高津 春繁(こうづ はるしげ、1908年1月19日 - 1973年5月4日)は、日本の言語学者、比較言語学研究者、古代ギリシア文学研究者。文学博士(東京大学)。東京大学文学部教授、武蔵大学人文学部教授、人文学部長(初代)を歴任。東京大学名誉教授。高津春繁は、東京帝国大学(東京大学)においてそれまで福島直四郎(後に改名し辻直四郎)が担当していた印欧語比較文法の講義を、オックスフォード留学から帰国後まもなく始めた。そしてその成果が初めて公にされたのが「印欧語母音変化と Laryngales の発見」(『言語研究』第3号、1939年)である。これは、近代言語学の祖とも言われるフェルディナン・ド・ソシュールが1878年に提唱し、当時は一般には受け入れられなかった印欧比較文法における Laryngales(喉音)理論を詳論したものである。1939年3月脱稿でありながら、その前年に欧州で発行された専門書・雑誌をも充分に活用・言及している。上記の喉音理論は、提唱者のソシュールの死後、学会の認めるところとなる訳だが、高津は自らの論文を以下の言葉で終えている。「……私は未だ壮年にして逝った彼に今二三十年の生を与えて、ヒッタイト語の発見・解読を体験せしめ、若き日の理論の確認と発展を自らなすを得さしめたかったと思ふのである……今更の様に此の偉大なる印欧比較文法学者への追慕の念の切なるを覚える」(一部漢字を新字体に変更)。高津の研究は、大きく分けて以下の分野に分類できる。これに関しては、未だに研究者の間で必読書に一つに数えられる『印欧語比較文法』がある。音韻論・形態論のみに止まらず、統語論および印欧諸語の近親関係まで説き及ぶ比較文法である。高津は、学風としてはフェルディナン・ド・ソシュールのパリでの後継者であるアントワーヌ・メイエに傾注していたようであるが、その主著 "Introduction à l’étude comparative des langues indoeuropéennes" は、「今まで出たこの種の概説中最も秀れたもの」と評価しながらも、「余によく整理されているため、本書によっては印欧語比較文法の未解決不明の点を知ることがむずかしい」としている。高津の古代ギリシア語の成果は、『アルカディア方言の研究』と『ギリシア語文法』に集大成されている。名詞と動詞の語形変化と、単純な文章だけを羅列する語学書ではなく、各語の方言形の説明のために歴史的発展をも詳述する。また、シンタックスに挙げられた例文は、高津みずからが古典作品から選びぬいたもので、「話者の気持とも称すべきものを併せて説明しようと試みた(「はしがき」より)」ものである。翻訳・校訂注解は、古代ギリシアのホメロス『イリアス』、『オデッセイア』から、古代ローマのラテン語作家まで数多く行っている。高津の専門である古代ギリシア文学関係の著書などもここに入り、専門書として高い評価を得た『ギリシア民族と文化の成立』から、一般読者を念頭に置き数多くの概説・解説書まで多く出版した。
出典:wikipedia
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