多選（たせん）とは、同じ人が当選または選出されること。主に地方自治体の首長（都道府県知事・市区町村長）選挙で使われる。行政府、特に地方政府の首長の多選はマシーン構造を維持強化する作用をもたらす。日本の地方公共団体では首長の権能が極めて強く、首長が政策立案から実施に至るまで一手に行い、議会の役割は監督と住民の要望吸い上げに事実上限られる。首長が行政の人事権や毎年の予算を決める決定権、土地利用の許認可権等を一手に握ることになるため、多選をくりかえすと、首長の専制化、独裁化が起こり、行政組織が硬直化する可能性が高くなり、人事の停滞や側近政治により職員の士気が低下し、また、癒着による腐敗も起きやすくなってしまうとの批判がある。また議会においては、当選回数を重ねた議員ほど発言力が強化されるため、当選回数の多い議員であるという理由で選挙区や利益団体からの支持を得ることができ、利益誘導以外の民意の反映が十分なされなくなることが挙げられる。法律による多選制限には、いくつかの問題点もはらんでいる。近年、都道府県や市区町村単位で知事、市区町村長の多選自粛条例が制定されてきている（多選禁止条例の項を参照）。各国の選挙では法で多選制限が設けられている例がある。

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