スパム(SPAM)とは、アメリカのホーメル食品 () が販売するランチョンミート(ソーセージの材料を腸ではなく型に詰めたもの)の缶詰である。1937年に誕生以降、欧米では一般的な食品として普及した。当初、この商品名はHormel Spiced Ham(スパイスド・ハム)だったが、インパクトに欠けるということで公募され、SPAMが採用された説がある。最初の2文字「Sp」と最後の2文字「am」をくっつけたと思しき命名だが、Hormel社の公式サイトでは否定されている。日本国内でも、沖縄県をはじめとする在日米軍基地周辺では比較的有名である。沖縄県には米国ホーメル・コーポレーション出資の沖縄ホーメル(沖縄県中頭郡中城村)があり、同社から県内向けに製造・発売されている。沖縄県の家庭料理「ポーク卵」は、薄切りにしたスパムを焼き、卵焼きを添えたものである。国内では、沖縄県内のスーパーやコンビニ、わしたショップ等の沖縄物産店などで沖縄ホーメル製品が、本土でも輸入食品店・スーパー等では米国直輸入品の入手が可能である(輸入元は伊藤忠商事)。沖縄と本土では流通経路から価格がかなり違い、一定数以上であれば沖縄から通販で取り寄せる方が割安になる。2008年には、米国ホーメル・コーポレーションが直下にホーメルフーズジャパン(日本ホーメル、本社:渋谷区道玄坂・渋谷マークシティ)を設立。従来通りに伊藤忠商事が輸入元となり、同社の流通網を通じて米国産のSPAMクラシックがゼネラルマーチャンダイズストアを中心に販売されている。また、ウォルマート・ストアーズ傘下の西友では、伊藤忠商事が日本向けに輸入した製品ではあるものの、独自のシール包装を被せる形で貼付して西友プロキュアメントが販売元となっている。2010年3月からは、関東広域圏など一部地域で、ホーメルフーズジャパンによる加熱調理のレシピ例を例示するテレビコマーシャルのスポットCMが放映されている。SPAM缶の縫いぐるみキャラクター「SPAMMY(スパミー)君」が、コマ撮りで踊る内容である。なお、歌はたつやくんが歌っている。現在米国を中心に発売されている主な種類は次の通り:SPAMはサイズにも種類がある。「スパムシングル」はサンドイッチ1切れ分のサイズであり、金属缶ではなく、プラスチック容器に入れられている。味はスパムクラシックとスパムライトがある。また、ハーフサイズ缶も発売されている。SPAMはホーメルフーズ社の登録商標である。名前の由来について、ホーメルフーズ社は自社のウェブサイトで「SPAMはspiced hamの略ではなく、SPAMの意味はあくまでSPAMである」と述べている。元の名称は「Hormel Spiced Ham」であったが、インパクトに欠けていたため、売り上げが落ち始めた1930年代に名称が公募され、1937年7月5日に「SPAM」が選ばれた。イギリスの料理作家マーガレット・パッテン()は著書『Spam – The Cookbook』の中で「SPAMの名前はホーメル社副社長の兄弟で俳優のケネス・デイノー(Kenneth Daigneau)が考えたもので、彼はこれにより100ドルの賞金を得た」と述べている。由来について「当初、ホーメルフーズ社自身により“Shoulder of Pork And haM”の略であると発表された」と言う人もいるが、ホーメルフーズ社の公式サイトにこの記述は無い。ただし、日本のSPAM公式サイトにはケネスが考案したことを含めてこの記述がある。このほかにも、一種のジョークとして「Something Posing As Meat(肉の形をした何か)」、「Stuff, Pork And haM(豚肉ともも肉の代物)」、「Spare Parts Animal Meat(予備の獣肉)」のようなバクロニムが考えられている。アメリカでは「スパム」がホーメル社製品以外の類似肉製品の呼び名としても使われることが多い。そこでホーメル社は、商標の普通名称化を避けるために商標ガイドラインを発表しており、「SPAMはすべて大文字で書かなければならない。また、『スパムランチョンミート』のように、形容詞的に用いなければならない」と説明している。56グラムのスパムには、7グラムのタンパク質、2グラムの炭水化物、15グラムの脂質(アメリカ人が1日に必要とする量(US Daily Value)の23%)が含まれている。脂質のうち6グラムは飽和脂肪酸であり、170キロカロリーである。ナトリウムは1日の摂取量の3分の1に達する。ビタミンとミネラルの含有量は少なく、ビタミンAは0%、ビタミンCは1%、カルシウムは1%、鉄は3%である。以下に世界各地におけるスパムに関係した事象を上げる。Hormel Historic Home は営業を続けている。ホーメル社の発祥の地で本社のあるアメリカのミネソタ州のオースティンではSPAM Jamの愛称で知られた地方祭典があり、この中でパレードや景気付けに打ち上げられる花火と並んで、調理されたスパムは人気がある。また、オースティンにはスパム博物館があり、スパムの町として名高い。ハワイのワイキキで行われているSPAM Jamのフェスティバル。SPAM料理コンテスト(調理人部門と一般者部門)や寸劇、コンサート、大食いコンテストなどが行われていたが、主催者だった障碍者支援団体が資金難のため活動を停止して以来、開かれなくなった。沖縄県とスパムの関係は、主にアメリカ合衆国による沖縄統治中に始まる。元々沖縄県には、豚肉を好んで利用する食文化があった。だが大戦末期において沖縄諸島周辺で戦闘が行われた結果、これら豚肉が手に入りにくくなった。終戦直後には米国から沖縄県民に配給物資としてスパムが提供された他、在沖縄米軍の内部で消費していたスパムの一部が(保管期限切れの払い下げや物資横流し等で)市場に出回ったため、沖縄県民はこれを消費した。この時代、沖縄は少ない物資の中で旺盛な変革を見せ、沖縄駐留米軍から貪欲なまでに文化を吸収、従来からの沖縄文化にアメリカ文化を加えた現在の沖縄文化(チャンプルー文化とも)の基盤を形成した。業務用の大型スパム缶の空き缶を利用して製作された「カンカラ三線」なる楽器も発明され、今日では学校教育の場でも利用されているという。今日に於いてスパムを含む缶詰のランチョンミートは「ポーク」と呼ばれ、沖縄家庭料理に欠かせない味として様々な調理法が発達している。また沖縄県の蓄肉メーカーからも県産品が発売されており、県内で飼育されたブタを加工した「わしたポーク」などの生産も行われている。それらに関してはランチョンミートの項を参照してもらいたい。日本本土と比べ、沖縄県内ではスパムが安値で販売されている。その理由は、復帰特別措置法による輸入関税の優遇、沖縄県民の購買力に合わせた価格設定、より安価な競合ブランドの存在、さらに沖縄ホーメルがホーメルフーズと資本提携関係にあるため日本の代理店よりも安値での仕入れが可能であるためなどである。スパムや他社ランチョンミートのテレビCMも沖縄県限定で放映されている。スパムのCMは2007年6月現在、韓国の歌手グループ神話(シンファ)のメンバーエリック(ムン・ジョンヒョク)を起用したものが放映されているが、これは韓国国内向けに作成されたCMを沖縄向けにアレンジしたものである。スパムが、軍における食糧として、飽き飽きするものだとされていたという話がある。これは、同製品が比較的安価で賞味期限も長いことから、第二次世界大戦から朝鮮戦争・ベトナム戦争の時代を通して、連合国軍や米軍内で主だった戦闘糧食として、利用されたことに端を発すると言われている。この製品は決して不味い物ではない(それどころか愛好者も少なからず存在する人気商品である)のだが、非常に塩味が濃く、毎日繰り返し食べていると、流石に飽きてくる。しかし、軍ではスパムばかり供給してくる。しまいには、兵士達が「昨日もスパム、今日もスパム、明日もスパム、来週になってもまだスパム……」等と、ぼやいたと言われている。なお、第二次世界大戦を指揮した一人であるアイゼンハワー(元大統領)は、同製品に対し「兵士の健康を維持し、飢えさせないよう戦った」と評して感謝状を贈っている。またレンドリース用の食料としてポークビーンズ缶と共にソ連にも供与された他、それをフィンランド兵が捕獲して喜ぶ描写が戦争映画の劇中にある程、アメリカと違い食料供給が不安定な軍では好評であった。ソ連軍がアメリカから提供されたスパムは1億ポンドにも上る。ニキータ・フルシチョフは、「スパムが無ければ我が軍に食料を配給する事はできなかっただろう」と語った。毎食SPAMばかり食わされてウンザリすることから、ウンザリするくらい執拗に送られてくるダイレクトメールを「スパム」と呼ぶようになった。パソコン通信の時代には、電子メールを使った勧誘・広告に対しても使われるようになり、今日に至っている。なお、糧食の単調さが士気に与える悪影響を防ぐため、20世紀の終わり頃から、米軍のMREに代表される、バラエティーに富む糧食が各国とも導入されるようになっており、多くの軍隊では、SPAMばかり支給されるような軍隊生活は、過去のものとなっている。第二次大戦前、イギリスは食料の70%を輸入に頼っていた。肉は50%が輸入だった。これが弱点と知っていた枢軸国は、食料輸入路を断つ事で兵糧攻めを狙った。イギリス政府は配給制度の改善のため、ポイント制を導入した。お金があっても、クーポンが無ければ食料品は買えないのだが、米国のSPAMは当初不人気だったので、購入に必要なポイントが下げられた。また闇でも入手しやすかった。戦後は経済不況と世界的な食料不足のため、かえって食糧事情が悪くなり、ジャガイモすら1947年に初めて統制品になった。イギリス政府は食料不足を補うため、カマスを含め色々な食品を輸入した。肉は最後まで配給対象品として残され、外れたのは1954年だった。カマスは骨が多く油っぽいとして、英国の食卓に馴染まなかったが、SPAMは定着した。モンティ・パイソンによるコメディ番組「空飛ぶモンティ・パイソン」に「スパム」というコント(sketch)があり、『豚肉と煮豆とスパム』、『卵とソーセージとスパム』、果ては『スパムとスパムとスパムと……(執拗に繰り返し)……とスパム』といった具合にメニューがスパムだらけで、ウェイトレスがメニューでスパムを連呼する度に他の客(なぜかバイキング)がスパムスパム…………という歌を歌い出し、番組自体さえスパムだらけになるというものであった。これが、迷惑行為を指すスパムの始源とされている。ハッカーとモンティ・パイソンとの親和性は指摘されるところであり(ハッカー文化も参照されたし)、メッセージを繰り返して何かを溢れさせるような迷惑行為を、ハッカー達がスパムと呼ぶようになった。The Net Abuse FAQでは、MUDのメッセージ機能で、SPAM SPAM SPAM ... と繰り返す嫌がらせを行った者がいた、という話を紹介している。『ハッカーズ大辞典』初版のspamの項には、[MUDコミュニティから]とあり、これを語源としているが、現行のジャーゴンファイルではモンティ・パイソンからとしている。FOLDOCの記述も参照されたい。大量のメッセージングによる迷惑行為がネットコミュニティで最初に問題になったのは、ネットニュースにおいてであった。「初の」、ではないが初期の有名なUsenet(ネットニュース)スパムに1994年のグリーンカードスパム()がある。その後、電子メールでのスパム(迷惑メール)が、ネット内にはとどまらない大きな社会問題となり、一般にスパムと言えば今日では電子メールによるスパムを指す。詳細はスパム (メール)を参照。歴史についての詳細はにある。なおこの現象に対し、ホーメルフーズ側は「当社の商標はSPAMである」として、迷惑メールに関しては“spam”と小文字で表記することを提案、自社サイト上で呼び掛けている。しかし同社は、商標名を社名や商品名に使用することは容認しておらず、SpamArrest社(迷惑メール対策ソフトウェアを開発)を商標権侵害で訴えた。その一方、インターネット利用者の中にも「spamは食えない(面白みが無い)がSPAMはウマい!」等とする愛好者も現れるに至り、インターネット経由で愛好者を増やしたり、日本ではギークが秋葉原に行くついでに「アメ横でスパム缶を購入」が冗談用のスタイルとして派生している。2004年4月1日には、技術情報関連ニュースサイトから個人情報が流出、7名にスパム(同製品)が宅配便で届けられるというニュース(勿論、エイプリルフールのジョーク)が掲載されている。スパムは賞味期限が3年で常温で保存可能、缶を開けて加熱せずにそのまま食べることもできる。東日本大震災の際にホーメルフーズは岩手県、宮城県、福島県の被災者にスパム36,000缶を救援物資として提供、また会社として10万ドルをマッチングギフトとて拠出し、従業員達から募った義援金と併せてアメリカ赤十字社を通じて寄付をした。2013年も引き続き被災者にスパムを救援物資として提供した。Spammy™はどのような食文化でも広く受け入れられるように七面鳥の肉を用い、栄養失調の子どもを救済するために開発された製品である。支援に特化された製品で、アメリカ合衆国農務省は亜鉛・鉄・ビタミンB・その他ミネラルが強化されたこの製品を米国内には流通させないように求めている。2011年にホーメル食品は貧困率が50%を超える中米のグアテマラを中心に3年間で百万個のSpammyを支援する事を発表した。就学前の児童160人に対し20週以上に渡って行われた調査の結果、病気による欠席が減少した、ビタミン・ミネラル強化製品は統計的に有意な改善が見られたという成果を2014年に発表した。
出典:wikipedia
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