開始以降、預金者にも銀行取引の自動化の認知と進展が進み、現金取扱事務の削減、銀行の預金獲得と事故抑止と合わせ、キャッシュカードの発行と自動取引装置 (ATM) による取引が一般的になった。そして生活時間帯の拡張による窓口営業時間帯以外の取引、さらには預金の入出金提携の飛躍的な進展による提携金融機関やコンビニATMなどのATM取引で、冊子式通帳を用いずに入出金がされることも多くなった。記帳をこまめに行わない顧客に対しては、各金融機関の判断により、「おまとめ記帳」・「圧縮記帳」等の名称で、記帳していなかった期間の入出金総額のみを記帳し、取引の流れを省略して記帳するケースも出てきている(その間の明細は、別紙で発行可能なケースが多いが、発行にあたり有償となる金融機関も存在する)。この場合は、未記帳項目数が一定の行数を超えた時点で自動的に行われる場合と、未記帳項目が各金融機関が設定した回数に達していて、事前予告した日時までに記帳しなかった場合に行うケースとがある。各銀行が提供するテレホンバンキング契約者は電話で記帳を依頼できる銀行も一部であり、公式には、みずほ信託銀行や新銀行東京、あおぞら銀行などが対応を明言している。また、テレホンバンキングで出来ない銀行であっても、支店裁量で可能なケースがある。近年では、窓口営業時間外に満行になった通帳の繰り越しができない不便さに対する便宜をはかる意味で、主に、総合口座通帳や普通預金通帳を支店内に設置されたATMで、稼働時間内であればいつでも繰越できるようにしている金融機関もみられる。これにより、入出金に冊子式通帳を用いない預金者、インターネットバンキング等の活用により預貯金口座の入出金明細を冊子式通帳で参照することを重視しない預金者、盗用や不正引出の懸念から冊子式通帳の発行自体を望まない預金者など、預金取引に冊子式通帳を必要としない顧客層も存在する。一方、冊子式通帳は顧客において保管される媒体であり、折れ、損傷、汚損、磁気消失などは特に安定した機械処理に不具合を招きやすい。また、紙を用いた現物としての情報処理媒体であり、その入出力システムの管理は、記帳する情報の蓄積や、通帳冊子の作成、配備も含めて、金融機関側にとって一定の負担となることも事実である。また、印紙税の負担もかなりの額にのぼるため(会社法に基づく法人が発行する通帳の場合、通帳1冊の発行につき年間定額の印紙税を発行元の法人は納付する義務が発生する)、インターネットで取引明細が参照でき通帳を発行しない形態に申し込むまたは切り替える事でATM手数料が無料や振込手数料が無料もしくは振込手数料が優遇割引になるなどのサービスも出ている。一部の銀行では、これらとは別に、一般の店舗でインターネットバンキングの申し込みをしたうえで、ログイン画面で手続きすれば、以降の取引がキャッシュカードによるATM利用とインターネットバンキングの利用に限定される形で、通帳発行を行わないサービスを提供している銀行も存在するが、窓口でのサービスが一切利用できなくなるケースもある(キャッシュカードの紛失など、重大性の高い取引を除く)。また、このようなシステムを採用する銀行の場合は、通帳レス取引から通帳発行に戻す場合は、通帳の発行手数料(紛失時の再発行と同様の体系扱い)を徴収する場合もある。郵便貯金では郵便貯金総合通帳に、通常貯金、担保定額貯金及び担保定期貯金の預払いを記録する。取引毎に主務者印が押されていたが、2001年(平成13年)以降は原則として押されないようになり、2005年(平成17年)3月11日には押印が廃止された。見開きページには、記号番号と名義人の他、所管する貯金事務センター名と通帳名義人の住所が印字された(貯金事務センター名については、総務省名以降の通帳では印字されなくなった)。郵政省から総務省に所管が変更された省庁再編時に通帳の様式が変わり、銀行に類似するようになった。ただし、ゆうちょ銀行に移行した現在でも、2015年頃から一部の拠点で導入が始まった新型ATM利用時を除けば、郵政省時代の通帳もATMで利用できるようになっている(全銀システム接続に伴い、2009年4月以降に郵政省時代の通帳を窓口に差し出した場合、他行からの振込用の口座番号が郵政省時代の様式では印字出来ないという理由から、強制切替(ゆうちょ銀行では、紛失等ではないものの、「繰越」とは言わず、「再発行」と称する。なお、再発行後の通帳の取引欄1ページ1行目の預入額欄に表示される摘要表示は「繰越高」と表示される)がなされる。ただし、ATMでの利用は(最新型のATM導入済みの一部の拠点を除けば)、現在でも可能であるため、ATMのみを利用して、記帳欄を使い切るまではATMでの利用を行っても差し支えない)。なお、銀行では廃止されている副印鑑表示を民営化後もしばらく継続していたが、2013年6月3日より廃止され、窓口での手続きを済ませた後に印鑑を取り外す処理を行うことになった。それまでは、新規申込み時や通帳の再発行時、若しくは、預金者から要望があった場合のみ、副印鑑の印影をスキャナ等で取り込みにくくするための保護シールを貼付していた。上述のように、2015年ごろから、郵政省時代の通帳が利用できないATMが順次導入されており、当該ATM利用時は、キャッシュカードを利用して、後日他の対応したATMで記帳するか(あるいは、最初から対応するATMで取引を行うか)、総務省以降に発行された通帳に再発行する必要がある。一般的に銀行では、ATMでの現金引出にはキャッシュカードと暗証番号が必要であり、通帳と暗証番号のみで現金を引出することはできない。しかし郵便貯金ではキャッシュカードはオプションである為、通帳と暗証番号のみでもATMで現金引出が出来る。ただし、機械払の対象を「カードのみ」に指定してある場合は、通帳と暗証番号のみでの払戻しはできない。通帳は種類ごとに番号が付いている(例:チ1001)。郵便貯金総合通帳は、順次総合口座通帳に移行している。通常郵便貯金からリニューアルした、通常貯金のフォーマットは変更はない。最終ページに6桁のナンバリングがスタンプされていたものがあらかじめバーコード印字されたものに変更となっており、ナンバリングは裏表紙に別途機械印字され、横にバーコードが別途機械印字されている。「通帳は種類ごとに番号が付いている(例:チ1001)」は、これまでと同様。また、銀行名と印紙税申告納付の記載が見開きページになされている。これまでは、事業主体名・所在地(「日本郵政公社」など)の記載はなかったが、一般の金融機関同様、「通帳作成地」として、霞が関の本社の住所が記載されている(丸の内の本店ではない)。また、民営化に伴い印紙税の納付義務が生じたことから、前述のように「印紙税申告納付につき麹町税務署承認済」という表示もなされている。2009年1月に開始された他行からの振込に利用する口座番号が発番されたことに伴い、2008年9月下旬以降順次、銀行使用欄の下半分の橙色になっている部分に「他行からの振込用の口座番号」が印字される。総務省時代・日本郵政公社時代に発行された横型通帳についても、窓口に提出した際に相当する位置に印字することになる。これに関連して、郵政省時代(「総務省」ラベル貼付分含む)の縦型通帳の場合は、この処理が不可能であることから、窓口取引の際にゆうちょ銀行名の通帳に強制再発行される。ゆうちょ銀行移行後も長らく残っていた副印鑑については、2013年6月3日に廃止されたため、以降、従来からの利用者については窓口にて手続を行うことで、印鑑の貼付がない状態の通帳とすることができるようになった(はがした跡には、「副印鑑を廃止しました」というシールが貼付される)。上述した旧郵政省名通帳の差替再発行ないしは満行に伴う再発行(一般の銀行の「繰越」)を行う場合は、副印鑑廃止も同時に行う必要がある。副印鑑廃止日後に発行される通帳は、「副印鑑を廃止しました」というシールを張った状態の在庫を吐き出した後に、印鑑欄のない通帳が発行されるようになった。名義人の住所の印字も継続して行われていたが、個人情報保護などの観点から、2015年10月1日以降に再発行(または、新規発行)される通帳から、住所欄に住所を印字しない措置を取り始め、住所欄のある従来の通帳の在庫がなくなり次第、住所欄のない通帳が発行されることになった。それ以外については、ほぼ民営化前と同様である。2016年3月6日より、ゆうちょダイレクトプラスのサービスを開始し、希望により、総合口座通帳から貸越機能を取り除いた状態を条件(総合口座の定額貯金や定期貯金の預入自体は可能)として、通帳の発行を行わないサービスを開始した。これにより、ゆうちょダイレクトプラスの契約と併せて通帳を発行しない事を条件に、ゆうちょ銀行の取引開始がメールオーダーで出来るようになった。なお、ゆうちょダイレクトプラスは、貸越機能のない総合口座とした通常貯金に対して行われるサービスであるため、通常貯蓄貯金に対するゆうちょダイレクトプラスの契約は不可であり、従来通り、通帳が発行される。通帳発行が最初からなされない振替口座についてもゆうちょダイレクトプラスへの切り替えは不可となっている。長期間、通帳記入の処理がない場合、一定期間の取引を1行にまとめた状態で印字される(圧縮記帳・おまとめ記帳などと称する)。また、その処置をとる期間が過ぎたら自動的に休眠口座扱いになり、一切の預金通帳を使っての利用が出来なくなる場合がある。通帳には磁気バー(磁気テープ)がついており、機器が口座番号を読み取るのに使用する。通帳のサイズは、各金融機関でだいたいNCR2000号通帳と呼ばれる規格に統一されている(例外も存在する)磁気バーの仕様は統一されておらず、金融機関によって異なっている。なお、外国系銀行の日本支店など、磁気バーのない通帳が使われている場合がある。
出典:wikipedia
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