合唱(がっしょう)は、複数の人が複数の声部に分かれて各々のパートを複数で歌う音楽の演奏形態のこと。各々のパートがひとりずつとなるものを重唱と呼んで区別するほか、複数人が同一の旋律を歌うことも斉唱といい、区別される(広義では斉唱も合唱に含まれる)。無論、ひとりで歌う独唱とも区別される。ただし、これらの区別は、楽曲の大半の部分をどの形態で占めているかによる。よって、合唱曲の途中に「重唱」「斉唱」「独唱」の部分が混ざる場合であっても、全体としては合唱である。逆に、独唱曲のクライマックス部分に、混声四部によるバックコーラスが付く場合も、全体としては独唱に分類される。「合唱」は、器楽の「合奏」の対語でもある。クワイア(choir)、コーラス(chorus)とも呼ばれる。なお、交響曲第9番 (ベートーヴェン)が「合唱」と呼ばれることもある。複数の人間によって一つの楽曲が歌われ、それが複数の旋律を重ねて歌われるものを合唱という。そういう意味では重唱は各パートが一人ずつの合唱である。実際、合唱曲を重唱で歌う例は少なくない。その意味では合唱の対語は斉唱である。民謡に見られる複数で掛け合いをおこなうものでは、交互に歌うものは斉唱的だが、声が重なり合う部分が長ければ合唱的になる。日本の民謡は斉唱的なものがほとんどだが、世界の民謡には合唱である例が珍しくない。西洋音楽の合唱が日本人によって初めておこなわれたのは、1557年の聖週間に豊後府内(現在の大分県大分市)でおこなわれた歌ミサであるとされている。クラシック音楽における、合唱の主な分類法は次のとおり。パート数により、二部合唱、三部合唱、四部合唱等と呼ぶ。曲によっては六部、八部合唱などもある。部分的にパート数が異なる場合も、多くの部分がそのパート数であるならばそのパート数で呼ばれる。ただし、曲のなかで一時的にパートがさらに複数に分かれることもあり、これはディヴィジョン(ディヴィジ)と呼ばれる(記号 "div.")。ディヴィジョンによって複雑な和音が作り出されることが多い。合唱とは別に独唱者または重唱者が立てられることがある。わずか数小節を担当する程度のものもあれば、独唱曲に近い(合唱がほんのわずかしか登場しない)ものもある。管弦楽を伴う作品の中には、合唱とソロがそれぞれ別々の箇所を歌い、お互いが絡み合うことがまったくないものも多々見られる。この点は、独奏楽器と管弦楽が一緒に演奏する場面が必ずといっていいほど存在する協奏曲と異なるところである。独唱ではなく、または、独唱に加えて語り手(ナレーター)の入る合唱曲もある。シェーンベルクの「ワルシャワの生き残り」や、ツィンマーマンの「若き詩人のためのレクイエム」など、20世紀以降の作品に広く見られる。無伴奏の合唱をア・カペラ(厳密な意味は教会風)と呼ぶが、日本の曲(民謡や童謡・唱歌)に対しては単に無伴奏と呼ぶ。伴奏が付く場合にはピアノやオルガンによるものとオーケストラによるものが多いが、ハープや打楽器などによる伴奏もある。女声による合唱を女声合唱、男声によるものを男声合唱といい、変声前の声によるものを児童合唱(または童声合唱、少年合唱、少年少女合唱など。主に童声合唱)と呼ぶ。男女の声によるものを混声合唱という。また、混声合唱の対義語として同声合唱(男声合唱と女声合唱の総称)があるが、前述の童声合唱と読みが同じために混同されがちである。また、二次性徴以前の男子の場合、ボーイソプラノとして、女声パートを歌う場合や、童声合唱で歌われることがある。上記の組み合わせにより、様々な形態が考えられるが、多く行われるものは次の通りである。キリスト教の典礼文に曲をつけたもの、あるいは宗教的な色合いが濃い作品を宗教合唱曲(宗教的合唱曲)、それ以外の作品を世俗合唱曲(世俗的合唱曲)として区別する。それぞれ「宗教曲」「世俗曲」と略されるが、これらは独唱曲なども含む広い概念になる。このような区分法は、作曲家の作品リストやCDなどでしばしば見られる。宗教的なものにはレクイエム・ミサ曲・教会カンタータなど、そうでないものとしては世俗カンタータなどがある。音楽劇であるオペラ、あるいはオラトリオには頻繁に合唱曲が多く含まれている。そのために書かれた楽曲が単独で合唱曲として歌われることも多い。あるテーマに沿った複数の合唱曲を作曲家が一つにまとめた合唱組曲は、日本にその作品が多い。清水脩の男声合唱組曲「月光とピエロ」(1949年)によってこの形態が普及した。無伴奏、もしくはピアノ伴奏によるものが大多数である。他の形態の組曲と同じく、個々の曲を単独で演奏することも多い。男声合唱曲、女声合唱曲、児童合唱曲については男声合唱、女声合唱、児童合唱の項目も、無伴奏混声合唱曲については、無伴奏の合唱の項も参照。クラシック音楽の合唱団はオペラハウスや放送局専属の団体(○○歌劇場合唱団、○○放送合唱団など)はプロだが、それ以外は殆ど全てがアマチュアである。その他でプロを名乗る団は世界的に少数であるが、オランダ室内合唱団、ウィーンのアルノルト・シェーンベルク合唱団などがある。ヨーロッパではほとんどの主要な都市にはオペラハウスがあり、そこには専属のプロの合唱団が存在している。特にドイツでは人口10万程度の中都市の歌劇場でも合唱団(とオーケストラ)を擁しているところが少なくない。オペラの合唱団は大きな動きや演技を要求されたり、様々な衣装を身につけなければならないなど、コンサートや宗教用の合唱団とは異なった性格を持つが、上記の二団体などオペラ出演に積極的な合唱団も存在する。個別の合唱団については、合唱は器楽演奏と異なり、楽器やそれを演奏する特殊技術が必要なく、学校における音楽教育の場では重視される。日本では小学校と中学校で音楽が必修であり、授業の中で取り上げられる機会はままある。音楽科の授業以外にも、特別活動として音楽会やクラス対抗の合唱大会などで行事に取り入れられている例が多い。入学式や卒業式などの際に全体合唱をする例も数多く見受けられる。また部活動の一環として、合唱部が組織されている学校も多い。学校によって、音楽部、コーラス部、グリークラブなどと呼称に揺れが見られる。合唱部の主たる活動としては、校内行事などで校歌等を学校を代表して演奏することや、都道府県や市の合唱連盟に所属し、所属地域の合唱団が集まる合唱祭と呼ばれるイベントに参加したり、おおよそ夏ごろに行われる合唱コンクールに参加したりすることである。主なコンクールとして、NHK全国学校音楽コンクール・全日本合唱コンクールが挙げられる。さらには地域の老人ホームなどの施設への慰問演奏や定期演奏会などをする合唱部もある。しかし合唱連盟に所属せず、さらに合唱祭やコンクールなどに出場しない合唱部も少なくなく、ここに記した限りでない幅広い活動が見受けられる。
出典:wikipedia
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