サツマイモ(薩摩芋、学名: "Ipomoea batatas")は、ヒルガオ科サツマイモ属の植物。あるいはその食用部分である塊根(養分を蓄えている肥大した根)。別名に、甘藷(かんしょ)、唐芋(からいも、とういも)、琉球薯(りゅうきゅういも)、とん、はぬす等がある。近縁の植物に、アサガオやヨウサイ(アサガオ菜)がある。英語圏の一部では、サツマイモ「sweet potato」を「Yam」などの別の名前で呼んでいる。ヤム芋を育てていたアフリカ系奴隷が、アメリカで作られた水っぽい「ソフトスイートポテト品種」をヤム芋と似ていたことから「ヤム」と呼ぶようになった。アメリカなどでは本来のヤム芋は輸入食料品店ぐらいにしか置いてないことから、ヤムと表示されていれば「ラベルに注意書き」が無い限り「ソフト」スイートポテトの事である。花はピンク色でアサガオに似るが、鈍感な短日性であるため本州などの温帯地域では開花しにくく、品種や栽培条件によってまれに開花する程度である。また、花の数が少なく受粉しにくい上に、受粉後の寒さで枯れてしまう事が多い為、品種改良では種子を効率よく採るためにアサガオなど数種類の近縁植物に接木して、台木から送られる養分や植物ホルモン等の働きによって開花を促進する技術が使われる。1955年(昭和30年)に西山市三がメキシコで祖先に当たる二倍体の野生種を見つけ、イポメア・トリフィーダ("Ipomoea trifida")と名付けたが、後に他の学者達によって中南米が原産地とされた。若い葉と茎を利用する専用の品種もあり、主食や野菜として食用にされる。原産地は南アメリカ大陸、ペルー熱帯地方とされる。大航海時代にイタリアのクリストファー・コロンブスが1498年にベネズエラを訪れて以降、1519年にはポルトガルのフェルディナンド・マゼランがスペイン船隊を率いて南端のマゼラン海峡を発見し、16世紀に頻繁に南アメリカ大陸にやってきたスペイン人或いはポルトガル人により東南アジアに導入され、ルソン島(フィリピン)から中国を経て1597年に宮古島へ伝わり、17世紀の初め頃に琉球、九州、その後八丈島、本州と伝わった。アジアにおいては外来植物である。中国(唐)から伝来した由来により、特に九州では唐芋とも呼ばれる場合が多い。ニュージーランドへは10世紀頃に伝播し、「クマラ」(kumara)の名称で広く消費されている。西洋人の来航前に既にポリネシア域内では広く栽培されていたため、古代ポリネシア人は南米までの航海を行っていたのではないかと推測されている。イギリスではエリザベス朝のころに、その甘さから好意的に受け入れられた。イギリス人はこの芋をペルーでの塊茎を意味する言葉batataからpatateと呼んだ。18世紀末に甘くないジャガイモ(potato)が一般化するにつれ、サツマイモはsweet potatoと呼ばれるようになった。サツマイモは繁殖能力が高く窒素固定細菌(クレブシエラ・オキシトーカ( "Klebsiella oxytoca" )、パントエア・アグロメランス( "Pantoea agglomerans" ))などとの共生により窒素固定が行えるため痩せた土地でも育つ。従って、初心者でも比較的育てやすく、江戸時代以降飢饉対策として広く栽培されている。数枚の葉が付いたツル(茎)を土に挿すという形で定植し、不定根を発生させる。その後、不定根が十分に肥大したところで収穫する方法が一般的である(種から発芽させる方法もあるが、アサガオのようにつるを伸ばして生長するためイモはあまり取れない)。農家では前年に収穫した種芋を加温して、その種芋から伸びたツルを切り取って苗とする。家庭菜園程度であれば春に園芸店やホームセンターなどでツルを購入して栽培するのが簡単である。春に苗を植え付け、晩夏から秋にかけて収穫する(暖地の場合)。また、肥料(特に窒素肥料)を多く与えて葉や茎が育ちすぎると、過剰成長して根の品質(外見・味)が下がる。また、極端な場合では光合成で作られた栄養が茎や葉の成長に浪費されるため、芋の収穫量が減る。サツマイモは痩せた土地でも育つので、前作で野菜が良く採れた場合、初心者は全く肥料を与えないで栽培するほうが安全である。苗が植物ウイルスに感染すると収量低下を起こすため、ウイルスフリー苗が利用される事もある。以下は特殊な栽培法についての説明である。沖縄県全域、奄美群島、トカラ列島、小笠原諸島ではイモゾウムシ、サツマイモノメイガによる被害が問題となっているが、根絶に向け不妊虫放飼法による対策も行われている。国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した統計資料によると、2008年(平成20年)の全世界における生産量は1億605万トンであり、主食にするイモ類ではジャガイモ(同3億2556万トン)、キャッサバ(同2億3246万トン)に次ぐ。生産地域は中国に極端に集中しており、その大部分は酒類等への加工用である。日本の生産量は101.1万トン。鹿児島県、茨城県、千葉県、宮崎県、徳島県が全国のトップ5県。この内、上位4県で全国の8割を占め、とりわけ鹿児島県は全国の生産量約81万トンの4割弱を産する。同県ではデンプン原料用としての作付けも多い。産地の偏在にはいくつか理由がある。まず、サツマイモの栽培に適した水はけの良い火山灰を含んだ土地が鹿児島に広がっていること。また、サツマイモは地上に実を付けないため、比較的風害にも強く、台風がしばしばやってくる鹿児島では、風害に強い点が他の作物よりも有利だったこともある。植物防疫法の定めにより、イモゾウムシやサツマイモノメイガなどの害虫の拡散を防ぐため国内間でも検疫が行われ、沖縄県全域、奄美群島、トカラ列島、小笠原諸島からは、サツマイモやグンバイヒルガオ等のヒルガオ科植物の生茎葉及び生塊根等の持ち出しは規制されている。個人の手荷物程度の量であれば、所定の方法で事前に申請すれば移動規制地域から持ち出す事ができる。ただし、蒸気で消毒を行う蒸熱処理を行うため、その施設がない地域からの持ち出しはできない。加工品にはこのような制限は無い。現地の港および空港に、これらの注意を促す掲示やポスターがあるので、当地を訪問の際には参照されたい。主に塊茎(芋)の部位が利用される。また、葉や茎も食用にでき、これらは主に炒めものや、佃煮、かき揚げなどの天ぷら素材などにして利用される。デンプンが豊富で、エネルギー源として適している。また、ビタミンCや食物繊維を多く含み、加熱してもビタミンCが壊れにくいという特長がある。しかし、タンパク質の割合が低いなどの理由で、サツマイモばかり食べていると、カロリーベースでは身体を支えることができても、栄養失調(特にタンパク質の欠乏)に陥るという欠点も併せ持っている。単位面積当たりのカロリーベース収量は、コメを上回るが、この地方においてサツマイモがコメに取って代わって主食の座につけなかったのは、コメと比べて保存性に劣ること、保存性に劣るために長距離の運搬にも向かないことなどの理由の他に、栄養面(特にタンパク質)でコメに比べて不利であったことも理由となっている。ただし薩摩藩ではサツマイモの栽培を通じて、当時は不毛の地であったシラス台地の開発を進め、タンパク質の含有量に優れるダイズや食用油の原料であるアブラナなど栽培の多角化に成功した。また、琉球王国や薩摩藩は日本の他地域と異なり、18世紀ごろから豚肉食が盛んであったため、上記のようなサツマイモの欠点をカバーすることが出来たと考えられる。60℃程度で長時間加熱すると、デンプンを糖化する酵素が働いて甘味が増す。石焼き芋やふかし芋はこの性質により甘味を最大限引き出す調理法である。また天ぷら、スイートポテトや大学芋、栗金団、スナック菓子、干し芋などに加工されることが多い。生のまま日光に晒しておくことにより、より甘味度が増す。灰汁(ポリフェノール)が多いので、切ったらすぐに水に晒す。葉や茎(硬い紫色の蔓の部分ではなく、葉に直接つながっている柔らかい緑色の葉柄の部分=いわゆる芋ツル)は、若くても、育っていても、食べられる。中国や台湾では、普通に食べられている葉野菜である。ポピュラーな調理法は、ニンニクを炒めた油で葉や茎をよく炒め(サツマイモの葉や茎は少し苦味(アク)があるので炒め物に向いている)、塩(+出汁)で味付けする。葉はおひたしや天ぷらにしてもよい。茎は(筋がある場合は)皮を剥いて、フキのように用いることができる。下茹でしてアクを抜いて、煮物や佃煮や混ぜご飯にするなど。きんぴら炒めや天ぷらにしてもよい。害虫の食害やフザリウム("Fusarium")属のカビからの防御物質(ファイトアレキシン)として苦味のあるフラノテルペン類のイポメアマロン(iopmeamarone)、イポメアニン(ipomeanine)やイポメアノール(ipomeanol)類を生合成する。この病変は、甘藷黒斑病と呼ばれイモは黒緑色から黒色に変色する。イポメアマロンなどの生成物には哺乳類の肝臓及び肺への毒性があり、肺の重度出血、間質性肺気腫、肺水腫等の症状を引き起こし家畜での中毒死事例が報告されることがある。従って、人の食用及び家畜の飼料としては使用できない。また、この苦味物質は焼酎に加工した場合でも、蒸発して焼酎に移行する。サツマイモからはデンプンを取ることができる。このデンプンは、春雨や水飴などの原料となる。また、沖縄県ではサツマイモから取ったデンプンがイムクジ(芋くず)という名前で市販されており、生産量が少なく高価な葛粉の代用品として使われている。家庭でもくず餅やジーマーミ豆腐など料理の凝固、とろみ付けに使用される。サツマイモは焼酎の原料としても利用され、サツマイモを主原料とした焼酎を芋焼酎と言い、主に鹿児島県を中心に製造されている。デンプンを糖化する為の麹原料としても、米と共に芋が使用される。鹿児島では江戸時代から芋焼酎が作られており、法律によって自家醸造が禁止されるまでは、広く家庭で作られていた。よって、鹿児島では「味のよい焼酎を煮れる女が立派な主婦」などと言われていた。当時の作り方は、サツマイモを蒸してから臼で潰し、それに加水して2〜5日放置し、そこに黄麹を加えて攪拌して放置して作った醪を、ツブロ式蒸留器で蒸留するというものだった。なお、2000年代には焼酎ブームによりサツマイモ不足に陥った。また、中小建設業者が多角化の一環としてコガネセンガン(黄金千貫)の栽培に取り組む例もみられる。食用としても広く消費されるベニアズマや紫芋の1種でアヤムラサキ、焼酎専用品種のジョイホワイトなど様々な品種が使用されており、耐病性、単位面積あたりの収穫量、デンプンの含有率、貯蔵性を良くすることに主眼が置かれた品種改良が行われている。このほかにも多種の品種が使用される。サツマイモは、飼料として使用されることもある。豚肉の中には、必ずサツマイモを与えなければならないという規則があるブランド品もあり、かごしま黒豚の定義では、肥育後期に飼料含量あたり20%のサツマイモを与える事が義務付けられている。痩せ地での栽培に適し、デンプンを多く含むサツマイモは、しばしバイオエタノールの原料として注目されることがある。第二次世界大戦中の日本では、不足する航空機用燃料のためにバイオエタノールの製造が研究された。現代においても、環境志向の高まりと将来起こるであろう化石燃料の不足に備えて、研究が進められている。石焼き芋八里半(はちりはん)九里四里(くりより)うまい十三里(または十三里半)、十三里ねりくり(ねったぼ、からいも餅)かんころ餅(甘古呂餅)芋掘り丸十芋版(いもばん)さつまいもの日 - 10月13日いもづる式芋を引く
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