ソリッド・ステート・ロジック()は、イギリス中西部のオックスフォードに本社と製品の製造工場を置くミキシング・コンソール、デジタル及びアナログ・オーディオ・インターフェース、DAW向けの各種ソフト・ウェア等の開発、製造、販売している音響メーカーである。世界各国のスタジオ等で幅広く導入されているコンソールのメーカーとして知られる。当初はパイプ・オルガンの弁を制御する装置の開発を行っていた。社名はロジック回路制御に半導体(ソリッド・ステート)を使ったことに由来する。ミキシング・コンソール及び各種オーディオ・インターフェース並びにデバイスを製造するメーカーとしては世界最大級であり、同社製造のコンソールは世界各国で約3,000台近くがレコーディング・スタジオや映画スタジオ等で用いられている。また、イギリスのBBC、日本のNHK、アメリカのABC、NBCなどの放送局でも同社のコンソールが音楽番組用などのために導入されていて、サラウンド対応のミキシング・システムとしても活用されている。SL 4000 シリーズは1970年代後半から様々なスタジオに対して最も数多く導入されたコンソールの一種で、Eシリーズ以降は世界各国の様々なスタジオへ導入され、以後Gシリーズへと進化した。このコンソールの普及により、スタジオ間を移動して行われるレコーディング・セッションにおいては、スタジオが変わりB/E/Gとコンソールのタイプが変わったとしても、ミキシング上ではほぼ変わりない作業が維持出来たため、1つのミキシング用プラット・フォームとして存在した。VCA(Voltage Controled Amplifier)回路を利用した「フェーダー・グルーピング」と「フェーダー・オートメーション」、チャンネル・モジュールの設定を保存して元のパラメーターに復帰可能な「トータル・リコール・システム(業界初)」など様々な機能が当初から搭載されたコンソールでもあり、それまでのスタジオにおけるコンソールの概念から大きく飛躍した製品群となっている。実装されるチャンネル・モジュール数を含めた表記方法では「SL 4056 E(モジュール数が56本)」や「SL 4064 G(モジュール数が64本)」等のように数字部分の下二桁が実装チャンネル・モジュール数となるが、ステレオ・チャンネル・モジュールも存在するため、実際には仕様によって表示数より使用可能な入力数が異なる。例えば表記上が「SL 4072 G」の場合でもステレオ・チャンネル・モジュールが8本実装されている場合には入力チャンネル数は合計80チャンネルとなるなど、モジュール数とチャンネル入力数は異なる事になる。コンピューター・オートメーション機能はオプション扱いとなっていたため、コンピューター未搭載の仕様も存在するが、コンピューター搭載でトータル・リコール機能を搭載していない場合の表記は「SL 4056 G PR」となりプライマリーの意味を持つ「PR」が型番末尾に付き、トータル・リコール機能搭載の場合には「SL 4000 G TR」のようにトータル・リコールを表す「TR」が型番末尾に付くことから、コンピューターの仕様は表記されている型番から確認する事が出来る。チャンネル・モジュールのオーディオ特性的には4000 シリーズの流れを持ち、放送及び映画関連に特化した機能が強化されたコンソール。SuperAnalogue™ 回路を基本路線に、それまでのアナログ・コンソールの理念や特性を遙かに凌駕させたシリーズで、それまでの4000 シリーズのチャンネル・モジュール上各種レイアウトは概ね踏襲されたが、回路内部に関しては全て刷新開発された回路が搭載されている。EQではSL 4000 Eシリーズの特性を持たせた「E type EQ」がセレクト・スイッチにより選択可能になっていて、古き良き伝統的なSSL EQ サウンドと9000Jシリーズの標準搭載EQとのコラボレートが可能になっている。ダイナミクス・セクションにも回路及び機能追加変更が大々的に行われていて、コンプレッション、リミッティング、ノイズ・ゲート、エクスパンダーなどのダイナミクス系処理に対して、より幅広い対応が可能になっている。センター・セクションの各種テープレコーダー及びVTR制御用ロケーターの仕様も大幅に変更され、より総合的コントロールが可能になる構成になっている。コンピューター・オートメーションのシステムはオペレーション用にキーボード類以外にも、ポインティング・デバイスであるペン・タブレットが追加され、操作確認用ディスプレイも通常のコンピューター用モニター・ディスプレイ同様の大型ディスプレイへと変更された。オートメーション可能範囲もこれまでのラージ・フェーダー及びチャンネル・カット・ボタン以外にスモール・フェーダーとON/OFFスイッチなどもオートメーション可能になる高機能型へと変更された。フェーダー・オートメーションにはアルティメーション・システムが採用されている。ダイナミクス回路の機能も強化され、専用アウトボードと遜色ないほどに様々な設定が出来るようになるなど様々な変更がもたらされた。ProTools等のDAWコントローラーとしての機能を搭載したアナログ・コンソールで、通常のコンソールとしてもスタンド・アローン運用が可能になっている。全てSolid State Logic社のサイト内からダウンロードする事が可能で、ユーザー登録すれば無料で使用できる。"ここではシリーズ毎の特徴と主な仕様、選択可能なオプションについて述べる。"SL 4000 シリーズから搭載されているコンピューター・オートメーションにはいくつかの機能が有り、ミキシング・データとしてのラージ・フェーダーの上げ/下げと、ラージ・フェーダー側のチャンネル・カット・スイッチのON/OFF動作の記録/再生、ドロップ・イン(パンチ・イン)をコンソールの各チャンネル・モジュールに搭載されているスイッチから行った場合のドロップ・イン・タイミングの記録/再生、シンクロナイザー機能のコントロールなど、いくつかのパートに分けて考えられる。ミキシング用フェーダー・オートメーションの取り扱いデータは、SMPTEタイムコードを使ってオン・ラインで動作する事においては一般的な他メーカーの機種と変わりはないが、Neve製コンソール等に導入されているFlying FadersやGML Automation Systemのようにイベント発生時(フェーダーの上げ下げやカット・スイッチのON/OFF)毎にその時点の数値情報みを点情報として記録するスタイルではなく、搭載コンピューターの "Name Title" コマンドやいくつかの方法で曲の頭または記録開始地点を指示し、そのタイムコード上のアドレスをデータの開始時点として記録し始め、データ書き込み終了時の "end" キーを押すまでの間にかけて、フェーダーやスイッチからのデータの書き込みが有ろうが無かろうが、入力されているタイムコード・アドレスに沿って各々のチャンネル・モジュールに対するミキシング・データを線情報として全て記録するスタイルであり、様々なコマンドによってオフライン編集も可能になっているなど、開発当初からスタジオでのミキシング・セッションにフォーカスを絞った設計が行われている。コンピューター・オペレーションは、手前側にアルファベットがQWERTY配列で並べられたキーボードと、その上部にはSSL オートメーション専用のコマンド・キーが並べられた専用コマンド・キーボード・セクションの2つがコンソール・センター・セクションの下部左側に配置され、専用コマンド・キーを使用する事によって用途に沿ったコマンド入力がとても使いやすいシステムとなっていた。Eシリーズではアルファベット入力が出来るキーボードの各キーが通常のキーボードの1/4程の大きさにまで絞られた小型版が用意されていたが、Gシリーズ以降では通常のフルサイズ版キーボードがアルファベット入力用に用意され、専用コマンド入力用のキーボードには変更がなかった。そしてアルファベット用キーボードにはファンクション・キーが初めて搭載されて、各種オペレーション・コマンドをユーザーが自由に組み合わせて登録し、1キー操作で必要なコマンド・ラインを完結できたため、コマンド入力時においては非常に重宝するスタイルとなった。但し、スタジオが変わってしまいコンソール自体が別の物になると当然のようにファンクション・キーに登録したコマンドは再入力し直さなければならなかった。SL 4000 シリーズでは一貫してコンピューター・オペレーション用のモニター・ディスプレイは小型でモノクロ仕様が使用されていて、コマンド専用キーボード上のコンソール・センター・セクションに内蔵されていた。シリーズ全般を通してディスプレイ本体はモノクロ画面だったが、緑色のカバーがフィルター的に取り付けられたため画面上の文字色はそれを透過する事によって緑色に見える仕様になっていた。ミキシング・データの記録媒体に関しては、SL 4000 Eシリーズまで8インチ型フロッピー・ディスク(以下 FDと表記)とフロッピー・ディスク・ドライブがデータ取り扱いメディアに用意され、コンソールとマルチ・ケーブルで接続されたタワー型のSSL専用コンピューターからのデータはFDに記録された。左側のドライブにはシステム・ディスクをロードさせ、右側のドライブに記録用のディスクを挿入して使用するシステムだった。1枚のFDが容量的にすぐに一杯になってしまったため、コマンドを使って別のディスクに残したい最新データのみをコピーするなど運用面ではコンソールの多チャンネル化に伴い取り扱えるデータ量に限界があったが、FD自体が薄いお陰でミキシング・データをセッションで使用したマルチトラック・テープの箱の中に一緒に入れて移動できるなど、メリットもあった。SL 4000 Gシリーズが発表された時点でSSL専用コンピューターの仕様が若干変更されて、それまでのコンピューター・オペレーションで使えたコマンドより様々な追加が試みられ、Eシリーズまでは部分的にミキシング・データをアップデートしたいときには任意のミキシング・データを選択してから "Goto" + "Mix" + "Execute" でマルチトラック・テープなどをスタートさせ、コンピューターが動作し始めてタイムコードを読み込んだのを確認してからロケーターで任意の場所までテープを走らせてから、アップデートしたいミキシング作業を行わなければミキシング・データが壊れてしまうなどの厄介な運用面があったが、Gシリーズでは "Goto" + "Join" + "Mix" + "at" + "指定する時間情報" またはテープを任意の場所で止めて時間情報の代わりに "Here" を使い、ある特定の場所だけのデータ・アップデートが容易になるなど、ミキシング上でのオペレーションの自由度が増すコマンド・ラインの変更が成された。そしてオフ・ラインでのミキシング・データ編集機能も色々と用意されたため、テープを走らせながらのオン・ラインによるミキシング作業以外の方法も追加刷新された。ミキシング・データを記録するメディアは相変わらず8インチ型FDも使用されていたが、新たにデータ・カートリッジ形式のフロッピー・ディスクとハード・ディスクの中間的フォーマットになるデータ記録用メディアが用意され、システム・ディスクは8インチ型FDのままだったが、ミキシング・データの記録容量とデータ書き込みトラフィックの速度向上が計られ、作業効率は大幅に向上した。その後3.5インチ型の2HD FD用のフロッピー・ドライブも用意されるようになり、容量アップと共に可搬性も増した。最終的にはデータ・カートリッジ方式は使用するメディアの生産終了などに伴い利用される事はなくなり、3.5インチ型FDだけがデータ記録メディア形式として残る事になった。ミキシング中にデータ書き込みのステータスがどのモードに入っているかの確認は、各チャンネル毎のラージ・フェーダー左側上部に搭載されている緑と赤のLEDの点滅及び点灯とモニター・ディスプレイ内の右側上部ある表示で確認する事が出来るが、マスター・フェーダーに関してだけはフェーダーの部分にステータス表示用のLEDは搭載されずモニター画面内のみの表示となる。ステータスの切り替えにはチャンネル・フェーダーの場合はステータス切り替え用のスイッチがステータス表示用LEDのすぐ上に設置されていて、スイッチを押す回数でステータスを順番に切り替え、目的とするステータスになるまでスイッチを押して切り替えて行く方式が採られている。マスター・フェーダーに関してはステータス切り替えがフェーダー部分にはなく、コンピューター・コマンド用キーボードの操作によって順次切り替える方法になっている"(基本となるステータスには以下のような物がある。)"他にも様々なモードやオフ・ライン編集などの組み合わせ方での様々なミキシング・データ書き込み方法が存在する。SL 9000シリーズではコンピューター自体の性能が数世代アップデートされ、記録出来るミキシング・データの領域もラージ・フェーダーとそのフェーダーのカット・スイッチ以外にスモール・フェーダー、スモール側のカット・スイッチ、パンポット、など豊富になってきたため、ミキシング時のオートメーション機能と自由度が数倍向上する結果となった。それまでのコンピューター・オペレーションにはマウスなどのポインティング・デバイスは一切使われない仕様で、全てがコマンド入力によるオペレーションだったが、この世代より小型のペン・タブレットがコンソールのマスター・セクションにあるグループ・フェーダー並びに搭載され、カーソルで画面上に見えるデータへのアクセス及び編集が可能になった。そして、ミキシング・データのオフ・ライン編集機能も著しく追加向上された。専用モニター・ディスプレイも一般的なコンピューター用モニター・ディスプレイとほぼ同型の物がコンソール・センター・セクションに埋め込まれる形となり、表示可能な情報量は格段に増えた。XL 9000 Kからは埋め込まれたモニター・ディスプレイ自体の角度を変える事が出来るようになったため、視認性は更に向上した。
出典:wikipedia
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