不作為犯(ふさくいはん)とは、不作為によって実現される犯罪をいう。刑法理論上、不作為は作為と並ぶ行為と考えるのが多数説であるが、日本の刑法典で規定されているのはごく一部である。不作為犯は、以下の2つに分類される。例えば、自動車で轢いて重傷を負わせた被害者を、病院に運ぼうと考えて一旦車内に引き入れたものの(引き受け行為)、翻意して死んでも構わないと思って路上に放置し死亡させた場合は、殺人罪()の不真正不作為犯が成立し得る。作為犯は外観上の兆表により実行行為が客観的に明らかであるのに対し、不作為犯は実行行為を確定するのが困難である場合が多い。また、作為を予定している罰条を不作為の場合に適用するのは類推解釈の禁止に触れる危険性がある。かつては単なる先行行為と結果との因果関係を認めて不作為犯を肯定する学説もあったが、現在では社会的行為論を前提とする保証人説に基づいて可罰性を肯定する立場が有力である。例えば、子供が溺れている場合に親が泳げないのであれば、親が飛び込んで子供を助けるという作為可能性はない。また、作為の容易性を要求する学説も有力である。例えば、不作為の殺人行為であれば、轢いてしまった被害者を車内に引き入れた(引き受け行為)だけでは足りず、さらに他の者の手出しを出来なくしてしまうこと(排他的な支配の設定)まで要求する学説が有力である。1974年(昭和49年)に法制審議会総会で決定された改正刑法草案には、その第12条に不真正不作為犯を規定する。改正刑法草案は国会に上程されることなく、今日に至る。江戸時代には現在の刑法よりも多くの不作為犯の規定が存在した。特に封建的な道徳観に基づく規定が多い。公事方御定書71条寛保4年(1744年)追加によれば、目上の親族・主人・師匠が生命の危険に晒された場合に、目下の親族・召使・弟子には救助義務があり、これに違反すれば重刑が科せられ、特にそれが親子関係であった場合には原則的に死刑が適用された。当時の江戸町奉行の記録によれば、火災に巻き込まれた親を救出出来なかった子供が「子であれば、自分が焼け死んでも親を救うべきであるのにそれをしなかったのは人倫に反する大罪である」として打ち首とされた例が記されている。
出典:wikipedia
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