大リーグボール(だい-)は野球漫画『巨人の星』で、主人公・星飛雄馬が開発した架空の新変化球であり、魔球と呼ばれるものの一種である。『ちかいの魔球』や『黒い秘密兵器』などの先行野球漫画の「魔球」を受け継ぐものだが、作品のヒットなどにより、この「大リーグボール」が漫画の魔球の元祖のように扱われている。魔球の出てくる野球漫画でアニメ化されたのは『巨人の星』が最初で、野球アニメの魔球第1号は大リーグボールである。「魔球」、「星飛雄馬」も参照。「大リーグボール」は『巨人の星』および星飛雄馬の象徴ともいえるものだが、これが飛雄馬の左腕時代の投手生命を3年足らずで終わらせる結果となった。星飛雄馬はもともと速球投手だったが、プロ入りして間もなく「球質が軽い(打たれると飛びやすい)」ことが判明。当時、1960年代後半の日本の野球界では「体重の軽い投手が投げる球は軽い」という俗説が信じられており、飛雄馬も伴もそれを信じて疑わなかった。この「小柄な体格で球質が軽い」ということが『巨人の星』のストーリーの根幹になっている。そして飛雄馬自身も「生まれつきの小さい体格はどうしようもない」と決め付け、体重を増やすこともポジション変更も最初から考えていなかった(これ自体極論であり、体格が伴わない無理な増量はやはり体を鈍らせるし、ピッチャー一辺倒の飛雄馬にポジションを変えたところで一からでは(『新・巨人の星』で打撃力を身に着けるのに5年はかかった。)居場所は無かったと言える。)。間違った野球理論のせいで飛雄馬は魔球投手としての地獄に足を踏み入れることとなり、結果、彼の投手生命は未成年の内に絶たれてしまった(復帰に5年のブランクを要し、復帰後も3年余りで引退)。『新・巨人の星』では、野球は左が有利のために一徹により利き腕では無い左手に矯正したことが原因と一徹は述べている。右投手になってからは球質の軽さは克服し、むしろより速くかつ球質の重い球が投げられる。逆に「大リーグボール1号」は右手の球質では使えなくなっている(アニメ版では問題なく左の大リーグボール全部を投げている)。「大リーグ」は「メジャーリーグ(Major League)」のことで、既存の変化球がアメリカ人の発明によるものであるのに対し、日本人が発明した変化球の1号という意味である。もともとは、星一徹が作った言葉で、一徹が飛雄馬の速球を鍛えるために着用させたバネが「大リーグボール養成ギプス」だった。この当時は一徹も飛雄馬も「大リーグ級のスピードボール」という意味で考えていたようだ。飛雄馬がこれを「新変化球」の意味にしたのは「新変化球を作れ」という金田正一のアドバイスによるもので、「大リーグボール1号」のように「1号」をつけたのは飛雄馬が伴を相手に練習している最中。飛雄馬が公式戦で初披露したあと、金田が「名づけて大リーグボール1号!」と言って世間にその名前を知らせた。バットを狙い凡打にする魔球。飛雄馬の球質を逆用し、「打たせてとる」ことを応用した魔球。1968年の日本シリーズの時期、「基本形はバットの先の太い部分に当てる」ということになり、「細いところに当てるとファウル」という設定になっていたが、前後の場面を見ると結構、細い部分にも当てて凡打に討ち取っている。ボクシングや剣道の体験、警察の射撃の見学をして磨いた洞察力で、バッターの動きを予測し、バットにボールを命中させ凡打に討ち取り、ランナーがいれば併殺を狙う。投球ごとに非常に集中を要するため、疲労の激しいのが弱点であり、飛雄馬が精神的に動揺していて集中力に欠ける時は使えない。花形は(飛雄馬の魔球が完全なものであるかどうかを確かめる意味もこめて)「相手の頭付近を狙うためビーンボールではないか」と抗議したが、審判側は「狙うのはあくまでバットである」として訴えを退けた。消える魔球で、一徹の魔送球を応用したものである。魔送球は飛雄馬の入団テストを最後に封印するはずだったが改良して復活させた。魔送球の最も進化した形とされ、ボールは消える瞬間に地面スレスレまで移動し再び見える頃に浮き上がってキャッチャーミットに届くという軌道を描くため、ストレートの軌道を描いているバットには当たらないという梶原独自の理論で説明されている。反則投球ではないのかという指摘は、作中では慎重に退けられている。「消える魔球」の原理は、右足で蹴られたマウンドの土が頭上まで跳ね上がり、ボールを離した直後にその土が縫い目に巻き込まれ、球が本塁近くで地面すれすれに下降および上昇して下の土を巻き上げ、同時に縫い目の土が球を包み、マウンドの土と本塁附近の土の保護色で消えるというもの。一徹は「星投手の右足が高く上がると青い虫が飛び、青い葉に止まる」と表現した。弱点は土煙を利用するために風や水に弱く、強風や雨天での試合では使えないことである。さまざまな攻略法が試みられた魔球であり、「あらかじめホームベース上に何度も倒れこみグラウンドをならしておく」「三塁ランナーが強引な本盗をしかけ、両手で土煙をふせぐ」「ユニフォームの中に水をふくませておいてスイングとともにバッターボックス周辺に撒き散らす」「ホームベースの先にヘルメットを落とす」などといった方法がとられた。バットをよける遅球。下手投げのスローボールで、球を放す刹那、親指と人差し指で球を押し出し、本塁近くで球の推進力が零に近くなり、バットの風圧で浮き沈みする。原作で最初にこれを「バットをよける球」と言ったのは張本勲で、彼は「3号は1号と逆」と表現(「ある座談会」)。飛雄馬自身の分析によれば、誰が投げてもそうなるのではなく、自身の球質の軽さも手伝っているのではないか、という。弱点として、ボールを浮沈させるほどの強振をしない、ローパワーヒッターには弱い、という点がある。そのために、ほかをノーヒットにおさえながら投手に安打を許すようなケースが多く、他球団には謎とされた。完成までに特訓を積み重ねたものの、ライバル達に次々と攻略された1号・2号と比較して、短期間で完成した3号は左腕の崩壊という犠牲を払いながら最後まで攻略される事はなかった。『新・巨人の星』で左の代打専門として巨人に復帰し、後に右投手に転向した飛雄馬が開発した「蜃気楼の魔球」。これは後ろの野手やアナウンサーなどには普通の半速球に見えるが、打者と捕手、球審から見ると目の錯覚で球が3つに見えるもの。一徹が伴に説明した言い方では「消える魔球とは逆の変化」とのことだが、原理は不明。本物のボールには影がある、という点を見抜かれて(最初にそれに気付いたのは一徹)、花形や左門に攻略される。キャッチャーもやはり影を見て捕球するので、晴れた日のデーゲームでしか使えないという弱点がある。また、投球ごとに大変な疲労を伴うらしく、3球続けて投げると続投が難しくなるほどだった。河崎実と重いコンダラ友の会著『「巨人の星」の謎』と柳田理科雄著『空想科学漫画読本』では、バネが身体の一部を挟む危険性を指摘している。原作を元に検証した柳田理科雄は、バネは肩と手首を繋ぐように関節を1つ跨ぐ形で着けるべきで、しかも常時着用でなく時々、定期的に短時間ずつ使うのが効果的としている。したがって漫画の通りのギプスを常時着用しなかった花形は賢明だったとのこと。飛雄馬は左腕時代に大リーグボールで腕を破壊したので、1976年に飛雄馬が右腕投手として復帰したとき、長嶋は危険な大リーグボールを不要とし、飛雄馬を最後まで速球投手として使おうと考えていた。しかし、日本シリーズで阪急に打たれため、3年目で飛雄馬がついに魔球を開発。その後、魔球がライバル達に打たれ、ヤクルトが優勝した後、『巨人のサムライ炎』での飛雄馬はこの時の彼としては珍しく「俺はもう終わりなのか」と号泣。巨人が江川卓の入団を迎えた翌1979年のシーズン中、飛雄馬は水木炎と勝負し、水木を蜃気楼の魔球で討ち取る。その後、長嶋から「来季は現役として契約できまいが、一軍のコーチとして球団に残ってくれ」という内々の要請を受ける。飛雄馬はその場で一軍ではなく二軍コーチ就任を希望。飛雄馬は水木の入団テストを行い、合格した水木は体力強化の為に飛雄馬から大リーグボール養成ギプスを譲り受けた。これが飛雄馬の最後の出番となり、それ以降は登場していない。一方、アニメ版「新巨人の星Ⅱ」ではラストがまったく異なり、「史実」ではヤクルトに優勝を奪われた長嶋巨人が、物語内では優勝。飛雄馬は日本シリーズで大リーグボール左版1号、2号、3号、右1号を取り混ぜ完全試合を達成し、シリーズMVPを獲得する。その後、巨人を退団し、野球留学のため仲間に見送られてアメリカへと船で旅立つところで物語は完結する。
出典:wikipedia
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