『新本格魔法少女りすか』(しんほんかくまほうしょうじょりすか)は西尾維新による日本の小説。イラストレーションは西村キヌが担当。『ファウスト』(講談社)Vol.1から連載中。単行本は講談社ノベルスより既刊3巻。全13話予定。魔法が存在する日本を舞台に、魔法を使えない普通の人間である主人公の少年・供犠創貴と魔法使いの少女・水倉りすかの2人が、りすかの父親・水倉神檎を追う中での戦いと冒険を描いている。魔法少女ものに推理小説の要素を加えた作風であり、作中には「一般的な魔法を小説で書いた時の嘘っぽさ」を緩和するための装置として、架空の神話体系「クトゥルフ神話」からの引用がある。舞台は主に九州の佐賀県。魔法の国・長崎県とは巨大な城門によって隔てられ、長崎県との行き来は城門管理委員会によって管理されている。長崎県には魔法使いと呼ばれる者が住んでおり、彼らは魔法と呼ばれる異能力を行使する。魔法は「使用者の『精神』を外側に向けて放出する行為」とされ、その魔法によって使用者がどのような人物か知ることができる。魔法使いによって魔法を授けられた人間は「『魔法』使い」と表記される。魔法について「属性(パターン)」、「種類(カテゴリ)」、「顕現(モーメント)」という単語で説明がなされているが、これらが何を意味するのかは明確に示されていない。魔法の発動を助ける技術として、魔法式(まほうしき)と魔法陣(まほうじん)がある。魔法式は、事前に術をかける対象に「式」を書いておき、呪文の詠唱時間を短くする技術。術者が近くにいなければ発動できない。魔法陣は、一定の条件がクリアされると発動する「陣」。魔法式と違い、術者が近くにいる必要はない。「魔法使い」・水倉りすかと「『魔法使い』使い」・供犠創貴の2人は、りすかの父親・水倉神檎を探すために佐賀県を拠点とした「魔法狩り」を行っている。県外の魔法使いとの接触・戦闘を通して、2人は背後に水倉神檎の影を見出していく。(第1巻)水倉神檎の手掛かりがあるという場所へ創貴とりすかが向かうと、2人とは別のルートから手掛かりに辿り着いた魔法使い・ツナギに出会う。水倉神檎と関係があると思われる「六人の魔法使い」の1人・人飼無縁を倒した創貴・りすか・ツナギの3人は、残りの「六人の魔法使い」に接触するため佐賀を旅立つ。(第2巻)創貴たちは「六人の魔法使い」の1人・地球木霙を倒すが、水倉鍵と蠅村召香により窮地に立たされる。りすかの新たな力で蠅村召香の魔法を破り、3人は危機的状況を脱出する。直後に創貴は塔キリヤの魔法により平行世界に飛ばされるが、両親の協力により元の世界へ戻る。(第3巻)魔法少女ものに推理小説の要素を加えた作品で、バトルものでもある。本作における魔法は「何でもやりたいことができるすごい力」ではなく「固有の得意技」に近いものであり、主人公たちは相手の魔法の弱点を探り対抗手段を見つけていく。題名に魔法少女を冠してはいるがいわゆる魔法少女ものではなく、例えば日曜日の朝に放送されるような魔女っ子アニメとは異なり、魔法の能力はファンタジーともオカルトとも違う凄惨さを感じさせるものとなっている。内容は「王道を逆立ちして行く」というもので、魔法少女ものの基本要素を少しひねくれさせている。執筆のきっかけは、講談社の編集者太田克史が魔女っ子ものによるメディアミックスを考えたことだった。『ファウスト』が創刊される際、この企画を実現するために西尾に執筆が依頼され誕生したのが、太田が「『絶対アニメ化は無理』と涙した」と語る本作だった。企画が依頼された時期は、『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』が出版された前後と思われる。太田から依頼された企画のキーワードとして「魔女っ子探偵」があり、西尾は、「魔女っ子」はともかく「探偵」は自分には難しいのではないかと考えつつ、予習として中学生の頃に読んだ『ラヴクラフト全集』を再読した。また執筆にあたり、西尾は様々な魔法少女もののビデオを視聴した。当初のタイトルは「魔法少女りすか」だったが、太田の「『新世紀エヴァンゲリオン』の『新世紀』のようなものが欲しい」という意見を受けて「新本格」が足された。太田の言う「魔法少女」は大人に変身するものであるが、西尾の世代は『おジャ魔女どれみ』のような、呪文で服が変わるだけのものであった。このため、大人に変身する魔法少女を書くにあたり、自分を納得させる理由付けが必要となった。そして出てきたのが時間操作の魔法であり、水倉りすかというキャラクターが出来上がった。「一般的な魔法を小説で書いた時の嘘っぽさ」を緩和するための装置として、「クトゥルフ神話」が引用されている。作中にはクトゥルフ神話に関する用語が登場し、単行本の冒頭にはクトゥルフ神話の作者H・P・ラヴクラフトの小説からの引用がある。魔法の設定もクトゥルフ神話を下敷きにしていると思われる。また、台詞回しに漫画『ジョジョの奇妙な冒険』に通じるところがあり、西尾は本作を「『新本格ジョジョ』と言っていいくらい」の気持ちで書いているという。イラスト担当の西村キヌは、カプコンに所属していたころに太田に声をかけられて本作品に参加した。西尾は第1話と第2話制作後に西村のイラストを見たことで、それ以降創貴が良い奴になっていると述べており、「〈物語〉シリーズ」に続く、イラストによる方向性の変化を語っている。西尾の別作品「戯言シリーズ」とは内容的には全く関係ないが、作中の最強のキャラクターに赤色をあしらっているのは西尾なりの「禁じられたクロスオーバー」であるという(同シリーズには「人類最強」の赤い人物が登場する)。2006年には『新本格魔法少女りすか3』と『新本格魔法少女りすか0』の刊行が予定されていたが、『0』は刊行されず、『3』の刊行は翌年となった。第10話は2006年の時点ですでに執筆を要望されていたが、それが掲載される『ファウスト Vol.7』は2年後の2008年に刊行された。残りの3話は続きものであり、『ファウスト Vol.7』で西尾は書き下ろしにしようかと述べていたが、その後も最終巻は刊行されず、2009年4月発売の『活字倶楽部 2009年春号』に掲載されたインタビューで西尾は『偽物語(下)』・『零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係』・『ぼくの世界』と、(当時の)最終作ばかり止まっていた状況について、「ひどい状態」「少しオーバーフローを起こした」と述べている。
出典:wikipedia
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