車輪の再発明(しゃりんのさいはつめい、)は、車輪を題材にした慣用句であり、世界中で使われている。「広く受け入れられ確立されている技術や解決法を知らずに(または意図的に無視して)、同様のものを再び一から作ること」を意味する。新たな付加価値が何もないものを作成するのにコストをかけることから、皮肉的なニュアンスで用いられる。再発明を行ってしまう理由としては、「既存のものの存在を知らない」「既存のものの意味を誤解している」といったことが挙げられる。主にIT業界、とくにSEやプログラマの間で良く用いられる。これらの業界では、ライブラリや先行事例があるにもかかわらず、様々な理由でそれを利用せず、コードやプログラミング技法を再び一から作ってしまうことが多い。これは現代のコンピュータおよびネットシステム等の開発においては、ライセンス形態が多様で、似たようなものがあっても実際の開発現場ではそれが事実上利用できないことがあるほか、機能的には似ていても設計思想の違いからシステムの発注者がその仕様を好まないため新規開発せざるを得なくなる場合もある。ただ、本当にその設計思想が必要なものかは議論すべき問題であり、特に広く普及している標準部品を無視して開発された独自アーキテクチャはしばしばシステムの利用者を困惑させる。なお、教育の現場では、ある技術の意味を理解させるために、意図的に「車輪の再発明」を行わせる場合がある。またプログラマもしばしばその技術を深く理解して自身の技術を向上させるために敢えて「車輪の再発明」をすることもある。その場合、一時的には標準的なシステムと異なる路線になっても、最終的には標準的な路線に回帰していくこともある。オーストラリアでは2001年にジョン・マイケル・キーオ (John Michael Keogh) によって車輪が再発明され、特許が取得された。ただし、取得した特許は通常の特許ではなく、オーストラリアで2001年に導入されたイノベーション特許 (innovation patent) である。これはまじめな発明としてではなく、イノベーション特許制度がほぼ無審査であることへの批判を目的として、故意に申請されたものであった。オーストラリアにももちろん審査を経た上で権利が認められる通常の特許制度があり、この発明も同制度のもとでは到底特許として認められるものではない。しかし、イノベーション特許制度は、実体審査を経ないで特許が与えられるため、この発明に特許が与えられることになったのである。実際には、イノベーション特許には、侵害訴訟を起こす際に事前に特許庁の審査を受ける必要があるなど、実際に権利行使を行うにあたっての制約がある。この車輪の発明にしても、実際に権利を行使しようとすれば、特許庁での審査で特許性がないと判断されるであろう。また、イノベーション特許には、通常の特許と比較して短い権利期間しか認められていない。このように通常の特許とイノベーション特許とには大きな相違があるが、一般には両者の相違が知られていなかったため、このイノベーション特許は「車輪の再発明」として話題になった。なお、キーオとオーストラリア特許庁は、その年のイグノーベル技術賞を受賞した。
出典:wikipedia
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