松本市(まつもとし)は、長野県中信地方に位置する市。特例市や国際会議観光都市に指定されている。国宝松本城を中心とする旧城下町である。幸いにも戦災を免れたことから、旧開智学校(重要文化財)などの歴史的建造物が多く残る。他に戦災を免れた中規模の旧城下町としては、金沢市や川越市などがある。キャッチフレーズは「文化香るアルプスの城下町」、「三ガク都(楽都、岳都、学都の三つのガク都。音楽、山岳、学問で有名なため)」などがある。市のマスコットはアルプちゃん。日本で最も古い小学校のひとつ開智学校の開校、改正高等学校令に基づく全国9番目の官立旧制高等学校である松本高等学校の招致など、教育に熱心な面があった。国立大学法人が1県1学の県に於いて本部が県庁所在地以外に置かれているのは、信州大学の他は弘前大学(青森県弘前市)・滋賀大学(滋賀県彦根市)・広島大学(広島県東広島市)・琉球大学(沖縄県西原町)のみである。また、小沢征爾ら一流の音楽家が一斉に集う夏のセイジ・オザワ 松本フェスティバルの開催、全国に(一部海外にも)広がるスズキ・メソードや花いっぱい運動の発祥、映画やテレビドラマなどのロケ支援を市が行うなど、文化を尊重する気風は今も健在である。松本は県庁所在地ではないが、日本銀行松本支店、松本空港、信州大学本部、FM長野本社、陸上自衛隊松本駐屯地などがあり、特に日銀の存在は松本市をして、長野市とともに複眼構造をなすことにより、県の経済の中心に押し上げる役割も持っている。商業販売額は長野市に次いで県内2位だが、松本パルコなどの人気の高いアパレル商業施設やスーパーマーケットを抱え県内各地から消費者が訪れることや、市街地型複合店舗の立地数が県内では最多である。工業生産額は安曇野市、上田市に次いで県内で3位であり、県内工業の拠点の1つである。近年いかに城下町としての景観を守るかが課題になっている。松本市においては2008年4月から「市都市景観条例」が改正され、松本城周辺の建築物の高さ規制が厳しくなることから、マンション建設を前倒しする動きが見られた。これに対し周辺住民の反対意識は強く、既に完成した縄手通りのマンション建設には建設反対運動が起こった。近代的な駅中心部から市の外側に進むにつれ、昔ながらの田園、果樹園の風景に変わっていく。東側の里山辺を越えると、ワイナリーや温泉街などの観光地が広がり、美ヶ原高原へと続く。現在の市名である松本の由来は諸説あるが、通説では武田氏の侵攻により落ち延びた嘗ての信濃守護職・小笠原長時の三男小笠原貞慶が1582年に旧領を回復した際に「待つ事久しくして本懐を遂ぐ」と述懐し改名したとされる(小笠原氏は長らく信濃府中奪還という本懐を抱いており、それが叶ったことから、待つ本懐を→松本懐→松本 と略され松本となった)。他に、小笠原宗家(府中)が分家(松尾)とのお家騒動に勝利したことを記念したとする説があるが、内訌は約50年前に片付いており、この説は時代的に合わない。「松本」という氏姓は松本市の「松本」地名よりも遥か昔から存在するが相関はなく、松本市に松本氏が多いということはない。市役所等によって「広報まつもと」のようにひらがなで表記されることもある。また松本市周辺や松本地域は松本平、筑摩(つかま/ちくま)(筑摩野(つかまの/ちくまの)とも)などと呼ばれる。旧県名の筑摩県は、前身の松本町が筑摩郡(1879年以降は東筑摩郡)に属していたことに由来する。中心市街地は古くは深瀬郷(深志郷)、捧庄(ささげのしょう)または庄内、信濃府中または信府などと呼ばれていた。捧庄、庄内の由来は国衙比定地とされる市東部にあった八条院領の荘園で、現在市内にある本庄、庄内という地名はこの名残であると考えられる。「信府」は国府が置かれたことに由来する「信濃府中」の略称である。 現在、最も知られているのが深志で、太古の松本盆地が湿地帯であったことを示すとされる「深瀬郷」が転訛したものであり、現在でも社名、校名などに使われている。女鳥羽川を挟んで北側が北深志、南側が南深志となる。松本市は、長野県の中央からやや西の所にあり、県庁所在地の長野市から南西へ75km、東京特別区から西北へ240kmに位置している。2005年の合併後の市域は、西の飛騨山脈(北アルプス、西山、3000m級)から、東の筑摩山地(美ヶ原、東山、2000m級)までと広大であり、長野県内では最も広い(全国の市では20位)。松本市街地(松本駅周辺など)は、2つの山脈(山地)の間にある松本盆地の中央部、複合扇状地上に位置する(標高約600m)。市域は5000万年前は海底にあった。河川では、上高地方面から流れ出す梓川が市の西部を流れ、奈良井川が市を二分するように横断している。また、市街地には清流である女鳥羽川が横断している。女鳥羽川はもとは現在の大門沢川のルートを流れていたと考えられるが、江戸時代はじめに人工的に流路が変えられ今の姿になった。山では、合併に伴い日本百名山の山が多数松本市に編入され、岳都(学都、楽都とならび松本市のキーワードとなっている)の側面が強くなった。松本市には標高第3位の穂高岳や第5位の槍ヶ岳があるが、市街地からは手前の常念山脈に隠れて見えないため、市民には常念岳や美ヶ原のほうが親しまれている。中部山岳国立公園、八ヶ岳中信高原国定公園が市内にあり、前者には特別天然記念物のライチョウが生息する。また、景勝地の上高地も市内にある。市内には多数の扇状地が形成されている。また、松本市はフォッサマグナの上にあり、松本盆地東縁に沿う糸魚川静岡構造線が旧市街地の西側を通っている。市内南部の牛伏寺断層も糸魚川静岡構造線を構成する断層の1つとされ、30年以内のマグニチュード6・5以上の地震発生確率が25.21%と全国で最も高い活断層として地震関連のテレビ番組などでもよく紹介されている。2011年6月30日午前8時16分頃、長野県中部を中心とする強い地震が発生し、同市で震度5強を、山形村で震度4を観測した。また、国宝松本城に小さなひびが入るなどの被害が出た。森林面積は74,000haで、市域全体の約81%を占める。ケッペンの気候区分では温暖湿潤気候(Cfa)と亜寒帯湿潤気候(Df)に分かれる。日本式の気候区分では安曇地区を除いて、中央高原型 (5d) の内陸性気候、中央高地式気候が顕著に現れる所にあり、大半の学校教育用の地図帳で、中央高原型気候の都市の例として扱われている。そのため、かつて存在した松本測候所は、中央高原型の代表として直達日射観測も行っていた。基本的には平野部は降水量が少なく日照時間が多い。上高地や乗鞍高原、美ヶ原などの山岳地帯は若干降水量が多く日照時間は少なくなる。上高地などの安曇地区は松本盆地とは異なる日本海側気候で冬季は雪が多く、豪雪地帯に指定されている。冬の寒さは厳しく、稀ではあるが早朝は市街地でも零下10度以下まで冷え込むこともあり、冬日が多い。天気は晴れの日が多いため日中は5度程度まで上昇する。冬型の気圧配置の時、風上の飛騨山脈が雪雲を遮るため豪雪地帯の安曇地区を除いて雪はほとんど降らず、積雪したとしても数センチ程度である。日本の南岸を低気圧が通過し、当市を含む長野県中南部で積雪を見るとき、普段から降雪の多い北部では逆に降雪が少ないこともあり、これを「上雪(かみゆき)」と呼ぶ。松本での積雪は大部分がこの上雪によるもので、10cm以上の降雪は年に3回程度である。夏は日中は暑いが、これは即太陽的な要素、すなわち直射熱、輻射熱が強いためで、朝夕は温度が下がり熱帯夜はほとんどない。残暑も短く秋の訪れは早い。全体的に年較差(冬と夏)、日較差(昼と夜)とも寒暖の差が大きいのが特徴である。また、晴れる日が多く日照時間は全国でもトップレベルである(全国の観測点で4位)。その反対に、雨は少なく全体的に乾燥している。梅雨の影響も少ない。松本盆地は山に囲まれているので日中でも風速7 - 8m/sの強い風が吹くことが多く、このうち飛騨山脈(北アルプス)から吹いてくる風をアルプス颪(おろし)と呼ぶ。半面台風は中部山岳を避けることが多く、あるいは中部山岳に当たると勢力が弱まるので、台風の風による被害は少ない。市中心部を流れる女鳥羽川、薄川は有史以来たびたび氾濫し、市内を幾度も浸水させている。中でも1959年の台風7号は大きな被害をもたらした("詳しくは女鳥羽川を参照")。松本市で観測した極値は、最高気温が38.5℃(1942年8月2日)、最低気温が-24.8℃(1900年1月27日)、最大の1日の降水量が155.9mm(1911年8月4日)、最深積雪が78cm(1946年3月3日)。市全体が長野県中部(単に中部と呼ばれる)に入り、その下位区分においては旧松本市・四賀・梓川地区は松本地域に、安曇・奈川地区は乗鞍・上高地地域に属する。新松本市は、市域が広いため14市町村が隣接している。隣接自治体との位置関係2010年国勢調査での昼夜間人口比率は107.2%で、周辺自治体から流入超過となっている。松本市の都市圏はさまざまな定義があるが、主だったものとしては松本都市雇用圏、松本市都市圏、松本地域などがある。圏内には上高地や安曇野など 全国的に有名な観光地があり、果樹栽培などの農業のほか精密機器などの工業も非常に発達している。松本市は松本広域連合の構成員のひとつであり、救急・消防業務、地域開発などの業務を周辺市町村と共同で行っている。現時点では歴代広域連合長をいずれも当時の松本市長が務めている。松本市、山形村で構成する松本西部広域施設組合では松本市島内にあるゴミ処理場や併設された温水プール・ラーラ松本を、また松本市山形村朝日村中学校組合では、朝日村内にある鉢盛中学校を、それぞれ共同で運営している。松本広域消防局 - 丸の内消防署、芳川消防署、渚消防署、本郷消防署(松本地区)、梓川消防署(梓川・安曇・奈川地区)、明科消防署(四賀地区)、山形消防署(波田地区)丸の内と芳川の2消防署時代は其々、北署・南署と称した(改築前の芳川消防署の備品には、南署と書かれた物も残る)。第6回持続可能な地域社会をつくる日本の環境首都コンテストに参加。長野県の人口10万人当たりの医師数を2次医療圏別(県の地方事務所の管轄に同じ)に見ると松本が298.6、長野が162.2、上田小県が141.9、佐久204.2などとなっている。長野県内では松本以外いずれも全国平均の206.3を下回っており、松本医療圏が充実していることがうかがわれる。ただし医師数が多いのは松本地区と梓川地区に集中しており、安曇地区、四賀地区、奈川地区ではそれぞれわずか1 - 2人しかいない。(2006年12月末)太字は三次救急指定医療機関就業人口割合は第一次産業:第二次産業:第三次産業= 6.0% : 23.7% : 70.3% となっている。(2010年国勢調査)イオングループ7&Iホールディングスデリシアアルペングループゼビオグループ中央銀行郵便貯金銀行政策金融機関都市銀行地方銀行第二地方銀行労働金庫信用金庫信用協同組合証券県立高校の通学区は第4通学区市の中心市街地活性化基本計画において松本駅を中心とした商業地約190haが中心市街地として捉えられている。代表的なエリアは、松本パルコ、花時計公園を核に若者向けの店や飲食店の立ち並ぶ中央一丁目(伊勢町など)、大型店を中心に同じく若者向けのスポットの集まる深志一丁目(松本駅前)、縄手通りがあり銀行支店などのオフィスが集まる大手三丁目(大名町など)、再開発により近代的な商店街の立ち並ぶ中央二丁目(本町など)、松本城や市役所のある丸の内等が該当する。住居表示などで公称からは廃止された旧町名や小字が、現在も便宜的に使用されているが、小字名の一部や不動産地番は今でも不動産登記や本籍などにおいては正式な住所である。四賀・梓川・安曇・奈川・波田地区以外で大字がつかない町丁は全て住居表示地区。その他テニスコート10箇所、運動広場17箇所、市民プール2箇所などが充実している。信州まつもと空港 - 福岡、札幌中心駅は松本駅。特急「しなの」(名古屋方面、長野方面)や特急「スーパーあずさ・あずさ」(甲府・東京方面)が乗入れする。いずれも太平洋側の東京と名古屋を結ぶ要衝でもあるので、東京と名古屋の両都市への傾斜も目立つ。「あずさ」のうち、大糸線へ直通するものを除くすべての列車は松本駅が始終点となっている。東京(新宿駅)まであずさで2時間半ほどかかるので、沿線自治体が中心となって、中央東線超高速化実現期成同盟会が結成されている。松本 - 新宿間を2時間以内で結ぶことを目標にしているが、今のところ進展はなく、物理的な見地からも実現可能性に対する懐疑がある。※1924年 - 1964年には、松本駅前から浅間温泉へ至る全長5.3kmの路面電車の松本電気鉄道浅間線が存在した。※403号線は松本市内においては全区間19号線と重複しているため、単独区間はない日本海側水系の地域であるが、大都市への志向は総じて太平洋側の東京や名古屋の両都市への傾斜が大きく、首都圏、中京圏との繋がりが見られる。鉄道でも、中央本線を通じて、両地域からの特急列車が乗入れしている。又、東海3県の私立大学も、松本で地方入試を行うものが多い。一方で、しなの鉄道線(旧信越本線)沿線や、日本海側との繋がりはさほど強くない。特に、県庁所在地の長野は日本海側とのつながりが深く、風土も同じ県内にある松本よりも日本海側に近い部分が多いため、後述の通りで事あるたびに対立して来た。松本が長野に対してアドバンテージを持っていた時代(政治的には明治維新まで、経済的には大正時代まで)には長野側も対抗意識を持っていたが、政経両面で長野が松本を追い抜いたころから次第に長野側の対抗心は薄れていった。しかしながら、。松本と長野は、対東京の有様も対照的である。長野からは北陸新幹線(以前は信越本線)で上野駅や東京駅へ、松本からは中央本線で新宿駅へアクセスしているため、東京都区内での宿泊地や居住地でも異なる様相を呈している。このような地域間の対立はサッカーにおいても反映され、松本市を本拠地とする松本山雅FCと長野市を本拠地とするAC長野パルセイロの対戦は信州ダービーとして下位クラブ同士の試合としては異例の盛り上がりを見せる。元長野県知事の田中康夫(長野県松本深志高等学校の卒業生)は、「長野県」ではなく「信州」と呼称するが、長野県より信州の方がイメージがよいためとしている。1871年12月31日(明治4年旧暦11月20日)から1876年(明治9年)8月20日の間、筑摩県が設置され、松本にはその県庁が置かれた。その後内務省により再編が行われ、信州は1県となる事になった。(五十音順、wikipediaに項目のある人物)(五十音順)
出典:wikipedia
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