アメリカ合衆国大統領(アメリカがっしゅうこくだいとうりょう、, 略:")は、アメリカ合衆国の国家元首であり行政府の長である。現職は2009年1月20日より第44代バラク・H・オバマが在任。アメリカ合衆国大統領選挙(以下「大統領選挙」)によって選出される。大統領選挙の被選挙権は、35歳以上かつアメリカ合衆国国内における在留期間が14年以上で、出生によるアメリカ合衆国市民権保持者である。この「出生による市民権保持者」とは、国内で出生したため(アメリカ合衆国の採用する)出生地主義に基づき国籍を得た者か、もしくは合衆国市民を両親として海外で出生した者である。すなわち、生まれた時点においてアメリカ合衆国籍でなければ大統領候補の資格がない。経過規定として、アメリカ合衆国憲法制定当時に合衆国市民であった者(13植民地当時からの在住者)はその限りではなく資格を得るとされているが、これは前述の規定と同義。この他、大統領選挙人が投票する際に、二票のうち少なくとも一票を他州の者に投じなければならないという規定があるため、正副大統領候補が同じ州に籍を置くと選挙時に問題が生じる。もっとも、便宜的に住所を移動することが可能であるため実際的な問題にはならない。アメリカ合衆国大統領は、アメリカ合衆国憲法第2条第1節の規定により、4年に1度、国民の投票によって新しく選出、又は再任される。修正第22条の規定により、2度を超えて選出されることは認められていない(三選禁止)。大統領選挙は形式的には間接選挙であり、選挙人団によって大統領および副大統領がペアで選出される選挙制度となっている。ただし、一般有権者は正副大統領候補者に投票するため、事実上直接選挙の性格も併せ持つ。大統領はアメリカ合衆国軍の最高司令官(Commander-in-Chief)としての指揮権(国家指揮権限)を保持する。宣戦布告は議会の権限であり、軍隊を募集し編制することも議会の権限である。しかし、今日では、議会による宣戦布告を悠長に待っていては先制攻撃が不可能になってしまったり、逆に敵対国から先制攻撃を受けてしまったりする危険性があるため、大統領はこの指揮権を根拠に宣戦布告なしで戦争を開始できることが慣例的に定着している。実際アメリカ合衆国が宣戦布告を行ったのは憲法制定以後米英戦争、米墨戦争、米西戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦の5回しかなく、1941年12月7日(ハワイ時間)の真珠湾攻撃を契機に大日本帝国とナチス・ドイツ他枢軸国側に対して行ったものが最後の正式な宣戦布告であり、朝鮮戦争やベトナム戦争など以後の戦争では宣戦布告は行われなかった。これに対して議会は、ベトナム戦争における、成り行きによった拡大に対する反省から、戦争権限法を定めて大統領の指揮権に一定の制約を設けている。なお、指揮権とは少々外れるがアメリカ軍の保有する核兵器の使用権限も大統領が保持しており、大統領が使用命令を出すことで初めて核兵器の使用が許可されるようになっている。毎年1月下旬に議会で行われる大統領の一般教書演説は、アメリカの三権を構成する者のほぼすべてが下院本会議場に集う一大イベントである。しかし冷戦たけなわの1970年代末、大統領府はこの一般教書演説時を狙った東側諸国による首都核攻撃を想定、大統領権限継承者全員と上下両院の議員全員が一堂に会することの危険性を憂慮した。ここを攻撃されると、憲法が定める法的な大統領権限の継承者が皆無となるばかりか、そうした憲法的危機を乗り越えるために必要な立法措置をとる議会や、対策手段を公的に承認する最高裁までが、一瞬にして消滅してしまう可能性があるからである。その結果、1981年の一般教書演説からは、閣僚の大統領権限継承者の1人を内密に「指定生存者」に指名し、その者を首都ワシントンから相当の距離を置いた非公開の場所に当日は待機させる(つまり隠す)ことにした。さらに、あくまでも想像上の事態であった攻撃だが、9/11テロ事件でアメリカ本土攻撃が現実のものになると、2005年の一般教書演説からは議会も各院で民主党と共和党からそれぞれ1人ずつ、計4人の議員を「指定生存者」として一般教書演説の日は首都を離れさせ、最悪の事態が起きた場合でも両院で議長と議員がいる連邦議会が生き残れるようにした。ただし過去3年において、上院では大統領権限継承順位が3位の上院仮議長が上院の指定生存者の1人となっており、これがこのまま慣例として定着すると、あえて閣僚の指定生存者を指名する必要性が失われてしまう点が指摘されている。1947年は、第(a)条(1)項で「もし死亡、辞任、解任、執務不能などの理由により、大統領と副大統領の双方が大統領の責務を果たし権限を執行できない場合には、下院議長が、下院議長と下院議員を辞職したのちに、大統領としてこれを行う」としたうえで、その次を上院仮議長、その次からは内閣の閣僚を所轄省庁の設立年の古い順に並べ、継承順位を第18位まで定めている。ただし外国で生まれて合衆国に帰化した者など、憲法で定める大統領の資格を満たさない者がこの順位内にいる場合は、その者をとばして下位の者の順位が繰り上がる。また、副大統領以外の者の地位は、あくまで職権代行者たるに留まり、副大統領のように大統領に「昇格」することはできない。古くからアングロサクソン系白人でプロテスタント (WASP) の男性が大統領に選出されてきたが、1960年にはアイルランドにルーツを持つカトリックであるケネディが当選した。その後は、有色人種や女性は二大政党(共和党と民主党)の大統領候補予備選挙に出馬することはあっても候補者指名を得るには至らなかった。(ただしヒラリー・クリントンが2016年、民主党の候補者指名を受けた。)しかし2008年の大統領選挙では、黒人初の大統領候補として民主党の指名を受けただけでなく米国史上初の黒人大統領として、バラク・オバマが当選している。歴代大統領にはイングランド系アメリカ人(アングロ・サクソン人)以外にもスコットランド人やアイルランド系アメリカ人、オランダ系アメリカ人、ドイツ系アメリカ人、ギリシャ系アメリカ人などの非英語圏出身でも当選しており、そしてこのようにアフリカ系アメリカ人が初めて大統領になっていることから、少数民族への差別意識が薄れている事が窺える。また多民族国家のアメリカで様々な系統の大統領が就任するとその同じ系統の人種に大いに歓迎されている事がある。例えばロナルド・レーガンはアイルランドで大歓迎を受け、バラク・オバマは奴隷の子孫ではないもののアフリカ系アメリカ人やその父の故郷ケニアで歓喜に満ちていた。ちなみに多民族国家であるために姓もさまざまで、ブッシュはイギリス系、ルーズベルトはオランダ系、レーガンはアイルランド系の姓である。また初のアフリカ系のオバマはスワヒリ語圏のルオ族の姓である。公務員として国から年間約20万ドルの年金と医療保険、公務出張費、個人事務所が提供される。大統領の呼びかけの呼称(日本で言う「総理」)は「ミスター・プレジデント」(Mr. President)、略呼称は「サー」 (Sir) で、大統領が女性の場合はこれが「マダム・プレジデント」 (Madam President) 、「マァム」 (Ma’am) となる(但し女性大統領が誕生した例はまだない)。アメリカでは退任した大統領も儀礼上は生涯大統領として接遇されるため、存命の前・元大統領全員が同様に「ミスター・プレジデント」と呼ばれる。(日本にも総理大臣経験者を生涯総理と呼ぶ習慣がある。)また11月初頭に大統領選で当選した大統領候補は、翌年1月20日までの約2か月半の間「ミスター・プレジデント・イレクト」(Mr. President-Elect、「大統領選挙当選者」、「次期大統領」)と呼ばれる。プレジデント・イレクトは、儀礼上はまだ大統領としては接遇されないものの、この約2か月半は職務引き継ぎ期間として大統領に対するそれとほぼ同じ内容の「日例報告」を受けたり、シークレット・サービスによる完全体制の身辺警護を受けるため、事実上大統領と同格の扱いとなる。
出典:wikipedia
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