日本国憲法 第7条(にほんこくけんぽう だい7じょう)は、日本国憲法の第1章「天皇」にある条文の一つ。天皇の国事行為について規定する。「日本国憲法」、法令データ提供システム。
- 第七条
- 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
- 天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であると規定する日本国憲法第1条に基づいて、天皇は憲法上規定される国事行為のみ行うと規定された(第4条)。その上で、本条は、天皇の国事行為について、その行為を列挙する形で規定するものである。また、第3条の規定に従い、各国事行為を実際に天皇が行う際には、内閣の助言と承認が必要とされた。外国賓客との会見は憲法に定める国事行為ではなく皇室外交の国際礼譲であり、天皇の意思を反映した公的行為に分類され、その助言役は宮内庁長官である。憲法改正、法律、政令、条約の公布は天皇の名の下に官報において行われるが、公布があったとされるのは、一般国民が官報を閲覧し、または購読し得る場所である東京都官報販売所または印刷局官報課のうちのいずれかに最初に到達したときである。内閣の決定に基づき、国会の召集を行う。その方法としては、召集詔書の公布(官報掲載)という体裁をとる()。内閣による衆議院の解散については、内閣不信任案が可決された場合について規定する第69条の場合においても、他の場合でも、本条第3号が憲法上の根拠規定とされる。衆議院議長は本会議において「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」という解散詔書を読み上げるのが慣例(ただし最初の解散である第2次吉田内閣を除く)。本号には「国会議員の総選挙」とあるが、衆議院議員に関する「総選挙」のみならず、参議院議員の(半数改選である)「通常選挙」も含まれる。衆議院議員の総選挙の公示は、公職選挙法第31条第4項の規定に従い、総選挙の期日の少なくとも12日前になされる。参議院議員の通常選挙の公示は、公職選挙法第32条第3項の規定に従い、通常選挙の期日の少なくとも17日前に公示される。その方法としては、官報への公示に関する詔書の掲載という体裁をとる。なお、「国会議員の総選挙」について西修は、「GHQの草案では一院制になっていたので『国会議員の総選挙』が存在しており、一院制を前提にした規定が二院制になった際に修正漏れとなったもの」と主張している(文春新書「日本国憲法を考える」)。内閣総理大臣および最高裁判所長官は、日本国憲法第6条各項により、天皇により任命されるものであるが、それ以外の国務大臣、最高裁判所判事等は、任命権者による任命(又は免官)を経た後に天皇による認証を受ける(任命の官記に認証の意を示す御璽を捺して交付するため、文書上の任命と認証は同時となる)。本項に基づく認証を受ける官吏のことを認証官と呼び、上記のほかには、副大臣、検事総長、大使・公使などが挙げられる。いわゆる恩赦の認証について規定する。実質的な恩赦の決定は、内閣によって行われる(第73条第7号)。栄典とは、栄誉、勲章その他を含むものとし、特権の付与や相続は認められない(第14条第3項)。具体的には、叙位、叙勲、褒章などが含まれる。批准とは、内閣の署名した条約を審査して、同意を与え、効力を確定する行為をいう。法律の定めるその他の外交文書接受とは、外国の外交官に儀礼的に接見する事実上の行為をいう。ここでいう儀式とは、国家的性格を有する儀式のことである。東京法律研究会 p.6-7「憲法改正要綱」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。マッカーサー3原則(「マッカーサーノート」) 1946年2月3日、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。訳文は、「高柳賢三ほか編著『日本国憲法制定の過程:連合国総司令部側の記録による I』有斐閣、1972年、99頁」を参照。1.天皇は国家の元首の地位にある。皇位は世襲される。天皇の職務および権能は、憲法に基づき行使され、憲法に表明された国民の基本的意思に応えるものとする。Emperor is at the head of the state.His succession is dynastic.His duties and powers will be exercised in accordance with the Constitution and responsive to the basic will of the people as provided therein.「GHQ草案」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。
- 第六条
- 皇帝ハ内閣ノ輔弼及協賛ニ依リテノミ行動シ人民ニ代リテ国家ノ左ノ機能ヲ行フヘシ即国会ノ制定スル一切ノ法律、一切ノ内閣命令、此ノ憲法ノ一切ノ改正並ニ一切ノ条約及国際規約ニ皇璽を欽シテ之ヲ公布ス
- Article VI.
- Acting only on the advice and with the consent of the Cabinet, the Emperor, on behalf of the people, shall perform the following state functions:
- 「憲法改正草案要綱」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。
- 第七
- 天皇ハ内閣ノ輔弼賛同ニ依リ国民ノ為ニ左ノ国務ヲ行フコト
- 「憲法改正草案」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。
- 第七条
- 天皇は、内閣の補佐と同意により、国民のために、左の国務を行ふ。
- 「帝国憲法改正案」、国立国会図書館「日本国憲法の誕生」。
- 第七条
- 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国務を行ふ。
- 上述のように西修によって修正漏れまたは誤植(誤字)が指摘されており、これを修正するよう改憲意見を主張する人がいる。
出典:wikipedia