『菊と刀』(きくとかたな、原題:)は、米国の文化人類学者ルース・ベネディクトによる、日本文化を説明した文化人類学の著作である。『菊と刀』は、ベネディクトの戦時中の調査研究をもとに1946年に出版された。ベネディクトは、フランツ・ボアズより教わった急進的な文化相対主義の概念を日本文化に適用するべく、恩や義理などといった日本文化『固有』の価値を分析した。本書は戦争情報局の日本班チーフだったベネディクトがまとめた5章から成る報告書「Japanese Behavior Patterns (日本人の行動パターン)」を基に執筆された。倉智恒夫によれば、『菊と刀』の認識パターンは、フランス人のルイ・カザミヤンによるイギリス論、『イギリス魂-その歴史的風貌』(1927年、現代教養文庫)と共通するものがあるという。なおカザミヤンについては島田謹二の研究(白水社)がある。ほかに訳書は『大英国』(白水社)、『近代英国』(創文社)がある。ベネディクトは、日本を訪れたことはなかったが、日本に関する文献の熟読と日系移民との交流を通じて、日本文化の解明を試みた。『菊と刀』はアメリカ文化人類学史上最初の日本文化論である。『菊と刀』は日本文化の価値体系の独自性を強調する。しかし、懐疑する傾向も見られる。すなわち日本文化が西洋文化とは対極の位置に置かれていることに、批判の目が向けられている。また、日本の文化を外的な批判を意識する「恥の文化」と決め付け、欧米の文化を内的な良心を意識する「罪の文化」と定義したことへの批判もある。ただ、ベネディクトは教え子たちに「『菊と刀』はあまり読まないように。」と言ったとも伝わる。なお左翼の日本文化研究家、ダグラス・ラミスは、『菊と刀』には、未開民族を見るようなまなざしがあるとして批判している(『内なる外国』)。一方、作家のポリー・プラットは、著書「フランス人 この奇妙な人たち」の日本語版への序文において、「菊と刀」により日本の文化のすばらしさを知ったと述べている。 2015年には森貞彦が長期にわたる精読の結果を要約し、「菊と刀」がガリレオの「天文対話」にも比すべき新しい文明の扉であるという見解を示した。中国でも1990年代に本書の翻訳書が十数種出されたが、そのほとんどが1948年の長谷川松治による日本語訳を参考にしており、さらに、原文を無視した加筆省略箇所が多く、原著とはまったく関係がない写真や浮世絵などが勝手に挿入されるなどした。ベネディクトが最初に考えていたタイトルは“We and the Japanese”だったが、執筆中に“Japanese Character”に変更、I章を読んだ段階で出版社は、第I章につけられた“Assignment: Japan”がよいとした。ベネディクトは同意したものの、初期の自身の代表作である"Patterns of Culture"を使った“Patterns of Culture: Japan”への変更を希望、容れられない場合は、日本に行ったことがないので“Assignment: Japan”ではなく“Assignment: The Japanese”にしてほしいと要望した。その後出版社は“Patterns of Japanese Culture”を提案するも、編集会議で“The Curving Blade”、“The Porcelain Rod”、“The Lotus and the Sword”の3案が浮上したことを告げ、とくに“The Lotus and the Sword”を推してきたため、ベネディクトはLotus(蓮)を菊に変えることを希望し現題に決定した。
出典:wikipedia
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