フォグランプ()とは、自動車や鉄道車両に装備される灯火の一種で、ヘッドランプとは別に、白または黄色い光を発生する補助灯である。フォグライトあるいは霧灯ともいう。フォグランプは、濃霧の発生などにより視界が制限される場合に、投ぜられた光の運転手への反射を抑えながら視認性を確保し、同時に他の交通からの被視認性を向上させる目的で装備される、白または淡黄色の補助灯である。前方を照らす前照灯とは役割が異なり、広い範囲の視認性を向上させるため、左右への照射角を前照灯よりも広い配光としたレンズを備えているのが特徴である(前照灯がおおむね70度前後であるのに対し、フォグランプはおおむね100度以上)。一方、前方の霧に強い光が当たらないよう、上下の照射角は前照灯よりも狭く設計されている。この理由は、霧に反射した光の明るさが運転者の瞳孔を絞り、暗い部分を見えにくくすることを防ぐためである。フォグランプが近くを広く照らす配光パターンを持つことから、直近の路肩や道路標示、車線分離帯などを照らす補助前照灯として用いられる場合もある。ヘッドランプの位置が乗用車に比べて高く、旋回時に運転席が大きく左右に振られるバスやキャブオーバートラックでは、天候にかかわらずフォグランプを点灯している例が多く見られる。日本では法規によって装備が義務付けられていないため、車種やグレードによって選択的に装備される。SUVやRVをはじめとして、機能性だけでなく外観意匠の一部として装備される場合もある。かつては純正でも汎用的な外観の製品を、車体のほかの部品を大きく加工することなく取り付けるものが主流であったが、近年ではバンパーにフォグランプ用の開口部を設けるなど、車体デザインに大きく影響しないように設計される場合が多い。また、フォグランプを車体デザインの一部として標準装備する車種もある。光の性質上、波長の短い青色光は水の粒に散乱して遮られ、波長の長い赤色光はそれを通りぬけてより遠くまで届く性質(霧中透過性)が高い。しかし、多くの国では法規により赤色の灯火を車体前方に設置できないため、赤色光に次ぐ霧中透過性を持つ中間の波長の黄色光が良いとされ、霧に反射して運転者の視界の妨げになる波長を含まない単色光がより良いとされてきた。かつての主流は黄色灯で、1980年代には前照灯も黄色のものが流行した。しかし、単色光は運転者に錯覚を起こさせ、距離感がつかみにくい現象や特定の色が認識しにくい現象が知られるようになり、遠方には黄色の光を投射して手前は白色の光で照射するように色分けされた電球も流行するようになった。最近では白色の割合が増加し、前照灯と共に、HID式の物や、特に長波長の可視光を遮るコーティングを施して色温度を高くした蒼白い光を放つ電球が流行している。EUでは2011年2月以降、乗用車のデイライトが義務化しており日中でもフォグランプ等を点灯させなければならない。日本では気象による点灯についての法的基準は特になく、「夜間やトンネル内等、前照灯が必要な場合は原則ハイビームで走行し、先行車や対向車がいる場合はハイビームを消してロービームにするか、フォグランプで走行すること」とされている。濃霧などの気象条件により視界が制限される場合において、後方からの被視認性を向上させる目的で設置される赤色の灯火をリアフォグランプ(後部霧灯)と呼ぶ。通常のテールランプよりも明るく、制動灯と同等の明るさを持つ。そのため、不必要な使用は後続車のドライバーを眩惑させる原因となる。日本やヨーロッパの保安基準ではヘッドランプまたはフロントフォグランプのスイッチが入っていないとリアフォグランプを点灯できず、ヘッドランプをいったん消灯するとリヤフォグランプは再度スイッチを操作する必要がある構造が義務づけられている。ヨーロッパでは1975年から、すべての新型車への装備が義務化されている。一方、日本では当初は認可されず、保安基準が改正された。オプションながら、日本国内で販売される日本車で初めてリアフォグランプが設定されたのは、1989年に日産自動車から発売された180SXとされる。これ以降、日本車でもオプション設定や寒冷地仕様装備としてリアフォグランプが普及し、一部の車種で標準装備となっている。1灯または2灯が取り付けられ、2灯の場合は左右対称に取り付けられる。1灯の場合は車体中央か、道路のセンターライン寄りに取り付けることが保安基準で定められていて、左側通行向けの車両では右寄りに、右側通行向けでは左寄りに設置される。加えて、ブレーキランプ(制動灯)の光源とリアフォグランプの光源とを10cm以上離すことが規定されている。車種によっては、テールランプと一体に装備する例や、片側や中央に独立した1灯のランプとして装備する例、片側をリアフォグランプ、反対側をバックアップランプ(後退灯)の非対称配置とする例がある。明るさの基準はブレーキランプ(制動灯)と同等だが、長時間連続して点灯されるためランプ筐体は電球の発熱に対する耐性を持たせなくてはならない。したがってバックランプと同じ形状でデザインされたものでも、灯体の材質や構造などによりコストがかかっている場合が多い。光源として発熱の少ないLEDを利用する場合もあるが、現在の市場ではLEDのコストも白熱電球より高価である。フォグランプとは異なりヘッドランプのハイビームに近い配光特性を持った補助前照灯はドライビングランプと呼ばれる。また、ハイビームよりさらに遠く狭い範囲を照らす補助前照灯はスポットランプと呼ばれる。ドライビングランプの中には上方への拡散を防ぐ配光パターンを持つものもある。いずれも夜間にヘッドランプの補助として用いるものであるが、日本の保安基準では配光パターンに関係なく「前部霧灯」とされ、公道上での使用は保安基準に沿った運用が求められる。市販車での採用例としてはフェラーリF355などがある。霧灯としての機能を重視していないものはカタログ上で「アクセサリーランプ」または「アクセサリーライト」と表記されているものもあるが、慣用的にはフォグランプと呼ばれ、日本では適用される保安基準も「前部霧灯」と同じである。フォグランプはで前部霧灯(過去には補助前照灯と呼ばれていた)として、リアフォグランプはで後部霧灯として規定され、それぞれの細目告示および細目告示別添によって技術基準が設けられていて、前部霧灯の概略は次のとおりである。上述の保安基準は政府の規制緩和方針により法令改正されたもので、2006年1月1日以降に生産される自動車に適用される。2005年12月31日以前に生産された車では、現行規定と旧規定のどちらかに適合していればよい。などの規定があったほか、取り付け位置についての規定も現行のものと若干異なっていた。後部霧灯の概略は以下のとおりである。日本で運行されている鉄道車両では、JR西日本の223系(0番台は除く)およびこの形式をベースとした225系(HID式)、227系(HID式)、221系体質改善車(HID式)、285系、287系(HID式)、207系体質改善車(HID式、4両編成のクハ206、3両編成のクモハ207は除く)、321系、323系(LED式)、521系(2013年製造の増備車はHID式)、キハ122系・キハ127系、キハ189系、JR四国の5000系、JR九州の783系(改造による追加、先頭車化改造車は除く)、787系、813系(0番台・100番台のみ)、883系、キハ185系(改造による追加)、名古屋鉄道の1000系と伊豆急行のリゾート21などで使用されている。
出典:wikipedia
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