『走れメロス』(はしれメロス)は、太宰治の短編小説。処刑されるのを承知の上で友情を守ったメロスが、人の心を信じられない王に信頼することの尊さを悟らせる物語。作品の最後に「古伝説とシルレルの詩から」と記述され、ギリシア神話のエピソードとドイツの「シルレル」、すなわちフリードリヒ・フォン・シラー()の詩をもとに創作した事が明らかにされている。古伝説すなわちギリシャ神話について論じているのは杉田英明『葡萄樹の見える回廊』(岩波書店 2002年11月ISBN 9784000246163)で、明治初期にも翻案があったと記されている。また、シラーの詩については、最近の研究で、小栗孝則(20世紀前半の独文学者)が1937年(昭和12年)7月にシラーのバラードの初版を訳した「人質」(『新編シラー詩抄』改造文庫)とされている。「内面的動機」は檀一雄との間に起きた昭和11年(1936年)の「熱海」事件ではないかという説もある。純朴な羊飼いの青年メロス(Moerus)は、妹の結婚のために必要な品々を買い求めにシラクスの町を訪れたが、町の様子がひどく暗く落ち込んでいることを不審に思い、市民に何が起きているのかを問う。そして、その原因である人間不信のために多くの人を処刑している暴君ディオニス王(ディオニュシオス2世)の話を聞き、激怒する。メロスは王の暗殺を決意して王城に侵入するが、あえなく衛兵に捕らえられ、王のもとに引き出された。人間など私欲の塊だ、信じられぬ、と断言する王にメロスは、人を疑うのは恥ずべきだと真っ向から反論する。当然処刑される事になるが、メロスはシラクスで石工をしている親友のセリヌンティウスを人質として王のもとにとどめおくのを条件に、妹の結婚式をとり行なうため3日後の日没までの猶予を願う。王はメロスを信じず、死ぬために再び戻って来るはずはないと考えるが、セリヌンティウスを処刑して人を信じる事の馬鹿らしさを証明してやる、との思惑でそれを許した。メロスは急いで村に帰り、誰にも真実を言わず妹の結婚式を急ぎ、夫を信じて誠心誠意尽くすように言い含め、式を無事に終えると3日目の朝まだき、王宮に向けて走り出した。難なく夕刻までに到着するつもりが、川の氾濫による橋の流失や山賊の襲来など度重なる不運に出遭う。濁流の川を懸命に泳ぎ切り、山賊を打ち倒して必死に駆けるが、無理を重ねたメロスはそのために心身ともに疲労困憊して倒れ込み、一度は王のもとに戻る事をあきらめかけた。セリヌンティウスを裏切って逃げてやろうかとも思う。しかし近くの岩の隙間から湧き出てきた清水を飲み、疲労回復とともに義務遂行の希望が生まれ、再び走り出す。人間不信の王を見返すために、自分を信じて疑わない友人の命を救うために、そして自分の命を捧げるために。こうしてメロスは全力で、体力の限界まで達するほどに走り続け、日没直前、今まさにセリヌンティウスが磔にされようとするところに到着し、約束を果たす。セリヌンティウスに、ただ1度だけ裏切ろうとした事を告げて詫び、セリヌンティウスも1度だけメロスを疑った事を告げて詫びた。そして、彼らの真の友情を見た王は改心したのである。懇意にしていた熱海の村上旅館に太宰が入り浸って、いつまでも戻らないので、妻が「きっと良くない生活をしているのでは……」と心配し、太宰の友人である檀一雄に「様子を見て来て欲しい」と依頼した。往復の交通費と宿代等を持たされ、熱海を訪れた檀を、太宰は大歓迎する。檀を引き止めて連日飲み歩き、とうとう預かってきた金を全て使い切ってしまった。飲み代や宿代も溜まってきたところで太宰は、檀に宿の人質(宿賃のかたに身代わりになって宿にとどまる事)となって待っていてくれと説得し、東京にいる井伏鱒二のところに借金をしに行ってしまう。数日待ってもいっこうに音沙汰もない太宰にしびれを切らした檀が、宿屋と飲み屋に支払いを待ってもらい、井伏のもとに駆けつけると、二人はのん気に将棋を指していた。太宰は今まで散々面倒をかけてきた井伏に、借金の申し出のタイミングがつかめずにいたのであるが、激怒しかけた檀に太宰は「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね。」 と言ったという。後日、発表された『走れメロス』を読んだ檀は「おそらく私達の熱海行が少なくもその重要な心情の発端になっていはしないかと考えた」と『小説 太宰治』に書き残している。CLIEが製作する朗読演劇シリーズで舞台化された。キービジュアルはしりあがり寿。宮﨑秋人、大河元気、佐藤永典、椎名鯛造、西村ミツアキ、鈴木裕斗、村田充、萩野崇、川下大洋、名高達男)この作品は、メッセージ性の高さや尺加減のよさなどから、義務教育の国語教科書などで扱われ、知名度が高いため、一話完結系の連載物などでパロディの材料にされる事も多い。
出典:wikipedia
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