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ゲンセンカン主人

ゲンセンカン主人(ゲンセンカンしゅじん)は、つげ義春が1968年、『ガロ』に発表した短編漫画作品。『ねじ式』とほぼ同時期に発表された、つげの代表作の一つ。夢の世界を描いた『ねじ式』に対して、本作は前世や因果、輪廻など仏教的なモチーフを前面に押し出した、一種の恐怖漫画であり幻想漫画でもあり全体にほの暗い色調に貫かれている。また、極めて日本的な物語を描きながら、つげがかつて愛読したエドガー・アラン・ポオの影響をもうかがわせる不思議な味わいを持っている。本作の主人公は、つげ義春の自画像に近いリアルな劇画風キャラクターとして描かれるが、主人公のキャラクターはコマによって左右非対称になったり、表情が変わったりと目まぐるしい変化を見せる。しかし、その変化はかえってこの作品のテーマである自己否定の不安感を際立たせる結果となった。この人物像は以後、『やなぎ屋主人』や『退屈な部屋』など作者をモデルにしたと思われるキャラクターへと受け継がれていくこととなる。1967年は水木プロの仕事を手伝っていたころで、仕事量が増え腱鞘炎を患う。同年秋に単独で東北を大旅行、旅と湯治場に強く惹かれる。1968年(昭和43年)2月には群馬県の湯宿温泉を訪れ、本作品のもとになる体験をし、同年7月に発表。1969年、つげは『アサヒグラフ』の取材で大崎紀夫、北井一夫と再び湯宿温泉、法師温泉などを訪問するほど湯宿温泉を気にいっていた。その後の時代の変化に対応する形で、作品の表現は初出時と微妙に変化した。特にヒロインの女将さんの障害を指摘する台詞部分(おし、つんぼ)は差別にあたると判断、小学館などその後、出版された作品集では全面的に書き改められたが(「耳と口が不自由らしいですね」への置き換え)、それによって初版のもつ効果は著しく損なわれた。『ねじ式』同様、この作品も後年多くの表現者によって引用、パロディ化が試みられた。また、コマいっぱいに台詞を描く手法は、江口寿史や鴨川つばめなどのギャグ漫画家にしばしば引用されている。本作の場合、絵の特異さも勿論だが、台詞の異常さが際立っている。その原因の一つとして、女主人公であるゲンセンカンのおかみさんが、聾唖者であるという特殊な設定により、その発する言葉が『ギョホギョホ』『グフグフ』などおよそ会話として成立しない事情が上げられる。そうしたこの作品の持つ特殊性が後の作家たちに絶大な影響を与えた。『アサヒグラフ』1969年2月14日号のインタビューの中でつげは、作品を描いている際に、常にもう1本別の物語が並行して存在することを打ちあけている。本当はそちらの方が好きなのだが、どうしても作品化できない。覚書には何十本もストーリーを持っているが、大半が消えてしまう。従って、本当は多作家のはずなのだが、と告白。『ゲンセンカン主人』の裏話については、こう語っている。これを作品化できなかった理由については、「技量のせい、いや漫画ではもう描ききれない何かがあるんです」とだけ語った。つげは、この作品を発表した直後の8月から、長い断筆期間に入る。老婆が駄菓子をしゃぶりおはじきをして遊ぶ、老婆しかいない町は、前年につげ義春が旅をした群馬県の湯宿温泉がモデルになっている。湯宿温泉は上州街道から少し外れた旧・三国街道に面した宿場町であり、旅館も5, 6軒しかなく源泉かけ流しの共同浴場が複数あるばかりの目立たない温泉である。タイトルの『ゲンセンカン』はおそらく「源泉館」を意味するのであろうが、着想の元になった旅館は「大滝屋旅館」である。そこでつげは強烈な体験をする。泊まった部屋は傾き、襖越しに老婆のお経が聴こえ、宿泊客も老人ばかりで、自分自身が人生の落ちこぼれ、敗残者のように感じ、またそれが自分に似合っているようで切ない気持ちになったのだという。また、この大滝屋の混浴の浴室で作品の浴場でおかみさんを襲うシーンの元になる原体験をする。混浴に入るのをためらい、人のいなくなったのを見計らい一人で入り脱衣をしているときに中年の女が不意に入ってきて手早く衣服を脱ぎ全裸になり、体を二つ折りにし、つげに向かって腰を高く向けた際に偶然、中年女の女性器が丸見えになってしまう。まだ若く独身であったつげは大変なショックを受ける。二人で無言で湯に浸かりながら、体がゾクゾク震えたのだという。「そのときのショックが『ゲンセンカン主人』の入浴シーンを発想させたのでした。」(『夜行』No.12 1983年)とのちに述懐する。つげはこの旅の時、ひなびた宿場町の風情に孤独の境地を味わい、世捨て人になりたいと強く願ったというが、この時つげが宿泊した旅館も共同浴場もすっかり新装されて、今や往時の面影を求めるのは難しい。ただし石畳の道は今も残っていて、夜更けに人気のない道を靴音を響かせながら歩くと、漫画の世界に迷いこんだような感覚に襲われる。現在の大滝屋旅館は、新築されつげが宿泊当時とは全く異なった鉄筋コンクリートの近代的な当時温泉旅館に変貌しているため、当時の面影を求めて訪問しても無理である。しかしながら、現在も湯治場としての機能を残し、低価格で宿泊できる。

出典:wikipedia

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