乗車カード(じょうしゃカード)とは、鉄道やバスなどの、公共交通機関を利用する際に運賃などとして利用できる、磁気ストライプカードやICカードなどによるプリペイドカードである(後払い式のカードもある)。公共交通機関を利用する際、乗車時・降車時に読取機に情報を読み取らせるだけで運賃の支払いが可能なカードである。通常のプリペイドカードと同様、事前に代金を支払って購入し、残額がゼロになるまで繰り返し利用できる。日本では1980 - 1990年代以降、バスや鉄道などの運賃収受システムとして、日本国内各地で導入されるようになった。また日本では2001年からは非接触型ICカードによる物が普及しつつある。バス・路面電車においては乗降客が整理券を取る・小銭を両替する・運賃を確認し収受箱に入れる等の煩わしさから解放される、また鉄道においては、利用者が出札口や自動券売機に並んで乗車券を購入する必要がなく、これにより事業者側は自動券売機の設置台数を減らせる、などの利点がある。さらに非接触型ICカードの場合、カードを(財布などから)出し入れする必要すらない。乗車カードによってはプレミアム(おまけ)やポイントが付くこともある(後述)ほか、カードに乗車情報を書き込むことができるので、乗車カード利用者限定の乗り継ぎ割引制度を設けている事業者もある。読み取り機・自動改札機で直接使用する他に、乗車カードによっては、自動券売機での乗車券・料金券(特急券など)の購入や自動精算機での不足運賃の精算(乗り越し)などにも使用できる場合もある。システム面の観点からはストアードフェアシステム(後述)である。鉄道においては磁気乗車券用改札機の実用化が要件であった。当初は事業者ごと・乗車カードごとに独立したシステムで共通化されていなかった場合が多かったが、非接触型ICカード式システムの普及とともに、複数の事業者でカードが共通化されていることも多くなった。ストアードフェアシステム(stored fare system)はカードに運賃を貯めておく鉄道用乗車カードのシステムである。乗車回数を貯めておくストアードライドシステム(stored ride system)もある。日本で現在運用されているカードのシステムはほとんどがストアードフェアシステムである。このシステムは改札より入場する時に自動改札機によって情報をカードに書き込み、出場する際に入場記録から該当運賃を算出してカードより引き落とすシステムである。入場記録が存在することが前提になるので、すべての改札に情報書き込みが可能な自動改札機かそれに準ずる装置が必要とされる。不正乗車を防ぐため、自動改札機でカードの入場処理と出場処理を交互に行わなければ改札機を通過できなくしている事業者もある。営団地下鉄とその後身の東京メトロで用いられた乗車カード「SFメトロカード」の「SF」は、このStored Fareの頭文字に由来する。日本での非接触型ICカード式のシステムの場合には、FeliCa対応の携帯電話・PHSを利用して運賃の支払いが可能になる場合がある。この場合、乗車カードと同様に、(非接触型)ICカード対応の改札機・読み取り機等に対応の携帯電話・PHSをかざすだけで良い。なお、事前に決済情報を含めサービス登録されている事が必要である。またこれらの場合、多くがクレジットカードを利用した決算となる。なお、自動券売機等では、(ICカードホルダなど)カードを前提としている場合があり、携帯電話・PHSは決済に利用できない事がある。代表例としてモバイルSuicaがある。(同項目を参照)資金決済法により、1000万円を越える金券(前払式証票)を発行した者(事業者)は、通常は残高の半分以上を法務局に供託しなければならないが、乗車カードの場合は(乗車券と解釈されるので)供託は不要となっている。電子マネー機能付き乗車カードなど、カードに金券的性格がある場合は、供託金の供託義務が発生する場合がある。乗車カードには有効期限を設定しているものがある。すなわち、ストアードフェアとしてチャージするなどしても、その後利用せずに一定の期間を経過するとその価値が滅失する場合がある。例としてSuicaは、10年間一度も利用ない場合は、当該カードが利用停止(無効化)と言う扱いになる。残額がある場合は、記名・無記名を問わず新しいSuicaに移し替え処理が可能である。乗車カードについて紛失・盗難が起きた場合には、事業者によって対応が異なるが、例としてSuicaやPASMO、その他Suica準拠の乗車カードについては、通常、記名式・定期券については再発行に応じる事が多い(手数料を取られる場合がある)。無記名式の場合には失効(再発行なし)となる事が多い。破損等の障害(読取不良等)が発生した場合は、事業者により対応が異なる。自動券売機にて乗車券等と引き換える、単なるプリペイドカード(間接式)タイプとしては、JRグループ各社が取り扱うオレンジカードがある。かつて大手私鉄など各所で発行されたが、近年はSF機能カードへの移行が進んでおり、発行する会社は少なくなっている。SF機能付きの乗車カードにおいても、残高不足や複数人乗車、小児料金などの特殊な場合の運賃等に対応するため、プリペイドカード同様に自動券売機で乗車券等と引き換えることができる。一部路線でSuica・ICOCA等が使えるJRグループ、八達通が使える香港の交通機関、オイスターカードが使えるロンドン交通局など、多くの鉄道駅では入場の際に駅の自動改札機または簡易ICリーダーにタッチし、出場の際に再びこれらにタッチすることで簡単に使用できる。松浦鉄道など、一部日本のローカル線では駅にICリーダーが設置されておらず、後述のバスのように車両の乗降ドア付近のICリーダーに乗り降りの際にタッチすることで使用できる。また、富山地方鉄道では有人駅で自動改札機や簡易ICリーダーにタッチし、無人駅で車両の乗降ドア付近にあるICリーダーにタッチする併用方式をとっている。TOICAエリアなど一部を除き、入場するためにはカードに少額の残金が残っている必要があり、例えばSuicaやPASMOでは残金に初乗り運賃分が、ICOCAやPiTaPa、IruCaでは10円が残っていないと入場できない(出場する前にチャージする必要がある)。又、カードは入場券としては使用出来ない。バスは運賃均一のバスの場合、乗る際または降りる際に一度ICリーダーにタッチするだけで使用できる。距離制など運賃が不均一なバスは、乗る際にICリーダーにタッチし、降りる際にもICリーダーにタッチすることで使用できる。船舶やその他の交通機関では、電子マネー扱いとなっている場合が多く、ICカードでチケットの料金を払うという形となる。交通事業者によるプリペイドカードの例として、1985年(昭和60年)に当時の日本国有鉄道(国鉄)がオレンジカードを発売したほか、他の交通事業者でも同様のカードが発売された。これらは乗車カードではなく、自動券売機に投入して乗車券と引き換えるカード(間接式)で、カードをそのまま自動改札機に投入することはできなかった。路線バスでは1980年代以降、均一運賃制の路線で乗車カード(以降、バスカード)を導入した例があったが、本格的かつ大規模な導入としては、1988年(昭和63年)に神奈川中央交通が導入した神奈中バスカードが初期の事例となる。神奈中バスカードは多区間運賃制で日本初となるシステムであり、後のバス共通カードやPASMO・Suicaにおける「バス特」にも引き継がれるプレミアム(割引)付きであった。これ以降、各地のバス事業者でバスカードの導入が進んだ。一方、鉄道では、名古屋市交通局が1989年(平成元年)、地下鉄の自動改札機に直接投入することが出来る回数券カードを発行し、また東日本旅客鉄道(JR東日本)も1991年(平成3年)3月1日にストアードフェア方式のイオカードを山手線内の一部の駅で利用開始し、その後、首都圏各駅に導入を進めていった。1992年(平成4年)4月1日には阪急電鉄がラガールカードでのストアードフェアシステムを開始。こちらは自社線全駅で使用可能となった日本初のシステムとなった。この後、バスの事例と同様に各鉄道事業者でストアードフェアシステムによる乗車カードが普及していった。バスカードについては、同一地域内での各事業者の乗車カードの共通化が早くから各地で進められ、関東におけるバス共通カードのように広域的に共通化されたものもあった。鉄道用カードでは1996年(平成8年)3月20日に関西5社・局が日本初の広域の複数事業者での共通利用システムとしてスルッとKANSAIを開始した。1997年9月1日、香港の公共交通機関に八達通が導入された。これは鉄道を含む公共交通機関のICプリペイドカードとしては世界初である。日本でも同年10月1日に、静岡県磐田郡豊田町(現・磐田市)で導入されたユーバスカードを皮切りに各地に広まった。2001年11月18日にJR東日本が関東圏424駅で日本初の非接触型ICカード乗車券Suicaの利用が開始され、地方私鉄を含む様々な鉄道・バス各社でICカード乗車券の導入が進んでいる。磁気カードを使用する方式。乗車カード導入当初はこの方式が多かった。乗降の際、読み取り機あるいは読み取り機能のある自動改札機に挿入する。カードの種類によっては、裏の磁気面に乗車日や乗車時刻、利用区間、支払額などの情報が印字されるものもある。カードは使い捨てで、残額を使い切ったら処分して再び新しいカードを購入する。カードの発行事業者や種類によっては利用可能額が販売額より少し高いものがある。集積回路(IC)を組み込んだ非接触型ICカード"(以下、単に「ICカード」)"を用いる方式で、2000年代以降、各地で導入が進んでいる。カードを財布や定期入れ等に入れたまま読み取り機にかざすかまたはタッチして使用することが可能となり、装置への挿入を省く分、ユーザーの使い勝手が向上している。その反面、どうしても読み取り・書き込みのエラーが増加しがちであり、各事業者では読み取り機にはカードを財布等に入れたままでもかまわないが確実に接触させるよう求めている。ICカードでは同じカードを使い続けることが前提で、残額を使い切ったときは駅やバスターミナルなどに設けられた自動券売機やチャージ機によりチャージ(積み増し)して再使用する。利用額にデポジットを加算した額で発売していることが多く、不要になったときはカードを発行元に返却するとデポジットが戻る。事業者によってはICカードに定期券や一日乗車券などを搭載することができる。クレジットカードと紐付けされるものもある。カードの発行事業者や種類によっては、利用区間の運賃や利用回数に応じてポイントが加算されるもの、カード利用者に限り利用区間の通常運賃より安い額が引き去られるもの、入金した金額より少し高い額が積み増しされるものもある。ICカードの導入により、従来の磁気式カードを廃止した事業者もある。磁気カードでは同種のカードを地域内の各事業者が導入することで複数事業者での共通利用を実現した例が多いが、ICカード乗車券の場合はそれだけではなく、ICカード乗車券を別のICカード乗車券のサービス提供エリアで利用できるサービスが実施されている例がある。例えば、カードAを使用しカードBのエリアを、かつカードBを使用しカードAのエリアで相互に利用できる相互利用(Suica・ICOCA・TOICAエリアなど)がほとんどであるが、カードAを使用しカードBのエリアで利用できるが、カードBを使用しカードAのエリアで利用できない、いわゆる片利用(ICOCA→PASPYなど)の場合もある。これらは事業者同士の提携によるため、相互利用(以下、片利用を含む)の可否には組み合わせがある。また、乗車券として(交通)・電子マネーとしての相互利用可否にもそれぞれ組み合わせがある(図参照)。カード利用時に受けられるサービスの一部について、相互利用の他のカードではそのサービスを受けられないことがある。なお、鉄道の場合は多くの事業者で、乗る駅・途中の経路・降りる駅いずれも(ICカード乗車券の)同一サービス提供エリア内にある事を前提としている(前述の相互利用ができる場合であっても、サービス提供エリアをまたぐ利用はできない場合が多い)。そのような場合には、現金等またはICカード乗車券を使用して、通常の乗車券等を購入することになる。北海道旅客鉄道(JR北海道、Kitaca)、東日本旅客鉄道(JR東日本、Suica)、東海旅客鉄道(JR東海、TOICA)、西日本旅客鉄道(JR西日本、ICOCA)、九州旅客鉄道(JR九州、SUGOCA)、PASMO協議会(PASMO)、名古屋市交通局・名古屋鉄道(manaca)、スルッとKANSAI協議会(PiTaPa)、福岡市交通局(はやかけん)、西日本鉄道(nimoca)は、2010年にそれぞれが発行するICカード乗車券(後述「各地域のIC乗車カード一覧」で、★印のつくもの)の相互利用の検討が進められ、2013年(平成25年)3月23日より相互利用を開始した。ICカード乗車券は基本的な技術仕様が共通で、発行する会社や団体が合意すれば相互利用が可能となる。参加する鉄道・バス会社ごとにシステムの改修費が必要となるため、一部の事業者に相互利用の拡大に慎重論があった。2010年時点でも、主に同一地区内やJR同士での相互利用は進んでいたものの、それ以外の交通機関では使えないため、ICカード乗車券の普及や利便性を向上させるには、避けては通れないと判断した。これにより10種類ICカード乗車券のうち1枚を持っていれば、出張先や旅先での交通機関でも利用できるようになった。例えば、首都圏のPASMOが名古屋地区のTOICAおよびmanacaのエリア内で利用できたり、九州の西日本鉄道(西鉄)のnimocaが関西のICOCAおよびPiTaPaのエリア内で利用できるようになった。エリア外にまたがる利用の場合はエリア内からエリア外までのきっぷを購入してICカードで入りなおすか、目的駅までのきっぷを購入する必要がある。ただし、2016年6月10日時点で以下の事業者は全国相互利用サービスには対応していない。また、小児用カードは相互利用の他カードのエリアでも自動的に小児運賃で精算されるが、一部の事業者が発行している障害者割引用カードは相互利用の他カードのエリアでは使用できない。なお、電子マネーサービスについては、PiTaPaを除く9種類のICカード乗車券での相互利用となっている。これは、PiTaPaの決済方法がポストペイであり、店舗のICカードリーダの仕組みが違うためである。そのため、既存のPiTaPa導入店舗にICOCAの導入が、また一部のICOCA導入店舗にPiTaPaの導入が進められている。この10種類以外のICカード乗車券発行事業者から検討会への参加は表明されていない。ICカードの所有権は発行事業者に帰属しており、事業者・発行者から利用者に対する「貸与」となっている。しかし案内上はICカード乗車券に対しても事業者・発行者自身が「購入」「販売」「発売」などの語を用いる場合が多い。貸与にあたり交通機関の利用に使える利用額のほかにデポジットが収受され、カードを事業者に返却するとデポジットが返却される。2012年3月、一部の交通系ICカード提供会社で、インターネットから乗車履歴を照会できるサービスの一時休止が相次いだ。PASMOとSAPICAでは3月1日、nimocaでは3月2日に照会サービスの停止に踏み切った。このうち、PASMOは同年5月18日に照会サービスの終了を発表した。ICカード番号と、カード登録者の個人情報(氏名、電話番号、生年月日など一般的な個人情報)をウェブから入力するだけで、誰でも乗車履歴を照会できる点が問題とされている。以下に日本のIC乗車カードの一覧を示す。太字のものはおサイフケータイ対応、★印のものは「交通系ICカード全国相互利用サービス」に対応するものである。なお、複数の事業者にまたがって運用されているカードの事業者詳細については当該項目を参照されたい。旭川地区では、下記2種のIC乗車カードが相互利用可能である。富山地区では、下記2種のIC乗車カードが相互利用可能である。上記のうちitappy以外の6種のIC乗車カードはいずれも、PiTaPa(「全国相互利用サービス」対応の各カードも)との片利用扱いとなっている。鹿児島地区では、下記2種のIC乗車カードが相互利用可能である。商業系電子マネーで利用できる鉄道・バスを下記に示す(すべておサイフケータイ対応)。試験導入のみのものは含まない。☆印のものはICカード導入によって廃止される予定。発行終了後の取り扱いなどの詳細は、項目があるものは該当項目を参照。
出典:wikipedia
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