特定都区市内(とくていとくしない)とは、JRの運賃計算の特例の一つである。本特例はJRの旅客営業規則(旅規)第86条並びに第87条の規定に基づく。目的は大都市の駅での出札業務の簡素化である。導入されたのは高度経済成長期の真っ直中だった時期であるが、背景として、その高度経済成長の進捗に伴ってビジネスや観光などを目的とする長距離移動需要が高まっていたことがあった。当時、普通乗車券の発売には着駅毎に常備券を用意するか、あるいは手計算により運賃を算出した上で発着駅などを補充券に筆書し発行するかのいずれかによらなければならなかった。前記の長距離移動需要の高まりを背景に、当時の国鉄は本制度を導入した。現在は東京都区、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、北九州、福岡、仙台、札幌の計11都市・都区内(これらを「特定都区市内」と呼称)に各々所在する駅を対象に適用されている。「東京都区」内に限っては、片道営業キロによって適用される旅規条文及び対象範囲が異なる《詳細は後記参照》。普通乗車券とは別の規定により発売される特別企画乗車券(トクトクきっぷ)の中には、過去あるいは現在時点で、本特例で規定されている条項にかかわらず発駅または着駅として特定都区市内エリアを設定したり、本特例の適用対象都市・都区以外の都市やエリアに対して本特例に準じた取扱を行われたりするものが散見される。新幹線回数券や“早特きっぷ”類、あずさ回数券、ひたち往復きっぷ(2013年9月末日を以て発売終了)、ひたち回数券などのトクトクきっぷは、利便性を考慮して、中心駅から200km以下の区間であっても100km超の中距離区間であれば、特定都区市内制度を適用している場合がある。そのため、設定区間によっては通常の乗車券ではあり得ない券面表示になることもある。以下にその該当例を列挙する。トクトクきっぷの中には、現在本特例にて規定されている11都市・都区部以外の都市・エリアに対し、本特例と同様の取扱方を行うものが存在する。周遊きっぷ(2013年春廃止)の前身である、『ミニ周遊券』・『ワイド周遊券』・『ニューワイド周遊券』といった「周遊券」類などのトクトクきっぷで、当時国鉄と提携していた日本交通公社(現・JTB)により「函館市内」・「新潟市内」・「千葉市内」・「高松市内」各エリアを発着とするものがJR移行後の1998年3月31日まで設定されていた。また東海道新幹線区間の新幹線回数券で、「千葉市内」発着のものが設定されたことがある。JR九州が企画・発売しているトクトクきっぷのうち「熊本」発着が設定されている商品の中には、「熊本」のみの単駅指定とするのではなく「上熊本・『熊本〜水前寺』間」エリアを独自設定した上で“着駅”として指定しているものが存在する。『九州新幹線2枚きっぷ』・『九州新幹線日帰り2枚きっぷ』・『ビックリつばめ2枚きっぷ』の3商品が該当する。このうち『ビックリつばめ2枚きっぷ』は九州新幹線「つばめ」で博多・熊本間を往復することに特化したトクトクきっぷとなっている。またJR東日本が2009年の年末年始期(2009年→2010年)から発売している『ふるさと行きの乗車券』は、着駅(エリア)として「秋田・青森エリア」・「岩手・三陸エリア」など、本特例で規定されている都市・都区内域とは異なるエリアが設定されている一方、発駅(エリア)については、初回発売分では本制度で規定されている「東京都区内」のほか、さいたま市内区間のうち大宮以南区間(「大宮〜戸田公園」・「大宮〜川口」の2区間)の2エリアが設定されていた。2010年年末年始期(2010年→2011年)発売分以降は前記「東京都区内」およびさいたま市内大宮以南区間を包含する「東京電車特定区間」のみの設定となっている。このうち着エリア側の取扱について、初回発売分には本特例で規定されている、「都市・都区内」着の乗車券による着域内での途中下車取扱方と同様の形態が採られており、着エリア内(復路では発エリア内)での下車は前途無効の扱いとなっていた。また本トクトクきっぷでは発着各エリア間の各駅での下車も前途無効の扱いとなっていた。2010年年末年始期発売分以降は、初回発売分で”ゆき券”にあった着エリアの路線図が“かえり券”に表示されるようになったことに伴い、復路の着エリアからの乗車時に限り、着エリア内のJR線普通列車の自由席に乗り降り自由という取扱方に変更されている。なお、別途料金券類を購入することにより特急列車や新幹線にも乗車可能。東京・博多間を結ぶ東海道・山陽新幹線は、在来線でのJR旅客会社毎の管轄領域で見た場合、東日本・東海・西日本・九州の4つのJR旅客会社に跨っている。また、東海道・山陽新幹線自体も、新大阪を境に、新大阪以東の東海道新幹線区間はJR東海、新大阪を除く新大阪以西の山陽新幹線区間はJR西日本、と、管轄するJR旅客会社が異なっている。このため、特定都区市内に所在する東海道・山陽新幹線の駅のうち、以下に列挙する駅は新幹線のりばと在来線のりばとで管轄するJR旅客会社が異なっている。一方、東海道・山陽新幹線を管轄するJR東海とJR西日本は、現在、共に株式市場に上場しており、各々の株主に対し、優待サービスの一環として、自社管轄内全線に係る乗車券類(除外条件有り)を割引購入出来る株主優待割引券を保有株数等に応じて配布している。この株主優待割引券を使って他社管轄に跨る乗車券類を購入する場合、自社管轄区間のみ割引対象となり、割引対象となる自社管轄区間分と割引対象とならない他社管轄区間分を分けて発売される。このため乗車区間によっては株主優待割引券を使わずに乗車全区間分通しの乗車券類で購入する場合と比べて割高になるケースがあるとしてJR側は注意を呼びかけている。JR東海とJR西日本が各々発行する株主優待割引券を使って、東海道新幹線(JR東海管轄)または山陽新幹線(JR西日本管轄)を利用することを前提に本特例適用の要件を満たす特定都区市内に属する新幹線駅発着の普通乗車券を購入する場合で、在来線のりばが「他社管轄」となっている前記列挙の駅を発着駅としている場合には、その前記列挙の駅の側では本特例は適用されず、単駅指定の形で発券される。東京都区内の駅のうち、JR線のみで乗り換えなしに直接山手線に乗り継ぐことのできない常磐緩行線の金町・亀有・綾瀬の各駅の乗降客に対しては、東京地下鉄(東京メトロ)千代田線の北千住・西日暮里間を乗車することを、同区間の運賃170円を支払うことにより便宜上認めている。ちなみに綾瀬と西日暮里の間を乗車した場合の本来の運賃は、全区間東京地下鉄線扱いとなるため200円となる。JRの長距離乗車券以外でも、他社私鉄や地下鉄などとの連絡普通乗車券、連絡定期乗車券の販売対象区間駅に、東京都区内や東京山手線内といった表現が使われている場合がある。この場合は“東京都区内や東京山手線内に所属する駅”という意味であって、長距離乗車券のような東京都区内や東京山手線内という区間ではない。
出典:wikipedia
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