『ウルトラマンティガ』(ULTRAMAN TIGA)は、円谷プロダクション・毎日放送が制作した特撮テレビドラマの番組名と、劇中に登場する巨大変身ヒーローの名前である。1996年(平成8年)9月7日から1997年(平成9年)8月30日までTBS系で毎週土曜日18:00 - 18:30に全52話が放送された。1998年、第29回『星雲賞』映画演劇部門・メディア部門を日本の特撮テレビドラマとして初めて受賞した。放映直前当時のキャッチコピーは「ウルトラマンはさらに進化! 敵の特徴に合わせて3タイプに変身する超マルチ戦士!」劇場版、OV作品などの詳細は以下参照。『ウルトラマン80』以来、16年ぶりとなる『ウルトラQ』、『ウルトラマン』放映から30年となるTVシリーズのウルトラマン。次作『ウルトラマンダイナ』や『ウルトラマンガイア』と合わせて「平成3部作」もしくは「平成初期3部作」と呼ばれ、以降の作品も含めると「平成ウルトラシリーズ」と呼ばれる。M78星雲の宇宙人やウルトラ兄弟など、従来のウルトラシリーズで使われた設定を引き継がず、旧作の続編ではない物語として作られた。本作でのウルトラマンは、滅び去った古代文明とその住人の守護者だった「光の巨人」で、新たな時代を迎えようとする人類を守る存在として復活したという設定である。それに対して「光」を手にしようとする人類を妨害、あるいは誘惑する者たちも現れる。時代設定は2007年-2010年、核兵器や公害などが完全に廃絶された世界が舞台となっている。東京は“メトロポリス”と呼ばれ、ハロウィンの習慣が定着している反面、風俗・文化は放送当時の現実世界と殆ど変わらずに描かれている。内容自体も整合性を重視した作風であり、重いテーマのエピソードも散見される。本作の放映前はビデオソフトで子どもたちにウルトラマンが浸透しており、円谷一夫がこの時期のウルトラブームに関して「ブームはビデオの普及がなければなかった現代的なもの」としている。さらに玩具の売上も過去最高ときわめて盛り上がっている時期だった。今までのウルトラシリーズと同様、主要スポンサーはバンダイであるが、本作は1995年には2,182億円だったバンダイグループの売上を1999年度までに5,000億円にする計画「プラン99」戦略の第1弾でもある。具体的には玩具のみならずアパレル、生活雑貨、菓子などバンダイグループ全ての流通に本作の関連商品が展開された。このため「単独のキャラクターにバンダイグループ全社が取り組む」ことになった。これはバンダイ史上初の試みである。女性が社会進出した世相を反映し、男性に交じって対等に職務をこなす女性を特別な存在ではなく、一般的な事例として描いた。主人公が属する対怪獣チームのうち2人は女性で、1人はウルトラシリーズでは初めてチームを統率する責任者(隊長)で、もう1人は主人公と対等あるいはそれを上回る能力で戦闘に従事する活動的な女性隊員である。なお、後者のヤナセ・レナ役には、『ウルトラマン』の主人公・ハヤタを演じた黒部進の実娘である吉本多香美が演じることも話題を呼んだ。主役としてV6の長野博を起用し、大人しくて爽やかな若者像を描くことに成功した。アイドルの起用はこれまでのシリーズと違う特色を目指したものであり、毎日放送プロデューサーの丸谷嘉彦の繋がりからジャニーズ事務所との交渉が行われた。長野はV6としての芸能活動を並行させていたこともあり、特に前半はスケジュール調整にかなりの困難を伴っていたという。そのためかダイゴの出番は主人公としては少なく、他のレギュラーメンバーにスポットを当てた回が多い。結果的にはそのことが主人公以外の人物設定にも深みを与え、本作品を充実させる一因となっている。本作の特徴として、ウルトラマンに状況に応じて能力の異なる3つの形態にタイプチェンジするという新しい設定が導入された。各タイプは「同一デザインでの色違い」で表現され、ティガの体色の変化で別タイプへの変身が直観的に分かるよう配慮されている。複数タイプの登場には、玩具展開を睨んでのバンダイを始めとするスポンサー側の意向が大きかったが、物語や演出面でうまく活用した印象が強い。なお、各タイプは2人のスーツアクターで演じる体制を生かしてタイプごとの特徴に見合った体型の俳優で演じ分ける演出上のフォローもなされ、効果的だった。『80』以来、16年間のブランクで制作環境も大きく変化した。『電光超人グリッドマン』で確立したビデオ合成技術に加えて、本作では初めて本格的にCGを使った。CGIはジャパンヴィステックが担当。円谷プロからも数名がジャパンヴィステックに派遣され、2クール目からは円谷プロ社内での製作も行われるようになった。怪獣の爆発シーンに一旦使われて、すぐ従来方式に戻るなど、初期エピソードでは試行錯誤の跡も伺えるが、のちにモデルや実景との合成も違和感が小さくなり、ガッツウイングの外観からコックピット内のパイロットに視点が一気に寄るといった印象的なカットが多数生み出されていった。ハードウェアベンダやシステムインテグレータが協賛企業として名前を連ねたり、ハードウェアベンダのウェブサイトにデザイン画が掲載されたのも、従来のウルトラシリーズでは見られない展開だった。音楽は『ウルトラマンネオス(オリジナル版)』のアレンジを手掛けていた矢野立美が起用されたが、これはギリギリの段階でようやく決まったという。オリジナル曲が少なめだったことから、流用曲も少なからず使用されており、その一部は放送終了後に発売された『ウルトラマンティガ MORE MUSIC COLLECTION』(1997年、日本コロムビア)に収録された。また、実相寺昭雄監督によるエピソードでは、既存のクラシック音楽を本作のために新たに録音している。ウルトラシリーズは伝統的に制作費が高く、本作の制作でもそのことが障害になったが、制作費の3分の1を円谷プロが負担することで決着した。そして、本作は製作スケジュールが最大の問題となった。「1996年9月に放映開始」の決定が「1996年5月」にあったことから、準備が急ピッチで進められて第1話のクランクインは7月となった。そして、そのスケジュールのしわ寄せが後々尾を引き、妥協を許さない製作の姿勢もあって、現在のテレビドラマでは常識である「2〜3話分を先行ストックして作る」ことができず、先行ストックがないまま製作するというタイトなスケジュール体制での製作となった。本作は、ウルトラシリーズを次世代の児童層に浸透させ、かつその親を取り込む「2世代化」に成功した。以降、仮面ライダーシリーズやガンダムシリーズもこの手法を使うようになる。また、頭部に角などの装飾を増やすのではなく凹型の曲面を加えるというティガのデザイン技法はそれまでのウルトラマンでは見られなかった発想であり、以降の作品でもバリエーションが生み出されていった。本作の評価は高く、関連商品の売上が高い数字を残し、ウルトラシリーズの完全復活を印象付ける作品となり、次作『ダイナ』が本作の続編として制作されることに繋がった。しかし本作によってバンダイのウルトラマン関連商品を「200億円規模」の上にするのが「難しくない」とする当初の目論見は崩れ、バンダイのウルトラマン関連商品は96年度が146億円、97年度が147億円の売上だった。なお、本作を商品化したのはわずかに5社である。製作会社から見れば成功とはいえない状況で、平均視聴率は前番組『ママはぽよぽよザウルスがお好き』の7.8%より低い7.3%となった。最高視聴率は9.9%であった。円谷一夫は「(視聴率は)本当は2桁くらいほしかったが、正直言ってイマイチだった」と述べているが、一方で「子供たちの認知度は高さ」を挙げて視聴率以外での反響の大きさを感受していた。プロデューサーの笈田雅人は『ウルトラマンガイア』終了後のインタビューにて平成3部作では予算やスケジュールの管理など商業ベースで割りきって制作する余裕はなかったと述べている。後に第6代社長を務めた円谷英明は2003年6月ごろに経理を精査してみたところ、かかった製作費を放送月まで経理として計上しないことなどの慣習が原因で作品ごとの収支計算が正しくできておらず、実際に提出された経理報告書の数値の1.5倍以上の製作費がかかっていたものもあり、実態は本作から『ガイア』までの収支は赤字だったと語っている。放映終了後も根強い人気を保ち、再放送や『ダイナ』と『ガイア』の劇場版への客演を経て、2000年に完結編となる劇場版『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』が制作された。また、2008年にはティガ=ダイゴが主役の映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』が公開された。3000万年前の時を経て復活した超古代の戦士で地球の守護神。GUTS隊員のマドカ・ダイゴが変身する。「ティガ(TIGA)」にはマレー語、インドネシア語で聖なる数字の「3」の意味を表す。東北地方の光のピラミッドの中に3体の石像が眠っていたが<、他の二体がゴルザやメルバに破壊され、残った一体がダイゴと一体化することで変身できるようになった。また、ピラミッドの中に眠る巨人像は当初5体であり、壊された2体分の巨人からタイプチェンジ能力を得たという設定だった。ダイゴが第1話でティガの石像と一体化し、ティガの力を得た後に彼のGUTSスーツの中に入っていた変身アイテム。水晶や大理石のような意匠が見られるデザインで、普段は先端部分にあるティガの胸部プロテクターと酷似したパーツが、変身時に発光するレンズ部分を覆っている。ダイゴの身体をティガの姿に変える力を持ち、これがないとダイゴはティガに変身できない。マサキ・ケイゴに奪われて彼の開発した光遺伝子コンバーターに組み込まれ、マサキを強制的にイーヴィルティガの石像に一体化させたこともある。第52話のラストシーンで、ダイゴが取り出した際には石化し、レナに手渡すと消滅してしまった。第43話では付近にあるイーヴィルティガやガーディーの石像に反応したのか青白く光り輝いたこともあった。『大決戦!超ウルトラ8兄弟』では、別次元のダイゴが自身をティガだと自覚した際に、彼の右手の中に通常のスパークレンスが光と共に登場した。変身の際は、時計回りに両腕を回しスパークレンスを手に天に掲げる。すると、スパークレンスの先端部分にあるティガの胸部プロテクターと酷似したパーツが左右に展開し、レンズ部分から放たれた光がダイゴを包み込んで変身が完了する。緊急時など場合によってはそのポーズを省略するかスパークレンスを真横にした状態で行うこともある。また、ガッツウィング1号に搭乗している際は脱出レバーを引いて脱出した後、その反動で空中で前方宙返りを行いながら変身する場合もある(第11・31・43話)。更に、スパークレンスを天に掲げずに胸元にかざして起動することで、人間大サイズのティガに変身することも可能(第5・13・35話)。また第33話ではキュラノスが潜む棺桶の中で変身を試みたが、失敗したこともあった。通常は無言で変身するが、第28話や『大決戦!超ウルトラ8兄弟』では例外的に「ティガー!」と叫んで変身した。劇場版『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』では、ブラックスパークレンスで過去の姿、ティガダークに変身した。また、OV版に登場するツバサやアムイが変身するティガの方は両者とも『青銅のスパークレンス(青銅の神器)』を手に掲げて変身した。ウルトラマンティガのデザインは、オリジナルのデザインに装飾するという従来の発想を脱し、頭部を削るという発想となった。またボディのデザインも過去のウルトラマンの多くがそうだった赤・銀主体のカラーリングではなく、赤・青紫・銀の3色が主体のデザインとなる。これらの要素は以後の平成ウルトラマンシリーズにも踏襲される。最初の粘土原型はマーブリング・ファインアーツで作られ、仕上げは開米プロで行われた。その際、マーブリング・ファインアーツが他に2つティガ候補として粘土原型を提出し、3体の光の巨人像の元となった。ティガの後頭部にあるへこみは太陽光線をそこから取り込みクリスタルから放つという設定の名残。本作品以前のウルトラシリーズでは飛行シーンには人形を用いていたが、本作品からはスーツアクターを吊ってグリーンバックで合成するという手法も用いられるようになった。以下に示すのはウルトラマンティガの体中の各部位の名称とその特徴である。ウルトラマンティガは、戦闘の場面に応じて、マルチ・スカイ・パワーの3つの形態をとることができる。このタイプチェンジ能力は、基本形態であるマルチタイプの能力をある方向に特化させるものであり、これに伴って正反対の能力が低下するため、いわゆる「パワーアップ変身」とは異なる。この設定は『ウルトラマンダイナ』や『ウルトラマンオーブ』でも継承された。また、『ガイア』以降のシリーズでは『ウルトラマンマックス』を除き「パワーアップ変身」が採用されている。タイプチェンジの所要時間は僅か0.5秒。タイプチェンジを行う際は、額の「ティガクリスタル」の前で両腕を交差させて組んだ後、両腕を左右に振り下ろす。場合によっては片手を額の前に当てるかティガクリスタル自体を発光させてポーズなしで行うこともある。ティガダーク、ティガトルネード、ティガブラストは当初、体の模様が全く異なるデザインで進められていたが、スーツ製作や商品展開の都合上、色以外は同じデザインとなった。Global Unlimited Task Squad(世界規模で無制限に仕事をするチーム)の略称でガッツと読む。地球平和連合TPC(Terrestrial Peaceable Consortium)の極東本部に属する特別捜査チーム。GUTSは元来超常現象を捜査することを目的とした非武装集団であり、当初は航空機等に武器は搭載されていなかったが、怪獣や宇宙からの侵略者から人類を守るために武装化された。ただしその装備は、災害要因としての怪獣や地球外からの侵略者に対してのみ使用が認められており、人間同士の争いには絶対に使ってはいけないとされている。「ウルトラマンティガの登場怪獣」の項目を参照。いわゆる番宣の一環として、制作・系列局のバラエティ番組に協力し、バラエティ番組のレポーターが番組出演に挑戦する企画にエキストラ出演させる形で応じている。TBSアナウンサーの小川知子が第36話で群衆や、市民を誘導するTPC隊員に扮したものと毎日放送アナウンサーの田丸一男が番組『あどりぶランド』の一企画で第49話で『ウルトラQ』に出演するエキストラ俳優に扮したものの2例が確認されている。いずれも、演技指導を受ける様子、『あどりぶランド』では共演した円谷浩へのインタビューも放送され、撮影当時の舞台裏を知ることの出来る資料的価値の高い映像だが、商品化には至っていない。歌詞字幕:15話以降あり本作以降、作品によっては特撮ソングを活動の中心としないアーティストとのタイアップも行われる。また、『ウルトラマンガイア』まではオープニングテーマとエンディングテーマが異なるレコード会社から発売される。中華人民共和国では日本と同時期に放送された後、2004年に世紀華創文化形像管理有限公司が中国における代理人となり、放送及び商品展開が行われている。アメリカ合衆国では2002年9月からフォックス放送(Fox Box)にて英語吹替版が放送されたが、視聴率が振るわず打ち切られた。DVD(日本オリジナル版英語字幕収録)は4キッズ・ホームビデオ / ファニメーションから発売。
出典:wikipedia
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