ノコギリクワガタ(鋸鍬形 "Prosopocoilus inclinatus")は、コウチュウ目・クワガタムシ科・ノコギリクワガタ属の1種で、5亜種に分類されている。日本国内に広く生息している代表的なクワガタムシである。オスの大顎の内側に鋸のように歯が数多く並んでいることから名付けられた。また、種小名の"inclinatus"は「傾斜の」という意味であり、大顎の形に由来している。個体数も比較的多く、人々によく親しまれている種である。体長はオスが24.2mm-77.0mm、飼育下では73.7mm(2004)メスが19.5-41mm。オスは体格による個体変異が顕著で、体長が約55mm以上の大型個体では大きく屈曲した長い大顎を持つが(先歯型)、中型個体では大顎がゆるやかな湾曲となり(両歯型)、小型個体では大顎が直線的になり(原歯型)、内歯は均一なノコギリ状となる。体色は赤褐色から黒褐色である。しばしば「水牛」に例えられるオスの大顎は、メスをめぐる同種のオス同士の闘いに勝つために進化したのではないかと考えられている。メスは体色は赤褐色(まれに黒色)で、脚も全体的に赤い。大顎はミヤマクワガタのメスのものに比べて細く鋭い。日本(北海道から屋久島まで)、韓国(朝鮮半島、済州島、鬱陵島)平地から山地までの広葉樹の森林、都市郊外の小規模の林にまで生息していて、生息数はやや多い。成虫は、活動期が6月上旬から10月である。広葉樹や照葉樹の樹液などを餌としていて、クヌギ・コナラ・ミズナラ・ヤナギ・ハンノキ・ニレ等に集まる。基本的に夜行性であるが、昼間でも木陰などで見ることができ、樹木の根際や樹皮下よりも、樹上の高い所で休んでいることが多い。一般に大顎の力が弱いと言われることもあるが、闘争本能が強く、活発であることから、他のクワガタムシよりも優位な地位を占めることが多い。生息数も多く、樹を蹴ると、跗節の感覚毛で震動を感じ擬死して落下してくることから、この習性を利用して古くから少年達に採集されてきた。メスは、広葉樹の立枯れの地中部、倒木の埋没部やその周辺に産卵し、卵から孵化までは約1ヵ月である。幼虫は、水分を多く含んで劣化の進んだ朽木を食べて育ち、2回の脱皮を経て終齢である3齢幼虫となる。幼虫期間は約1-3年である。蛹になるために、春から夏にかけて蛹室(ようしつ)を作り始めて、約1ヵ月かけて蛹となり、蛹から羽化までは約1ヵ月である。初夏までに羽化した成虫は、その夏に活動を開始するが、晩夏から秋に羽化した成虫は、そのまま越冬し、翌年に蛹室を出て活動を開始する。活動を開始して野外へ出た成虫が越冬することはなく、通常は繁殖活動を終えた成虫はその年に死滅する。オオクワガタ属等と異なり、本種のオスは朽木に脱出口を掘ることができないため、蛹室は幼虫のうちにあらかじめ朽木の外に出て土中に作られる場合が多い。また、低山地から亜高山帯ではミヤマクワガタと混生する地域もある。2012年6月、頭部が雄、体が雌の雌雄嵌合体の個体が茨城県牛久市で採集された。頭部が雄、胸部と腹部が雌という貴重な例である。ノコギリクワガタは、5亜種に分類されている。本種は、日本産クワガタムシ中、最もポピュラーかつ代表的な大型種であり、カブトムシ、スズムシなどと同様に古くから子供達の愛玩動物として飼育されてきた。活動開始後の成虫の寿命は短く、「ひと夏のおもちゃ」として扱われ、カブトムシと「相撲」を取らせたりして遊ばれた。21世紀に入ると、オオクワガタブームに端を発するクワガタ飼育用品普及や技術の発展によって、累代飼育も可能になった。成虫は、飼育ケースに広葉樹の材をいれそれをマットで埋めたものにいれておけば簡単に産卵する。但し、オオクワガタ等と比べて劣化の進んだ腐植質を好むので、手で崩せる程度にまで劣化の進んだ材または押し固めたマットを産卵床として用意する必要がある点には注意が必要である。幼虫の飼育は、餌となる木屑を空き瓶などに詰めて行われるが、オオクワガタなどで使用されている「菌糸ビン」では、必須栄養素の種類や消化吸収機能が異なっているため、大きな効果はないとされている。但し、近年の菌糸ビンの中には本種幼虫の餌として使用可能なものも出てきた。3週間から1ヶ月ほど経った菌糸ビンは、腐食・劣化が進展しているため本種幼虫にとっても適したものとなる。大型個体を羽化させるには、ブナ科の朽木を粉砕したマットに小麦粉などを添加した「発酵マット」が餌として使用される。大きさにこだわらないのなら無添加の広葉樹のマットで十分である。幼虫の成長・成熟には積算温度が深く関係するとされ、温度管理をするかなるべく涼しい環境(野外やガレージ等)に飼育ビンを置き積算温度の達成を遅らせ、幼虫の脱皮・変態までの日数を稼ぐ方が、大型個体を育てるのに有利だとされる。
出典:wikipedia
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