ツツガムシ病(ツツガムシびょう)は、ツツガムシリケッチア("Orientia tsutsugamushi")の感染によって引き起こされる人獣共通感染症の1つであり、ツツガムシ(ダニ目ツツガムシ科のダニ)の幼虫が媒介する。感染症法の4類感染症に指定されている。日本紅斑熱と症状が酷似している。日本では新潟県、山形県、秋田県における風土病と考えられていたが、実際には南アジア、東南アジア、オーストラリア北部、朝鮮半島、カムチャッカ半島など広く存在する。「新型」と「古典型」の2型に分類される。日本での発生状況を見ると、古典型は山形県・秋田県・新潟県などで多く、新型は沖縄県や離島など全国的に発生が報告されている。ツツガムシの幼虫は0.2ミリほどの大きさで肉眼で確認することが難しく、アカツツガムシ以外に吸着された場合にはほとんど痛みや痒みを感じない。刺された覚えのない発病者も多く、症状の初期はインフルエンザ様を示すこともあり、医師がリケッチア感染症を疑い早期に確定診断することが重要になる。「薮チフス」とも呼ばれるが、病原菌は腸チフスやパラチフスを含むサルモネラ属ではなく、発疹チフスを含むリケッチア科に含まれる。ツツガムシ病は、古くは山形県・秋田県・新潟県などの地域で夏季に河川敷(信濃川・阿賀野川・最上川等)で感染する風土病で、死に至る病として恐れられていた。これは、リケッチアを持つアカツツガムシ("Leptotrombidium akamusi")に吸着されて発症するもので、古典型ツツガムシ病と呼ばれる。春から夏に多い。大河津分水路建設工事において多数の作業従事者が古典的ツツガムシ病に倒れている。1950年頃から患者の発生数は減少している。1948年(昭和23年)、富士山麓で演習中のアメリカ軍兵士が熱病に倒れ、診察の結果、タテツツガムシ媒介によるツツガムシ病であることがわかった。この一件をきっかけにタテツツガムシ("L.scutellare")やフトゲツツガムシ("L.pallidum")など、アカツツガムシ以外のツツガムシが媒介して発症するものが新型ツツガムシ病(非アカツツガムシ媒介性ツツガムシ病)として注目されるようになり、横浜市や房総半島、東京都伊豆七島、四国地方などで原因不明とされていた熱病がこのタイプに該当することが判明した。新型ツツガムシ病は北海道を除く全国で発生が確認されている。古典型とは異なり、秋から初冬に発生が見られる。2つの型で発生時期が違うのは、それぞれの活動時期の違いによる。ツツガムシは日本だけで80種類以上が生息しているが、リケッチアを保有し、かつヒトに吸着する性質を有するものはそのうち数種類で、アカツツガムシ("Leptotrombidium akamusi")、タテツツガムシ("L.scutellare")、フトゲツツガムシ("L.pallidum")などがある。これらのダニのうち0.1%から2%のグループが経卵伝搬によりリケッチアを保有する(有毒ダニ)。有毒ダニの産んだ卵からはほぼ100%の確率で有毒ダニが生まれる。ツツガムシは土壌昆虫の卵などを捕食する捕食性のダニであり、動物に吸着することはないが、卵から孵化した直後の第1期の幼生である幼虫のみが、生涯で1度だけネズミなどの温血動物の皮膚に吸着し、組織液や崩壊組織などを摂取する(血液は吸わない)。このときリケッチアを保有する幼虫に吸着されることで温血動物がリケッチアに感染する。吸着時間は1日から2日で、ツツガムシから動物への菌の移行にはおよそ6時間以上が必要である。菌を持たないダニ(無毒ダニ)が感染動物に吸着しても菌を獲得できず、有毒ダニにならない。なお、ツツガムシに吸着されたネズミを介してヒトがツツガムシ病になるというのは誤りである。また、ヒトからヒトへの感染はない。発熱・発疹・刺し口(esher)が主要3兆候と呼ばれ、90%程度の患者にみられる。倦怠感、頭痛、刺し口近くのリンパ節あるいは全身のリンパ節の腫脹も、多く見られる症状である。まず、約80%以上の患者の皮膚には特徴的なダニの刺し口が見られる。刺し口は有毒ツツガムシが吸着してから2-3日目に周囲に赤みのある小さな水疱として現れ、膿疱状に変化した後、10日目頃に周囲が赤く盛り上がった黒色の痂皮になる。その後は窪んだ潰瘍に転じ、1-2か月ほどで皮膚に覆われて治る。刺し口に痛みや痒みを覚えることはあまりないため、発熱等ツツガムシ病が疑われる症状が出た後、診察時に刺し口が発見されることが多い。刺し口は、陰部、内股、脇の下、下腹部、小児の頭髪の中などに現れることが多い。発病時の症状はインフルエンザや腎盂炎などと似ており、ツツガムシに刺されてから5-14日の潜伏期を経て、全身の倦怠感、食欲不振、強い頭痛に見舞われ、38-40度の高熱が続く。2日目ころから体幹部を中心とした全身に、2-5mmの大きさの紅斑・丘疹状の発疹が出現し、5日目ころに消退する。また、刺し口の近くに局所的なリンパ節の腫れが見られ、押すと痛む。低ナトリウム血症、筋肉痛、目の充血が見られることもある。早期に診断がつき適切な治療が行われれば速やかに治癒するが、治療が適切でない場合は症状が長引く。重症例では、髄膜脳炎、播種性血管内凝固症候群や、多臓器不全で死亡することもある。ツツガムシ病における死亡例のほとんどは、ツツガムシ病と診断されないまま播種性血管内凝固症候群となった患者である。臨床検査では、以下のような傾向が見られる。ただし、臨床検査所見だけを根拠にツツガムシ病と診断されることはない。診断のポイントは、刺し口とツツガムシに対する血清抗体の測定である。ただし、刺し口は腹部・背部に多く発見しにくい。検査所見は日本紅斑熱のものと類似するため、鑑別が必要。特徴的な紅斑発疹が現れない例では確定診断が遅れ重症化する場合もある。ツツガムシ病が疑われる症状や発症の経緯があり、さらに刺し口が見つかれば9割以上の確率でツツガムシ病であるとされるが、最終的な確定診断は血清診断をもとに行われる。間接蛍光抗体法(IFA)または間接免疫ペルオキシダーゼ(IPA)という方法を使って測定が可能である。標準型"Kato"型・"Karp"型・"Gilliam"型は保険適応だが、"Kuroki"型・"kawasaki"型は保険が効かず研究機関等でしか行えない。標準型だけの検査では感染を診断できない例が有るため、新型も含めた検査が必要と考える意見もある。ツツガムシリケッチアには血清型が存在し、主に6種類の血清型("Gilliam
出典:wikipedia
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