キハ30形気動車(キハ30がたきどうしゃ)は、名古屋鉄道(名鉄)で使用された気動車(レールバス)。本稿では、先行して同社で導入されたキハ10形・キハ20形についても記述する。名鉄は、戦前から戦中の企業統合によって愛知県・岐阜県にまたがる広大な路線網を有するようになったが、その中には閑散線区も多く含まれており、さらに戦後のモータリゼーションの発達で利用者もますます減少するようになってきていた。そのため同社では運営費用の削減を図るため、閑散線区に於いては電力供給設備を撤去し、気動車(レールバス)による運行を行おうと考えた。それに伴い1984年(昭和59年)から1985年(昭和60年)に投入されたのがキハ10形である。その後の1987年(昭和62年)には、一軸台車のキハ10形は乗り心地が悪いという理由で二軸ボギー台車に取り替えたキハ20形が投入され、さらに1995年(平成7年)にはキハ10形の置き換えを目的にキハ30形も製造導入された。しかし、2004年(平成16年)までにこれら閑散線区が全廃されたこともあって、全車が運用を離脱した。1984年(昭和59年)、八百津線において富士重工業製レールバスの試作車『LE-CarII』(同線で試験運転実施)をベースに、電化設備撤去と同時に3両がまず製造投入された。レールバスは過去にも日本国有鉄道(国鉄)・南部縦貫鉄道などで採用されていたが、八百津線で導入されたそれは現在の第三セクター鉄道などで使用されている車両に通ずる物であり、それが全国に先駆けて投入された路線であったため、八百津線は「近代型レールバスの発祥地」とも呼ばれている。前述の通りボギー台車が既に時代の主流となる中で一軸台車を採用し、「レールバス」というようにバスをベースにした車体とエンジン(日産ディーゼル 現:UDトラックス製)を使って製造コストを抑えていた。当初、バックミラー・列車無線アンテナは準備のみで取付けはなされず、実際に取り付けられたのは増備車の製造後となった。翌年、3両が増備された。このときの増備車両にはバスのそれを使用した冷房装置が取り付けられたため、定員が90人から88人に減少している。またこの増備に伴って、広見線の明智駅 - 御嵩駅間(新可児駅 - 明智駅間では回送運転を兼ね、八百津線での導入当時から一部列車はレールバスによる運行)でも日中においてはレールバスによる運行を行うようになった。その後、三河線においても使用が開始されている。しかし一軸台車では乗り心地が悪いことから、1995年(平成7年)にはキハ30形に交代して運用を離脱し廃車となった。そのうち後期増備車の2両は、同じように電化設備を廃止したくりはら田園鉄道に引き取られ、KD10形となったが、2007年(平成19年)4月1日に同線が廃止されたことにより運用を離脱した。1987年(昭和62年)にキハ10形を二軸ボギー台車にして車長を伸ばした構造で、1両が製造された。キハ10形同様、バスの部品を多用した設計となった。その後、三河線末端区間(猿投駅 - 西中金駅、碧南駅 - 吉良吉田駅間)の電化設備撤去に伴い1990年(平成2年)に4両が増備されている。しかし、2001年(平成13年)の八百津線廃止で2両が、2004年(平成16年)の三河線末端区間廃止に伴い残りの3両が運用を離脱し、それぞれミャンマー鉄道省へ譲渡された。1995年(平成7年)、キハ10形の置き換えを目的に4両が製造された。このうち八百津線への割り当ては、それまでのキハ10形3両から1両減らした2両となり、この結果広見線明智駅 - 御嵩駅間におけるレールバスの運行はなくなって、電車による運行に回帰した。キハ20形とは異なり、バス部品を流用した軽量構造の車体は老朽化が早いなどの理由で取りやめられ、一般の鉄道車両同様全金属製の軽量構造車となった。これにより大型窓・3扉引き戸(キハ20形は2枚折り戸や側窓にバス部品を流用していた)・パノラミックウインドウ(運転台前面窓に採用)・前面方向幕(当初は日本語表記のみで後に英字を追加)が採用され、車内も3500系電車に準じた仕様となった。2001年(平成13年)の八百津線廃止に伴い全車が三河線に転じ、2004年(平成16年)には同線末端区間の廃止に伴って廃車となって、キハ20形同様ミャンマー鉄道省へ譲渡された。ミャンマーに渡った車両は韓国製の中間車と組み、ステップを取りつけた上で運行している。塗色はそのままであり、キハ30形の優先席のシールは剥がされておらず、名鉄のCIも消されていない。なお、キハ30形は車齢10年程度のため、現地では新車だと思われている。また、その後に日本の他の第三セクター鉄道から譲渡された車両は名鉄の車両に準じた塗色に塗り替えられている。
出典:wikipedia
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