九鬼 隆邑（くき たかむら、享保12年（1727年）- 文政3年8月5日（1820年9月11日））は、摂津三田藩の第8代藩主。九鬼家宗家9代。丹波綾部藩主九鬼隆寛の三男。第7代藩主九鬼隆由の弟。母は黒田直邦の娘。正室は伊東祐永の娘。子は九鬼隆張（長男）。官位は従五位下。長門守。号は松翁。幼名は仙次郎。寛保3年（1743年）、兄で先代藩主の隆由の死去に際し、その養嗣子として跡を継いだ。天明5年（1785年）11月14日、長男の隆張に家督を譲って隠居し、文政3年（1820年）8月5日に三田で死去した。享年94。法号は鶴林院。墓所は東京都豊島区駒込の泰宗寺。隆邑は、九鬼隆直が滝野遊軒から学んで以来、九鬼家に伝えられていた起倒流柔術を兄・九鬼隆由から学び、隆由の死後は鈴木邦教（滝野遊軒の弟子）から同流の柔術を学んだ。その後、長男の九鬼隆張に起倒流を伝え、以降は九鬼隆輝まで伝承が続いた。この、九鬼家の家伝となった起倒流の系統は起倒流九鬼派と呼ばれた。隆邑は、歴代の三田藩主の中でも最も長生きした人物であり、文政2年（1819年）正月には三田において祝賀が行われた。城下の町には餅が配られ、孫である九鬼隆国が主体となった能・狂言が2日間にわたって演じられた。

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