SAP SE(エスエイピー・エスイー、, )は、ドイツ中西部にあるヴァルドルフに本社を置くヨーロッパ最大級のソフトウェア会社。SAPは"Systemanalyse und Programmentwicklung"(「システム分析とプログラム開発」の意味のドイツ語)という社名で、1972年にIBMドイツ法人を退社した5人のエンジニアによって創業された。この名前は頭字語は後に"Systeme, Anwendungen und Produkte in der Datenverarbeitung" (Systems, Applications And Products in Data Processing) と変更されたが、2005年に会社の正式名称は単に"SAP AG" と変更された。また、2014年7月からは企業形態を欧州会社(Societas Europaea)に変更し、社名を"SAP SE"と変更した。SAPは主にビジネス向けソフトウェアの開発を手掛ける大手ソフトウェア企業であり、売上高ではマイクロソフト、オラクル、IBMに続いて世界第4位である。特に大企業向けのエンタープライズソフトウェア市場においては圧倒的なシェアを保持しており、企業の基幹システムであるERP分野においては世界一である。俗に「サップ」と呼ばれることもあるが、正しくは「エスエイピー」である。2015年度末時点で世界全体での売上高が約2兆4,000億円、従業員が約76,000人の規模になっている。日本法人であるSAPジャパンは1992年に設立され、従業員は1,100人である(2015年12月末現在)。SAPジャパン設立時の初期の頃は現在のロゴとは異なり、IBMのロゴと同じようにブルーの罫線の組合せで台形を構成し、SAPという文字を白抜きしたような感じになっていた。第二次世界大戦後に創業したドイツ企業の中で最も成功した企業の一つであり、時価総額は2016年現在で約965億ユーロ(約11兆円)でドイツ最大の企業である。 2016年現在、世界190ヶ国で320,000社の顧客を抱え、経済誌フォーブズ(Forbes)が毎年選出するフォーブズ・グローバル2000にランクインする企業のうち87%がSAPの顧客である。SAPの製品は、ERPに代表されるビジネスアプリケーション群である。最も有名な製品はSAP R/3というERP製品であり、「R」はリアルタイムを意味し、「3」は三層アーキテクチャ(データベースサーバ、アプリケーションサーバ、クライアント)を採用していることを表している。SAP R/3以前には、というメインフレーム上で動作するソフトウェアが開発・販売されていた。後継製品として、2004年7月に出荷されたmySAP ERP2004, 2006年5月に出荷されたmySAP ERP2005があり、2006年6月にはSAP ERP 6.0が出荷され、R/3という名前の製品は既に出荷されていない。また、2015年2月からは同社のインメモリーデータベースSAP HANAをプラットフォームに採用した次世代ERPであるSAP S/4 HANAが提供開始されている。SAPのシステムは、企業における会計システム、物流システム、販売システム、人事システムなどからなっており、それぞれがデータ的に一元化されているため、リアルタイムな分析が可能となる。これら業務システム(基幹システム)以外にも、CRM, SCM, PLMといった分野にもソリューションを提供していたり、大企業向けのシステムから中堅中小企業をターゲットにしたソリューションを提供してきている。 2015年時点のCRM分野の売上高は、首位の米セールスフォース・ドットコムに続き世界2位である。機能要件に合わせてアドオン開発する場合は、SAP独自言語であるABAPを利用し開発環境であるABAPワークベンチ上で開発を行う。また、OpenSQLと呼ばれるデータベース非依存のSQL文を利用することでさまざまなデータベースに対応させるとともに、テーブルバッファによるデータのキャッシュの機能を持たせて性能を向上させている。当初の戦略はあまねく業務ソフトウェアを提供し、SAP製品同士であればシステム間のデータなどの整合性を担保することによって他社との競争優位を引き出そうとしたが、昨今のサービス指向アーキテクチャ (SOA) の流行による戦略の転換を図り、2003年からはSOAに対応したという製品を販売している。また、SAPではSOAをenterprise SOA(SAP NetWeaver; 登場当時はEnterprise Service Architecture (ESA) と呼ばれた)と呼称している。2007年9月19日、新しいオンデマンド型のソフトウェア・ソリューション、SAP Business ByDesignを発表した。2008年1月にBI(ビジネスインテリジェンス)ソフトウェア専業最大手のビジネスオブジェクツ社を買収し、情報分析・活用分野も強化している。2010年にはインメモリーデータベースSAP HANAをリリース、2015年には当該データベースを採用した次世代ERPとしてSAP S/4 HANAの提供を開始した。また、オンプレミス製品依存からの脱却を目指し、クラウドサービスも積極的に展開している。近年では異業種を含めた他社との協業を強化し、新たな領域での事業の創出に注力している。2015年12月時点では新事業が売上高の6割を占め、ERPを中心とする既存事業からの依存脱却を図っている。 提携先は、米アップル、米IBM、米マイクロソフトなどのIT企業のほか、異業種では独シーメンス、米アンダーアーマー、米UPS、独アディダス、伊トレニタリア(鉄道大手)、伊ピレリ(タイヤ大手)、独サッカー代表チーム、韓国政府、中国政府などの企業や組織が挙げられる。 米アップルとは法人向けAI(人口知能)を活用した対話アプリを開発している。IoT(モノのインターネット)分野では、ドイツが官民一体で進める「インダストリー4.0」と呼ばれる次世代の産業創出のための国家プロジェクトに参画し、独シーメンスや独ボッシュと協力して世界標準策定に携わっている。 医療分野でも存在感を増しており、癌研究をリードする米国臨床腫瘍学会(ASCO)が2015年に開始したプロジェクトに参画し、治療履歴を活用して治療方法を研究するソフトウェアを開発した。 2016年7月には米リップル・ラボやカナダのATBフィナンシャル銀行と協力して、ブロックチェーン技術を採用したカナダからドイツへの国際支払送金に成功した。日系企業とも協業を広めており、2016年9月15日にはNTTと安全運航管理サービスを開始した。
出典:wikipedia
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