銀河英雄伝説の用語(ぎんがえいゆうでんせつのようご)では、田中芳樹の小説、およびそれを原作としたアニメ『銀河英雄伝説』に登場する、架空の用語について記述する。原則としてオリジナルの用語を解説しているが、一般的に使用されている用語も、原作に記述された内容に関連して説明の必要ありと思われる者については項目を設けて解説している。原作/アニメ/コミック/ゲームなどで意味合いが異なる場合は、その都度解説を加えている。作品中における事件・出来事の用語について、歴史全体の時系列における関係にて、銀河帝国の成り立ちを基準にした上で記述する。なお、本編における個別の戦い・戦争名については銀河英雄伝説の戦役の項を参照の事。または「13日間戦争」。西暦2039年に勃発(OVAにて、原作では2030年代に勃発とのみ明記)。地球を二分していた北方連合国家(ノーザン・コンドミニアム)と三大陸合州国(ユナイテッド・ステーツ・オブ・ユーラブリカ)の間で戦われた全面核戦争。両勢力が戦争に関係ない弱小国にまで「資源があり、敵に利用される可能性あり」として核攻撃を行ったため、世界中の大都市群が壊滅し、同時に北方連合国家と三大陸合州国も滅亡。戦乱の時代が幕を上げる。上記の13日(間)戦争の後、2129年の地球統一政府樹立まで続いた戦乱。このために地球人口は10億人前後まで激減した。戦争の詳細な経緯は不明であるが、北米大陸は教団国家群が各地を割拠し、肉体的にも精神的にも人々を破滅させたとされる。また、この神も仏もない地獄絵図によって、既存宗教の権威は決定的に損なわれ、中でもキリスト教は完全に消滅した。最終的には主権国家の放棄により「地球統一政府」が設立し、戦乱は終結した。または「ラグラン市事件」。西暦2690年5月14日、シリウス星系第6惑星ロンドリーナの主要都市ラグランシティーにおいて発生した、地球軍による略奪・虐殺事件。別名「染血の夜(ブラッディ・ナイト)」。シリウス戦役緒戦で地球軍に敗北した植民星連合軍の敗残兵が武装したままラグラン・シティーに逃げ込んだとして、その掃討を口実に地球軍が都市に突入したものであった(事実一部敗残兵は武器を保有したまま、都市内に逃げ込んでいた)。実際にはロンドリーナの資源の集積地として栄えた同市に蓄えられた富の強奪が目当てであった。ラグラン市長が病身でありながら攻撃回避に奔走し、地球軍内部の良識派も「作戦案に不備有り」として突入の妨害を行ったため、二度に渡り攻撃は延期された。しかし、敗残兵を引き渡して攻撃を回避を図る市民の自警団と敗残兵の戦闘が原因で地球軍は都市に突入を開始する。地球軍司令部が事実上の無差別殺戮を唆す命令を出していたため、シリウス攻略戦以降の不正行為がすべて黙認されていた地球軍兵士は破壊と略奪に没頭した。一次攻撃の10時間で90万人、二次攻撃「ダブル・アップ」で35万人の死者、250万人の重傷者、40万人の虜囚を出すとともに、ラグラングループを生み出すきっかけとなった。アーレ・ハイネセンら帝国を脱出した共和主義者達の、自由惑星同盟建国までの苦難の旅程の呼称。「ロンゲスト・マーチ」とルビが振られることもある。一般的には帝国暦164年に共和主義者がイオン・ファゼカス号でアルタイル星系を脱出し、同218年にバーラト星系を発見するまでの道程を示す。共和主義者の流刑星だったアルタイル第7惑星は酷寒の星であり、ドライアイスの凍てついた大河がいたるところにあった。ハイネセン以下40万人の共和主義者たちはその一つを掘り抜いて居住区と機関部を設置、応急の宇宙船として脱出に成功した。帝国軍の追跡をかいくぐって他の惑星にたどり着いたハイネセンたちは、そこで本格的な恒星間宇宙船団を建造。未知の宇宙を半世紀にわたって航海し、幾多の苦難とハイネセン以下半数強の犠牲者を出しながら、ついに安定した恒星系であるバーラト星系にたどり着いた。グエン・キム・ホア以下生き残った16万人余は宇宙暦を復活させて宇宙暦527年とし、自由惑星同盟の成立を宣言した。 同盟市民の中には長征一万光年の参加者の子孫であることを誇りにするあまり、後に帝国から亡命してきた者とその子孫を見下すものもいる。具体的一例としてユリアン・ミンツの父方の祖母は、帝国からの亡命者の子孫であるユリアンの実母を「息子を奪った女」として嫌っており、ユリアン自身をも蔑んでいた(藤崎竜版では、ユリアンに母親の写真を焼き捨てさせて父親の写真は奪い取るという虐待行為を行っていた)。帝国暦480年、イゼルローン要塞で生起した事件。とあるクラブの従業員が軍人を射殺したことがきっかけとなり、要塞内が騒然となった。詳細は公表されないまま、事態は終息したらしい。この事件をきっかけに、ミッターマイヤーとロイエンタール(ともに中尉)が「胸襟を開いて語り合う仲」になったと伝えられている。アニメ第28話「肖像」では、この事件の時のものらしい映像として、居丈高な憲兵に対し喧嘩を売る二人が描かれている。帝国暦486年3月、ブラウンシュヴァイク公爵のパーティーで発生した爆弾テロ及びその後の討伐部隊の派遣までの総称。爆弾テロにはラインハルトも巻き込まれたが軽傷で済んだ。この時にメックリンガーと知り合っている(アニメ版ではシュトライト)。犯人のクロプシュトック侯爵は領地の惑星に逃亡、ブラウンシュヴァイクを長とした討伐部隊と交戦した。勝利したブラウンシュヴァイクの討伐部隊は、軍規を無視してクロプシュトック領で虐殺と略奪を繰り広げたが、それを見たオブザーバー(軍事顧問)役のミッターマイヤーがブラウンシュヴァイクの縁者を銃殺し、それがきっかけとなってミッターマイヤーとロイエンタールがラインハルトの陣営に加わることになる。なお、アニメ版では原作と時系列が異なり、487年の半ばとされている。収拾に関してもオーディンにあるクロプシュトック侯爵邸にフェルナーが率いる陸戦隊が駆けつけるが、門の中にあったルドルフ大帝の像を憚って砲撃できず、自邸に火を放ちクロプシュトック侯爵は最期を遂げるという展開に変更されている。宇宙暦797年6月22日、ハイネセン・スタジアムで開催されていた無許可の政治集会に救国軍事会議から派遣されたクリスチアン大佐と配下の3,000人の武装兵が乗り込み、ジェシカ・エドワーズを撲殺した。それがきっかけとなって暴動が発生し、武装兵が襲われながらビーム・ライフルを乱射。死者は市民20,000人、兵士1,500人にのぼった。この一件は救国軍事会議が人心を失うに至った大きな一因となった。尚、この暴動でクリスチアン大佐も死亡している。帝国暦488年8月、ブラウンシュヴァイク公の領地である惑星ヴェスターラントに対して核攻撃が加えられ、200万人の住民が虐殺された事件。攻撃は甥のシャイド男爵を民衆の叛乱によって殺されたブラウンシュヴァイク公爵が命じ、事前にそれを知ったラインハルトが、ブラウンシュヴァイク公の人望を失墜させるため利用すべしとするオーベルシュタインの進言で黙認した(アニメではラインハルトが迷っている様子をみてオーベルシュタインが攻撃予定時刻を偽り、実行を手助けした形になっている)。これによってリップシュタット連合軍は民心を失い、相対的にラインハルトの支持が高まったが、この行為に苦言を呈したキルヒアイスが後に落命する遠因にもなった。また新帝国暦2年8月29日、ヴェスターラントで妻子を虐殺された男がラインハルトに暗殺を企てた事件が発生、未遂に終わったものの、犯人の糾弾にラインハルトは強い衝撃を受け、その夜罪悪感に囚われた彼を慰めようと訪れたヒルダと関係を持つに至った。なおオーベルシュタインの発言によれば、もしヴェスターラントの虐殺を阻止したとすれば、リップシュタット戦役は最短でも3ヵ月は長引き、その期間における戦死者の数は最も少ない数字でも1000万人以上に達したと試算されている。新帝国暦1年7月6日、皇帝となったラインハルトがヒルダの従弟(実際には弟に近い扱い)であるハインリッヒ・フォン・キュンメル男爵の屋敷に行幸した際に発生したテロ事件。生来病弱で死期が迫ったキュンメルは、無為のまま頓死することに耐えられず、「どうせ死ぬなら何かしてから死にたい」と、地球教徒と手を組み、爆発物(地下に仕掛けたゼッフル粒子)によってラインハルトとヒルダら一行を人質に取り、ほんの一時「宇宙を手に握った」。だがラインハルトはまったく動じず、それがキュンメルの苛立ちを誘った。だが、ラインハルトの落ち着きも、キュンメルの手が、ラインハルトが何よりも大事にしていたキルヒアイスの遺髪が収められたペンダントに伸びるまでであった。事態は、皇帝であるラインハルトが激昂し、ペンダントをもぎ取ろうとしたキュンメルを自ら殴り倒すという異例きわまる形で終息した。病弱だったキュンメルはその一撃に加えて親衛隊長キスリングのタックルを受けて危篤となり、その場で死亡。隠れて機会を窺っていた地球教徒もラインハルト襲撃に失敗して次席副官のリュッケ中尉に射殺された。異変を察知した憲兵総監ケスラー上級大将の指揮の下、キュンメル邸はバウマン准将の憲兵隊に、オーディンの地球教支部はラフト准将の率いる憲兵隊によって即時制圧された。ヒルダは自主的に謹慎して処分を待ったが、ラインハルトはこれを許し、また「殺人犯の凶器まで処罰する必要はない」と、キュンメルの罪も不問に処した。その一方で、後日の御前会議では真の「殺人犯」である地球教本部の討伐がワーレンに命じられた。これに先立つ帝国暦489年、第8次イゼルローン攻防戦の直前に、メックリンガーがヒルダの要請でキュンメル邸を訪れている。小動物を飼っていないことについて抱いた疑問と、メックリンガーとヒルダの二人がラインハルトを賞賛したことに対して、キュンメルが自分の身体の不自由さを嘆くシーン(アニメ版のみ)があり、二人がこの事でキュンメルの人柄に疑問を感じている描写がなされている。皇帝となったラインハルト自身による同盟領への侵攻。第2次ラグナロック作戦及び回廊の戦いの総称。新帝国暦2年(宇宙暦800年)3月1日深夜、旧同盟首都ハイネセンポリスのあちこちで連続的に爆発と火災が発生した事件。翌日早朝には鎮火したが、1800万平方メートル以上が全焼し同盟の歴史的建造物の多くが灰燼に帰すとともに、死者・行方不明者は5,500名に達したがそのうちの約半数が地元地理に不案内な帝国軍人であった。当初は同盟軍残党によるテロを目的とした放火説が疑われたが残党の組織的蜂起は起こらず、どさくさに紛れて発生した暴動はロイエンタールの製作した危機管理マニュアルもあって、全て初期の段階で鎮圧された。後の調査で旧同盟軍が鉱山開発用に民間に払い下げたゼッフル粒子発生装置の誤作動が原因の事故であったことが判明したが、帝国軍が炎で旧弊を一掃しようとしたという流言が出るなど民心に動揺が走ったため、帝国憲兵副総監ブレンターノ大将は人心の安定を図るために憂国騎士団残党を本件の犯人に仕立て上げることにした。憂国騎士団がスケープゴートに選ばれたのは、もともと反帝国的傾向の強い過激派組織であったためであったが、資金や人員の面において皇帝暗殺を謀って弾圧中の地球教団との深いつながりがあることが憲兵隊の調査で判明したことで瓢箪から駒が出て、もはや手加減は無用とされた。帝国憲兵隊は地元警察と合同で憂国騎士団と地球教団関係者の徹底的な弾圧と検挙に着手し、検挙対象とされた24,600名のうち5,200名は抵抗したために射殺され、1,000名が逃亡して行方をくらませたが、その他は全員逮捕された。ラインハルトが芸術鑑賞に勤しんだ時の騒動。名称は「エンサイクロペディア銀河英雄伝説」が初出。元々、芸術に興味を持たないラインハルトが、自分の無趣味さを気にしやや無理をして芸術鑑賞を行ったのが新帝国暦2年9月だったのでこう呼ばれた。もっとも、騒動の前にヒルダと一夜を共にして、求婚するも答えを保留されたので自分の気持ちに整理をつける為に始めたのが真相のようである。しかし、メックリンガーを除けばラインハルトと同じくらい芸術に疎い提督達には大不評で、黒色槍騎兵艦隊幕僚とともにラインハルトの古典バレエ鑑賞に同行したビッテンフェルトは人目も憚らず大あくびをし(アニメ版の描写)、詩の朗読会に出席するよう命じられたルッツは頭を抱え込み、ワーレンは自分の当番が来る前にオーディンにいるメックリンガーと交替することを本気で考えるなど、戦々恐々な日々を送ることになる。ミッターマイヤーは、皇帝の嗜好に媚びる芸術家が出る事を恐れて批判的な見解を示したが、実は宇宙艦隊司令長官という立場上、芸術鑑賞への同行を命じられることが無かったがための第三者的評価であった。ラインハルトのお供として、「聴いてもわかるはずのない前衛音楽」を拝聴せねばならぬ羽目になったミュラーは思わず「いっそ戦争なり内乱なりの方がマシ」とぼやくが、この年(新帝国暦2年)の10月〜12月にかけて発生したウルヴァシー事件に始まるロイエンタールの叛乱の後に、この時の言葉を振り返って憮然としたという。または「9月1日事件」。新帝国暦2年(宇宙暦800年)9月1日、惑星ハイネセンのグエン・キム・ホア広場で開催された旧同盟の関係者による合同慰霊祭で起こった騒乱。当初は穏便な態度をとっていた市民が、警備を担当していた帝国軍に対して次第に険悪な様子を表し、14時6分に最初の投石が行われ、そこから暴動が広がった。市民4,840人が死亡、50,000人が重軽傷を負った。帝国軍兵士も118人が死亡した。なお、負傷・拘禁された者の中にシドニー・シトレ退役元帥がいた。新帝国暦2年10月7日、ロイエンタールの要請で新領土の視察に訪れていたラインハルトが襲撃され、ロイエンタールの叛乱を誘発した事件。グリルパルツァーの捜査によって地球教徒の仕業だと判明したが、出世欲にかられたグリルパルツァーがこの調査結果を秘匿して裏切りを企み、叛乱を後押しするに至った。この事件でルッツがラインハルトの脱出を助けるため犠牲となった。新帝国暦3年3月21日から同月末まで、オーベルシュタインがハイネセンで旧同盟の要人約5,000人(ムライ、ホアン・ルイ、パエッタ、オリベイラなどを含む)を逮捕・収監した事件。これが他の提督との軋轢を生み、帝国軍内に対立が生じた。その後収監された要人達の反乱「ラグプール事件」が起き、(地球教の策動によるもの)多大な流血事件に発展した。しかし、この流血事件後直ちにラインハルトは旧同盟人民に対しこの件に対する謝罪を行い、さらに生存者全員を釈放したため旧同盟人民より賞賛を受け、オーベルシュタインへの反感はラインハルトへの好感へと変わった。そしてユリアンは、オーベルシュタインは最初からそこまで計算し尽くした上で「草刈り」を行ったのではないかと戦慄した。新帝国暦3年4月16日深夜、「オーベルシュタインの草刈り」で旧同盟の要人が収監されていたラグプール刑務所で発生した暴動。鎮圧にあたった帝国軍の指揮系統の乱れと入手先不明の銃によって混乱が拡大し、その際、オリベイラやパエッタを含む多数の死者を出したが、ムライ及びロイエンタールに拘禁されていたシトレは負傷で済んだ。翌17日9時40分の鎮圧までに収監者の死者1,084名、重軽傷者3,109名、事件に不参加だった者317名、他は逃亡もしくは行方不明。帝国側は死者158名、重軽傷者907名の犠牲者を出した。新帝国暦3年5月14日に発生した、地球教の残党による仮皇宮襲撃事件。皇妃となっていたヒルダとラインハルトの姉アンネローゼが襲われた。ケスラーの活躍により襲撃犯は鎮圧されたが、妊娠していたヒルダが産気づいた様子をみせ、その夜男子を出産した。また、この事件の後、ヒルダの近侍を務める「マリーカ・フォン・フォイエルバッハ」は事件内でのケスラーへの助勢が縁となり、2年後に結婚した。新帝国暦3年6月13日20時、逮捕されたまま入院していたルビンスキーが自ら生命維持装置を外して死亡し、デス・スイッチが作動してハイネセンポリスの各所が爆発・炎上した事件。旧同盟の最高評議会ビルの倒壊を初め、その後の3日間で市街の1/3が焼失した。死者と行方不明者は5,000人以上。被災者はその500倍。後日、逮捕されたドミニク・サン・ピエールの証言により、この事件がルビンスキーの仕業だと判明する。作品中における法律・条約名について、時系列順に挙げる。帝国暦9年、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムによって発布された法律。優生学的思想に基づき、知的能力や身体機能に異常がある者、或いは学習・労働意欲が希薄な者が遺伝的に劣悪であると定義した上で、その遺伝子の存続を抑制するというもの。特に去勢やロボトミー手術による安楽死など極端と言われる方法が実行された。遺伝的に優秀とされた一族が貴族に叙せられるのと、対をなす政策である。しかし、その法を制定したルドルフ自身の寵姫が先天性障害を持つ男児を出産するという事態が発生。母子のみならず寵姫の親族や出産に立ち会った医師までが死を賜り、「ルドルフに先天性障害の原因となる遺伝的要素は無い」とされ、真相は隠蔽された。同法は「晴眼帝」マクシミリアン・ヨーゼフ2世により有名無実化されたとされるが、実際にはその後も障害者に対する差別は残った。例えば赤緑色盲を持つ者は公然と差別を受け、それを隠して幼年学校に入学したモーリッツ・フォン・ハーゼは、障害が公になった時点で幼年学校を退学させられている。皇位継承の有力候補であったエリザベート・フォン・ブラウンシュヴァイク、サビーネ・フォン・リッテンハイムも先天的な障害を持っており、それが発覚した場合に皇位継承の妨げになるとして、隠蔽された(OVA版のみの描写)。この種の発想の致命的な欠陥として、その社会体制の意思決定をつかさどる者(政治家や貴族、財閥等)及びその親族や知人に、同法の提言者が唱えるところの「遺伝子の劣悪」が認められた場合、一般市民と同等の「処理」が行われず、逆に「その財力と権力によって過度に保護される可能性がある」という点が挙げられる。例えばハインリッヒ・フォン・キュンメルの場合、平民であれば満足な治療を受けられず死ぬしかない先天的な病気を持っていたが、貴族であるがゆえに治療を受けられ命を長らえている。パウル・フォン・オーベルシュタインは先天的な視覚障害があり、義眼によって視力を得ていた。「マクシミリアン・ヨーゼフ2世の以前であれば自分も抹殺されていただろう」と述べ、ゴールデンバウム王朝を憎む動機となっている。または「リップシュタットの密約」とも称される。ラインハルトとリヒテンラーデ公爵(帝国宰相)による枢軸体制に対抗する為、門閥貴族が結集した盟約。結集時期は原作2巻で2月初めであると記述されるが、日付は不明。盟主はブラウンシュヴァイク公爵。副盟主はリッテンハイム侯爵。呼称の由来は、ブラウンシュヴァイクの別荘のあるリップシュタットの森で盟約を締結したことによる。この盟約に依って同年4月19日リップシュタット戦役が始まり(アルテナ星域会戦=ミッターマイヤー艦隊対シュターデン艦隊の戦い)、同年9月9日、占領されたガイエスブルク要塞内でラインハルト側による勝利の式典が行われている。なお、貴族側が「正義派諸侯軍」と自称したのに対するラインハルトは彼らの公称を「賊軍」とした。原作中では「貴族連合軍」とのみ記されるが、アニメでは「リップシュタット連合軍」とも呼ばれる(銀河英雄伝説の登場勢力を参照の事)。正式な名称は「新帝国暦2年2月20日の勅令」(新帝国暦2年=宇宙暦800年)。旧自由惑星同盟主星であった惑星ハイネセンにおいて銀河帝国皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラムの発した勅令。通称は布告の場所が国立美術館敷地内の冬バラ園であったことに由来している。この勅令によって自由惑星同盟は政体として消滅し、273年の歴史に幕を下ろした。それまでは「辺境の叛徒」「自由惑星同盟を僭称する叛徒ども」と呼称され、国家として認められていなかった自由惑星同盟は、皮肉なことに、滅亡してから帝国において初めて国家として承認されたことになる。なお、この勅令の前に一旦は締結されたバーラトの和約で、自由惑星同盟の名称と主権の存続だけは帝国の同意によって保障されていた。自由惑星同盟の憲法。レベロ政権はバーラトの和約により言論及び結社の自由を一部停止した。このことは原理派から激しい非難を浴びている。50年ほど前に施行された法律。利権政治家が私腹を肥やすのに利用したため評判は悪い。同盟で制定された法律。正式には「軍事子女福祉戦時特例法」。アニメでは「戦災孤児育英法」となっている。「トラバース」とは、法令の発案者の名前。戦災遺児を軍人の家庭で養育する法律で、銀河帝国との戦闘状態から慢性的に生じる戦災遺児の救済と人的資源確保を目的として作られた。15歳までの養育期間中は政府から養育費が貸与される。期間終了後の進路選択は本人の自由だが、遺児が軍人或いは軍事関連の仕事に就けば養育費の返還が免除される。この法律により、ユリアン・ミンツはヤン・ウェンリーの被保護者となった。バーラトの和約第6条に基づきレベロ政権が成立させた帝国との友好を阻害する行動を禁ずる法律。ヤンを拘禁する口実に使われた。宇宙暦799年 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帝国暦490年5月25日、帝国と同盟の間で締結された和平条約。名称は、締結が行われた惑星ハイネセンがバーラト星系に属していることによる。惑星ウルヴァシーを含むガンダルヴァ星系及び回廊周辺の2つの星系の割譲、年間1兆5千億帝国マルクの安全保障税の支払、戦艦及び空母の放棄など、実質的には同盟の降伏条約とされている。ホワン・ルイ曰く「首に縄をかけられて、爪先だけはまだ床についている」状態。同年(新帝国暦1年)11月10日のラインハルトの再宣戦で実質的に破棄された。作品中に登場する固有の名称・呼称について、五十音順に挙げる。ゴールデンバウム王朝第14代皇帝アウグスト2世にちなむ拷問、処刑方法またはそれに使用される道具。ダイヤモンド製の微細な針を眼球に突き刺し、更に眼底を経て脳にまで突き通して、相手を狂死させる。自由惑星同盟建国の功労者、グエン・キム・ホアが帝国に対する国防政策を問われて答えた言葉。同盟が帝国本土から遠く離れていること自体が、帝国軍の侵攻時の兵站や連絡、将兵の士気の維持を難しくさせる最大の防壁となるという意味。なお、帝国側では同じことを、司法尚書ミュンツァーが晴眼帝マクシミリアン・ヨーゼフ2世に対し、「距離の暴虐」という言葉を用いて説いている。これに同意した晴眼帝は、在位中同盟への外征を一切行なわなかった。宇宙暦745年(帝国暦436年)12月11日18時10分〜18時50分、第2次ティアマト会戦において、帝国軍がブルース・アッシュビー率いる同盟軍に蹂躙され多大な犠牲を強いられた事を指す。将官の戦死者は約60名で、帝国軍はこの40分で被った損失を回復するのに、その後10年を必要としたといわれる。また、この大損害が、帝国にイゼルローン要塞を建造する決意を固めさせたといわれている。更に将官の大量戦死を補充すべく平民出身者の将官への門戸が広げられることとなった。ローエングラム王朝で採用された帝国軍旗。真紅地に黄金の獅子を配している。当初はローエングラム元帥府の旗だったが、帝国軍旗となった際には金色の縁取りが施され、また獅子はグリフォンとなった(アニメ版)。所属する全ての艦艇を黒一色で塗装した帝国軍の艦隊。旗艦は戦艦王虎(ケーニヒス・ティーゲル)、艦隊司令官は帝国軍の「呼吸する破壊衝動」と称されるフリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト。「宇宙最強」と評され攻勢にきわめて強い精鋭部隊で、ビッテンフェルトの猛将ぶりと合わせて驚異的な破壊力を誇る。所属兵・士官たちも司令官に感化された猪武者が多い。しかし一転して守勢に回ると脆く、反撃され致命的な損害をこうむることもあり、アムリッツァ会戦ではヤンを含む同盟軍の残存艦隊を取り逃がすきっかけとなった。とはいえ、この艦隊の攻撃を受け流し反撃に転じることが出来た艦隊は、ヤン艦隊を含めごく限られており、事実この艦隊が戦果を上回る損害を被ったケースはアムリッツァ会戦、及び回廊の戦いの緒戦でヤンと戦った2度だけである。アニメ版では、この艦隊に所属する戦艦はすべて高速戦艦であり、機動力と打撃力に優れる様が描写されている。回廊の戦いの終結後にファーレンハイト艦隊の残存部隊を編入し、彼らの通常戦艦も黒で塗装された。旧ファーレンハイト艦隊の将兵はビッテンフェルトに不満を持っており、また艦艇も高速戦艦ではなく標準戦艦のため連携に問題があり、これが第2次ランテマリオ会戦で黒色槍騎兵艦隊の崩壊の危機の原因となった。しかしビッテンフェルトの強引とも言える叱咤と旧ファーレンハイト艦隊の分艦隊司令官だったホフマイスターを初めとする彼らの意気込みで危機を乗り越えた。セガサターン版ゲームではビッテンフェルトの艦隊に巡航艦を加えれば黒に塗装された巡航艦を見ることが出来る。アニメ版外伝「千億の星、千億の光」では、ビッテンフェルトが艦長を務める戦艦が黒に塗装されている。このときビッテンフェルトは一隻で二隻の敵艦を倒しラインハルトの目にとまっている。ランテマリオ星域会戦において、ラインハルトが採った戦術の名称。機動力の高い七個艦隊で一列縦隊を組み、側面攻撃をかけてきた敵といずれかの艦隊が交戦を開始したら、他の艦隊が前後から双頭の蛇が噛み付くように挟撃包囲するというものである。敵に対して圧倒的に多い戦力を揃え、なおかつ連携を維持することが実行の条件となる。しかし、その「連携の維持」が難事であり、実戦においてはヤン・ウェンリーの別働隊が後方を遮断したことで帝国軍は混乱、艦隊数の多さが逆に災いして収拾に手間取り、その隙に包囲殲滅されかけていたアレクサンドル・ビュコック率いる同盟軍本隊は離脱に成功した。以後、帝国軍はどれだけの大軍を動員しても、一度に投入し連携して運用する兵力は三個艦隊までにとどめている。アスターテ会戦でほぼ全滅した第4・第6艦隊の残存部隊に新規の人員を加えて結成された艦隊。結成時の兵力は艦艇数約6,400隻、将兵約70万人(通常艦隊の約半分)。艦隊司令官はヤン・ウェンリー。その構成人員から「敗残兵と新兵の寄せ集め」と揶揄されていた。最初の任務はイゼルローン要塞の攻略。この任務が成功した後、同じくアスターテ会戦で損害を出していた第2艦隊の残存部隊を編入して一個艦隊に昇格。同盟軍の帝国領侵攻の後に、半数が脱出に成功した第10艦隊も合流して「イゼルローン駐留艦隊(ヤン艦隊)」となる。「トゥールハンマー」とルビが振られている。アニメ版では「トールハンマー」と呼称・発音されている。イゼルローン要塞の要塞主砲。出力9億4200万メガワットのビーム砲で、射程距離は拡散の度合いによって異なると思われるが、第六次イゼルローン攻防戦では6.4光秒が射程外と記述されている。アニメ版では、要塞外壁である流体金属に浮かぶ浮遊砲台の一種でありパラボラアンテナ状の鏡面に変化させ、複数の砲台を連携させて照射する構造になっている。藤崎竜による漫画版では、要塞司令官にのみ主砲の発射権限が与えられており、司令官と要塞のリンク、声紋など各種の照合が確認されて初めて発射可能になるとの描写が見られる。クロプシュトック侯爵家の始祖アルブレヒトが内務尚書の時代に行った共和派の粛清・虐殺の総称。シリウス戦役の前後に存在していた、地球の旧体制を経済的に支えていた巨大企業群。この処遇を巡って存続を主張するタウンゼントと完全解体を主張するフランクールが対立したことが、ラグラン・グループ崩壊のきっかけとなった。なお、同じ田中芳樹作の『創竜伝』にもフォー・シスターズと呼ばれる集団が登場する。ラグラン・グループのフランクールが組織を確立して総司令官に就任した反地球戦線の実戦組織。「BFF」と記述されることもある。ヴェガ星域会戦に於いて地球軍に勝利したのをキッカケとし、それ以降84回の戦闘全てに勝利した。しかし、地球政府滅亡後は首相のタウンゼントと国防省フランクールの対立を経て、シリウス政府が崩壊すると組織が幾つかの勢力へと分裂し、血で血を洗う無秩序な抗争に突入してしまい、一世紀近くも続く宇宙混乱の時代を招いた。十提督と呼ばれる有能な提督達がいたとされるが、フランクールがクーデター未遂の果てに殺害されると、BFFをタウンゼントに忠実な手駒にするために、七名が投獄・粛清され、僅か二名が生き残ったのみとされている(一名は粛正前に病死)。ゴールデンバウム朝銀河帝国における貴族階級の中でも、さらに限られた支配層を指す。血縁或いは縁故による排他的な結束を特徴とし、帝国の政治や経済を支配し搾取する事を生業としている。具体的にどういった貴族が門閥貴族に含まれるのかの定義は作中では示されなかったが、少なくとも爵位とは関係無いようであり、ブラウンシュヴァイク公の甥のフレーゲル男爵が門閥貴族の一員として振る舞う一方で、ラインハルトはローエングラム侯の爵位を有しながら門閥貴族扱いされなかった。本人達は自分達の血統と隆盛が帝国の為になると本気で信じ込んでおり、それに反する存在に大きな嫌悪と憎悪を抱いている。その言動は血統と特権に胡坐をかいた横暴で傲慢なものであり、家柄と気位ばかりが高く能力が伴わない無能者の集団として描かれている。同盟軍イゼルローン要塞駐留機動艦隊の通称であり、例外的にこの通称も公認された。その名の由来は、艦隊司令官がヤン・ウェンリーであったため。同盟軍の帝国領侵攻の後、半減した第10艦隊が第13艦隊に合流して誕生した。同盟建国以来、艦隊名称に個人名を冠することはなかったのだが、同盟軍の弱体化が進む中でヤンの名声を最大限に利用すること考えた軍上層部の思惑があったと考えられる。しかし、政治勢力からは軍閥化の疑いを持たれることとなる。この艦隊には「バーラトの和約」後もヤンに付き従った人物が多く、その者たちは「ヤン・ファミリー」と呼ばれる。同盟から袂を分かった後は「ヤン・イレギュラーズ(不正規隊)」と称した。ヤンの死後も「イゼルローン革命軍」として民主政治の回復に向けて活動を続け、シヴァ星域会戦後にイゼルローン要塞の返還と引き換えに旧同盟首都バーラト星系の自治権を勝ち取った事でその役目を終えた。絶えず帝国軍と激戦を繰り広げた為人材の消耗も激しく、前身である第13艦隊結成時の主要メンバーに至っては解散時まで生存していたのはフレデリカ・グリーンヒル、ムライ、カスパー・リンツの三名のみであった。(フレデリカ・ムライはヤンの死後軍から離れており、実質的にヤン艦隊の発足から解散まで所属し続けたのはリンツのみである。なお、マリノも結成時からのメンバーであるが、シヴァ星域会戦後の生死は不明である)同盟軍において、帝国からの亡命者の子弟で構成されている連隊の名称。元々は政治的な意味合いで結成されたものだが、同盟最強の白兵戦部隊であり、その戦闘能力は1個連隊で1個師団に匹敵すると言われる程。アニメ版に於いて帝国兵が連隊章などによって相手の正体を知ると目に見えて士気が落ちていた事からも実力の程を窺い知ることができる。しかし、問題も多く、実際、戦闘中に敵と味方を取替え、帝国軍に寝返った者もいた。曰く「歴代連隊長12名のうち、4名は帝国軍との戦闘で死亡、2名は将官に昇進した後退役、あとの6名は同盟を裏切り帝国へ逆亡命した」(実際に第11代連隊長リューネブルクは帝国に逆亡命して登場している)。第13艦隊編入時の指揮官は、第13代連隊長ワルター・フォン・シェーンコップ(当時大佐)。その後、リンツ(後の第14代連隊長)、ブルームハルトが連隊指揮官を務め(ブルームハルトは中佐のため連隊長代理)、ヤン艦隊の作戦成功に少なからず貢献した。ユリアン・ミンツは同連隊の準連隊員として、リンツから連隊章を授与されている。シヴァ星域の会戦では、元連隊長のシェーンコップをはじめ、多くの隊員が戦死し、生き延びた隊員全員が負傷した。ローゼンリッターには連隊を象徴する「ドライロット(三つの赤)」というものがある。しかし、それを広めた張本人(アニメ版ではリューネブルク)が帝国へ逆亡命をしたので、それを言うことを嫌っているものも特に上層部に多い(シェーンコップはこれを言うとお偉いさんがいやな顔をするのでよく言う)。作品中の登場人物の中には、その業績などからつけられた異名・渾名を持つ者がいる。人物に関する詳細については、銀河英雄伝説の登場人物の項を参照。項目の判別に伴い、同盟・帝国別に記載。または「奇跡のヤン(ミラクル・ヤン)」(原作では「奇蹟」の字があてられている)。第6次イゼルローン要塞攻防戦まで同盟軍は「イゼルローン回廊は叛徒どもの血をもって舗装されたり」と豪語される程の大敗北を重ねていたが、第7次イゼルローン要塞攻防戦において、ヤン・ウェンリーは半個艦隊で味方将兵を一兵たりとも損なうことなく難攻不落のイゼルローン要塞を陥落せしめた。攻防戦からの凱旋時に同盟市民からこの呼び名で賞賛されて以降、彼の二つ名として定着していくこととなる。イゼルローン要塞を陥落させた手法から呼ぶようになった。ラインハルトやロイエンタールなどの帝国軍諸将や、同盟側でもユリアン・ミンツなども(褒め言葉的に)ヤンの作戦を「ペテン」と評している。ヤン・ウェンリーを称える呼び名。宇宙暦788年、惑星エル・ファシルから300万人の民間人を脱出させた功績が名称の由来。その直前、星系守備の責任者であるアーサー・リンチ少将及び幕僚が、民間人を放棄して自分達だけ脱出を試み、さらに帝国軍に拿捕されるという失態を演じた。同盟軍首脳部はそこから世間の目を逸らす為、過度とも思える程ヤンの功績を宣伝した。その結果、アニメ外伝「螺旋迷宮」に登場する「週刊プリティー・ウーマン」ではヤンが結婚したい男性No.1に選出され、宇宙暦795年の第4次ティアマト会戦(を描いた劇場版アニメ第1作)に至るも、机一杯に置かれる程のファンレターが届いている。もしくは「ごくつぶしのヤン」。佐官時代のヤンに対する呼称。エル・ファシルで誰も予想しなかった功績を挙げ驚異的な昇進を遂げたものの、それ以前はその生来の怠け者気質からこう呼ばれていた。「非常勤参謀」とも言われる。ヤンのスピーチ嫌いをユリアンが評した言葉。イゼルローン要塞での新年パーティーの挨拶が「みなさん、楽しくやってください。」の一言で終わったことに由来する。このスピーチ嫌いは徹底しており、捕虜交換式の時の挨拶は可能な限り短縮され、エル・ファシル革命政府から民衆に紹介された時も「ヤン・ウェンリーです。よろしくお願いします。」の一言で済ましている。例外としては一度だけ、ユリアンがヤンの元を巣立つ際に行われた壮行会のスピーチであり、この時だけは通常の100倍の長さ(それでもかなり短い)のスピーチを行っている。バーミリオン星域会戦の時にヤン・ウェンリーが組織した一隊。戦いが終結した直後、メルカッツを帝国に引き渡さない為及び後日の叛乱勢力の中枢を確保する為、という2つの理由からヤンが提案し、メルカッツが受諾した。艦艇数は60隻。同行者はカスパー・リンツ、オリビエ・ポプラン、カーテローゼ・フォン・クロイツェル(彼女は後に存在が判明)、自由惑星同盟亡命以前よりメルカッツ副官のシュナイダーを含め11,800人。当初はダヤン・ハーンの補給基地に潜んでいた。ヤン艦隊副司令官フィッシャー中将のこと。艦隊運用の名人芸から呼ばれる。苦いジョークとしてアッテンボローが彼の戦死の報を受け「死んだ航路図」と称した。ヤン艦隊参謀長ムライ中将のこと。意味はそのまま。ミッターマイヤーがアレクサンドル・ビュコックの軍歴を敬意を込めて揶揄したもの。ビュコックが一兵卒からの叩き上げで元帥まで上り詰めた事は帝国でも広く知られていたようだ。ラインハルトがビュコックを高く評価する際、常に用いた言葉。老人と老害を同一視し、敬意を払うことがほとんどなかったラインハルトであったが、ビュコックの生きざま死にざまに対してだけは敬意を払った。ヤンとは「違った意味」で軍人らしくないとされる、チュン・ウー・チェンの渾名。見た目が軍人らしくなく、パン屋の親父風に見える事からついた。チュンが士官学校に赴任する際に下見に行ったら当番学生に出入りのパン屋に間違われた、というのがつけられた理由だが、学生の名前が不明で真実かどうかは定かではない。同盟軍統合作戦本部長、ドーソン大将に対する渾名。「じゃがいも野郎」とも言われる。かつて第一艦隊の後方主任参謀を務めた際、ダストシュートを見て周り「じゃがいもが何十キロ捨ててあった」などと発表して兵士達をウンザリさせたことから呼ばれている。フェザーン高等弁務官事務所主席駐在武官、ヴィオラ大佐のこと。肥満しているものの質感に欠け、筋肉も贅肉も入っていないような体格から呼ばれる。ユリアンは「歩く飛行船」と評している。ユースフ・トパロウルの項目を参照の事。原作のバーミリオン会戦でヤンがぼやいてばかりいたので、ユリアンが「ぼやきのユースフですね。」と評した。宇宙暦730年の同盟軍士官学校卒業生に優秀な人材が多く、その首席であったブルース・アッシュビーが自らの幕僚を同期生で固めたことから名づけられた。アッシュビーの他にアルフレッド・ローザス、ヴィットリオ・ディ・ベルティーニ、ファン・チューリン、フレデリック・ジャスパー(マーチ・ジャスパー)、ジョン・ドリンカー・コープ、ウォリス・ウォーリック(バロン・ウォーリック)の計7人。15年後の第2次ティアマト会戦にてアッシュビーが戦死したため、自然消滅となった。極めて優秀な軍人達であるが、灰汁の強い人物ぞろいでまとめ役であるはずのアッシュビーの人望家とは言えない性格の影響もあり、自由惑星同盟政府の評判は芳しくなく、軍閥化を指摘されるなど政府からは実績に対する高評価の反面、危険視もされていたことが窺える。また仲裁役と言える人間はローザス一人であり、そのローザスが妻を亡くし一時退役したことから急速に関係が悪化、最大の戦果を挙げることとなる第二次ティアマト会戦時には作戦会議も大きく紛糾、さらにアッシュビーの死亡が切っ掛けとなり以後の交流は途絶えることとなる。7人のうち軍人として戦死、元帥号授与を受けたのはアッシュビーとベルティーニ、コープの3人。残り4人もそれぞれに栄達して元帥号を受ける。しかしアッシュビー生存の全盛時のような「冴え」は遂に戻らぬまま、しかも天寿を全うすることができず(ジャスパーは事故死、ウォーリックとファンは孤独死、ローザスは半ば自殺)、結局全員が幸福とは言えない死を迎えた。マーチは行進曲を意味する。「730年マフィア」の一人フレデリック・ジャスパーの異名。勝つときは派手だが、負け方も派手で、しかも戦績がなぜか「勝ち・勝ち・負け」の三拍子を繰り返し続けたことに由来する(ただし、マーチは二拍子が一般的で、三拍子はワルツ)。ジャスパー指揮下の将兵はほとんどが諦めの境地に達してこのマーチにのって戦っていたが、一部には真剣に「負け」の番が来る前に脱走を企てたり、遺書を書いたものもいるという。第2次ティアマト会戦のときは「勝ち」の番であった。バロンは男爵を意味する。「730年マフィア」の一人ウォリス・ウォーリックの異名。当たり前だが民主共和制・反専制政治を標榜する自由惑星同盟には貴族制度は存在しない為、単なる綽名であり、正式の爵位ではない。貴族的な態度と容姿からそのような綽名がつき、本人も気に入って正式な名前のように使っていた。一方で「しょせん男爵止まり。伯爵や公爵にはなれないし、なれなくて結構」という他人からの揶揄、本人による自嘲と諦念も込められている(ウォーリックは軍人としてはアッシュビーに及ばず、多芸ではあったが何をやっても一流にはなれず、退役後政界に転じても成功できなかった)。ラインハルト・フォン・ローエングラムの後世の呼び名のひとつ。原作では「ラインハルト・デア・ルーヴェナルテイグ・カイザー」のルビが振られた。主な由来はローエングラム王朝で採用された帝国軍旗が真紅地に黄金の獅子を配した意匠であることと、ラインハルトの外見・功績が獅子を連想させるものであったこと。ラインハルト・フォン・ローエングラムの後世の呼び名のひとつ。主な由来は、ゴールデンバウム王朝を受け継いで帝位に就きながら、採用した行政の運用方法等が革新派に通じるものであった事から。ラインハルト・フォン・ローエングラムの蔑称。読みは「きんぱつのこぞう」。主に門閥貴族や帝国軍高官など彼の政敵が使用。帝国以外でこの呼称を使うのはフェザーンの一部反ラインハルト派ぐらいであり、ヤン艦隊を含めて同盟では一切使用されることは無かった。ローエングラム王朝においてこの呼称を使用することは不敬罪にあたるとされる。なお、「こぞう」は普通は「小僧」の読みである。「孺子」とは中国古典などに見られる「幼児」を意味する言葉(転じて成人であっても幼児並みであると軽侮する言葉。青二才)で、日本語では通常「じゅし」と読む。「こぞう」の読みに「孺子」の漢字を充てるのは田中芳樹の創作である。ラインハルト・フォン・ミューゼルが大将昇進後イゼルローン要塞へ赴任するにあたり、若さに対する昇進の早さを皇帝の寵姫となっていた姉アンネローゼへの寵愛から得たという僻みから来る帝国軍内での蔑称(ラインハルトの昇進についての皇帝の関与の詳細は、該当項目参照)。作中では劇場版第1作のみに用いられ、原作には存在しない言葉である。惑星レグニッツァ上空遭遇戦にて、ラインハルトの存在を知らないヤン・ウェンリーが、その乗艦が純白の艦(ブリュンヒルト)である事から、こう呼んだ。その後ヤンはラインハルトの名を知るが、アスターテの会戦時にもこの言葉を用いている。作中では劇場版第1作及びOVA本編第1話のみ用いられ、原作には存在しない言葉である。ウォルフガング・ミッターマイヤーの異名。原作小説では「ウォルフ・デア・シュトルム」とルビが振られる。アムリッツァ会戦前哨戦(ビルロスト・ヤヴァンハール星域会戦)で敗走する同盟軍第9艦隊を追撃の末に追い越したことからこう呼ばれるようになった。道原かつみの漫画版では、これ以前のミッタマイヤーがラインハルトと知己となった直後、ミッターマイヤーが既にこの異名で呼ばれている事をラインハルトがキルヒアイスに対し述べている。ウォルフガング・ミッターマイヤーとオスカー・フォン・ロイエンタール。帝国軍において特に抜きん出た艦隊指揮能力を有した二提督。フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトに付けられた渾名。「猛将」の名に相応しい圧倒的なまでの破壊力を持つ「黒色槍騎兵艦隊(シュワルツ・ランツェンレイター)」を率いる事から呼ばれ、各戦線で目覚しい戦果を挙げている。パウル・フォン・オーベルシュタインに対する渾名。冷徹すぎる性格から。同盟からは「帝国印・絶対零度のカミソリ」とも呼ばれた。親衛隊副隊長ユルゲンス大佐の綽名。通常は大食漢につく綽名であるが、実はユルゲンスは小食である。親衛隊は任務からくるストレスによって、皆、胃痛に悩まされていたが、唯一ユルゲンス大佐のみが胃痛とは無縁だった事からこの名がついた。銀河帝国の提督であるエルンスト・フォン・アイゼナッハの呼称。日常で殆ど言葉を発しないためこのように呼称された。OVAでは補給艦の艦長を務めていた少佐時代の彼が登場し、「沈黙艦長」と呼ばれていた。ナイトハルト・ミュラーの異名。または「ミュラー・デア・アイゼルンウォンド」とも。バーミリオン星域会戦において旗艦リューベックを失い、乗艦をノイシュタット→オッフェンブルフ→ヘルテンと乗り換えてもなおラインハルトの危機を救うべく奮闘したことに由来する。この時の奮闘がラインハルトに認められ、ローエングラム王朝成立後、上級大将の中で首席の序列を受けるとともに、新王朝初の新造戦艦であるパーツィバルを下賜されることとなった。敵手である処のヤン・ウェンリーも、彼を「良将」と称えている。銀河帝国の提督であるエルネスト・メックリンガーの呼称。艦隊指揮において秀でるのみでなく、芸術分野においても卓絶した異色の提督であるため、このように呼称された。ハインリッヒ・フォン・キュンメルはメックリンガーの多才さをレオナルド・ダ・ヴィンチ、曹操と並び賞している。「芸術家提督」と同じくエルネスト・メックリンガーに対する呼称。銀河帝国の提督であるアルフレット・グリルパルツァーの呼称。提督としてだけではなく、探検家としても名を馳せたためこのように呼称された。ラインハルト亡き後のローエングラム王朝を支えた元帥たち。ミッターマイヤー首席元帥以下、ミュラー、ワーレン、メックリンガー、ビッテンフェルト、ケスラー、アイゼナッハの7人。ミッターマイヤーを除く6名は、ラインハルトの遺言により、摂政となったヒルダが元帥号を授与した。帝国軍士官学校教官時代のシュターデンが、現実より理論を優先させる傾向にあった事から、当時学生だったミッターマイヤー達によって付けられたあだ名。ミッターマイヤーはアルテナ星域会戦でこれを実証する機会を得た。ベーネミュンデ侯爵夫人シュザンナにラインハルトが付けた渾名。当初は「ヘビ夫人」と呼んでいたが、彼女との対決をキルヒアイスが「明後日のフリカッセの前に、明日のチシャのサラダですか?」と例えたことに由来して「チシャ夫人」と呼ぶようになった。ラインハルトはチシャが苦手であり、キルヒアイスの台詞に「嫌な例えをするなぁ」と顔をしかめていた。装甲擲弾兵総監オフレッサー上級大将に対する呼称。その獰猛ともいえる勇猛さから同盟軍からこう呼ばれ恐れられている。ヨッフェン・フォン・レムシャイドの異名。「フェザーンの黒狐」アドリアン・ルビンスキーに対してこう呼ばれる。正確には「弾劾者ミュンツァー」。マクシミリアン・ヨーゼフ2世の統治下で司法尚書を務めたミュンツァーの異名。ダゴン星域会戦の直後、帝国軍中将の時に、十年来不仲(理由は不明)であったインゴルシュタットが同会戦でヘルベルト大公の補佐を務め、敗北して責任を問われた。この時、被告と不仲なので被告に不利な証言を期待して被告弁護人に指名されたが、指名した側の意図に反して冤罪を主張。これによって上層部から忌避され辺境に追いやられ、事実上の流刑にされた。だが6年後、マクシミリアン・ヨーゼフ2世が即位すると、その慧眼を評価されて中央に呼び戻され、司法尚書に任じられた。リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼンに対するいわば蔑称。「居眠り子爵」とも呼ばれた。劇中でも実際にヴァンフリート星域会戦での作戦会議にて居眠りをしており、参謀長プフェンダーに起こされていた。ゴールデンバウム王朝第7代皇帝ジギスムント2世に対する呼称。放蕩と贅沢の限りを尽くし、金目当てで徴税権を売り飛ばす暴挙まで行なった。なお、長征1万光年が始まったのは彼の治世のころ。ゴールデンバウム王朝第9代皇帝アウグスト1世に対する呼称。統治者としては有能だったが、私生活では別人のようにだらしなく、長い髪の女性を愛するあまり寝室に髪の毛を敷き詰めてその上を転げまわったり、病死した寵妃の髪を泣きながら食べたりした。ゴールデンバウム王朝第14代皇帝アウグスト2世に対する呼称。シリアルキラー特有の凝ったやり方で、己の生母と兄弟たちを筆頭に大量虐殺を展開した。犠牲者の総数は600万人とも2億人とも言われている。ゴールデンバウム王朝第15代皇帝エーリッヒ2世に対する呼称。「流血帝」アウグスト2世の暴政を打倒し、その悪弊を取り除いたことに由来する。ゴールデンバウム王朝第20代皇帝フリードリヒ3世に対する呼称。彼の治世下で存在が明らかになった自由惑星同盟に対する討伐軍が、ダゴン星域会戦で大敗したことに由来する。ゴールデンバウム王朝第22代皇帝グスタフ1世に対する呼称。生まれつき病弱で、即位後100日ほどで毒殺されたことに由来する。ゴールデンバウム王朝第23代皇帝マクシミリアン・ヨーゼフ2世に対する呼称。毒殺未遂の影響で失明するが、父フリードリヒ3世没後の混乱を建て直し、王朝中興の祖と称えられる。ゴールデンバウム王朝第24代皇帝コルネリアス1世に対する呼称。臣下に元帥号を濫発しことに由来する。おかげで当時の帝国軍の軍人は、分艦隊司令クラスまで元帥号を授与された。同盟への遠征に58名もの元帥を伴い、元帥一個小隊を率いていると揶揄された。しかし、同盟の征服に失敗した後は新たに元帥号を与える事は無かった。ゴールデンバウム王朝第27代皇帝マンフレート2世に対する呼称。暗殺を恐れ幼年期を同盟で過ごしたことに由来する。同盟との平和共存を望むが利権を失うことを恐れたフェザーンの手で暗殺される。ゴールデンバウム王朝第33代皇帝オトフリート4世に対する呼称。彼は1万人以上の愛人を抱えて624人の庶子をもうけ、多くの貴族たちに養子や政略結婚を押し付けては結納金を巻き上げて閉口させた。フェザーン自治領5代目領主であるルビンスキーに対する呼称。対して「白狐」とはヨッフェン・フォン・レムシャイドの事である。地球の支配体制を打倒したシリウス政府の立役者パルムグレン、タウンゼント、フランクール、チャオの4人をこう呼ぶ。4人全員がラグラン・シティー事件における地球軍の悪行の被害者であり、地球政府打倒を決意した契機となったことにちなむ。適材適所の見本とも称される程に四人全員がその長所で全開に活かし、政治・軍事・経済でも絶妙な連携で地球政府を壊滅された。しかし、結局はパルムグレンの人望と反地球という感情を元に寄せ集まっただけに過ぎなかった。地球政府を打倒し、まとめ役だったパルムグレンが積年の無理がたたって病死すると、まとめ役を失ったラグラン・グループは僅か三ヶ月で内ゲバを始め、フランクールを粛清したタウンゼントは引退して音楽教師になっていたチャオまで「急死」させるが、何者かに暗殺されてしまう(チャオの甥フォンの仇討ち説あり)。地球政府壊滅から僅か三年でラグラン・グループの革命家は全員が死亡した。結果、ラグラン・グループとその手腕に支えられていた脱地球の新秩序は構築される前に崩壊し、反地球連合軍BFFも暴走・抗争を始めたため、百年近くも続く混乱の時代が幕をあけることになる。経験と理論を兼ね備えた地球軍の3人の名提督、コリンズ、シャトルフ、ヴィネッティの3人のこと。ラグラングループのチャオ・ユイルンの策謀により共倒れさせられる。彼ら亡き後の地球軍は、もはや数と装備が立派なだけの烏合の衆でしかなく、フランクールの用兵によって83回にわたって連敗して滅亡した。作品中に登場する組織、および政府機関・軍隊内の役職について、帝国・同盟別に固有的な物を挙げる。地球統一政府の成立以前に存在していた北方連合国家が所有していた軍隊。略称はNCASF。天空の高みから弱小諸国を脅迫し威圧していたとされる。統一政府の宇宙軍は成立初期には航空宇宙軍との差異を強調し、あくまで治安維持を目的とした組織であると説明した。地球統一政府が西暦2480年に設立させた常備軍。西暦25世紀になって宇宙開拓が本格的に開始された事で、主としてその治安を維持する事を目的とした「宇宙省航路局航行安全部」が発足し、その後80年かけて「宇宙省保安局」→「宇宙警備隊」→「宇宙軍」となった。原作小説においては、惑星カプチェランカの戦闘では「大気圏内戦闘機」が登場するがアニメ版では割愛されて、同じ場面に宇宙戦闘機であるワルキューレが登場している。海軍戦力は記述が存在しない。西暦の頃の地球統一政府において、航路/資源/通信/管理/学術/探査など、宇宙に関するありとあらゆる問題を担当していた。宇宙省の本部は地球政府首都のブリズベーンではなく月面都市に置かれた。西暦2360年、アントネル・ヤノーシュ博士を長とする宇宙省技術陣がワープを実用化させている。宇宙暦296年、政界に転じたルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが若手の政治家達を集めて結成した政治グループ。ファルストロングやクロプシュトック等後に帝国成立の功臣となる者達が所属し、民主共和制の打倒とルドルフの皇帝即位に尽力した。銀河帝国の軍務省の長官。軍事行政上の責任者。銀河帝国の尚書(大臣)のひとつ。帝国宰相を設置しない場合は主席閣僚。旧体制下ではフリードリヒ4世治下のリヒテンラーデ、ローエングラム王朝ではマリーンドルフ伯が務めている事で知られている。また、マリーンドルフ伯は後任としてミッターマイヤーを指名しているが、本編終了までに受諾したという記述は無い。銀河帝国における官吏の最高位。オトフリート三世が皇太子時代帝国軍三長官兼帝国宰相であった事から臣下が皇帝の先例に習う事を避け、以後国務尚書が帝国宰相代理となっていたが、物語本編中でリヒテンラーデがエルウィン・ヨーゼフ2世擁立時からリップシュタット戦役終了時に失脚するまで務め、その後はラインハルトが皇帝に即位するまで務めた。ローエングラム王朝になってからは本編終了まで宰相が置かれず、皇帝親政としてラインハルト自身が行政の最終的な決定を行った。銀河帝国における閣僚。作中でも一度「尚書(大臣)」と解説がなされている。ゴ
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