『光戦隊マスクマン』(ひかりせんたいマスクマン)は、1987年(昭和62年)2月28日から1988年(昭和63年)2月20日までテレビ朝日系列で毎週土曜18:00 - 18:25(JST)に全51話が放送された、東映制作の特撮テレビドラマシリーズ、および作中で主人公たちが変身するヒーローの名称。本作品の特徴は、レッドマスク・タケルとその恋人美緒ことイアル姫の敵味方の恋愛(厳密には純愛)が作劇の根幹として描かれたことである。これにより女性層から好評を得て、ファン層の拡大に貢献した。『超電子バイオマン』『電撃戦隊チェンジマン』『超新星フラッシュマン』と3作品にわたって「宇宙規模の物語」が続いたため、本作品では「人間の内面」に眼を向けることになった。それまでの西洋科学的要素へのアンチテーゼとして、東洋的なイメージが導入された。後のインタビューで鈴木武幸は「本当にシンプルに抑えようじゃないかということで、何かをくっつけるということを止めまして」と述べている。本作品のモチーフは気功である。戦隊チームの5人は全員武術(格闘技)の達人と設定されており、「人間の体に眠る可能性を引き出す存在」としての説得力を持たせようとしている。劇中各戦士のパワーアップもアイテムではなく「トレーニングでオーラパワーを引き出す」というものである。企画段階では『ザ・ファイブマン』というタイトルであり、スーツの首元に"5"と読める意匠があることや、1号ロボの名称が戦隊名の「マスク」ではなく「ファイブ」と付くなど所々にその名残が見られる。このネーミングは1990年制作の『地球戦隊ファイブマン』で再起用された。同じく企画段階では、マスクマンの5人が「姿探偵事務所」の所員とされていたが、職業設定がドラマ展開の足かせになりかねないことから没となり、実作品で5人が所属する「姿レーシングチーム」も第1話で閉鎖されている。1号ロボである「グレートファイブ」はシリーズ初の5機合体ロボであり、ロボのパーツが5人のメンバー全員に1機ずつという形で当てられていたのも、これが初めてである。5機合体のアイディアが生まれたのは本作品が初ではないが、玩具化にあたってその合体の再現が困難なこと、および商品単価が高価になる恐れからそれまでは見送られていた。本作品で5機合体が実現したのは、玩具製造技術の向上により5機合体が実現可能となったこと、および時代がバブル景気に突入したこと、さらに玩具メーカーが生産拠点を海外に移したことで製造原価を低く抑えることができたという事情が背景にある。中盤からは2号ロボの「ギャラクシーロボ」が登場するが、企画段階では確実に出ると決まっていたわけではなく、1号ロボの商業成績の成否を見極めてから登場させるという戦略だった。実際には『マスクマン』は視聴率・売り上げともに好成績だったため、無事にギャラクシーロボは陽の目を見ることができた。また1話限定だが、マスクマンのプロトタイプとされるシリーズ初の6人目の戦士、X1マスクが登場した。X1マスクの頭部は他のマスクマンと異なり『バトルフィーバーJ』のように目をかたどった造型になっている。企画段階ではヒーローのデザイン候補として描かれた目のある型と従来のゴーグル型とが拮抗して譲らず、かつてないほど決定が難航し、両種類のレッド用マスクが試作された。結局は「目のあるヒーローは新鮮さがまだ弱い」という理由でゴーグル型が採用された。X1マスクの頭部はこのときの試作品を流用したものだが、スーツは新作である。『マスクマン』は通常よりも1話分早く終了した。これは次回作『超獣戦隊ライブマン』が『バトルフィーバーJ』から数えて10周年記念作品となるため、2月の最終週に10大戦隊を取り上げた特別番組を放映する予定だったからである。ところが悪天候のせいで『マスクマン』撮影スケジュールが遅れたために特番を撮影する余裕がなくなり、予定を繰り上げて2月の最終週から『ライブマン』が開始することになった。10大戦隊の特番は、翌年の『高速戦隊ターボレンジャー』第1話まで持ち越しとなった。地上とは別の進化をたどったもう一つの人間が住む地底世界は、地帝王ゼーバのもとで「地底帝国チューブ」に統一された。ゼーバは次の目標として地上侵略を開始する。「姿レーシングチーム」のレーサー・タケルに対し恋人の美緒がチューブの存在を警告した直後、突如現れた地割れに美緒が飲み込まれてしまう。彼女の本当の名はイアルで、チューブが派遣したスパイであると同時にかつての地帝王の娘=王女だったが、タケルを愛したためにチューブから離反していたのである。かねてからチューブの存在を察知していたレーシングチームの代表・姿三十郎は、その脅威に対抗するためオーラパワーの素質がある5人の若者をスカウトして「光戦隊マスクマン」を結成しており、タケルもその1人だった。地上侵攻を始めたチューブとの初戦に辛くも勝利したマスクマンだったが、地帝城の浮上によって苦戦を強いられてしまう。苦労の末オーラパワーを完全に発動させた5人は、巨大ロボ・グレートファイブによってチューブの作戦を打ち砕く。没落した家の再興を目指す地帝王子イガムは、妹イアルをたぶらかしたとしてタケルを付けねらう。一方でゼーバ配下の攻撃も次第に激しくなり、ドクロドグラー戦後にグレートファイブが地下に埋もれてしまう。マスクマンはこの窮地に際し、かつて暴走して失われていたギャラクシーロボを取り戻して戦力を増強させる。チューブはマスクマンのメンバーひとりひとりを標的にするようになり、盗賊騎士キロスによって必殺武器・ショットボンバーが破壊される。イアル姫を手に入れようとするキロスとの対峙で、タケルは美緒とイアルが同一人物であると知る。マスクマンは光戦隊の技師たちの協力で新武器・ジェットカノンを獲得し、その威力でチューブの悪事を阻止し続ける。アキラがヨロイドグラーの鎧に取り付かれて地帝剣士ウナスに変貌し、イガムとともに仲間に襲い掛かってきたとき、戦いの中でイガムの兜が割れて実は女性であったことが露呈する。タケルは洞窟内で氷に閉じ込められたイアルを発見してキロスと争いになり、割れた氷の破片が胸に刺さったためキロスは死亡する。ゼーバは解放されたイアルとタケルの抹殺をイガムに命じる。実はゼーバの正体は、かつてイガム王家によって退治された邪悪なリサールドグラーの遺児であり、復讐のために地下世界を乗っ取ると、自らの弱点につながる王家の姉妹の仲を引き裂いたのだった。真実を知ったイガムは家の復興という大義を捨ててイアルと和解し、姉妹に備わった神秘の力で地帝城から放たれる暗黒粒子を消し去って、ゼーバを弱体化させる。マスクマンはリサールドグラーの本性をあらわにしたゼーバを撃ち滅ぼす。こうして戦いは終わり、地上と地底の2つの世界に平和が戻った。しかしイアルは愛するタケルと別れ、地底の再建に力を尽くす道を選ぶ。そしてイガムはひとり巡礼の旅に出るのだった。対地底帝国戦を想定した秘密組織・光戦隊の戦士。オーラパワーを発揮することができる人材で固められ、本格活動開始まで、表向きは、F1チームの姿レーシングクラブとして活動していた。それぞれ、武道をたしなみ、各自両手で固有の九字護身法の印を結み精神統一を図る。地底世界を支配する大帝国。5000年の歴史を持つと言われる地底世界は本来平和な世界であったがクーデターが発生し、統治していた地底王家が滅亡。現帝王ゼーバの御世になって恐怖政治が始まり、ゼーバの飽くなき征服欲を満たすため、地上への侵攻を開始した。地上へ通じる無数のチューブを走る地底列車で地上に向かい、地帝獣とアングラモン戦闘機で攻撃する。レッド役に抜擢されたのはデビュー2年目の海津亮介であり、前年の『超新星フラッシュマン』第27話に若草リュウ役でゲスト出演した際、植村喜八郎から「(ゲストの起用は)次期のレッド候補の選考でもあるらしい」と聞かされてオーディションを受けたという。海津は空手の経験こそなかったがアクションには意欲的で、作品終盤ではJACほどの速さが要求されない限り、スタントなしでの撮影にも積極的に挑戦していた。他のマスクマン役4人もある程度アクションができる人物が選ばれており、特に鈴木武幸がスカウトしたアキラ役の広田一成は、東洋武術の世界大会で第2位という剣の達人であった。戦隊をまとめる長官役にアクションドラマ『キイハンター』の島竜彦役などで知られ、当時『風雲!たけし城』で子どもたちの知名度も高かった谷隼人を起用。また、多くの番組でナレーションを担当している武田広をナレーターとして起用。彼は当時同じテレビ朝日系の『タモリ倶楽部』『愛川欽也の探検レストラン』のナレーションとしても出演しており、この作品を含め、同系列で3本の番組に出演していた。敵側ヒロインである美緒=イアル姫役に浅見美那を起用。浅見は敵側レッド役と恋仲の姫だけでなく、妹を拐かしたとしてレッド役を憎む兄(本当は双子の姉)のイガム王子役という一人二役を演じた。なお、浅見は前作『フラッシュマン』でも、ゲスト役で出演している。第28・29話では、翌年の『超獣戦隊ライブマン』でイエローライオン/大原 丈役となる西村和彦が新必殺武器(ジェットカノン)開発者としてゲスト出演している。『電撃戦隊チェンジマン』にてシリーズに初参加を果たした長石多可男がメイン監督を担当した。パイロット作品、新ロボ・新幹部登場編などの重要回を演出し、本シリーズの劇場版にて映画監督デビューも果たした。長石はこの後『ファイブマン』まで4作連続でメイン監督を歴任した。演出は年間を通して長石とサブの東條昭平だけでほぼローテーションを組んでおり、『フラッシュマン』後半から続くこの監督体制はその後『高速戦隊ターボレンジャー』後半まで継続することになる。またアクション監督は別作品に移動した山岡淳二に代わり、第6話より竹田道弘が就任。以降戦隊シリーズで長きにわたってアクション演出を一手に引き受けた。敵組織などのデザインワークは、当時まだ専門学校生で本作品がデビューとなる荻原直樹と、森野うさぎら同人分野で活躍していた当時20代前半の若手漫画家たちによるデザイン集団「いちごはうす」が担当。主題歌・挿入歌を歌った影山は前回参加した『電撃戦隊チェンジマン』では「KAGE」名義だったが、本作品以降は本来の芸名である「影山ヒロノブ」名義で楽曲を歌うようになった。下記のほか、第7話では吉川晃司の「NO NO サーキュレーション」が、第13話では佐藤恵美の「ピカソガール」がそれぞれ挿入歌として使用された。1988年1月2日は『瀬戸内寂聴スペシャル「西域幻想 はるかなる時を超えて」』放送のため休止。各作品における詳細はそれぞれの項目を参照。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。