カキノキ(柿の木)は、カキノキ科の1種の落葉樹である。東アジアの固有種で、特に長江流域に自生している。熟した果実は食用とされ、幹は家具材として用いられる。葉は茶の代わりとして加工され飲まれることがある。果実はタンニンを多く含み、柿渋は防腐剤として用いられる。現在では世界中の温暖な地域(渋柿は寒冷地)で果樹として栽培されている。雌雄同株であり、雌花は点々と離れて1か所に1つ黄白色のものが咲き、柱頭が4つに分かれた雌しべがあり、周辺には痕跡的な雄しべがある。雄花はたくさん集まって付き、雌花よりも小さい。日本では5月の終わり頃から6月にかけてに白黄色の地味な花をつける。果実は柿(かき)と呼ばれ、秋に橙色に熟す。枝は人の手が加えられないまま放って置かれると、自重で折れてしまうこともあり、折れやすい木として認知されている。日本から1789年にヨーロッパへ、1870年に北アメリカへ伝わったことから学名にも の名が使われている。英語で柿を表す「」の語源は、アメリカ合衆国東部のインディアンの言語であるアルゴンキン語族で「干し果物」を意味する名詞「ペッサミン」であり、先住民がアメリカガキ の実を干して保存食としていたことに基づく。国際連合食糧農業機関 (FAO) の統計データ(2005年)によると、カキの世界生産量は256万1732トンである。このうち、72%を中国が、99.8%を上位6国が生産している。地域別ではアジアが92%、南アメリカ(ブラジルのみ)が6%、ヨーロッパ(イタリアのみ)が2%である。柿は沖縄県を除く日本の全都道府県で栽培・出荷がされており(ただし北東北と北海道はカキノキの生育には寒冷すぎるため、渋柿がごく少数出荷されているに過ぎない)、柿の栽培面積が多い県は和歌山県、福岡県、奈良県の順で、生産量日本一の市町村は、奈良県五條市である。2011年度 20万7500トン農村の過疎化や、高齢化などで、取られないまま放置される柿の実が増え、それらがニホンザルやニホンジカなどの野生動物の餌になっているという指摘がある。特にツキノワグマは柿の実にひきつけられて人里に出没するという。品種は多く、1000を超えるとも言われるが、渋柿と甘柿に大別される。食用の栽培品種のほとんどが 2n = 90 の6倍体であるが、一部の種なし品種(平核無や宮崎無核)は 2n = 135 の9倍体である。播種から結実までの期間は長く、ことわざでは8年とも言われるが、接ぎ木の技術を併用すると実際は4年程度で結実する。品種改良に際して甘渋は重要な要素で甘柿同士を交配しても渋柿となる場合もあり、品種選抜の効率化の観点から播種後1年で甘渋を判定する方法が考案されている。渋柿は、実が熟しても果肉が固いうちは渋が残る柿である。代表的な品種は、平核無と刀根早生である。平核無は新潟県が発祥である。刀根早生は奈良県天理市の刀根淑民の農園で栽培されていた平核無が1959年に伊勢湾台風の影響で突然変異したもので、1980年に品種登録された。甘柿は渋柿の突然変異種と考えられている。未熟時は渋いが熟すに従い渋が抜け、甘みが強くなっていく。1214年に現在神奈川県川崎市麻生区にある王禅寺で偶然発見された禅寺丸が、日本初の甘柿と位置づけられている。なお、中国の羅田県周囲にも羅田甜柿という甘柿が生育しており、京都大学の調査によると、日本産甘柿の形質発現は劣性遺伝であるのに対し、羅田甜柿は優性遺伝で、タンニンの制御方法も全く異なっているとわかった。甘柿は、熟せば常に甘みを持つ完全甘柿と、種の有無・多少により成熟時に渋が残ることがある不完全甘柿に分類できる。渋が残ることがあることから、不完全甘柿を渋柿の一種に含めることもある。完全甘柿の代表的な品種は、富有と次郎、御所。富有は岐阜県瑞穂市居倉が発祥で原木がある。次郎は静岡県森町に住んでいた松本次郎吉に由来する。御所は奈良県御所市が発祥で、突然変異で生まれた最も古い完全甘柿である。不完全甘柿の代表的な品種は、上記の禅寺丸や愛知県が発祥の筆柿などがある。スペインでは、ロホ・ブリジャンテ(Rojo Brillante)と呼ばれる縦長な品種が栽培されている。形状はトマトのように横長なもの(平核無など)と、ドングリや砲弾のように縦長なもの(甲州百目など)に大別される。柿は弥生時代以降に桃や梅、杏子などとともに栽培種が大陸から伝来したものと考えられており、鎌倉時代の考古遺跡からは立木の検出事例があり、この頃には果実収穫を目的とした植栽が行われていたと考えられている。甘柿の果肉ではタンニンが不溶性となっているため生食するが渋柿の果肉ではタンニンが水溶性で渋みが強いため生食できず、渋柿を食用にするには果肉が軟らかくなった熟柿(じゅくし)になるのを待つかタンニンを不溶性にする渋抜きの加工をする必要がある。湯やアルコールで渋を抜くことを動詞で「醂(さわ)す」といい、これらの方法で渋抜きを施した柿は「さわし柿」と呼ばれる。ほとんどの場合収穫後に渋抜き処理を行うが、品種によっては収穫前に樹上で渋抜きを行うことも出来る。渋柿のタンニンの性質は品種間で異なっており、適する渋抜き方法は異なる。生食、干し柿の他に次のような食品に加工されている。日本料理では風呂吹きの他に膾や和え物に使われる。繰り抜いて器にしたものは柿釜と呼ばれる。このほか朝鮮半島では干し柿、生姜、肉桂からスジョングァという飲み物を作る。また米国には柿プディング(パーシモンプディング)という伝統料理がある。製法はクリスマスプディングと似ており、本来は軟らかく熟したアメリカガキの実を用いる。ビタミンC、ビタミンA、カロテン、糖質に富む。ただし、干し柿に加工するとビタミンCはほとんど失われる。なお、体が冷えるという俗説があるが、柿の実は果実類の中でも栄養価が特に高く、実際には体を冷やさない食べ物とされる。柿に含まれるカリウムには利尿作用もあるが、食べ過ぎに注意すれば問題はないとされる。紙に塗ると耐水性を持たせることができ、和傘や団扇の紙に塗られた。柿渋の塗られた紙を渋紙と呼ぶ。また、塗料としても用いられた。石鹸の原料ともなる(柿渋石鹸)。成熟した果実のヘタを乾燥したものは柿蒂(シテイ、「柿蔕」とも書く)という生薬で、しゃっくり・鎮咳・鎮吐に用いられる。ビタミンC、KやB類といったミネラル分フラボノイドなどを多く含み血管を強化する作用や止血作用を持つとされるため、飲用する(柿葉茶)などで民間療法に古くから用いられてきた。また近年では花粉症予防に有効とされ、従来の茶葉としてだけではなく成分をサプリメント等に加工され商品化されたものも流通している。飲用方法としては、5-6月に収穫した葉を天日で乾燥させ粉末化し煎じることが一般的である。またその殺菌効果から押し寿司を葉で巻いた柿の葉寿司や和菓子などの添え物にされることもある。柔らかい初春の若葉は天ぷらにして食用にできる。木質は緻密で堅く、家具や茶道具、桶や和傘などの材料として利用される。ただし、加工がやや難しく割れやすいため、建築材としては装飾用以外には使われない。また、かつてのゴルフクラブ(ウッド)のヘッドには柿材(特にアメリカガキ)を使った物が多くパーシモンの名で呼ばれていたが、現在では金属製のウッドが普及したためにあまり使われなくなった。柿木は堅い樹であるが枝が突然に折れる性質があり、古来より柿の樹に登る行為は極めて危険とされている。柿の季語は“秋(晩秋)”であり、多くの人物に詠まれている。
出典:wikipedia
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